俺ガイルSS やはり俺の球技大会は間違っている。   作:紅のとんかつ

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外伝 2-3  突きつけられる真実

 

 

 

 

 

 

 カツ……カツ……。

 

 お昼休みを越えた午後の最後の授業である国語の授業、ある意味最後の関門であり登竜門。これが終わればそれぞれが自由に部活や放課後の教室等で過ごす時間が訪れるこの時間。国語教諭平塚先生が物語について読み上げながら教室を巡る。

 

 その中、一人教科書を辛うじて支え、それでも最後の山場と昼食後の睡魔に負ける生徒が一人。

 

 

「大昔、仙女が月の下で踊り、小鬼が山の中で仕事をする時のことでありました。或る小さな村に、貧しい靴屋の夫婦が住んでいました。靴屋は正直でもあり、仕事好きでもありましたけれども、一日一日と貧乏になって行って、とうとう、一足の靴の皮を買うだけのお金しかなくなりました。そして、この一足の靴を造れば後はどうして暮らして行くか、あてがありませんでした。靴屋は皮を買うと、それを切って、次の朝早く起きて、縫うつもりで、お祈りをしてから、寝床に入りました」

 

 

「おい、おいって!」

 

 

 ”勤勉な子鬼”を朗読しながら教室を回る平塚先生の歩む先にその人間が一人。友人の助けの声も聴き届かず、奈落の睡魔に包まれている。

 

 

「次の日、朝早く起きて、靴屋は窓の戸を開けました。と、不思議なことが起こっていたのです。前の晩、切って置いた皮が、立派な靴になっていたのです。靴屋は夢ではないかと思って眼をこすって見直しました。が、矢張り靴が窓から入って来る朝の光の中に、ちゃんと置いてあるのです。靴屋は手に取り上げてその靴を見ますと、針の縫い目も、釘の打ち方も申し分なく出来ていて、今までこんなに旨く出来た靴を見たことがないと思いました」

 

 

「おい、起きろって。おい」

 

 

 もはやタイムリミット。講師はすでに彼の目の前にいる。ゆっくりと教本を丸め、振り上げた。到達と同時に、助け船を出していた友人が我関せずの姿勢を取り、ノートにペンを走らせる。

 

 

「……そしてこのクラスには勤勉な子鬼はいない。寝ていたら授業の内容がノートに書いてある訳ではないぞ戸部!」バシィイン!!!

 

 

「いっでぇ!!!」

 

 

 教科書を持ったまま顔面を机に伏せて眠っていた彼の頭に、とうとうその鉄槌が下される。かろうじて持たれていた彼の教科書は床に零れ落ちた。

 

 

「戸部ぇ、貴様あれだけ補習を出されてまた居眠りとは、中々肝の据わった奴じゃないか。よほど土日にも学校に来たいと見える」

 

「い、いや、来たくないっす! ちょっと今一瞬落ちてただけで授業は聞いてたってか」

 

「ほう、数学の教科書を持ちながら国語の授業を受けているのに話を聞いていたとは器用な奴だな」

 

「あれっ? 今6時限っすか!?」

 

 

 そして間の抜けた事を言い放った彼は平塚先生にもう一度はたかれる。

 

 その軽快な音と共に教室がドッと笑いに包まれた。

 

 戸部っちは朝から彼はこんな感じだ。授業どころか休み時間ですらああして眠っている。皆が集まっていても机で眠りこけて、休み時間にボール遊びをしていた男子達に体当たりされても眠りこけ、さらには昼休みまでパンをかじる寸前に力尽き眠っていた。

 

 そんな何故か疲れ切った彼は皆に笑われながら鞄から国語の教科書を漁り始める。その様子を見て優美子はあきれ顔で口を綻ばせ、結衣は一緒になって教科書を探してあげていた。そんな彼らを私は皆と一緒に笑いながら眺めていた。

 

 

 最近戸部っち、良く寝るなあ。

 

