やはり捻くれボッチにはまともな青春ラブコメが存在しない。   作:武田ひんげん

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20時までに投稿できず申し訳ありません。


文化祭の後の彼らの関係性は当然変わっていく。

目を覚まし、時計を見たら朝の10時だった。

カーテンの隙間から朝日が差し込んでいた。カーテンを開けると、空は真っ青の清々しい快晴だった。

と、携帯を見ると、

 

「うわ…陽乃から10件も不在着信が来てる…」

 

俺は本能的に悟った。あ、これはやばいと。そして今すぐ電話しないと取り返しが付かないと思うや、すぐに電話のコール音をならした。

 

プルルルル

 

「…もしもし?」

「もしもし」

「あ、あのー…その、陽乃」

「私が何回電話したと思ってる?」

「えと、10回ほど…」

「何か言うことは?」

「ごめんなさい…」

 

電話をしながら土下座をしてしまった。社会人とかが電話しながらペコペコしてる理由がわかるわー。

 

「…ま、よろしいでしょう」

「ありがとうございます」

「それでね八幡、なんで私が何回も電話したと思ってる?」

「え?なんで?」

「まあいいわ。とりあえず11時に駅前に来てねー。それじゃ!」

「おい、ちょ、まっ…」

 

プープー

電話が切れた音が聞こえてきた。

とゆうか最後は一方的に切られてしまったが、駅前に来てってどういうことなんだろうか。

とにかく、11時まで時間がないので、急いで準備を始めた。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

 

 

ふうー、なんとか10時40分にはついたぜ…

急いだかいがあったぜ。

と、陽乃を探していると、

 

「だーれだっ!」

「うおぉい」

 

突然後ろから両手で目隠しをされたから、江頭風の声でちゃったじゃん。はずかしいよ。

 

「…陽乃だろ?」

「せいかーい!」

 

陽乃は両手を離すと、俺の前に回り込んだ。…近い近い。

 

「ちょっとおそいぞー八幡。前に行ったじゃん、三十分前には来ないといけないって」

「いや、あの時間だからこれが限界なんだよ」

「いい訳しない!って言いたいけどまあ今回は見逃してあげる」

 

そういうと、俺の手を握ってきた。

 

「え?な、なんだ??」

「え?なにって、手をつなごうとしただけだけど?」

 

疑問系で返してきてるけどあなた、顔は悪い顔してますぜ。絶対わかっててしただろ。俺がこういう反応するって。

というか今日の陽乃の格好は白いワンピースに茶色のサンダルという格好で、すごい陽乃ににあっていた。

まわりの目も当然気になるわけで、そこで俺が手をつなぐとその目が痛いものになるんだよな…

まあ、これからはそういうのにも慣れないと…

 

「なあ陽乃、今日はどうするんだ?」

「まあ、それはお楽しみで♪」

 

そういうと、手を繋いだまま駅の中に入っていった。

どこか遠くにいくの?

 

 

 

電車内

ガタンゴトン

 

「人が少なくてよかったな」

「まあ、一応平日だからねー」

 

俺は今日が代休というのを忘れていた。平日の昼の電車内はがらんとしていた。

 

「ねえ八幡」

「なんだ?」

「今日どこに行くと思う?」

「検討つかねーよ。買い物とか?」

「ちがーう」

「じゃどこだよ?」

「ヒントはねー、デートスポットとしては王道の場所かな?」

「え?…あ、まさか…ディスティニーランド?」

「惜しい!シーでしたー!」

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

というわけでやってきましたディスティニーシー!

平日なので人は少ない。俺にとってはそれが何よりだった。

しかし、同じく代休の学校があるのか、高校生くらいのカップルは何組かいたが。

 

「よかったな、人が少なくて」

「見る所そこ?ま、私も少ない方がいっぱい回れていいけどねー」

 

ちなみに俺にとっては人生初のシーだった。そんな情報どうでもいいか。

 

「じゃいこっか」

「お、おう」

 

もちろん手を繋いで俺たちは歩き出した。

 

 

陽乃に連れられて最初に来たのは、キャラクターをモチーフにしたジェットコースターだった。

幸いにも人はほとんど並んでおらず、ほんの十分ほどで乗れるようになった。

 

「楽しみだねー、八幡」

「そ、そうだな」

 

俺こういう系苦手なんだけどなー。そういってはみたが強引に連れてこられたんだけどなー。

 

はーい、スタートしますよー!いってらっしゃーい!

 

そうアナウンスが流れると、コースターがスタートした。

 

うわ、ついに始まったよ… こえーよ。やばいって。

とおもっていたら、最初の方は室内を割とゆっくり目で動いていて、心にも余裕があった。周りには様々なキャラクターがいて、メルヘンに作られていた。

 

「わー、可愛いー!ねえねえ八幡、そう思わない?」

「そうだな。なかなかいいな」

 

俺は少し余裕が出てきていた。なんだ怖くないじゃんと。

と、出口が見えてきた。まあこの作りだ、大丈夫だろ。

 

「きたきた、ここからが本番だよ、八幡!」

「そうだな…え?」

 

やばくね?ちょっとこれ高くないかい?やばいって、これメルヘン路線じゃないの?なに本気出しちゃってんの??う、うわ、あー!

 

その後はもうとにかく、頭がパラダイスだった。意味がわからないかもしれないが、とにかく頭がおかしかった。

 

「きゃーーー!」

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぉあ!!おぉぉぉぉーーーー!」

 

あかんってこれあかんって!本格的すぎやろーがー!うぎゃーーー!はやいはやいはやいーー!

らめらめらめーーー!

 

 

「…八幡、おわったよ?」

「え?」

 

気がつけばもう終わっていた。しかし立とうとしても、足に力が入らない。

非常に情けないが、俺は陽乃に支えられながらベンチまで移動した。

 

「ねえ、大丈夫?」

「ぁ、ぁぁ」

「…ちょっと休憩しよっか。さすがに刺激ありすぎたかな」

 

もうあかんわ。今日このあと乗り切れるかな…

 

 

 

 

続く




次回投稿は7月12日の22時です。

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