月に吼える   作:maisen

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第二十九話。

「分割式・メタソウルに・登録・されている・特殊項目・個体・確認」

 

 彼女の周りは薄く、冷たい空気が渦を巻いている。眼下に見下ろす地上よりもはるかに厳しい環境に居るにもかかわらず、その小さな影は揺るぎもせず静かに存在している。

 

「マザー・ソウル・休眠中。ドクター・カオスとの連絡・現行の・禁則事項に・抵触」

 

 高く、高く。遠い夜空の中。

 

「自立判断に・基づく・行動演算・終了。音響・霊波・光学迷彩・多重起動」

 

 その少女は、空に浮かんでいた。

 

「潜入・開始」

 

 額に、θの文字を刻んだ、ツインテールの小さなマリアの型代は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すかー。すぴー。すかー」

 

「・・・この状況下で眠れるっていうのは、やっぱり馬鹿だと思うんだけどねぇ」

 

 忠夫とメドーサの姿は、1時間ほど前まで闘っていた屋敷の地下にあった。半人狼の青年はその体の殆どが高さ2M、縦横幅1Mほどの、直方体の中にあった。はみ出ているのは首から先の頭部と、両手首から先だけである。

 

 そして、彼は熟睡ぶっこいていた。

 

 

「ほら、おきなッ!」

 

 眠る忠夫の顎を真下から槍の柄で跳ねあげる。中々の速度で振われたそれは、並の人間ならば暫くは流動食しか食べられなくなる程度の威力はあった筈である。

 

「あだっ! って何だ?! 金縛りか?!・・・あー。夢であって欲しかったっ!」

 

 

 が、半人狼の青年は、まるで眠っている時に叩き起されただけの様な雰囲気で覚醒し、メドーサをみて非常に残念そうな表情を見せた。そんな忠夫に嗜虐的な笑みを浮かべて槍の柄でもう一撃かますメドーサ。

 

「現実逃避も程々にしな。さて、用件は分かってるね?」

 

「・・・すかー。すぴー」

 

「永眠したいかい?」

 

「嫌じゃぁぁぁっ!!」

 

「んじゃとっとと囀りな。あんたらのお仲間の事を、ね」

 

 そう言って忠夫の首に槍の穂先を押し当てる。

 

「・・・いやー。それがね?」

 

「ふん?」

 

「お腹が減って・・・もう死にそ。なんか食べる物くだせぇぇぇ・・・」

 

 メドーサは、土角結界に見える筈の無い忠夫の腹の虫の鳴き声を聞いたような気がした。

 

 

「ま、あの性悪の蛇女のことだから、絶対に出入り口は2つ以上確保してると思ってたけど」

 

「意外な盲点でしたね。まさか地下鉄の中に作るなんて・・・」

 

 こちらは美神たちの本隊。彼女達は今、香港島の地下にある、ある地下鉄の路線上にいた。

 

「・・・それにしても、この都市って」

 

「ほんとーに変な奴らばっかりだな。まさか、一件目の情報屋であっさり見つかるか普通」

 

「というか、分かっててほっといた節があるのよね・・・」

 

 

 彼女達がこの地点をピンポイントで見つけられたのには訳がある。

 

魔都、香港。そこは表を歩けば観光都市としても充分以上に魅力的な町並みが広がっている。が、

 

 

 一皮剥けば、其処にはまさに魔都の名に違わぬ泥濘の様な人の業が其処彼処に見られるのである。例えば、面倒な魔族を片付けられそうな有名なGSに、情報を与えるだけで自分の懐を一切痛ませる事無く自分にとってもやましい相手を処理する、とか。

 

 

「ま、優秀な風水師を簡単に見つけるっていうのも、楽じゃないでしょうし・・・黒幕は誰か知らないけど、私達を利用したんでしょ、あの情報屋を使って」

 

「・・・まさか、メドーサに風水師の情報を流した奴らが?!」

 