 まあ元から授業なんかは真面目に受けるタイプでは無いけれど(本人は真面目のつもり)、休み時間とかまで居眠りしているのは珍しい。友達と過ごす一刻を無駄にしないように常に三歩以上はダッシュで歩み寄って来るのに。廊下どころか教室内を全力ダッシュするのは止めようね。

 

 話しかければ元気に応対する辺り、悩みがあるようには見えないけれど。

 

 

「っべ~! 国語の教科書どこしまったっけ? 見つからねえ! 結衣、貸して!」

 

「いや私も今授業中だかんね!?」

 

「んじゃ優美子一緒に見せてよ! 椅子寄せっから!」

 

「あんた授業中も五月蠅いから嫌。てか、もっと探しなよ。鞄の奥とかにしまったんじゃないの? ……て、ちょ、やだ!何これ!?」

 

 

「あ、それ結構前に鞄にしまったままだった焼きそばパン(元)だ。っべ~」

 

 

 どたばたと鞄をヒックリ返す彼を手伝って優美子も結衣も一緒になって探してあげていると、彼の鞄からどんどん関係ない物が出てきた。スポーツ雑誌、どこで見付けて来たか解らないお遊びグッツ、海外のバスケ特集に流行のCDエトセトラエトセトラ。

 

 

「おまけにスラムダンク5巻だと!? お前は学校に何しに来てるんだ!」

 

 

 再び振り落とされる教科書。

 

 パシン、と綺麗な音が響き、再び教室が笑いで包まれる。そんな事をしている内に、本日最後の授業の終わりを告げるチャイムが鳴り響き、そうして本日の過程は終わりを告げた。

 

 

「こんな事をしている内に終わったじゃないか! 全く、戸部は後で私の所に来い! やれやれ、今日は終わりだ。各連絡事項は特に無いので帰りのHRも無し、それぞれ気を付けて部活、帰宅をするように」

 

 

 呼び出しに肩を落とす戸部っちを他所に、皆がそれぞれの放課後を過ごす為に机の上を片付け始める。優美子達は呆れた顔で彼の広げた鞄の中身を片付けてあげている。

 

 

「スラムダンク、か……。懐かしいな」

 

 平塚先生はどこか寂しげに、そして愛おしそうに漫画の表紙に目線を送り、教卓へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「お、皆待っててくれたん?」

 

 ざわざわと騒がしい職員室の前、夕方特有の暖かかい色の夕日が差し込まれ窓枠と壁の陰を作り出す放課後、平塚先生に呼び出された彼を皆で職員室の前で迎える。しょんぼりと肩を落としながら出てきた彼は私達がいるのを見るやいなや、ぱあっと顔を明るくする。壁に寄りかかっていた優美子も立ち直し、大岡君達は彼に歩み寄っていった。先程の出来事を早速話題に、いつものように会話を楽しむ。

 

 

「お~、やっと終わったね。結構絞られた?」

 

「今後も腐抜けてたらヒキガヤ君?みたいに徹甲弾だって……。やべーわ。テッコウダンてなにかさっぱわかんないけど、なんか怖いわ~」

 

 

 正しくは腑抜けね。腐、抜けだと脱オタした女の子みたいに聞こえるから気を付けてね。ていうか、テッコウダンも気になるけど、なんで比企谷君の名前がなんか疑問形なのかが気になった。私は半ば”あだ名”的な意味で呼んでるけど、もしかして戸部っちはガチなのかな。

 

 

「さっきはマジビビったわwマジなんども声掛けても起きないんだもんなw」

 

「いんや~、居残りとかになんなくて良かったわ~。今放課後残る時間無いってかさ~。最近寝ても寝ても眠いってかさ~。午後の授業中の居眠りって、マジ寝るっていうか気を失うってレベルじゃね? 気合でなんとかなるモンじゃないわ~、マジで」

 

 

「それな」「それマジだわ」「わかる」

 

