大学という場所は彼の周囲の環境をガラリと変えた   作:さくたろう

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いつも読んでいただきありがとうございます、
今回は5月編になります。
まあ5月編といってもGWくらいしかネタがないんですけどね!

UA50000、お気に入り600ありがとうございます!かなり嬉しいです!


彼と彼女の距離

 

5月だ。GWだ。

私たちは今、静岡のキャンプ場に来ている。

メンバーはいつもの先輩のグループと碧だ。先週、金沢先輩がみんなを誘ってキャンプしようなんて提案したのがきっかけ。

 

私としては大学生になって初めてのGW、先輩と二人きりで何かしたいな、なんて思っていたけれど意外にも先輩がキャンプに参加するとのことなので私もぜひ、と参加した。

碧がいるのは金沢先輩が直接誘ったみたいで、1年生が私だけだけということを考えてくれたのだろう。この人気が利くし。

まぁ、二人きりじゃないにしてもGWを先輩と過ごせるというのは私的にも嬉しいので良しとしよう。

 

GWということもあってキャンプ場は結構な人で賑わっていた。

お昼前にキャンプ場に着いた私たちはコテージに荷物を置き、バーベキューの準備をする。

私と金沢先輩と碧は野菜の下処理、先輩たち男子はその他の準備と近くの川で魚釣りに別れて作業する。

 

どうせなら先輩と一緒に準備したかったな。

 

「ハッチーと準備したかった?」クスッと微笑みながら聞いてくる金沢先輩。

 

どうやら私は顔に出していたらしい。うーん、私もまだまだですね。

 

「そ、そんなことないですよ?むしろこういう準備は女の子同士やった方が楽しいじゃないですか!」

 

「棒読みで言われても説得力ないよ、いろは。ていうか目線がずっと一定方向見つめてるし」

 

む、碧ちゃん余計なこと言わないでいいんだからね?

というか私そんなに先輩のことみていたのだろうか。

 

「男の人たちがちゃんと準備してるか見張ってるだけだよー!」

 

「たちって言う割にはさっきからずっと比企谷先輩しか見てないんですけどねぇ」

 

確かに我ながらこの言い訳はどうかと思う。というか碧も私のこと観察しすぎだし!どんだけ私のこと好きなの?百合展開はないよ?諦めてね?

 

「いろはちゃんは本当にハッチーが好きなんだね」

 

「美智子さんもそう思いますよねー」

 

「ねー」

 

この二人は……。私の誕生日あたりから急に仲良くなってるんだよなぁ。いつの間にか名前で呼んでるし……

たまに二人で今みたいに私をからかってくる。本当いつの間に仲良くなったんだろう。

今日のバーベキューに碧を呼んだのも私への気遣いじゃなく、ただ単に金沢先輩が碧と遊びたかっただけなんじゃないかと思うレベル。

 

「もぅ……、無駄口叩いてないでさっさと準備終わらせちゃいましょうよ」

 

「「はーい」」

 

はぁ……、仲がよろしいことで。

お喋りをしていたせいかだいぶ作業が遅れていたようだ。男子たちの方の準備は終わったららしく先輩がこちらに向かってきた。

 

「俺ら終わったけどお前らまだ終わらないの?」

 

「もうすぐ終わりますよ!なんですか嫌味を言いに来たんですか?」

 

突然だったのでちょっと嫌な返ししちゃったな……

 

「はぁ……、嫌味の一つも言いたくなるだろ?お前らずっと喋ってて作業してなかったじゃん」

 

う……、バレてる。

 

「えー、ハッチーそんなに私たちのこと見てたの?私たちって言うかいろはちゃんのこと見てたのかな?」

 

「きっとそうですよー、ずっととか言っちゃってますし。あの言い方はずっとこっち見てないと言えませんもん」

 

今はこの二人が味方でよかったと思う。というか先輩ずっとこっち見てたんですか?誰見てたんですか私ですか流石にそんなに見られてたと思うと恥ずかしいんですけど。

そんなことを考えながら先輩の方を見ると若干頬を染めて頭を掻いている。

 

「ば、ばっかお前らがちゃんと準備してるか見張ってただけだよ」

 

なんかさっきも同じような台詞聞きましたねこれ。

金沢先輩と碧は爆笑してるし……。先輩も言い訳するならもうちょいマシな言い訳してくださいよね?

