科学と非科学の歯車   作:グリーンフレア

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長いと判断したので第6話から分割させていただきました。



ACT.7 科学ときどき魔法のち…

 人目に付かぬよう素早く候補地全5ヶ所を見て回ったが、橋の南側にある大型の平倉庫の屋上に陣取った頃にはかなり時間が経過していた。

 見晴らしが良く橋の上も見ることが出来、平倉庫の屋根には幾つか月光が身を隠せそうな換気塔が付いていることもこの場所にした決め手の一つである。

 

 アイラの魔力という物をIRVINGのセンサー類で観測したいという申し出で、青葉のMAVにある機器も使いデータ観測の用意をする。

 

 大体の準備が済んだ所で、先日の山中で感じたような気配し始めたかと思うと、学園都市内の商店街方面からコチラに向かい気配が急速に接近してきた。

 続けてアイラがモニターしている各計器に反応が出てそれが強くなり始め、アイラと青葉から報告が上がってくる。

 

 

 

『お、来たかな。』

 

『幾つかのセンサーで特異な反応を検知。これが魔力というものだと思う。』

 

『波長が幾つかでてますけどそれらの特徴を分類すると2種類に分かれますね。恐らくネギ君とエヴァンジェリンさん、それぞれの魔力なり魔法なりの波長でしょうか?』

 

『これらとは別に1つ、魔力と混ざった無人機に近い反応を確認。』

 

『多分、茶々丸かな。姿を目視できるようになったらしっかりと記録しておいて。今後魔力とかのデータは参考になるはずだから。』

 

『戦闘中なんでしょうね。高速飛行で建物の間をすり抜けながらこちらに向かってきています。』

 

 

 

 一部レーダー類での反応は建物の影などで遮られ時折ロストしていたが、他のセンサー類で常に捕捉できており見失うことはなく彼等が麻帆良大橋へと向かっていることが確認できていた。

 ふとどちらかに発見されるのではと思ったが、ルートは現在の位置から離れた場所をとおり、身を隠せる場所もあるので発見される可能性は低いと判断し、このまま観測を続ける。

 

 

 

『ところで茶々丸さんってロボットでしたよね。向こうから私達の存在が感知されたりしないでしょうか?』

 

『・・・あっ。』

 

『まさか想定してなかったんですか?』

 

『ま、まぁ軍用機って訳じゃないからそんな大層な能力はないんじゃないかな…たぶん。』

 

 

 青葉は月光をジト目で見つめていたが、それから目をそらしてやり過ごす。

そんな時ネギとエヴァンジェリンの決闘が橋の上で始まったため、青葉に対して魔法戦闘の記録を録るよう催促した。

 

 

 

 

 

 

 

 橋の上では原作通りに事が進み、ネギが事前に仕掛けていたトラップ型の捕縛魔法を脱したエヴァ・茶々丸が形勢逆転し、杖も捨てられエヴァに吸血される直前という追い詰められた状況だったが明日菜とカモが加勢し難を逃れ、体制を立て直すべく身を潜めていた。

 

 

『面白いように吹っ飛んでいきましたね!エヴァンジェリンさんはここで駆けつけた明日菜さんに、まさかあそこまで蹴飛ばされるとは思ってもみなかったでしょう!解説の月光さん、この展開はどう見ますか?』

 

『カモをフラッシュバン替わりに使い茶々丸を怯ませ、その隙に神楽坂は危機的状況にあるネギを助ける、中々のコンビネーションですね。感情的になって追撃に移るのではなく、ネギを連れて一時退避し、体制を整えたのは重要な事です。』

 

『さて!助力を得たネギ先生はどうやってエヴァンジェリンさんから勝利をもぎ取るのでしょうか!?』

 

『2人共何やってるの・・・。』

 

 

 

 魔法を使っての戦闘を目にしてテンションが上がりっぱなしの月光と青葉と淡々と記録を進めるアイラ。

 そんな彼らをよそに決闘はネギの勝利という形で決着する。

 

