俺ガイルSS やはり俺の球技大会は間違っている。   作:紅のとんかつ

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番外1ー3 王様を廻る権力争いは、どうやら違うらしい

 

 

 

 

 

 バーベキュー用のテントの中、俺たちは肉を焼く鉄板や貸し出されたストーブに温められた空間でこれから行うゲームの簡単な説明を終える。

 

 

 

 王様ゲーム、十の盟約。

 

 

 1、あまりにセクハラな命令は禁止。

 

 2、金、または持ち物を要求するのは禁止。

 

 3、王様の命令は順守。

 

 4、このメンバー以外に迷惑をかける命令は禁止。

 

 5、怪我をするような事はしない。

 

 6、名前差しは禁止。例 五番が比企谷にビンタ等。

 

 7、命令前にクジを覗かれたり、落としたりして周囲に知られたら王様以外で引き直し。

 

 8、命令は同時に三人まで。

 

 9、命令が下された後にクジを燃やす等で誤魔化すのを禁止。

 

 10、皆仲良く楽しくゲームしましょう。

 

 

 

 

 盟約を違反した者は、その場で炭酸一気飲み。

 ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 当たり前な物も多いが、まあ必要なルールだな。決められたルールを確認しながら雪ノ下が首を傾げながら呟く。

 

 

「……このゲームはどうなったら勝ちなの?」

 

 

 知らねぇよ。俺もこんなはずじゃなかった。肉の総取りをするはずが、気が付いたら勝ち負けが存在しない王様ゲームにすり替えられてしまったのだった。

 誰も敗者なんていない。なんて優しいゲームだろう。渾身の策がノリで覆される悲しさに溜め息をつく。肩を落とす俺に、一色から声をかけられた。

 

 

「先輩、諦めて楽しみましょうよ? 総取りはこの後でも出来ますから」

 

 肩を落としていると横で座っていた一色が俺を優しい笑顔で激励する。その声と態度に、どこかワクワクしたようなオーラを感じた。まあ、お前こういうの好きそうだしな?

 

 

「まあ純粋に楽しいですよ? このメンバーならですけど」

 

 そう言いながら一色は楽しそうに皆を見渡す。

 

 クジをワイワイと作る戸部に由比ヶ浜。

 肉をほうばり幸せそうな材木座。

 その材木座に最初はヒいていたのに、今はその食べっぷりが気持ち良いのかどんどん肉を皿に乗せる城山。

 戸塚に細かいルールや必勝法をたずねる雪ノ下。皆、揃って笑顔だった。

 

 

「何時もなら、このゲーム大っ嫌いなんです。提案する奴もそれに賛同する奴も下心見え見えだし、女の子も好きな人に他の女が触らないように牽制し合う。勝つとか負けるとかで終わらない、終わった後にもそのしこりが残るし、本当ならこのゲームには基本参加しないんですよ、私。」

 

 

 クジが完成し、戸部が皆に声をかける。皆がクジに手をかけ、ドキドキした顔で合図を待った。

 そして俺の隣で一色は優しく微笑んだ。

 

「でも、このメンバーなら純粋に楽しいです♪ 王様を引くワクワク感、どんな命令で自分の番号を呼ばれるのかのハラハラ感。純粋にそういうのが味わえる。他の面子なら考えられませんよ?」

 

 

 一色は俺に微笑み、合図と共にクジを引く。その顔はワクワクと、子供のように楽しそうに。

 

 ……解ったよ。

 

 お前の言う通り、せめてコイツらみたいに楽しくゲームに参加する。盟約もあるしな。一色の言葉に、ようやく俺も王様ゲームの楽しさを純粋に感じよう。そう、思えた。

 

 

 確かに、ワクワクする。この、感覚、悪くないな、一色。

 

 

 

「俺が王様だ。三番はふなっしーの物真似」

 

 

 一色=三番。

 

 

 ……。

 

 

 

 王様、と書かれたくじを皆に掲げ、初の命令を出す。

 

 プルプルと震えながら、一色は番号を皆に掲げた。皆一同盛り上がる。顔を真っ赤にしながら一色は立ち上がり、可愛くぴょんぴょん跳び跳ねた。

 

 

「アハハ! いろはちゃん可愛いよ!」

 

「いろはす! ”なっし~”言わないと! なっし~って! いろはすなっし~(高音)!」

 

 

 やんややんやと盛り上がる会場。

 千葉のマスコット(非公認)の物真似をさせ俺も満足し、惜しみ無い拍手を送った。

 

 

「お疲れ。王様の気分は悪くないな」

 