 珍しく皆が戸部っちの発言に全賛成。まあ、黙ってるけど私も概ね同意。寝るもんか、って気合を入れてるのに、気が付いたらガクッてなって、自覚無く数分記憶が無くなっている時があるよね。サボっているわけじゃ無いんです! 精一杯頑張って、頑張った結果がこれなんです。

 

 

「ん~、てかさ。なんかあったん? 待っててくれたんは嬉しいんだけど、皆でってのは珍しくね? いつもは部活一緒な隼人くん位ってか」

 

 

「ああ、それがさ。今日も顧問の風邪長引いててサッカー部休みじゃんか。だからさ、皆でこれからラウンドワンいかね? って事になっててさ。行くだろ? 隼人君もOKらしいし。今日は一色の手伝いも無いんだろ? 今から隼人君と合流しに向かうから行こうぜ」

 

 

「あ~……」

 

 

 いつもの遊びのお誘い。と、あるも戸部っち本人が誘われる事は実は珍しい。何故なら隼人君に声をかけた時点で、戸部っちが来る事はほぼ決まっているからだ。優美子もそれを知っているから、わざわざ本人に了解を取らない。取らなくてもいつも一緒に遊びに行っている。

 

 ……決して隼人君のおまけ扱いという訳じゃない、と思うよ!

 

 

 

 さて、いつもの流れで放課後の動きが決まった。数日前の皆で遊ぶチャンスはうやむやになってたし、その分楽しもうと皆がボーリングをやろうとか賭けで勝負とかで盛り上がり始める。私もそんな彼らに合わせ、廊下を歩み始めた。

 

 が、なんと今回、いつも異常に付き合いの良い戸部っちからまさかの答えが返ってきた。

 

 

「わ、わり。今日は無理だわ~!」

 

 

 妙にテンションを上げて、大げさな動きをさらに大げさにおどけさせて彼が断りの言葉を口にする。その行動に”え?”と皆が立ち止まった。

 

 もはや皆でラウンドワンに行くことが決まりかけていて、みんなが戸部っちに背を向けて歩を進めていた。まさか部活も一色ちゃんの手伝いも無しに断られるとは思っていなかったからだ。

 

 部活で疲れていたって、テスト前だって、彼は皆と遊ぶのを断らない。なんなら彼が一番そういうイベントを提案してるまである。

 

 夏休みだから海に、年明けたから初詣に、平日だからゲーセンに。理由のある無しに彼はイベントを計画して皆の輪の中にいる。ソレ位普段の戸部っちの友達優先度は高い。

 

 

「マジかよ? お前が来ないとかレア過ぎね?」

 

「なんか用でもあんの?」

 

 

 前は聞かなくても付いてきたのに、と優美子すらも”まあ戸部は別にいいけど”とネタフリをする事無く、つい素の態度で疑問を口にした。

 

 

「用事ってか、ちょっとやらなきゃいけない事があるってかさ。誘ってくてたのにごめん、俺いなくて寂しいと思うけど、許して!」

 

「いや戸部相手に寂しいとかないし。それに、許すも何も強制とかじゃないから。ただ、ちょっとアンタが断るとか珍しいから面食らっただけで……」

 

 

 手を合わせて頭を下げる彼の言葉に少し戸惑いながら答える優美子。

 その言葉を受けて、彼はホッとした顔で頭を上げる。

 

 

「いや~、待ってて貰ったのに、なんか申し訳ないわ~! 今度、埋め合わせすっから! んじゃ、ラウワン楽しんで来て!」

 

 

 言って彼は、元気に敬礼すると走り去っていく。まるで誰かと待ち合わせをしているかのように急ぎながら。その彼の様子を私たちはポカーンとした顔でしばし見つめる。

 

 走り去る彼の背中は、どこか、何か頑張っているような力強さを感じさせられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「戸部が来ないとかびびるな」

 

 

 彼と別れてから暫し。

 

 廊下を歩いていると、妙に静かになった輪から大岡君からぽつりとつぶやかれる。その言葉の火種に、皆複雑な顔で応える。

 