 

 

 

 

 

 

 決闘が終わりネギとエヴァンジェリンのじゃれ合い、もとい言い争いを見守りながら帰途につく双方の保護者の一人、絡繰茶々丸は一つ気になることがあり、考えこんでいたところ、それに気付いた神楽坂明日菜が声をかけた。

 

 

 

「茶々丸さんどしたの? あ、もしかしてどこか痛い所でも!?」

 

「…いえ、少し気になることがありまして。 あちらの方角にある大きな倉庫、その屋上に私達を見ている者がいるようです。魔力が感じられないので魔法関係者では無いと思いますが…。」

 

「何だ茶々丸、歯切れが悪いな。 …ほう、魔法使いでも人間でもなければ何だろうな、あれは。」

 

「申し訳ありませんマスター。暗視装置といったものが無いのではっきりとは。機械、私のようなロボットかもしれません。」

 

「そもそもこういうことに私が相手してやる必要がない。それに今日はもう疲れたから早く帰って寝るぞ。 坊や、後は先生でもあるお前の仕事だ。」

 

「え、あっはい!」

 

 

 

 「茶々丸。」と一言自分の従者に言うとそのエヴァンジェリンの意図を汲み、彼女を抱えネギらに挨拶すると茶々丸は自身らの家へと飛び去っていった。

 

 

「僕は茶々丸さんが言っていた所を見てきますが、すぐ戻るので明日菜さんはここで待っててください。あ、カモ君もここで待ってて。」

 

 

 そう言うとネギは杖に跨がり茶々丸が示した方角、月光らがいる倉庫へ向け飛び立つ。

残った明日菜はカモミールに仮契約した時の感想をしつこく聞かれたのはまた別の話である。

 

 

 

 

 

 

『いやー、中々面白かったね。しかしあんな派手な閃光やら音を出してバレないものなのかね?』

 

『さぁ?案外気づかれてなかったりするんじゃないですかね。』

 

『二次小説じゃよく麻帆良学園を覆う結界には認識阻害魔法が含まれてるとか、世界樹がその魔法を乗じ展開しているとか何とか言うけどそんな感じなのだろうか。』

 

『実際、神木"蟠桃"から微弱ながら魔力が放出されて何か影響を持っているのは間違い無さそう。』

 

 

 

 口々に感想を述べながら観測したデータを見ていた時、月光は橋や世界樹のとは全く別の方角から突如、何らかの気配を感じた。

しかしそれを詳しく確かめる前にアイラと青葉が声を上げた。

 

 

『橋の上の4人がこっち見てる・・・。エヴァンジェリンの目が怖い...』

 

『エヴァンジェリンさんと茶々丸さんが飛び立ちましたが…どうやら家に帰るようです。あ、待ってください!ネギ先生がこちらに真っ直ぐ向かってきてます!!』

 

『ワッザ!?こんなもの(M2)背負ってるなんてネギに、というか学園側にバレるのは流石にマズイ!』

 

『接触まで約15秒、どうするの?』

 

 

 自分達の存在がバレかなり焦り気味の3人。ネギはどんな相手かは分からないが目撃者と話をしようと大声で声を掛けてきた。

 

 

「すみませーーーん!そこにいる人ー!ちょっとお話を聞かせてくださーーーい!」

 

『逃げるに決まってるじゃないか!撤収!撤収ぅ!!』

 

『青葉、しっかり捕まってて。かなり揺れると思うので。』

 

『捕まるって言いましても、マニピュレータ1本しか無いんですけどぉ!』

 

 

 ネギからはその姿は夜のためハッキリと見えなかったが、わずかに見えるそのシルエットと立ち上がった直後の大跳躍から人間でないことだけは分かった。

 

 

「な、何あれー!?あわわ、待ってください!」

 

 

