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ナノマテリアルについて重要な設定が抜けていたため追加しました
---4月21日---
朝早くに届いた超のメールにはダーカーの資料と"Project M"の表題で纏められた学園祭の強制認識魔法発動計画の詳細が添付され、彼女達の秘密施設への招待、そして昼からこの拠点を訪ねたいとあり、正確な拠点の場所が分からないらしいので拠点までの案内をつける手筈になった。
また、この世界線におけるダーカーについても多くの情報のほか、別世界線で超自身が直接ダーカーと交戦し捕獲するなどして得た情報がまとめられていた。その中には本物のアークス産のデータまでもが含まれており、月光達を驚かせる。
これらの情報の中にフォトン≒魔力という研究結果の他に、それらの力を利用しなければダーカー因子の浄化が出来ない、
ダーカーは生物も機械も侵食し取り込んでしまうため、直接戦闘を行なったIRVINGの月光とアイラ、
そこでダーカー因子の検査と場合によっては浄化をしようと神様に助けを求めたが「データは揃ってるはずだから頑張ってくれ」と助力を得れなかった。言われた通り何とか今ある情報だけでダーカー因子の検査と、同時進行で超の訪問に備えリトルチェイサー達に拠点内の清掃を指示する。
情報整理と拠点内の清掃、そして陰性という最良の結果が出たダーカー因子検査が終わる頃には約束の時間近くになる。
自ら案内役を引き受けた青葉が昨晩の会合地点まで迎えに行くと、程なくして自身の身長の半分以上もある荷物を背負った超が、青葉に案内されて拠点にやって来た。
手土産というその荷物を月光の上面スペースに載せ、まず地上部を簡単に見せるが特筆すべき点は余り無く、エレベーターで次に案内する地下部へ下りようとする。
しかし超が「気になるものがある」と、倉庫の一角に向かう。そこに置かれていたのは、以前に地下から持って上がったコンテナだったが、彼女にはこれに見覚えがあった。話を聞くと4月12日正午に工学部の裏庭に、サイズが違うものの非常によく似た型式の物体が現れて、騒ぎになる前に回収したという。
そのコンテナは超一味の技術を持ってしても開けることが出来ず取り敢えず保管されているらしい。そこでこの後に予定している超の秘密施設への訪問時に月光達で開けることになった。
地下に下りた一行は格納庫と発電室をざっと見て回った。紹介するものが殆ど無くこの拠点への超の印象は、だだっ広い空間も相まってとても寂しい印象を受けたらしい。
「そこでこれネ!」と通販番組のようなノリで、月光に載せられていた荷物から出てきたのは、幾つかの突起物が付いて上面に升目が描かれ作業台のような装置。
近くにあった手頃な高さの空木箱に載せて太めの電源ケーブルを接続してセッティング済ませる。起動したその装置は上面の四隅から小さな投光機みたいな物と先端にペンのような物がそれぞれ付いた2本のロボットアームも起き上がり、操作画面が空中投影された。
"
ナノマテリアルは普段、銀色の砂の様な状態で不活性化され、保管には特別な設備は必要なく普通のタンクなどで事足りるという。
これらは超の元いた世界で開発中の技術で、彼女はこれを計画の一助としてきたが、新型の導入もあって倉庫の隅に片付けれていた。
ただ、これを活性化して素材として使う為には量に関係なく膨大な電力が必要になり、超の見立てではこの拠点の発電機で作れる電力の8割程度を消費する事する。また装置上面の作業スペースの関係上、分解と生成が同時に出来ないと、問題がいくつかあった。
そういうこともあり、今の超はとある場所に更に大型で効率の良い装置を用意しているため、使わなくなったこのセットを何かと物資が不足しているであろう月光達に譲るつもりで手土産として持って来たのだった。
小火器程度の大きさまで製作可能で、1発の銃弾なら一瞬で完成するらしく、超が操作画面と設定方法を説明しつつ練習がてら12.7mm弾の弾薬箱入り100発を作ることになった。彼女の説明に沿って弾薬のデータをアップロードし、同時に適当に用意した鉄屑の分解作業も終わらせるとクラフター内にある小さな一時貯蔵庫に溜まったナノマテリアルを使い生成作業に移る。
