高二病でも恋がしたい   作:公ノ入

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第十五話

 

 

佐藤・鈴木「「…………」」ポカーン

 

八幡「くそ……首マジいてぇ……。ていうか、アンタ等もあんま図書室で騒ぐ――」

 

 

 

鈴木「ま、まさか――」

 

佐藤「モリサマの言ってた不死者がホントに居たなんて!?」

 

 

 

八幡「…………え?」

 

モリサマー(あ、固まった)

 

 

 

鈴木「ちょ、どうすんのよどうすんのよモリサマー!? アンタが呼び出したんでしょ!」ユサユサユサ!

 

佐藤「ヒィィイ!? こ、こっち見てるぅう! すいませんすいません成仏してください成仏してください」ユサユサユサユサ!

 

モリサマー「いやあのそこまで本気で信じられるとさすがにどう対処していいか困るっていうかあぁぁゆらさないでえぇぇ……」ガックンガックン

 

 

 

八幡「なんかもう……どうでもいいや……」ドンヨリ…

 

モリサマー(なんか超凹んでる)

 

八幡「あと十分で図書室閉めるから……それまでに出てってくれ……」トボトボ…

 

 

鈴木「あ……」

 

佐藤「立ち去った……」

 

 

 

…………………………

 

…………

 

 

 

 

勇太「ていうか、亀はいつ出てくるんだ……?」

 

留美「この後しばらく、鶴たち3人のアッパラパーな日々が続きますけど」

 

雪乃「カットで」

 

 

 にべもなく斬り捨てた雪ノ下の言葉に、ルミルミがショボンとした視線を向けた。

 

 実はお気に入りだったのかよその話。

 

 いやまぁ、面白いと思うよ確かに。

 

 VIPに『ウチの神社の伝承がカオス過ぎる件』とかスレ立てして連載すれば割と人気出るんじゃないかなっ。

 

 

留美「じゃあ、亀が関わってくるところからにします……」

 

 

 

     ▽

 

 

 

X月X日

 

 今日なんか妙な奴を見かけた。

 サイズの合わないでっかい毛皮を被った奴で、顔に泥で変な化粧をしていた。

 ウチの麓にある池のすぐそばに住んでるっぽいのだが、今まで見たことがなかった顔だ。

 ネネに聞いてみると、普段ずっと山に篭って猟をしている変人らしい。

 亀とか何とか呼ばれているが、詳しいことは知らないとのこと。何か知らんけど妙にネネがビビッていた。

 まぁいい、他の村人たちはほぼ私の信者になったし、次のターゲットは奴にしよう。

 

 

 

X月X日

 

 なにあぃつあたくしさまのことはなでわらぃやがったんですけどちょぉむかつくんですけどぉー。

 

 ……まぁいい。明日もうちょい本気出す。

 

 

 

 

X月X日

 

 ………………次ぎ会ったら亀殴る。

 

 

 

 

X月X日

 

 かめころす

 

 

 

 

X月X日

 

 か、かめっ、がっ、かかがめがか――ッかめぇぇぇええええええええええええええええ!!!!!!!

 

 

 

     ▽

 

 

 

八幡「亀と何があったんだよ」

 

勇太「軽い錯乱が見受けられるな……」

 

いろは「錯乱って言うか、病んでません?」

 

留美「この辺りから暫く、殴り書きのこんな文章ばかり続きます」

 

雪乃「資料にならないわね……」

 

 

 雪ノ下さんお決まりのこめかみを押さえるポーズ出ましたー。

 

 

留美「詳細は分かりませんけど、大雑把な出来事なら分かる資料はありますよ」

 

 

 雪ノ下の指摘を予想していたのだろう。

 そう言ってルミルミは、鞄から新たなクリアファイルを一つ取り出した。

 

 

雪乃「それは?」

 

留美「鶴が書いていた『絶対に許さない目録』です。書かれている九割は亀の事ですけど」

 

結衣「鶴って千年以上昔の人なんだよね!?」

 

留美「まぁ、時代を先取り? 的な感じじゃないかと」

 

八幡「いや先取りにも程があんだろ……。一種の文学的なオーパーツなんじゃねぇのこれ……」

 

六花「オーパーツ!?」ガタッ

 

七宮「ムー大陸の遺産!?」ガタタッ

 

八幡「うお!?」

 

 

 急に身を乗り出してくんじゃねぇよ、ビックリしちゃうだろ。

 

 

勇太「ええい、いちいち反応するんじゃありません!」

 

六花「しかし、オーパーツの危険性は勇太も熟知しているはず!!」

 

七宮「そうだよ! もしかしたらアーカム財団が介入してくる恐れも――」

 

八幡「スプリガンより先に、目の前の脅威を認識するべきだと思うがな……」チラッ

 

 

雪乃「……」ニッコリ

 

 

六花「お、おう……」

 

七宮「き、今日のところは、この位にしておこうか……」

 

勇太(この二人が、こんなにすぐ大人しくなるなんて……)ジーン…

 

 

 

 