 

「あ、そうだ」

 

何があ、そうだなんですかね金沢先輩。変なことでも閃いちゃいました?却下ですそれ。

 

「もうこっちの作業終わるからさ、ハッチーといろはちゃん魚釣りに行った人たち呼んできてよ」

 

オーケー……、金沢先輩グッジョブ!その提案ナイスすぎますね。賛成、もちろんそれ賛成ですよ。疑ったりしてすいませんでした!

 

「わっかりましたー!それじゃあ先輩行きましょう!あ、ゆっくり向かいましょう急ぐ必要ないですし、せっかくの自然を満喫しながら歩きましょう!ほら先輩早く!遅いですよ!」

 

「ゆっくりなのか、早くなのかはっきりしてくれよ……」

 

口では行きたくなさそうにしているが私の歩くペースにしっかり合わせてくれる。こういうところがあざとい……、いや……、好き。

 

「せーんぱい、綺麗な景色ですね」

 

「ん……、まぁ都会にいたらあんまり見れないよな。こういう景色眺めながらマッ缶とか飲めたら最高だな」

 

「ふふっ……、そう言うと思って持ってきましたよ?」

 

いきなり私の肩に先輩が手をかける。

近い、近いです先輩!!自分から先輩にくっつくのは慣れてるけどいきなり先輩の方から近づかれると心の準備が……!

 

「でかした一色!!やっぱりこういう大自然で飲むならマッ缶一択だよな。一色もマッ缶の良さに気づき始めたか……。俺はうれしいよ」

 

なんだ……、マッ缶に興奮しただけですか。いや、知ってましたけどね?べ、別に勘違いなんてしてないんですからっ。

 

「あ、あのですねせんぱい、興奮しているところ悪いんですが近いです……」

 

「……っ。わ、わりぃ」

 

「い、いやせんぱいにそうされるのは嫌じゃないんですけどいきなりは心の準備ができてないわけであとこう人が多いところだとさすがの私も恥ずかしいのでもう少しムードのある場所で二人きりの時におもいっきり抱きしめてくださいお願いします」

 

「お、落ち着け、お前の言ってることめちゃくちゃ恥ずかしいことだから、しかもそれ断ってないし、なんか俺誘われてるし」

 

うわぁぁぁ!!!

何言っちゃってるんですか私馬鹿ですか死にたいんですかこんなん思いっきり告白してるようなもんじゃないですかまずいまずいまずいどうしようあわわわわ……

 

「せ、せんぱいがいきなり肩なんて掴むから思ってもいないことを言ってしまったんですあれは本心じゃないんでごめんなさい」

 

よ、よしこれでなんとか誤魔化せるでしょう、先輩ですし。

 

「お、おう。まぁあれだ。いこうぜ」

 

「は、はひ」

 

うん、噛んでしまった。動揺してますね、こんな私どうよう?

すいません今のなしでお願いします。

 

若干の気まずさのまま魚釣りに行った人たちと合流してみんなのいる場所に戻る。

 

「さぁ、じゃあみんなそろそろはじめましょ!」

 

金沢先輩の掛け声でバーベキューを始める私たち。ちなみにやっぱり最初の飲み物はみんなビールだ。

 

どんどん焼かれていく肉を男子たちは次々と奪いあっていく。やっぱりこのくらいの年齢の男子の食欲は凄まじいものがある。

先輩が美味しそうに食べてるのをみるとこっちまで幸せになってくるなぁ。

好きな人が美味しそうにご飯を食べているところを眺めてるのってなんかいいですよね。

 

「いろは、見すぎだよ」

 

ボソッと私の耳元で呟き、にやっとこちら窺う碧。

別にいいじゃん!先輩がいるからこのキャンプ参加したわけだし?

