厄災の魔法師   作:無為の極

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第57話

 自室で転がった際に聞こえた通信音は緊急時の出動要請だった。軍属になった際に講習で聞いた音は、これまで一度も確認する事は無かった。

 緊急時の出動は基本的には戦時中以外に鳴るケースは殆どない。ましてや今の世界情勢を鑑みた際に、戦略級の魔法師を3人も抱えているこの国に攻め入る可能性は皆無だった。にも拘わらずエマージェンシーコールは止まる気配が無い。慌てて出動の為に外に出たリーナの視界に入ってきたのは、昨日まで見ていた景色とは大きくかけ離れていた。

 

 

「何よ。これ………」

 

 辛うじてリーナの口から出た言葉はこれだけだった。リーナは所属部隊と階級の性質上、基地の敷地内に住居を構えている。基地の敷地はかなり大きく、司令部と居住スペースは離れてはいたが、それでも視界には必ず入るはずだった。しかし、今見える光景には本来であれば有るはずの物が完全に消え去り、無いはずの物が周囲に点在していた。

 唐突に起こった事実に理解が追い付かない。破壊音すら無かった事が常軌を逸していた。状況確認の為に、リーナは一度、司令部へと通信を繋げていた。

 

 

「司令部。一体これはどうなってるの?」

 

《…リウス……現在、謎の攻撃………現時点で…………直ちに急行せよ》

 

 電磁波の影響を強く受けているのか通信にはノイズが走り、内容を確認する事が出来ない。既に建築物は破壊されているのか、ここから見える司令部でさえも半壊の様に見えていた。今のリーナに出来る事は司令部まで走る事だけだった。

 

 

「大佐。これは一体?」

 

「シリウス少佐か。現在我々は突如として襲撃されている。攻撃した物の確認はしているが、詳細については不明。宣戦布告も無い為に侵略行為では無い事だけが確認されている」

 

 リーナを出迎えたのは、通信端末を片手に指示を飛ばすバランスだった。万が一の為に司令部は地下シェルターに設置されている。既に画面に映る状況は事実上の壊滅に近い現実だけだった。各地の情報が次々と報告され、更新されていく。その都度あらゆる基地が壊滅状態へと追い込まれていた事実だけが存在していた。

 

 

「現時点で大統領令が発動された。十三使徒でもあるアンジーシリウス少佐には敵の索敵と同時に発見次第、殲滅を命ず」

 

 バランスの言葉にリーナは改めて敬礼をし、その命を受ける。既に画面上に移る軍事施設の半分は壊滅していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………貴様。今度は一体何をしたんだ!」

 

「お前の目は節穴か?俺は何もしていない」

 

 空港内の部屋では相変わらず蒼は椅子に座ったまま何もしていなかった。時間にしてどれ位が経過したのかは分からないが、先程とは打って変わって残酷とも取れる笑みを浮かべている。

 次々と情報が入るからなのか、アランの部下は聞こえる情報に顔を青くしていた。それが何を意味するのかを知っている蒼からすれば、実に愉快な状況になっていると考えていた。

 拘束まではしていないが、確かに蒼自身は何もしていない。問題なのはそれ以外だった。この部屋に居る人間は誰も気が付いていないが、部屋を中心に東西南北に炎が拡散するかの様に広がっている。元々今回の件で習得した騎士を全て解放しただけだった。制御しない騎士は次々と建物を破壊し、敵対する人間を殺害していく。

 

 基地内の部隊の人間も応戦するが、近代兵器は役に立つ事は微塵も無かった。弾丸は直前で炎によって蒸発し、逆に火炎を纏った馬が全てを踏み潰す。対空砲とも言える砲撃ですら直撃する事は無かった。大剣や鎌を一振りするだけで視界に映るすべての物が一瞬にして灰塵と化する。近代兵器が効かないと判断したのか、軍は戦闘魔法師が戦場に投入していた。しかし、そんな魔法師でさえも一瞬にして蒸発し部隊そのものが消滅していた。

 

 

「アラン准将。このままでは我が国は……壊滅します。既に大統領令が発動しています。一刻も早い収束をしなければ」

 

 情報官は現状をつぶさにアランに報告していた。事実上の宣戦布告をこの場でしてから時間にして約1時間。先ほどまでの愉悦に浸った姿は完全に失われていた。

 

 

「そうか。この国はもう終わるのか……だとすれば、俺の事は必要無いだろ?」

 

「待て。そうは行かん。貴様が何かをやったのは間違いない。このまま連邦軍事裁判にかけさせてもらおう」

 

「あ?お前の頭は大丈夫なのか?それはこの国があっての話だろ。壊滅する国にそんな事をする暇があるのか?」

 

