乙女はアイドルになる   作:s.s.t

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サブタイがもうネタ切れしそう。第一って言ってるけど3人出ます。


第一アイドル発見

武Pさんと再会してから1週間。

あれからもちょくちょく社食で会うので、その度に雑談しながら一緒に食事している。

 

たいていは俺がレッスンの愚痴を言って面倒臭いってぼやいてるだけなんだけど、武Pさんは首に手をやりながらいつも俺を励ましてくれる。

正直この体たらくで武Pさんに好かれてる自信はないけど、俺からあの人への好感度は相変わらずの天井知らずである。

なんかもう武Pさんの包容力がやばい。あの人が奥さんだったら俺みたいなダメ男でも家庭を支えるために頑張れる気がする。

女装した俺が屈強な肉体を持つ武Pさんを嫁にしたいって、これもうわかんねえな(錯乱)

 

 

そんなお嫁さんにしたいプロデューサーランキング第1位(俺調べ)の内助の功もあってかなんとか俺の女らしさは最低水準に達したらしく、今日から事務所内の他アイドルと一緒にレッスンを受けることになった。

 

Pさん? あいつは鬼。

いたいけな働きたくない男子をむりやり働かせる畜生だ。

就職決まったのはいいけど卒業前から働いてるってどうなのこれ?

アイドルだから関係なし? そうかもしれんけど大学行かなくていいからって普通に毎日働かされるんだぜ?

 

ファッキューピーサン。語呂悪いな。

 

働きたくないのは俺が悪い?

自覚してるけど心の中で誰かのせいにするぐらいええやん? そんくらいは許してよ。

 

 

つーわけでやってきました3Fの第1レッスン室。

とりあえず今日は俺が馴染みやすいように、同じクール所属で比較的新人の子たちと一緒にしてくれたらしい。

まあ新人って言っても俺がぶっちぎりで新人だからね。

少なくとも半年ぐらいはキャリアの差があるんじゃないかな。

さーてどんな人がいるかなー。

 

 

「こんにちわ。これからレッスンを一緒に受けます小鳥遊有です。今日はよろしくお願いします」

「ふーん、あんたが例の新人? まあ、悪くはないかな……」

 

 

えまーじぇんしー! えまーじぇんしー!

前方に敵性アイドルが現れました!

 

ていうかこの子渋谷凛じゃん。

杏ちゃんがデビューしたCP(シンデレラプロジェクト)のメンバーだったから知ってるよ。

 

悪くないって言ってるわりに滅茶苦茶にらんでくるよー。

せっかく俺の方はPさんに叩き込まれた「淑女っぽい口調」を駆使した乙女モードで友好的にいこうとしたのにさー。

 

なんなんこれ? こわい(直球)

 

いやあれだから。年下の子の目力に屈服しそうなほど恐怖を感じてるのはぼっちが視線に弱いせいだから。

断じて俺個人の精神力が弱いわけじゃないから。

 

内心ぶるって硬直していると、視界の外から声をかけられた。

 

 

「あの、凛ちゃんがすみません。ちょっと虫の居所が悪いみたいで」

 

え、なにこれエロい。

 

じゃなかった。

よく見たらこの子は新田美波だ。この子もCPのメンバーだったから知ってる。

ネットでも散々言われてたけど生で見るとなんもしてないのにエロい。

あと微妙にファザコンの気があるとも噂されているが、この子の口からパパという単語が出たら違う意味に聞こえるかもしれない。

 

「 パ パ と 呼 べ 」

「え?」

「ごめんなさい。冗談です」

 

やっベー。思わずネタに走ってしまった。

みなみさん家の娘さんだから仕方ないね。

冗談ってことにしたけどいったいどんな冗談なのか俺もわからない。

 

優しそうな子だからきっとスルーしてくれるはず。

 

「えっと、私は新田美波です。よろしくお願いします」

 

優しかった。

娘にしたい。年が近すぎるか。

 

精一杯の笑顔でごまかしていると新田さんの隣にいる子もあいさつをしてくれた。

 

「☆$|(5・=<4〆○。アナスタシアです。アーニャと呼んでください」

「すまねえ、ロシア語はさっぱりなんだ」

「え?」

「?」

「失礼。なんでもありません」

 

っベー。またネタセリフ言っちゃった。

でもこの子に会ったら一度は言ってみたいよね、このセリフ。実際聞いてみたら本当にさっぱりだったし。

新田さんとその隣のアナスタシアさんはCPでラブライカというユニットを組んでいた。

クールな見た目と外国人特有の天然発言がギャップになって人気を集めている。

「クール美人」「ギャップ」というキーワードは俺と共通してるよね。中身はひどい違いだけど。

 

 

「ごめんなさい。ワタシ、ロシア語で話してしまうクセ、ありますから。気をつけ、ます」

「いえ。私の方こそおかしなことを言ってしまいました。どうか気にしないでください」

「ダー。わかり、ました」

「改めて新田さん、アーニャさん。まだ右も左もわからない新人ですがよろしくお願いします」

「い、いえ。こちらこそ」

 

 

ほんとに気にしないでむしろすぐに忘れてほしい。

 

そういや渋谷さんの存在を忘れてた。

 

 

「あなたは渋谷凛さんですよね。いつもテレビで拝見させて頂いています。私の未熟さが原因で気分を害してしまわれるかもしれませんが、どうかご寛恕ください」

 

 

とりあえず放置した謝罪も含めて、剥がれかけた乙女の仮面を徹底的にかぶり直して思いっきり下手に出てみた。

 

 

「あ、いや。…………私の方こそ、ごめんなさい。初対面なのにあんな態度とっちゃって。今日はよろしくお願いします」

「はい。事務所に入ったばかりで歌もダンスもまだまだですが、渋谷さんに追いつけるよう頑張りたいと思います」

 

 

ちょっとうろたえさせてしまったみたいだ。

根は良い子そうなのに、やりすぎちゃったかな?

 

後輩とはいえ年上の女性に平身低頭で来られたらそりゃ戸惑うよね。

正直すまんかった。

 

 

「あの、小鳥遊さんは……」

「よーし、お前らレッスンを始めるぞ! 今日は新人がいるし基礎から徹底的にやるからな!」

 

 

渋谷さんがなんか俺に聞きたそうだったんだけどベテランっぽいトレーナーさんが入室したんで話は打ち切りになった。

ダンスレッスンらしいから持ち前の運動神経で「素人の割にはマシな方と評価できなくもない」ぐらいには思わせてやるぜー。

 

 




今回で原作アイドル登場しましたけどキャラ崩壊してても作者は知りません。
アニメメンバーはまだキャラがわかる方なので今後も優先的に登場すると思います。



人物紹介のコーナー。

●渋谷凛(しぶやりん)
作者にとってこのアイドルはssのイメージが強すぎる。
ただ、この作品のしぶりんはストーカーでもヤンデレでもクンカーでもありません。

ちょっと気が強くて武内Pが好きすぎる程度です。

セリフでキャラの見分けをつかせるのが難しいんだけどしぶりんは親しくない人には敬語で、親しい人には年上でもタメ口のイメージ。


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