「推測に過ぎないけど、ね。裏でごたごたがあれば、それなりにあっちの世界も顔くらい出すでしょう」

 

 風水師、という存在は、この都市では以外にポピュラーなものである。その裏表を問わず。そして裏に存在する者達には、確固とした原則がある。味方じゃない者は、敵か、利用できる敵であるという。

 

 今回の騒ぎで消えた風水師たち。その動きを追ってみれば、ある程度共通項が見つかるのかもしれないが・・・それは彼女達の仕事ではない。

 

「ま、良いわ。誰だか知らないけどWin-Winって事にしてあげる。誰に喧嘩売ったか教えてあげるわ、メドーサ」

 

「此処は一つ派手に行ってみましょうかね」

 

「おっしゃぁぁぁっ!!」

 

「横島さん・・・待っていてください!」

 

「どうか、無事で帰ってきてくださいね・・・」

 

手を振るおキヌを背後に残し、美神、ピート、勘九郎、雪之丞――突入。

 

 

「ほら、さっさと「と、届かん!とどかんぞぉぉっ!」・・・なんて世話の焼ける情報源だい・・・」

 

 忠夫の前に突き出されたのは、いかにも保存食というかったそうな乾し肉と濁った水。それでも、貪るようにどんどんと食べていく。

 

「へったくそな乾し方だっ!」

 

 干し肉の匂いを嗅いでは文句を言い。

 

「お肉に対する敬いの気持ちが感じられんなっ!」

 

 ガリガリと音を立てて堅い肉をかみ砕いては文句を言い。

 

「ぷはっ! せめて井戸水がよかったー!」

 

 そして一気にぬるい水を飲んでは文句を言う。

 

「黙って食べろ・・・頼むから」

 

「ごっつぉーさん」

 

 が、だからと言って食べない事には戦にならんのである。

 

「早ッ?!」

 

この緊張感の無い雰囲気だけでもどうにかならないものか、とメドーサは心底思った。

 

 

「・・・で?」

 

「うむ。乾し肉は天日干しか薫製にした方が良いと」

 

 呆れも度を過ぎれば苛立ちに変わるのか、最早無言で脅しの槍を喉元に当てるメドーサに、忠夫は流石に潮時を感じてか早々に少しだけ動く両手を上げて降参した。

 

「・・・で?」

 

「えーと。なにが聞きたいんでございましょうか?」

 

 あくまでも韜晦する忠夫に、とうとう業を煮やしたか。メドーサの額にはでっかい井桁。

 

「とりあえず、そっちの戦力だね・・・誰が来てるんだい?」

 

「はいっ! 美神さんとピートと勘九郎と雪之丞でっす!」

 

「・・・ふん。やはりそちら側についたか」

 

 そう呟くメドーサの目には、憎々しげな光。

 

「もういつ後ろから俺の貞操が襲われるかと、怖くて怖くて・・・視姦?」

 

 苛立ち紛れの一撃を位、流石に目の中に火花が飛び散る忠夫である。余計な事を言わなければと思うが、少しでも思考が削がれればいいな、とも思いつつちょっと痛みに腰が引けたのであった。

 

「ようするに、いつも通りだったわけだね?」

 

「あ、あれがいつも通りっていうのも嫌だなぁ」

 

 メドーサは、忠夫に一撃くれたあと、顎に手をやってしばらく考え込む。そして、その視線を、す、と上げると

 

「・・・忠夫、とか言ったね」

 

 これまでの嘲りや苛立ち、嗜虐的な表情では無く、真剣な表情でへらへらと笑う忠夫と視線を合わせた。

 

「はいっす!」

 

「あんた、こっち側につく気は無いかい?」

 

「―――へ?」

 

 忠夫を引き込みむ。全く考えてもいなかったその提案に、思わず素の表情を見せる半人狼。

 

「少々力不足とはいえ、あたしとかなり良い所まで争ったその戦闘能力。人狼とか言ったね?  その鋭敏な感覚、おそらく、偵察に出たのは適役だったからだろう?」

 