でもそうやって指摘されるのはやっぱり少し恥ずかしいわけで、ついつい反発したくなるよね。

 

「見てない、先輩なんてこれっぽっちも見てない」

 

「いや、私先輩のこと見てるなんて言ってないし。そっか、そっかどこ見てるのかな~、と思ったら比企谷先輩を見てたのかー」

 

なんか最近やたらからかってくるなーーー、ちょっとばかり悔しいんですけど。碧に好きな人できたら絶対からかってやる。私は堅く決意した。

まずは一発反撃してあげるとしよう。

 

「というか碧は私のこと見すぎだからねー?どんだけ私のこと好きなの?百合?百合なの!?私には先輩っていう心に決めた人がいるから無理だからね」

 

「な、なんでそれで百合になるの!?私はただ比企谷先輩を見てるいろはを観察するのが面白いだけだし!」

 

「へー」

 

「その返しされると何も言えないんですけど!?」

 

「ぷっ……、「あはは」」

 

なんだかんだ碧とのこんなやり取りも好きだ。これだけ私が自然に話せるのも先輩と碧くらいだし。

 

「……ありがとね」

 

「な、何いきなり!?なんか怖いんだけど」

 

「べつにー、ただなんとなく。それより私たちもお肉食べようよ、もうなくなっちゃうよ!」

 

さぁお肉争奪戦に私たちも参戦だ!

 

 

 

 

 

バーベキューを終えた私たちは今日泊まるコテージでのんびりしていた。

私はちょっとばかりお酒を飲みすぎたらしく気分が悪いなう……、

う~ん、もうちょっとお酒強くなりたいなぁ。

ベランダで風にあたっていると頬に冷たいものがあたりビクッとなる。

 

「ひゃぁっ!?」

 

「ビビりすぎだろ……、ほれ、水でも飲め」

 

本当こういうところ好きだ。いつもは離れようとするのにこういうときはしっかり傍にいてくれる。

こんなのずるいですよ、先輩。

 

「せんぱい……、いきなりそれは誰でもビビります。えと……、お水ありがとうございます」

 

んっ、と頷く先輩の手にはマッ缶。本当に好きなんですね。

 

「楽しかったですね、せんぱい」

 

「まぁ悪くはなかったな」

 

「本当素直じゃないですねー」

 

「素直な俺とかみたいの?」

 

うーん、それは見たいような見たくないような?

 

「まぁせんぱいはせんぱいですしね。私は来てよかったと思ってますよ……?」

 

「そうか、まぁあれだ……。俺も来てよかったよ」

 

あれ……?なんかいい雰囲気じゃないですかね?これ言っちゃう?いや待て私。雰囲気に飲まれちゃいけない。いやでもここで言わないでいつ言うの?

 

今でしょ!!

 

「……あの、せんぱ「いろはーーー!!キャンプファイヤーするよーー!!」

 

うん……、碧のバカアホドジマヌケ八幡。空気読んで!!

……いや、でも今言わないでもいいか。むしろ今は言うべきではなかったのかもしれない。碧ナイス。

 

「楽しそうーー!やろやろ!ほらせんぱいも行きますよ!」

 

「わかった、わかったから引っ張るな!つかお前さっき何言おうとしたんだ?」

 

「別に何でもないですよ!まぁそのうち必ず言いますのでそれまでは秘密です」

 

私は先輩の手を取りキャンプファイヤーをする場所に向かった。

 

 

 

 

キャンプファイヤーって私たちだけでやるんじゃないんだ……

最初に思ったのはそれだった。

私たちが碧の案内でキャンプファイヤーの場所に行くと大勢の人がそこにはいた。

どうやらここのキャンプ場でのイベントらしい。思った以上に規模が大きい。

家族連れやカップル、私たちのような大学生と思われる集まり、様々な人たちがキャンプファイヤーの周りを取り囲む。

 

「なんかすごいね……」

 

「うん……」

 

大学生二人の感想とは思えない。でもこの光景をなんかすごい以外で表せる気がしなかった。

しばらく先輩と碧、三人で眺めていると金沢先輩たちがやってきた。

 

「そろそろ戻ろっか。温泉あるらしいからいろはちゃん、碧ちゃんいこっ!」

 

「いきましょーっ!」

 

本当仲いいな二人。まぁ私も温泉には興味あるし付いていこう。

コテージに一旦戻り、着替えを取って温泉に向かう。

そういえば私って修学旅行以外でこういう旅行みたいなのってなかったなぁ。だからだろうか同級生の碧はともかく金沢先輩とお風呂とか少しだけ緊張する。

 

「いろはちゃん肌綺麗だねー。羨ましいなぁ」

 

「本当なんでこんなに綺麗なんですかねこの子。でも美智子さんも綺麗ですよ!」

 

いやいや、あなたたち二人も私から言わせれば全然綺麗だしね!?