 

「な。正直答えとか聞くまでもなく来ると思ってたってか」

 

「それな」

 

「あーしも、もうそれが当たり前だったってかさ。ちょっと拍子抜け」

 

「なーに、優美子ったら、寂しい感じ?」

 

「寂しいってか、戸部に断られるって響きがなんかもやっとするんだよね」

 

「あ~、解るわw」

 

 

 いなくなってからも会話を廻してくれる彼にくすりと笑みが零れそうになる。その後も彼の失敗談で会話が盛り上がっていった。

 

 

「てか、最近結衣も部活だとかで付き合い悪いじゃん? 最近メンバー全員揃うのめちゃ減ってきたってかさ」

 

 

 結衣も近頃は私達のメンバーから離れている。

 

 予め私達に”暫く部活が忙しくなるから離れるね”と告げられていた。

 

 結衣の部活は依頼とかの関係で時々忙しくなる事がある。こんな事はいつもある事だったけど、やはりそれでも寂しい物は寂しい。

 

 普段会話を廻してくれている二人が抜ける事がこんなに影響されるとは思わなかった。

 

 

「二人で抜けるとかさ。もしかしてあの二人、隠れて付き合ってるんじゃ……」

 

「それはないっしょ」

 

 

 不安そうな顔でまさかを口にする大岡君に優美子は”ハッ”と鼻で笑って返した。

 

 

 

 二人が付き合う訳がない。

 

 それは戸部っちがどうだから、とかでは無い。結衣には確かに思い人がいるからだ。彼女は今どこかの誰かに夢中で、そこに誰かが入る余地が無いだけ。

 

 そして戸部っちには、戸部っちにも、

 

 

 ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の胸が、何かいいようの無い嫌な不安で締め付けられた。

 

 最近行動がおかしい彼に、珍しく仲間で行動をしない彼に、勘が頭の中で警鐘を鳴らしている。

 

「あ、あのさ……」

 

 皆で校庭に出ようと昇降口に差し掛かった頃、私はその不安を確かめるべきだと行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 結局あの後、私は皆の所から離れた。

 

 隼人君と合流し、皆で学校を出る前に私も皆に忘れ物を取ってくると断りを入れて。

 

 何か、私は何か嫌な予感がして不安になり、それを確かめる為に私は奉仕部に向かう。

 

 まだそうと決まった訳では無いけれど、もし私の不安が当たっているなら、彼らは……。

 

 奉仕部のある校舎の階層に差し掛かる階段を登り切る手前、聞き覚えのある声が耳に入り、私は歩みを止めて階段下に体を寄せた。

 

 

 

 

「絶対三井の方が格好良いっしょ。体力の限界を超えて3ポイント決めてガッツポーズした時なんてマジで泣けね?」

 

「いいや、リョータの方が格好いい。三井達に囲まれた時、絶対勝てないにも関わらずリーダーだけを倒してみせたんだぞ? 決して自分を折らない上に、そんな状態から”負け”じゃない状態を取るとか半端ない。さらに言えば背が低いというバスケの圧倒的不利な状態すらも乗り越えて自分の武器で立ち向かうとか、俺が唯一下の名前で呼び合う位親しみを持つレベル」

 

 

 上では二人がジャージに着替え、誰かを待ちながら話をしている。戸部っちの話をしている相手は予想通りで、その組み合わせに私は息を飲み、静かに気配を消していく。

 

 

「あ~、確かにメンタル強いよね~。フラれた女性がいる部活でいまだにあんなにも一途に何度もアピール出来る所とか……」

 

「それな。俺では絶対出来ない。もう部活止めて二度と体育館に行かないレベルだわ」

 

「それを言ったら桜木だってすごいっしょ。俺も結構フラれてるけどあんなに強く生きられないわ~」

 

「……わかる。普通は歪む。目が腐る」

 

「……誰の話?」

 

 

