やはり捻くれボッチにはまともな青春ラブコメが存在しない。 作:武田ひんげん
文化祭当日朝
「みんなここまでお疲れ様。ついに文化祭当日を迎えれました!今日はみんなで楽しんでいこう!」
会議室での雪ノ下の挨拶も今日で最後だ。いつもの笑顔を浮かべながら雪ノ下が挨拶をしていた。
雪ノ下を筆頭に凄くいい雰囲気で文実は進んでいって、昨日の段階で事務仕事は全て終わっていた。
俺たちは体育館に移動して最後の仕事、文化祭の運営に入った。
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体育館には全校生徒が入っていて少しざわざわとしていた。
俺たちは昨日行ったリハーサル通りに自分の持ち場に移動した。
開会式がはじまるまで無線でお互いの状況を測っていた。
「こちら入り口、生徒全員が体育館に入ったことを確認。どうぞ」
「こちらステージ脇、会長と雪ノ下さんの準備ができました。どうぞ」
「こちらステージ、生徒全員が整列したのを確認。どうぞ」
裏方の準備は完了した。後は会長と雪ノ下が出てくるだけだ。
「会長、でまーす」
と言う声とともに会長が登場してきた。
「みんなー!文化してるかー!」
城廻生徒会長がいつもの声よりも少し勢いがある声を出していた。
会場のボルテージはどんどん上がっている。
「では、この文化祭の準備をしている文実の委員長、雪ノ下さんの登場でーす!」
と言う声とともに雪ノ下がステージに登場した。
その颯爽と歩いてくる様はまるでスターの登場だった。
さっきまで湧いていた生徒たちも、なにかすごいものを見るかのような目で見ていた。
「みなさん、私が文化祭実行委員長の雪ノ下陽乃です。今日ここまで、文化祭を盛り上げるためにたくさん頑張ってきました。今日は皆さんぜひ楽しんでください!さあ、みんなで文化祭のスローガンを行ってみよう!総武といえばー」
「「踊りと祭り!」」
「同じアホなら踊らにゃー」
「「Sing a song!」」
生徒のボルテージは一気にマックスになった。雪ノ下は完璧な笑顔を浮かべながらステージからさっていった。
と、無線から雪ノ下の声が聞こえてきた。
「ねえねえどうだった比企谷くん??」
「どうって、最高だったよ。生徒のボルテージもMAXになったし」
「ありがとー!ということでみんなもがんばっていこう!」
こうして文化祭が始まった。
――――――――――――
開会式が終わった後は、文実の仕事は校内を交代制で見回ることくらいだった。
そして俺の番が終わり、俺は自由に校内を回ることになった。
といっても、ただ散歩みたいに出店にはいらずブラブラしていると、
「あ、比企谷くん!なにしてるの?」
「え?ブラブラしてるだけだけど。ていうか仕事は?」
「もうほとんどないんだよー。だから今暇してるんだー」
そうかそうか。で、なんでニコニコしてんの?ほんと怖いよ。
「ねえ比企谷くん」
「な、なんだ?」
まさか絶対ないよね?そんなことはないよね?
流石に騙されないぞ!おれは訓練されたぼっちなんだ。
「一緒にまわろっ!」
…ほんとに来ちまったよ。け、決してき、期待してたわけじゃないんだからねッ!
…今死ぬほどキモかったわー。まじやべーわー。
「…まじで?」
「うん!」
やばいって、もう絶対ノーと言わせない顔してるって。こわいよぉー…
ということで、回ることになりました。
ザワザワザワザワ
歩くだけでざわつく。それもその筈、俺の横キープですからね雪ノ下さんは。そら周りの目が痛いですよ。
「みんな私達のことみてるねー!ね、比企谷くん!」
「あ、あぁ、そうだな…」
正直逃げたしたかった。だって怖いんだもん。ボッチにはきついんだもん!
そのあいだも雪ノ下は、
「あ、あのハニトーたべたーい!」
「あ、綿あめ食べたーい!」
「ねえねえ、あの射的したーい!」
…なに?俺たち付き合ってんの?リア充だろこの会話。勘違いしてもいいの?
そのあいだも周りはざわついていたが。
と、そろそろ文化祭一日目が終わりかけていた。
その時、雪ノ下が真剣な表情をみせて、
「ねえ、明日も一緒に回るからね。わかった?」
「は、ひゃい」
え?なにされんの?怖いんだけど。また奢らさせるのか?
とにかくその表情を、みたらなにか怖かった。
続く
今回は時間の都合で短くなってしまいました。すみません。
次回投稿は6月30日です。
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