大差ないんですけど?というか二人共私より大きい……。

 

「ぐぬぬぬ……」

 

「いろは、どったの?」

 

「言わないで……、私は負けたんだ……」

 

「「……?」」

 

いや、二人してそうやってキョトンとした顔でこっちを見ないで!一人で気にしてるの悲しくなるんで!私だって高校性の時に比べたらしっかり大きくなってるんだけどなぁ。

 

「先輩も大きい方が好きなのかなぁ」

 

「ハッチーはそんなの関係なしにいろはちゃんならいけると思うよ!」

 

しまった。思いっきり心の声が漏れていたようだ。というか金沢先輩完全に私の悩みが胸だって気づいてますよね?さっきのキョトンは確信犯ですよね?

 

「金沢先輩最近私のこといじりすぎですよーー!」

 

「いろはちゃん可愛いからついつい弄りたくなっちゃうんだ。ごめんねっ」

 

いつかこの先輩に仕返ししてやるんだと意気込む私だった。

 

露天風呂の温泉は都会の夜空とは違い星がよく見える。

こんな夜空を先輩と眺めたいと思っているとどうやらまた顔に出ていたらしく、二人がニヤニヤこちらを見ている。

 

「……また顔に出てました?」

 

「「バッチリ!」」

 

二人の息もバッチリだね!もうやだこの二人!!

そんなに温泉に浸かってたわけじゃないのに顔が火照って仕方ないので二人より先にあがることにした。

 

先に着替え、コテージに戻ろうとすると先輩がいた。

 

「ほれ」

 

マッ缶を投げてくる先輩。これ先輩が飲むために持ってたんじゃないのかな、なんて先輩の方を見ると手にはもう1本。この人一人で2本も飲む気だったんですかね。流石にそのうち病気になりそうなんで辞めた方がいいですよ。

 

「……頂きます。……やっぱり甘いですね。でも美味しいです」

 

「だろ?風呂上りのマッ缶は最高なんだよ」

 

ニッと笑顔で答える先輩に見惚れてしまった。

 

「せんぱい、笑顔に合似合わないです。キモイです」

 

「お前……、いきなりキモいとかひどくない?俺じゃなかったら泣いてるぞ?」

 

「キモイですけど……、嫌いじゃないですよ?」

 

「そういう台詞上目遣いでいうのやめような、あざとい」

 

ちっ、これもダメですか。本当どうやったらこの人落とせるんだろう。

 

「さて、戻ろうぜ……」

 

「そうですね~」

 

というか先輩何しにきたんだろ?男子の方ってこっちと別方向だし。先輩のことだから散歩でもしていたのだろうか。

そのまま二人共無言でコテージに戻る。コテージに着くまでやはり先輩は私の歩くペースに合わせてくれる。

私たちって周りからどう見えるんだろう?先輩後輩?カップル?

……カップルだったらいいなぁ。

 

コテージに戻った私は先輩と別れ自分の部屋に戻る。

ふかふかのベッドにダイブし、今日を振り返る。

なんだかんだ今日は楽しかったなー。明日は何するんだっけ……

そんなことを考えながら目を閉じると私は思考のスイッチを切って眠りについた。

 

 

 

 

 




最後まで読んでくださいありがとうございます!
最初5月ネタ全く思い浮かばなくて一気に8月まで進めてしまおうかと思ってました!
というかこの二人あれでまだ付き合ってないとか本当もうね、さっさと付き合えよっていうね。


それでは良かったら感想、評価等よろしくお願いします!

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