生成作業はあっという間で、データのアップロード・物質の分解・対象の生成を全て合わせても今回は3分と掛からなかった。一定のデータ量までなら多数保存でき、ナノマテリアルに十分な残量があるならデータを選択すると即時、生成に取り掛かるので短期間に大量生産ができる。
しかし、良い事ばかりではなくナノマテリアルと装置の特性上の理由で、作り出された物体には36時間というとても短い耐用寿命が存在していた。
この寿命を超えるとナノマテリアルはその物体の形状を維持できなくなり、その場で不活性化し銀色の砂状へと戻ってしまう。不純物を取り除けばナノクラで再び使用できるため、専用の濾過装置が別途必要になってくる。
「これで弾薬とか部品不足になることは無いニャね!」
「その場凌ぎだけどアルビレオの言う通りだね。しかし何でも作り出せるっていうのは、なんだかヌルゲー化してない?」
「そういうの気にしてはいけないヨ。それにこの
「もとも、今使てる大型の方も貸そうと思てるけどネ」とあまりに都合の良い話に疑念を持つも今後の補給をはじめ、装備品の開発・改修などの懸念が取り敢えずは払拭され一安心する月光達。クラフターに貯蔵用ドラム缶を接続しナノマテリアルを備蓄するために次々と集めていた鉄屑などを分解し始める。
次に月光達が超の秘密施設を訪ねるのだが、月光の憑依するIRVINGでは地下を通っても大学工学部内へ入ることが出来ないそうで、急遽TRIPODの誰かにホットスワップする。割り当てはジャンケンでベナトナシュが勝ったことで決まった。
分解作業はアイラと青葉に任せると、早速ナノマテリアルクラフターで仕立て直したコートと帽子をTRIPOD3機が合体して着込む、いわゆる"
超に連れられて部棟を彼女の研究室へ進むが夕方ともなると帰宅、休憩、徹夜に向けての買い出し等々で廊下を行き交う学生や教員が多い。研究仲間や超を知る人からはすれ違う度に幾度も彼女へ声が掛かる。
もっぱら研究についてや簡単な世間話だったりしていたが、なかには月光達が気になった者もいたようで「お客さんですか?」と尋ねられるが適当な返事ではぐらかして会釈する。その様子は容姿も相まってあからさまに不審者のソレであるが、特に疑われる事もなく超の研究室に辿り着く。
研究室では資料やパソコンとにらめっこしている葉加瀬がいたが、戸を開ける音でこちらに気付くと手を止める。
「お帰りなさ~い。むむ?そちらの方はもしやー?」
「どーも月光です。元の機体では厳しいのでTRIPODに乗り換えて来ました。」
着て来たコートと帽子をコートスタンドへ白衣に並んで掛けると、姿を見せたリトルチェイサーの面々も挨拶を交わす。葉加瀬はどのTRIPODが誰なのか特徴を掴んでいるらしく、それぞれに挨拶を返していた。言われて初めて気付き見分け方は彼女曰く、メインカメラ&センサーの色や、機体の微妙な色の違いで区別が付くという。
「イヤー中々驚いたヨ。電子上のちゃんと自我のある意識体を自由に転送できる科学技術は、私のいた所でもまだ完全ではなかたからネ。ましてや元人間であた彼が、ソレを自由自在に扱ているのも興味深いネ。」
「ほ~!それでは月光さんや関係している機器を調べたら、BCIテクノロジーやインターネットへの直接神経接続などのヒントが有るかもしれないのですね!」
興奮気味の葉加瀬は何処からともなく様々なアームが伸びるバックパックと怪しげなゴーグルを装着し、ジリジリと月光達ににじり寄る。
「それは・・・また時間があるときにでも。」
「大丈夫ダヨ!これから紹介しようと思てる秘密施設で沢山時間取れるネ!」
「そうですね早く行きましょう!あ、そうそうあのデータも持って行かないと。」
「えぇ・・・。」
「施設の入口はこっちネ!」
『月光、諦めるしか無いと思う。二人共生粋の科学者なので。』
『アイラちゃんの言う通りニャね。それに技術提供も約束しちゃったニャ。』
『科学の進歩、発展に犠牲はつきものですから!』
『そうそう。それに神様特製のハードディスクを解析して、量産出来る様になるかも知れないニャ!』