 至極当然とも取れる蒼の言葉にそれ以上の反論の余地は無かった。仮に目の前の蒼が今回の首謀者だとした場合、これまでの事実を全て公表する必要があった。半ば言いがかりとも取れるやり方で拘束した事実を消す事は出来ない。仮にそれらを捏造した所で、蒼が言う様に裁判にかける時間は既に存在していなかった。

 戦禍は近隣だけに留まる事はなく、かなりの速度で北米大陸を席捲している。余りにも早すぎるそれは既にこれまでの常識さえも覆していた。それだけではない。いくら十三使徒とは言え、広域破壊魔法を繰り出す事は事実上不可能とも取れた。

 可能性があるとすれば日本の戦略級魔法師でもある五輪澪か、タイのソム・チャイ・ブンナークが該当するはずだった。しかしそれらの魔法師が動く可能性は皆無でしかなく、今出来る事は事実上何も無かった。

 刻一刻と告げられる事態の変化に情報官は既に気色を失っている。この国が開国してからこうまで厳しく攻められた事実は一度も無かったからなのか、想定外の事実に何もする事は出来ないでいた。

 

 

「仮にだ。俺がやったとここで言った所で、お前はどうやってこの場から去るつもりだ?まさかとは思うが、自分だけは生き延びる事が可能だと思っているのか?」

 

 蒼の言葉に、この場に居た全員の表情が一気に変貌していた。こうまで大規模な破壊活動が出来る人間が至近距離に居る。だとすれば今出来る事はこの男を一刻も早く抹殺するだけだった。複数の情報官と警備員を装った兵士が一斉に銃を向け、間髪入れずに発砲する。至近距離からの発砲はいかな魔法師と言えど防ぐ事は適わないはずだった。

 

 

「何だ?また豆鉄砲使ってるのか?随分と見くびられたものだ」

 

「ば、化け物が!」

 

 蒼に向けられた30発以上の9ミリパラべラムは届く事無く消滅していた。情報官は全ての弾丸を撃ち尽くしたからなのか、弾切れにも関わらず引鉄を引き続けている。そんなあり得ない状況を見たからなのか、向けられた殺意の籠った視線に意識を飛ばしていた。

 既に飽きたのかと取れる言い方に、周囲の人間は無意識の内に後退している。今出来るのは命乞いだけだった。

 

 

「許してくれ。そんなつもりは無かった。命だけは……」

 

「お前にそんな価値があるとは思ってもいない。俺の予定を狂わせた時点で結果は同じだ。このまま塵になれ」

 

 アランの体内から黒い炎が発火していた。既に飛び火しているのか、その場に居た情報官や兵士も完全に包まれている。既に部屋の鍵は意味を成して居なかったからなのか、そのまま蒼は部屋を出ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「状況はどうなっている?」

 

 司令部から指示を飛ばすバランスはこれまでに無い状況に苛立ちを覚えていた。既に軍の上層部の人間は自分の保身の為なのか、司令部から姿をくらまし更に深い場所にある緊急用のシェルターへと退避していた。この場に居る人間で事実上のトップが自分だけである以上、今の状況を立ち直らせる為に指示を飛ばす。しかし、肝心の敵影が何も無い以上、やれる事は限られていた。

 突如として起こった事実は直ぐにホワイトハウスにも伝えられている。しかし、情報が何もなく一方的な壊滅と言える被害状況は議会を開催する暇すら与えられていない。事実、議会の招集をする前に大統領発令と共に、今のUSNAは戦時中と同じ状況に陥っていた。

 

 

「何も変化はありません。引き続き索敵はしますが、こうまで一方的に攻撃を受けているにも関わらず何も見えないのであれば手の施しようがありません」

 

「我が国を攻撃するのはどこのどいつだ!」

 

 情報官の言葉にバランスは声を荒らげる事しか出来なかった。せめて敵国がどこなのかだけでも分かれば打開策の一つも浮かぶが、肝心の敵影はどこにも見えない。それどころか刻一刻と広がる戦禍にただ見ているだけしか出来なかった。

 

 

 

 

 

「まさかとは思うけど……」

 

 リーナの視界に飛び込んだ光景は限りなく偶然に過ぎなかった。視界に入ったのは鎧を着た騎士が大剣を横に薙ぐ事で建物が瞬時の崩壊する様だった。記憶が正しければあのパラサイトの任務の際に見た記憶がある物。余りにも生々しい記憶がリーナの奥底から引きずり出されていた。

 それが何を意味するのかを考える前にリーナは個人用の端末で、該当する人物に電話していた。電話口に出たのはつい先日食事を一緒にしたアヤだった。

 

 

《あれ。どうかしたの?》

 

「ごめんなさい。直ぐに蒼のナンバーを教えて」

 

《ナンバーって何をするつもりなの?》

 

「それは……多分、その内に分かると思う。色々言いたい事はあるけど、時間が無いの!」

 