 教室では考えられない位饒舌な彼。”それな”なんて絶対普段言わないであろう彼から奏でられる言葉。だが、姿を見なくても、声を聴きなれて無い相手でも誰だか解る。

 

 ヒキタニ君だ。

 

 戸部っちとヒキタニ君。

 

 片やのウェイウェイ系スポーツ男子に、片やダウナー系捻くれ総受けツンデレ男子だよ?  完全に水と油。なのにそんな二人が交わるとしたら、もうアレしかない。

 

 ごくりと息を飲んで私は寄りかかった壁からずるっと座り込んだ。

 

 

 

「……ていうか戸部、お前に注意しておかないといけない事がある」

 

「ん? 何々?」

 

 

 彼は一呼吸置いて、そして囁くように言葉を紡いでいった。

 

 

 

「俺達の事は、皆には内緒にしろ。一緒にいる所を見られるのは色々まずい……」ワ~オ

 

「解ってるって! 前にも言われたけど、内緒にするから!」あ~ん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前は色々軽いから不安なんだよな。お前ほど大丈夫が大丈夫に聞こえない奴はいない。休み時間妙に絡んでくるし」

 

 

「いや~、こんなに一緒に色々乗り越えていると親近感てか、一体感? 半端なくてさ~。だって今俺ら一心同体な訳じゃん?」ウホッ。

 

 

 

 …………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………。

 

 

 

 

 ……なんの話!!?

 

 

 

 

 え!? あれ、これもしかして、

 

 もしかしなくても間違いない!。

 

 正直私の予想が大きく外れていたけど、全くこうなるとは思っていなかったけど、これは間違いなくアレじゃなかろうか?

 

 

「くっそ、マジで昨日は下半身ばっかり攻められたから痛みがやべえ。歩くのもキツイんだけど」

 

「それは俺も一緒っしょ。全身くまなく痛いわ~」

 

 

 

 トベ×ハチの誕生だああああああ!!!

 

 

 

 ま、間違いない!

 

 いつの間にかは解らないけど、予想とは大きく外れたけど! いつの間にか私のハヤ×ハチの鉄板カプにトベ×ハチ要素が入ってきたようだ。なんて事なの!? トベカケルって何とかけてんのさ!

 

 

 

 でもあの二人だよ?

 

 もう一度言うけど完全に水と油じゃん。片やのウェイウェイ系スポーツ男子に、片やダウナー系捻くれ総受けツンデレ男子だよ? どんなカプだよ。そんなカプ知らない以前に、性格が正反対過ぎて仲良くなれる要素が見付からない!

 

 

 

「……でもあんなに激しく攻められるとは思わなかったな。マジでドSなのかと思った」

 

「マジ体中痛いわ~。戸塚もなんだかんだ言って容赦無いしね」

 

 

 

 

 戸塚君も!?

 

 私の知らない間に、なんだか凄い事になっている! トベ×トツ×ヒキタニ!? 三人カプとか邪道だよ! でもトツカ君が入るとなんか絵面的に自然になる不自然!

 

 

 ちょっと待って、え? これ私の妄想じゃないよね。本当に現実の二人の会話なんだよね!? え? 二次元の中だけじゃないのこういうの!

 

 

 

「……そろそろ着替えただろうから、行くか」

 

「お~、んじゃ行きますか~」

 

 

 私の理解が追いつくよりも先に彼らの声がどんどん遠くなる。

 

 その声を追いかける事無く私は顔を手で覆い階段に座り込んでしまった。なんて、なんて事なんだ……。

 

 

 こんな、

 

 

 

 こんな話をしているのを盗み聞きしてしまった私としては、二人の隠された関係に腐心感を抱いてしまうのも仕方ない事じゃない(白目)

 

 

「ど、どういう事だよ戸部っち~……」

 

 私は当初の不安とは大きく違った衝撃的な出来事に、再び頭を抱えて座り込んでしまった。

 

 

 

 

 




続く

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