「え、あの、その、ちょっと」

 

「あんたの力があれば、かなり楽になる事は間違いない。どうだい? こっち側につかないかい?」

 

 メドーサの表情に嘘は無い。真剣な、本気で言っていると言う事が分かる表情が浮かんでいる。

 

「報酬は望みのまま、だよ。やりにくいって言うんなら、今回は参加しなくてもいい。原始風水盤も、どうやらあの方にとっては余り重要な物ではないみたいだしねぇ」

 

「ってーと?」

 

「…ふん。いくら地脈を操れるからって言ったって、あれ一つで人界全てを魔界に置き換えることなんて不可能さ」

 

 

 原始風水盤。地脈を操り、世界を滅ぼす事さえ可能なその力。では、メドーサ達にとって、その使い道はなんなのであろうか。 

 たとえば、メドーサ本人が言ったように、人界を魔界に置き換える?

 

 不可能ではないが、その場合完璧に神界の干渉を受けるだろう。原始風水盤の製作、操作が魔界の住人にできて、おそらくタッグを組むであろう人界、神界の技術集団にできない、ということは考えにくい。其処までの技術格差があれば、とうに魔界の勝利でこの世界は幕を下ろしていただろうから。と、なれば後は単純な陣取り合戦になるだけだ。時間と労力が大量に必要な消耗戦の様相を呈してくるだろう。

 

 世界を滅ぼす?――それこそ、何のメリットにもならない。彼らは、世界を滅ぼす事が目的ではない。彼らの目的の為にも、今はまだ世界に滅びてもらっては困るのだから。

 

 神界への交渉のカード?――これも少し弱い。彼らにも扱える可能性のある技術など、それこそ睨み合いで終わるだけの公算が高い。本当にそうしたいのなら、世界のありとあらゆる地脈のツボに、全く同時に発動できる下準備をしておく位のことは必要だ。

 

 

「・・・んじゃなんだってこんな大掛かりな事を」

 

「さて、ね。その大掛かりな事に使う駒があたしと陰念――ま、実質あたしだけって言う時点で、既にこの作戦の重要度がわかるってもんさ」

 

「そりゃそうだ。もっと大規模に戦力を使うならともかく、こんな一発でその発動が知れるもんじゃなぁ。テストにしたって効率悪すぎるし、準備にかかる手間と被害が大き過ぎて知ってる奴なら風水盤の事にもすぐ気付く。となれば当然妨害も入るだろうし。――むしろ、あんた捨て駒扱いされて無いか?」

 

「いいねぇ。察しも悪くない。やっぱり、あんたが欲しくなってきたよ」

 

「ええと、求婚でしょうか?」

 

「ふん、十年早い。がきんちょが」

 

「ひでぇ・・・」

 

 地面に唾を吐き全くもってくだらない事を聞いた、とばかりに耳をほじるメドーサ。その余りのそっけなさというか興味の無さに、忠夫は捕まってから最も大きな精神的なダメージを受けた気がした。

 

「で、どうだい?戦力があたしひとりでも、やりようによっちゃあ、あいつらなんぞ簡単に捻り潰せるよ」

 

 そう言い、メドーサは唇を歪ませる。

 

 

「ま、そりゃそうだろうけど・・・残念ながら、今回のお誘いは断る」

 

「・・・ほう」

 

「これでも狼なもんで。仲間は裏切れないなぁ」

 

 断りの言葉を聞いた瞬間に、その手に魔力を纏わせたメドーサだったが、次の言葉でその魔力を放散させる。

 

「・・・そういう奴こそが、欲しいんだよ。絶対に裏切らない、忠実な部下が、ね」

 

 

「仲間、の間違いだろ?」

 

「っ!」

 

 忠夫の言葉に、メドーサの方が一瞬跳ねた。それを見取って忠夫はさらに言葉を重ねて行く。

 

「なぁ、お前こそこっちに来ないか?」

 