 電話口で言っている事が如何に非常識な事なのかはリーナとて理解していた。先日の様な友好的な状況では無い事は確実に気が付いているのか、アヤの声は僅かに強張っていた。

 仮に推測通りだとすればアヤが答える必要性は何処にも無い。しかし、今はそんな事すら考える余裕が無かった。幾ら戦略級魔法師と言えど、神の御使いすら倒す物をたかが人間が倒せる道理は何処にも無い。今出来る事は自分が交渉して止める事だけだった。

 

 

《自分達が何をしたのか理解してるって事で良いの?》

 

「ええ。弁解すら出来ない事は理解してる」

 

《そう…………》

 

 沈黙だけが流れていた。時間にして恐らく1分にも満たないが、今のリーナには何時間にも感じていた。この言葉一つで母国の運命が決まる可能性を秘めている。今出来る事は懇願する事だけだった。

 

 

《分かった。リーナの番号を教えておくわ》

 

「ありがとうアヤ」

 

《でも、連絡があるかどうかは分からないわよ。大よそ何が起きてるのかは想像出来るから》

 

「……そう」

 

 アヤの言葉に平静を装いながらもリーナの背筋には冷たい物が流れていた。言葉通りであれば何が起きているのかを日本にいるはずのアヤが理解している事になる。通信が切れた今、既に一個人が何か出来る様な事態では無いが、今出来るのはそれこそ神に祈る事だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、結局の所どうしたいんだ?」

 

 リーナの祈りが通じたのか、あの後すぐに蒼から連絡が入っていた。元から隠すつもりも無ければ、あの時点でも似た様な宣言をされている。今のリーナに取ってこの交渉が母国の命運を握っていると感じていた。

 連絡が取れた時点でリーナは直ぐにバランスにこの状況と伝えている。当初は信用されないと思われていたが、当時の公表しなかったレポートの事を覚えていたからなのか、バランスは直ぐに自分を含めて部隊をその場所へと移動させていた。まだ戦禍を逃れたのか、誰も居ないカフェにリーナは待っている。既に部下を配置したのか、周囲一帯には軍の小隊が準備万端で待ち構えていた。

 

 

「今の状況を止めて欲しい」

 

「どうして俺に?」

 

「私は大剣を持った騎士が建物を破壊した場面を見た。あれは……パサライトの際に斬りつけたのと同じだった。だから……」

 

「だから、どうしたいんだ?」

 

 シラでも切るかの様な物言いに、リーナは事実上会談は破棄されたと同じだと感じていた。目の前に座る蒼は我関せずとばかりにただ座っている。このままの状態が続くのであれば恐らく然程時間がかからない内に母国がこの地球から消滅すると思い始めていた。

 

 

「あのな、いつからUSNAは交渉の場に小隊を配備して狙いを定める様になったんだ?俺は別にこの国がどうなろうと知った事でも無いし、今の状況なら後2日あれば、この国は事実上消滅するだろうな」

 

「え……」

 

 突きつけられた現実にリーナは絶句するしかなかった。既に軍の基地は事実上壊滅し、議会場だけでなく周囲の都市はおろかアラスカにまで戦禍が広がっている。大統領の非常事態宣言をしたことで避難する市民がはいるが、それでも驚愕の事実にリーナだけでなく、周囲に隠れていた部隊の人間でさえも驚いていた。

 

 

「そこに居る連中。出てこいよ。それとも嫌なのか?」

 

 既に探知されているのか、周囲の温度はゆっくりと上昇し始めていた。季節柄まだ寒いはずにも関わらず、この一帯だけは既に気温は20度を超えている。それがキッカケになったのか、リーナの下に短い通信が入っていた。

 

 

「分かった。直ぐに全員を出す。でも、攻撃はしないで」

 

「誰に物を言ってるつもりだ?これはあくまでも報復であって、宣戦布告したのは貴様達だ。勘違いするな。生殺与奪は俺が握ってる」

 

「それは………」

 

 既に破綻した交渉はこれ以上の進展を見せる事は無かった。隠れていたとしても今の状況では抹殺される未来しかなく、仮にこの場で蒼を殺害したとして、今の破壊活動が終了する可能性は誰にも分からない。蒼が言う生殺与奪はまさに残酷な事実を表してた。

 

 

「すまない。私はアンジーシリウスの上司でもあるヴァージニア・バランスだ。階級は大佐だが、実情は今回の指揮官だ」

 

 膠着した場に一人の女性の声が響く。お互いがその声に覚えがった。何故この場に居るのかリーナには理解出来ない。一方の蒼はどこかで聞き及んだ声に僅かに口元が歪んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「既に我が国の防衛はおろか、このままでは国そのものが無くなる。非礼は承知の上で止めて貰えないだろうか?」

 