 ネギもまた魔法がバレた事、何よりどう見ても人じゃないモノが牛のような鳴き声出しながら物凄いジャンプをしたことに焦りながらも、全速力で逃げる月光に向け11連の"魔法の射手・戒めの風矢"を放つ。

 

 

『警報!6時やや上方向より魔法!魔法の射手だけど種類は不明。』

 

『詠唱が日本語じゃないし遠いから分からん!とにかく避けてやんよぉ!』

 

 

 真後ろから追尾する"戒めの矢"との距離を測り、被弾寸前に高めのバックステップで避ける。

 外れた"戒めの矢"は月光を捉えるため上方へ円を描いて再び向かってきたが、今度はそれを前方へ素早くステップし"戒めの矢"を掻い潜り地面へぶつけて回避する。

 

 

『おどりゃあぁぁ!見たかこん畜生め!』

 

『・・・あ、こんな時に何ですけど新たなサポーターの反応が薄っすらとありますね!』

 

『ここから少し南の方。倉庫群の一角みたい。』

 

『今はどう考えても無理でしょ!後だ後!ネギを撒かないと!』

 

 

 その後もネギは一直線上の場所を選んで2回ほど"戒めの風矢"を放ってきたがなんとか回避し、攻撃パターンを読んだ月光は西洋風の商業施設が建ち並ぶ商店街区へと入り込んだ。

 ネギが4発目となる"戒めの矢"が近づいてきた時に周囲の地形の中で、比較的広めな路地へと飛び込み回避を図った。

 残りの魔力のカツカツのネギが放った最後の"戒めの風矢"は月光の急な動きに対応できず、その大半が建物の外壁に命中し残ったものも月光を捉えきれずに消失した。

 

 月光らは複雑な路地と街道を幾つも縫って逃走を図り、ネギはその後を追うのは難しいと判断して上空から探すことにする。

 もちろんこの動きも月光は掴んでおり、このままでは発見されるのも時間の問題と考えていた。

 

 その時ふと目に入ったシャッターを見ると、身を寄せていた建物が電子錠式の倉庫であることが分かり、ここへ一時的に隠れることにした。

 端末にマニピュレータを接続しアイラにハッキングを頼むとシャッターは直ぐに開き、中へ入るとすぐさま閉めるとトレースしていたネギの反応が頭上を過ぎて行った。

 しばらく周囲を旋回していたが魔力が無くなりそうで、諦めて麻帆良大橋の方角へ引き返していった。

 

 

 

『なんとかやり過ごしたね。いやぁ危なかった危なかった。もう少しであの魔法に当たるかと思ったよ。 しかし中々無茶な機動も対応できるもんだね。』

 

『これぐらいの機動なら余裕なので。』

 

『でも、これで少なくとも私達が麻帆良学園にいるっていう事がバレた訳ですから、あまりのんびりしてられなくなっちゃいましたね。何か手を考えないと。』

 

『そうだねぇ…。取り敢えずは拠点に出来そうな所を探そう。有力候補は倉庫群だろうから引き返そうか。それに新たなサポーターとやらとも合流したいし。』

 

 

 

 倉庫から出ると学校がある方面から橋に向かう魔力を持った反応4つあったが、月光たちを探している雰囲気ではなかったのでとりあえずはこれをスルー。

 目立ちにくい路地を通って先の倉庫群でサポーターの反応があった区画まで戻ることとなった。




 やっぱり1万字近いのは流石に長いですよね・・・。
1話辺りの字数はこのくらいが良いのでしょうか?



 今回の逃走劇に関連した個人的な感想ですが、MGS4のACT2終盤にてドレビンのストライカー前方を走る月光は初見時不気味すぎて真っ先に撃破してました。
 しかし周回し続けていく内に段々とかっこ良く思えてきてましたが、先行している月光は逃げ道を塞がれている感じが嫌なので50口径でさっさと排除しますね。



 次回は色々と投入してみました。
勿論思い付きではありません。

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