「くだらん戯言を抜かすな!」

 

「いやいや、マジで。うちの里ならけっこー簡単に受け入れてくれると思うぞ? 美人だし、乳でかいし」

 

 

 忠夫の思いがけない言葉に動揺してしまうメドーサ。何故動揺したか、など、本人には分からない。

 

「あそこはいいぞー。皆馬鹿ばっかりだから、少なくとも退屈はしないし。一緒になって馬鹿騒ぎやるのも悪くない。満月の夜には皆で酒盛りしたりとかな」

 

「ふんっ!魔族を受け入れる存在など、いるわけが無いだろうが!」

 

 

「なら、俺と一緒に酒でも飲もう。そんで一緒に馬鹿騒ぎしよう。・・・仲間にならんか?」

 

 忠夫はあくまでも真剣に、メドーサに語りかける。

 

「…ふっざけるなぁぁぁっ!」

 

 何故、こんなにも怒りが湧いてくるのか。なぜ、ほんの一瞬でももしかしてと思ってしったのか。

 

 

何故、一瞬でも――そんな光景の中にある自分を想像してしまったのか。

 

 

「もういい。分かった。それなら、お前の意思など必要ない」

 

「あ、やばいかも」

 

 瞳に怒りを灯し、だが表情からは完全に感情が抜け落ちたメドーサは、静かに槍を振り上げると、今度こそ全力で忠夫の後頭部に振り下ろす。

 

「あ・・・がっ」

 

 打ち下ろされた槍は、忠夫の意識を刈り取った。

 

「貴様の存在ごと、あたしの眷属にしてやる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐるぉぉぉおおおおっ!!!」

 

「門番にケルベロスとは、中々洒落の聞いてることっ!」

 

 そう言って巨大な犬型の石像の噛みつきをバックステップでかわす美神。その下りた頭に向かい雪ノ丞が霊力を収束し打ち込むが、それはまるで弾かれるように周辺に散らばり、全く痛痒を感じていない様子の石像は再び身を沈め、飛びかかる。

 

「ちっくしょー!表面に妙なコーティングがしてあるせいで、霊的ダメージが反射されてやがるっ」

 

「魔装術でも駄目だなんて・・・メドーサは、私たちのことも予想済みってわけ?!」

 

 忠夫達よりさらに地下深く。美神たちは結構なピンチであった。

 

「こんのっ!こうなりゃピート!あんたの出番よっ!」

 

「嫌な予感がしますがっ?!」

 

「大当たり!霧になってあいつの腹の中潜り込みなさい!」

 

 ピートに向かって叫びながらもケルベロスの体当たりを危うい所で避ける美神と勘九郎。

 

「そんな一昔前の怪獣映画みたいな?!」

 

「いいからとっとと行け弟弟子!」

 

 言われても突っ込んで行く所かむしろ腰が引けたピートの背後に回った美神は、迷わずその尻を後ろから蹴り飛ばした。

 

「よかったわねー! 見せ場よ見せ場!」

 

「羨ましいなーっ! だから早いとこやれぇぇぇっ!!」

 

「がぁぁぁぁっ!!」

 

 雪ノ丞と勘九郎が前衛で堪えていたラインをぶち破り、ケルベロスは一声上げると、二人の後ろですっ転んでいたピートに向かって再び突っ込んでくる。

 

「こ、こんな姉弟子は嫌だぁぁぁっ!!」

 

 マジ泣きの入った半吸血鬼はそれでも噛みつかれるその直前にその体を霧に変え、大きく開いたケルベロスの口の隙間から潜り込む事に成功した。

 

「がっ?!がぁぁぁぁぁっ・・・」

 

 直後、悶えるように丸まり横倒しになる石像であったが、しばらく宙を掻くように動いていた脚もやがて動きを止め、その活動を停止させる。

 

「あら、ほんとに上手く行ったわね」

 

「火でも吐いてきたらどうしようかと思ってたけど、良かったわねピート♪」

 