結衣「ねぇいろはちゃん。今の会話、意味わかる……?」

 

いろは「いえ全然ー……。何時もならまた先輩の妄言かって聞き流すんですけどー……」

 

丹生谷「オーパーツっていうのは『場違いな工芸品』って意味よ」

 

 

結衣・いろは「「へ?」」

 

 

丹生谷「より詳しく言うなら、『当時の文明、技術では製造不可能』とされる発掘品の事ね。スプリガンは財宝の番人である妖精の事だから関わりは分るけど、アーカム財団って何かしら? クトゥルフ神話によく出てくるアーカムって架空都市はあるけど、財団ではないし……」ペラペラペラ

 

 

結衣・いろは「「…………」」ポカーン

 

 

丹生谷「漫画か何かのネタかしr――って、は!? あ、いや、今のはその……ちがくて……」ワタワタ

 

結衣「ほへー……丹生谷さんって物知りなんだねー」

 

丹生谷「え……?」

 

くみん「うんそーなのー。モリサマちゃんってば、いろんな事知ってるんだよー」ポヤヤ~ン

 

丹生谷「あは、あははは……。まあ、ね……(死にたい……)」

 

いろは「…………(この人って、実はあっち側の人間なんじゃ……)」

 

 

 

 

留美「取り敢えず、絶許目録読んでいいですか?」

 

雪乃「そうね……一先ず聞いてみましょう」

 

誠「つーか内容が気になって聞かずにはいらんねッス!」

 

八幡(いつの間にか一色いとこが、雪ノ下に対して下っ端敬語使うようになってやがる……)

 

 

 

     ▽

 

 

 

X月X日 亀

 私が声をかけてやったのに鼻で笑いやがった。絶対に許さない。

 

 

X月X日 亀

 近づいたら犬をけしかけられた。めっちゃ吠えられて怖かった。絶対に許さない。

 

 

X月X日 亀

 後ろから飛び蹴り食らわせようとしたら避けられてケツから落ちた。泣きそうになった。絶対に許さない。

 

 

X月X日 亀

 村を歩いていたら会うやつら全員に「お尻大丈夫ですか?」と声をかけられた。こないだの事が何故か村全体に知れ渡っていた。絶対に許さない。

 

 

X月X日 亀

 夜中に亀んちの庭先で人一人がすっぽり収まるくらいの穴を掘っていたら、いきなり後ろから突き落とされた。私はまだ何もしていなかったのに。絶対に許さない。

 

 

X月X日 亀

 すっぴんを見られた。絶対に許さない。

 

 

X月X日 亀

 アイツのお陰で足を怪我して山で遭難しかけた。オマケに私を「重い」等とのたまいやがった。絶対に許さない。

 

 

X月X日 亀

 試しにちょっと弓を引かせてもらったらオッパイに弦があたって死ぬほど痛かった。アイツ爆笑してやがるし。絶対に許さない。

 

 

X月X日 亀

 鹿肉の最後の一切れを食べやがった! 絶対に許さない!! 絶対にだ!!

 

 

X月X日 亀

 生まれてはじめて作った私の手料理を不味いと言いやがった。絶対に許さ――

 

 

 

 

 

六花「はいストップ。コレちょっとストップ」

 

 

 唐突に制止の声を上げた眼帯娘に、全員がどこと無くウンザリとした色を含んだ眼差しを向けた。

 とは言え、別に彼女自身を鬱陶しいと思ってのことではない。いや、実際問題としてこいつの普段の言動はすこぶる鬱陶しいのだが、今全員が辟易しているのは別のことに対してであろう。

 

 

六花「アイス・エンプレス議長。発言を許可していただきたい」

 

雪乃「私はそんなけったいな名前ではないし、言いたいことも正直予想はつくのだけれど。まぁいいでしょう、言ってみなさい」

 

 

 そんなセリフを吐く雪ノ下にしても女帝的な高飛車度がなんかいつもの三割増し(八幡調べ)であり、実はコイツ眼帯娘共に影響されてきているんじゃなかろうかという思いが拭えないものの、それも今この場で論じるべき事ではないだろう。

 

 今重要なのはただひとつ。この場にいる全員が共通して抱いている唯一の思い。つまりは――

 

 

六花「…………これ、後半から単なる惚気じゃねーか!!」

 

結衣「あ、やっぱり!? やっぱりそうだよねコレ!!」

 

丹生谷「聞いててなんかイライラするんだけど……」

 

いろは「これ絶対山でなんかあったんですよね? パターン過ぎません?」

 

くみん「私知ってるよぉー。こういうの、『つんでれ』さんっていうんだよねー?」

 

 

 源氏物語(ハーレムラブコメ)どころかツンデレまで生まれてたとか、平安時代始まりすぎだろJK……。

 

 

 





はいストック付きました。

ただまぁ、最新話は現状七割がた書きあがっていて、どうしても書けずにずっと詰まっていた部分を昨日どうにか越えられたので、明日最後の日刊更新にはなんとか間に合うかなぁ、という状況です。

間に合わなかったらごめんなさい……。


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