 

 いまだに下を向きながら震える一色。その姿を見れた事で俺は胸がすっとした。

 いつもは弄られたりからかわれたりふられたりする俺が、今回はささやかな仕返しをする事が出来た。これは悪くないぞ。王様ゲーム、悪く無い。うん。

 

 

 すると一色は、クジを真ん中に差し出し俺に目が笑っていない笑顔を向けてきた。

 

 

「ふ、フフフ……。フフフフ面白いですよ先輩。私に、こんな事させた責任、取って貰いますからね……?」

 

 

 「お、おう」

 

 その眼光に俺は怯んでしまい、思わず苦笑い。

 

 眠れる獅子を起こしてしまったようだ。一色は明確な敵意を込めて全力の腕で次のクジを掴む。

 俺もおそるおそるクジに手を伸ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーー

 

 

 5回目の命令。

 

 

 あの命令から数分、王様を引いた戸塚が微笑みながら立ち上がり、その愛らしい口で我らが愚民に命令を告げた。

 

 

「えっとね? 三番と五番は腕立て30回!」

 

 

 まるで神からのお告げを告げに来た天使だな。内容がえげつないのもさらに。

 

 

 戸塚からの命令に「またかよぉ!」と戸部が嘆く。俺も自分の番号を見ながら落胆した。

 二人で地面に手を付けて腕立てのポーズを取ると周囲から笑いが起こる。まるで土下座をさせられた気分で凄い切ないよう……。

 

 

 

 

「ほらほら、先輩、もっと曲げて下さいよ!それじゃ腕立てじゃないですよ?」

 

 

「比企谷君、体は一直線にしなさい。それでは数えられないわね。やり直し」

 

 

 俺の周りに実に楽しそうな女の子が二人。

 さっきは腹筋やってからの腕立てに、腕より腹筋がきつくなっていた。隣で戸部がシュッ!シュッ!とリズミカルにやる物だから尚更しっかりやらなくてはならず、辛い思いをする。

 

 

 くそ……、あれから王様に全然なれねぇぞ。

 

 ようやく腕立てが終わり、ヨロヨロと立ち上がる。だがその頃には皆、次の命令をどうするかとかの話題で持ちきりで、人苦労終えた俺と戸部に対する興味は既に失われていた。

 命令だからって労いの一つもねぇ……。

 

 するとスッと肉を乗せた皿が差し出される。タンクトップ城山だった。

 

 

「筋トレの後はタンパク質の摂取が良いぞ」

 

 

 ……いや、息切れしてんのに肉とか無いわ。

 

 あれから妙に、肉体を鍛える系の命令が多い。多分、コイツのスクワット指令を皮切りに。

 

 コイツがあの命令をした時、

「楽しくやれて、体を鍛えられる。肉もあるから効果的だ。効率の良い罰ゲームだぞ」

 という脳筋な言葉に雪ノ下と戸塚が賛同してしまったからだろう。

 

 

 そんな脳筋理論、俺は考えてねぇよ。

 

 しかも城山には肉体系命令が効かない。寧ろ嬉々としてスクワットをやっていた。

 

 

 誰か、頼むから誰かコイツ止めろ。

 このゲーム式筋トレの流れを変えないと、どんどんジリ貧である。

 

 

 

 

 

 

 そんな願いを胸に抱いた時、戸部から次の命令が下された。

 

「一番は四番にケツバット!」

 

 

 

 なぁにそれぇ、痛そうな上に心がヘシ折れそうな命令。ガキ使のアレに影響されすぎである。お前年末は絶対アレ見てそうだもんな。本当、あの番組に出ているダウンタウンの二人とか、あんなに大御所なのに体張ってケツも叩かれて、毎年お疲れ様です。

 

 

 

 しかし、戸部のその命令に反対意見が上がった。

 

 

「そ、それ危なくない? それにバット無いし……」

 

 

 由比ヶ浜らしい優しい反対だった。

 その言葉に周囲も同意しているような空気を出している。

 

 すると戸部はドンッと自分の胸を叩いた。そしてさっき戸部が売店で買い物をした袋を漁る。すると”子供チャンバラ”と書かれた棒が出てきた。

 

 

「これ面白そうって思って買ってきたんよ! これなら痛くないし、面白くね?」

 

 

 そう言いながら戸部はその棒で自分の頭を叩く。ぱこぱこ、とコミカルな音を出しながらぐねぐねと曲がる棒。

 確かに、その動きは柔らかく、全力で叩いてもたいして痛くない。振る度に良い音が出る。

 