「さすが俺のライバルだぜっ!」

 

 そんな歓声を聞きながら石像の牙の隙間から這い出してきたピートは、何処か荒んだ目でそんな3人を下から睨みつけた。

 

「えーえーもうなんでも良いですから、とっとと先行きましょう」

 

 姉弟子を取ったのは、自分の師匠。諦めた方が精神衛生上良いであろうとは思う物の、何処か納得のいかなさを感じる弟弟子であった。

 

 

 

 

 

 

「犬飼忠夫・確認。周辺に・敵性存在・確認できず。迷彩・解除」

 

 其処は、先ほどまで忠夫とメドーサがいた空間。忠夫の動きを止めていた土角結界は今は無く、何処から運んできたやら古びたパイプベッドに埃っぽいマット、薄い毛布。そういった物の上に忠夫が気絶していた。

 

 先ほどのθの文字を額に刻んだマリア(小)は、迷彩を解くとその傍らに歩み寄る。

 

「――――」

 

「くかー。すぴー」

 

 訂正。気絶どころか大口をあけて馬鹿が一匹寝ていた。

 

「――――」

 

・・・ぽっ

 

「んー」

 

「――これより・防衛任務に・つきます。これは・最優先事項・です」

 

 少女は、何故か言い訳するように無表情にそう囁いた後、ほんの少しだけ嬉しそうな表情を見せて忠夫の傍らに潜り込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『起きろ、小僧』

 

「うおっ?!」

 

 其処は、真っ暗だった。

 

『全く。無様にも程がある』

 

「えーと、あれ?」

 

 しかし、自分の姿は見えるし――

 

『最も通る確率の高い所に罠を仕掛けるのは当然だろうが』

 

「げっ! 影法師っ!」

 

――忠夫の正面に立つ、いつぞやの影法師も良く見える。

 

『挙句の果てに、こんな物まで此処に入れよって・・・』

 

 影法師の手の中で暴れているのは、メドーサの眷属、ビッグイーター。まるで釣り上げた魚のよう跳ねるそれをあっさりと片手で動きを封じている姿に、そこはかとない慣れを感じるのは何故だろうか。

 

「げ。そんなもんどうやって・・・」

 

『まぁ気絶しておったし覚えておらぬだろう。中々大胆な接吻であったぞ?』

 

「まじかっ?!」

 

『うおっ!?』

 

 その一言で、一瞬で影法師との距離を詰める。

 

「手前っ!なんで起こさなかったんじゃぁぁぁぁっ!!」

 

『知るか。全く・・・不味そうだが、質は良い、か』

 

 そう言って影法師は手に持ったビッグイーターを真上に放り投げると、その口を大きく開き。

 

「げ」

 

『ふん。腹の足しにはなるか』

 

「そんなもん食べんなよ・・・」

 

 上から落ちてきたビッグイーターを一飲みにしてしまった。その光景を見て流石にげんなりとする忠夫。

 

『心配するな。しっかりとお前の血肉にもなる』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――そんなもの勝手に俺の血肉にすんなぁぁぁっ!!!」

 

 布団の上で跳ね起きる忠夫。絶叫交じりの悲鳴は、しょうがないとも言えるだろう。同時に何かが落ちたような音も聞こえたが、

 

「ん?」

 

辺りには忠夫以外の人影は無い。周囲を見回し、自分の体を探り、そして自分がなぜここに居るのかにようやく思考が至る。

 

「あれ?えっと…やべぇっ?!」

 

 状況把握に数秒費やした忠夫は、ベッドから飛び降りると走り出した。

 

「美神さん美神さん美神さんあとその他―――!!」

 

 その他が聞いたら殴られるであろう台詞を大声で吐きながら。

 

 

「め・迷彩起動・確認。ぎりぎり・セーフ」

 

小さい影は、それでどうやって護衛するつもりだったのだろうか。

 




明日は自宅に帰れない為お休みです。

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