 バランスとの交渉は1時間にも及んでいた。蒼から聞かされた言葉が事実であれば、報復攻撃であるのはある意味では仕方ないとまで考えていた。古来よりテロには屈しないのが世界共通の事実。しかし、今回のこれは既にテロなどと生易しい言葉では通用しない所にまで突入していた。

 事実、USNAが正体不明の攻撃を受け、壊滅に近い情報は世界中を駆け巡っている。唐突な攻撃から僅か数時間での今の有様は既に各国でも話題の中心となっていた。幾ら情報を統制しようが、周辺国は既にこの事実を確認している以上、手遅れでしかない。既にこの事実はホワイトハウスにも伝えられ議論が成されていた。

 

 

「今からどここう出来る範囲は通り過ぎている。言っておくが当事者のアランなら既にこの世には居ない。どうやって収束する宣言を出すつもりだ?」

 

 バランスの言葉に蒼は終始、酷薄な笑みを浮かべていた。既に興味がなくなっているだけでなく、殆どの仕込みは終わっている。

 事実上の破壊活動をしている騎士に指示を出すつもりは最初から無かった。来るべき為に自身の能力を高める為のエネルギーの収集。既に目的はそちらへと移行していた。

 

 

「確かに貴様達が考えるのは大変だろうな。まさか宣戦布告した相手からの報復の結果だとは言えんし、ましてやどこかの国が攻めてきた訳でも無いからな」

 

「既に我が国の威信は地の底にまで落ちている。弁解する余地があったとしても他の国は信用しないだろう。それに関しては一任させては貰えないだろうか?」

 

「では俺のメリットはどこにある?」

 

「今回の件は既にホワイトハウスはおろか連邦議会でも結論は出ている。全面的に降伏し、それに伴う戦闘はしない。それと今後、抗議及び賠償に関しても一切放棄する事になる」

 

 バランスの言葉にリーナは驚きのあまり目を見開いていた。声にこそ出さないが、事実上の全面降伏による敗北宣言。それが一個人の下でとなれば明らかに常軌を逸していた。

 バランスの口から出た言葉にリーナだけでなく、その場にいた兵士全員も同じ事だった。

 

 

「だとすれば、1時間だけやろう。書面交付が終わり次第、破壊活動を停止する事を約束しよう」

 

 蒼の提案はすぐさま議会とホワイトハウスにも伝えられていた。既に用意してあったからなのか、調印した書面交付は1時間を大幅に下回り30分程で終了していた。

 

 

「確かに。では()()()()()()()()は中止しよう」

 

 蒼の言葉と同時に周囲には4体の騎士が佇んでいた。人外の雰囲気を隠すつもりは微塵も無く、その姿を堂々と表している。以前に見たリーナでさえも当時の状況を思い出したのか、立っている事だけがやっとだった。

 今回の交付に伴う政府の人間は当時のリーナと同じ様な状況に陥っている。この時点で一個人の暴走の果ての結果とは言え、誰から攻撃されたのかを漸く理解していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「態々帰国の足まで用意するとは、随分と思い切ったもんだな」

 

「全面降伏した以上、手を出せないのも事実よ」

 

 空港すら破壊された現時点では、飛行機の着陸は軍用機のある場所しか無かった。既に民間機はおろか、戦闘機でさえもまともに飛ばす事が出来ない状況下での輸送機の使用は、ある意味では降伏の証でもあった。

 事実、ホワイトハウスからの宣言と同時に、すぐさま同盟国には援助の申請を出している。ここまで壊滅した国を占拠するのは赤子の手をひねるよりも簡単だった。既に南米の組織や他の国々は虎視眈々と本土に狙いを定めている。今回の件での死傷者はとてもじゃないが公表出来る様な数では無かった。

 魔法師の事実上の壊滅だけでなく、リーナ以外の戦略級魔法師でもあるエリオット・ミラーの戦死は既に秘密裡に処理されている。些細な野心の代償はあまりにも大きすぎていた。

 

 

「そうか。だが、言った事実に嘘はない。精々用心しておくんだな。()()()()()()()()()()()

 

「それって、どう言う事?」

 

「直ぐに分かる」

 

 余りにも含みを持たせた言い方に、流石にリーナも警戒していた。破壊活動は中止。この言葉に偽りは無いが、どこか引っかかる部分が多分にあった。既にフライトの準備が完了したのか、それ以上の会話をする事は既に出来なくなっている。今のリーナに出来る事は飛んでいく輸送機を見送る事だけだった。

 

 翌日には蒼の含みを持たせた言葉が現実となった。突如発生した伝染病による死者はUSNA全土に及んでいた。エボラ並の感染力をもち、発症から死に至るまでの所要時間は最大で12時間。分かっているのは空気感染する事実だけ。

 原因不明の病気に関する治療や特効薬は開発する間もなく死んでいく。その結果、全人口はピーク時に比べ約2割にまで落ち込んでいた。

 

 

 


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