 その実演に安心した由比ヶ浜は”それなら……”と安心したように座る。

 

 

「で、一番誰?」

 

 

 すると雪ノ下がスッと手を挙げ、立ち上がる。

 

 

「私ね。お借りするわ」

 

 

「……四番は、俺だ」

 

 城山が震えた声でクジを出し、前に出る。ようやく筋トレ以外の罰が城山に下された。

 

 雪ノ下は棒の握りを確認し、ブンッ、ブンッと降りながら城山に近付いていく。城山は椅子に手をつき、ケツを差し出した。

 

 

 

 

 

 

「では、いくわね?」

 

 

「あ、ああ……」

 

 

 棒を構える雪ノ下に震えながらケツを突き出す城山。

 そして、雪ノ下は一切容赦なく振りかぶり、素晴らしいフォームで城山のケツ目掛け、振り抜いた。

 

 

 

 ズバァアアン!!!

 

 

「ア゛アァー!!」

 

 

 

 

 

 

 その一撃に、城山はフラフラと座り込んだ。

 

 

 雪ノ下は棒をふむ、と眺めている。

 

「思ったより音が出て、振りやすいわ。子供が遊ぶには危険も無く解りやすく派手で、とても良い道具ね」

 

 

 子供チャンバラと書かれた棒に賛辞を送る雪ノ下、その背後でよろよろと地面に座り込む城山。

 

 

 

「だ、大丈夫? ……城山君」

 

 

 戸塚の労いに、城山は”うぅ”と唸る。

 

 

 

「痛くはない、痛くはないのになんだこの精神的ダメージは……」

 

 

 何かで心が折れ、立ち上がる事が出来ない城山。こうして、城山無双は崩れ去った。

 

 

 

 ドンマイ、城山。

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーー

 

 

 10回目の命令。

 

 

「王様だ~れだ!」

 

 

「やったー! 私です私です! やりました!」

 

 

 

 

 一色が嬉しそうにぴょんぴょん跳び跳ねる。本当に嬉しかったようでスカートに意識がいっていないのかちょっと危なっかしくて俺は目を逸らす。

 

 

 すると周りにいたのは”なんでも良いけど肉体系は勘弁してくれよ”そんな視線を送る全員(戸塚はワクワク)。

 ちなみに既に皆かなりの数筋トレさせられている。雪ノ下も回数は少ないのにフラフラだ。

 

 城山も心がポッキーしてからあまり調子が良くない。筋トレもマラソンも、心が折れたら辛いよな。

 そんな皆の視線に一色は気付いたのか命令を言おうとして引っ込め、再び命令を考え直している。

 

 

 ん~、と思案し一色は思い付いたようで”はたっ”と手を叩いた。

 

 

「んじゃあ~、四番が好きな人を発表する、とかどうです?」

 

 

 ざわっ……。

 

 

 

 一色の命令に皆旋律しざわつく。

 

 由比ヶ浜は自分の番号を見た後、バッと振り返り俺を見て、すぐに一色に向き直った。

 

 

「さ、流石にまずくないかな? かな!?」

 

 

 流石に思い人を明かされる事に抵抗があるのか大慌てで命令に対し反対意見を出す。あまりに慌ててしまい、口調が変わってしまっていた。

 そのうち”はぅ~、ゆきのんお持ち帰りぃ~!”とか言い出しそう。

 

 

  一色も言ってまずいと思ったのか、あちゃ~っと命令を撤回しようとする。

 

「ま、まあ確かに不味いですね、すみませんでした……」

 

 

 命令の変更を受け入れる一色に周囲もホッとした空気に戻った。

 が、それを許さない氷の女王がこの場に存在した。

 

 

 

「駄目よ」

 

 

 周囲の空気を押し返し、静かなトーンで力強く否定する雪ノ下は俺に一瞥視線を送ると、小さくため息をついて一色に向き直す。

 

 

「今の命令は盟約にも違反していないし、一度番号を宣言して命令を変えるのは、今後も反応を見て命令相手に目星を付ける輩が出かねないわ。次は控えるにしても、今後の遂行の為にも実行するべきよ」

 

 

 そんな汚い奴いるのかよ。一体どこの誰だよ。その手があったか。

 

 しかし、これでこの命令を遂行しなくてはならない空気が出来てしまった。

 

 皆が視線を気まずそうに交差させた。

 ……気のせいか多くの視線を感じる。

 

 

 しかし残念ながら俺は四番じゃない。

 

 自分の番号を見せてやる。するとそれに習い、それぞれ番号を出し始めた。

 

 