『わかってるけどねぇ・・・。くそうっくそうっ、マッドサイエンティストなんて何するか分かったもんじゃ無いぞ・・・。それにベナトナシュ、実際に弄られるのは君だからね?何か言って欲しいんだけど。』
『まぁ隊長。悪いようにはされないと思うニャ。』
技術力の向上の為とは言え何をされるか分からない不安から、どうにかして逃れられないか拠点に残っているサポーターも含めて助け舟を求めようとするも他人事のような説得を受け、このTRIPOD本来の宿主であるベナトナシュに至っては完全に諦め切っていた。
やがて大きな棚の裏から通じた隠し部屋に案内され部屋の中心、カーテンがのけられるとここまで予想もしていなかった物が置かれていた。それは台座の上に90°横に寝かされ、火山を抱えた絶海の孤島のジオラマらしきものが収められた巨大フラスコだった。
「これはまさか・・・。」
「やはり知ているようネ。このダイオラマ魔法球は茶々丸をエヴァンジェリンさんに渡して、とても気に入てくれたようで追加報酬として貰た物ネ。」
当初の見返りというのは魔法に関する情報や技術の提供だったそうだが、加えてこの魔法具まで貰ったという。
更に話を聞くとエヴァンジェリンが手掛けたダイオラマ魔法球は思いの外多いらしく、今目の前にあるのは彼女が最後に作っていた物だったが途中で飽きた為に"未完成品"だという。"完成品"と違う点は現実の1時間が12時間になり球内の魔力濃度が平均より僅かに低い事の2点。
しかし、秘密の箱庭に加えて時空の拡張が出来るだけでもとてつもない優れものであり、魔力の濃度の差というのは全くと言っていい程問題になるようなことではなかった。
「この魔法球の中に私達の秘密施設があるんですよー。ちなみに入るには呪文を唱えるだけです。」
「時空拡張で数日分の時間は確保できてるネ。これだけあればProject Mの事も話せるし、勿論その機体の
「いや、自分はそんなに乗り気じゃないから!」
「隊長、諦めるしかないニャ。」
「ダイジョーブ!この"メッセージ"の記憶装置も一度完全に分解して元に戻したネ!」
そう言って見せてきたのは"オペレーション・メッセージ"で送り付けたハードディスク。月光を始め全員、存在をすっかり忘れていた物だった。返されたハードディスクは一見すると何かされた様子は無いが、超と葉加瀬、そしてアイラが言うには確かに分解されてまた元の状態に戻されているらしい。実際にマニピュレータでアクセスすると送り付けた時のままのデータが残されていた。
解析されるとしても、ちゃんと元通りになる実績を見せられ少しは不安が和らぎ、ようやく魔法球へ入ろうとしたところだったが、ある事が気になりだし待ったをかける。
それはスキットシステムの通信状態であった。スキットシステムの概要を聞いた超達を含めた各人の予想はダイオラマ魔法球内と外の世界との通信は出来ないのでは、という予想が殆どを占めた。
そのため、月光は留守番組に通信が途絶した場合の指示(と言ってもこれまでの指示と変わらず待機)をして今度こそと、超が魔法球に手をかざす。
「
「えっ」
月光がツッコもうとした時には隠し部屋から2人と3機の姿は消えていた。
とりあえずテンポ悪いんだよね、それ一番言われてるから。
修学旅行編はざっくり行こうと思ってますのでそれで何とか・・・。
PSO2と絡ませる為に設定を幾つか用意してますが強引になってないかちょっと心配です。とは言ってもまだ全部の設定が出きったわけではないのですが。
プロットに関してですが魔法世界編までをそれなりに固めて来てます。
が、やっぱりスペックに限度が出てくる機械じゃこのインフレ世界は大変ですねぇ。取り敢えず
所でエヴァンジェリンは茶々丸が来るまで生活状況ってどんなだったんでしょうね?
偽エヴァだとか雪姫の寝相とか見る限り結構酷いことになってそうですが、案外ちゃんとしてたりするのでしょうか。
ダイオラマ魔法球内のモデルは鹿児島県の硫黄島です。
陸海空揃って良い感じの絶壁もありますので丁度いいと思いましてね。そしてそこにアルペジオの硫黄島のエッセンスを・・・。
※ ナノマテリアルで何かつくるの意。
蒼き鋼のアルペジオのスピンオフ作品、ソルティ・ロードより引用。
次回はダイオラマ魔法球内の出来事。何かと理由をつけて奴等を登場させます。