 緊張した空気が流れる。

 次々と出される番号に、とうとう四番が名乗り出た。

 

 

 もじもじと体を揺らし、頬を染めながらそいつが手を上げる。

 

 

「お、俺だわ……」

 

 

 

 ……戸部翔だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いや~、ヤバイわ~。恥ずかしいでしょ~。え~、言わなきゃダメ系~? いや緊張するわ~。え~、マジ? いや~、言えないでしょ~!」

 

 

 

 モジモジ。

 

 

 

 …………。

 

 

 

「いや、言うのメッチャ恥ずかしいんだけど! でも命令だしな~。仕方ないか~。 仕方ないから勇気だすわ~。んっとね……、っか~! やっぱ言えないわ!」

 

 バンバンッ!

 

 

 …………。

 

 

 

 

 …………チッ。

 

 

 

 

 …………。

 

 

 

 

「でも命令絶対だしな~? んじゃ言うわ! 実は同クラなんだけど~、あ、もう解る? 解るか~! ヒントあげすぎたわ~! もう解った?ん?ん?」

 

 

 ………………。

 

 

 …………ックシロヨ……。

 

 

「んじゃ発表~、実は、海老名さんでした~! っか~! やべ、マジ恥ずかしいでしょ~。ね? 城山!な!」

 

 

 

 

 

 

 …………。

 

 

 

 ……ふぅ。

 

 

 

「皆さんすみませんでした。もうこんな命令絶対にしません」

 

「いえ……、一色さんの責任では無いわ。私の融通が効かなかったのが悪かったのよ。ごめんなさい。心から反省するわ」

 

 

「気にすんな。仕方ねぇよ」

 

 

 

「あんれ~? どうしたのよ、皆して! え?何々?」

 

 

 この時皆が鎮まりかえり、同じ気持ちでテントの時間を過ごした。あの戸塚すら終始真顔だった。

 

 皆がこの戸部ショックから立ち直るのに、10分程時間を必要とした。

 

 

「あんれ~? どしたの~? あんれ~?」

 

 

 

 

 さっさと次のゲームに移ろう。そして俺はクジに手を伸ばす。

 

 皆が手を伸ばす前にクジを観察した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーー

 

 

 15回目の命令。

 

 

 

「王様だ~れだ!」

 

 

 皆の掛け声に俺はニヤリと笑った。

 

 

「俺だ……」

 

 

 

 俺が割りばしをかかげると、皆からブーイングがあがる。

 

 

「またヒッキー!? なんか少し多くない?」

 

「先輩イカサマしてるでしょ! クジ見せて下さい!」

 

 

 構わない、と二人にクジを渡すも二人は首をかしげて目印が無いかを調べている。だが、そのクジには不審な点が存在せず、疑いの眼差しはそのままに俺にクジを返してきた。俺はその王のクジを受け取り命令を下す。内容は1、3、4番がスクワット10回だ。

 

 

 

「また俺!? もう筋トレの命令の的中率半端ないんだけど!」

 

 

「八幡!もう、もう筋トレは嫌だ! なんで楽しい肉パーティでこんなに体を鍛えねばならんのだ!」

 

 

「うるさいぞ愚民、さっさと筋トレしてその腹に貯めたエネルギー消費しろ」

 

 

「……筋トレで、筋トレで良かった……」

 

 

 戸部、材木座、城山が前に出る。

 

 

「シュッ! シュッ!」

 

「ぬんっ! ぬんっ!」

 

「暑苦しいよ~、この二人に挟まれてスクワットするの暑苦しいよ~。」

 

 

 嘆く材木座を眺めながらご機嫌な俺。でも暑苦しいのはお前もだからな? コート脱げよ。

 

 ニヤニヤと笑いを浮かべていると、鋭い鷹のような目の雪ノ下がいた事を俺はこの時気付いてはいなかった。

 

 

 今は俺の王様率は二、三割だ。大丈夫、十の盟約を守り楽しく参加させて貰っている。

 ただ、俺には王さまのクジがどれか他の奴等より判別が付きやすいというだけだ。

 

 クジは割り箸、あれから俺は引いたクジを戻す度に割り箸の角に爪を立てた。見た目では殆ど解らない程度の跡をつける。普通は気付かない僅かな違いでも、付けた本人にはその小さな間違いはハッキリ解る。

 

 ここで王様のクジには何もしないのが重要だ。イカサマを疑われたらまず王様のクジに対して目印を疑う。現に一色は王様のクジを凝視していた。

 しかし、俺が目印を付けたのは王さま以外で、それも三、四本位だ。

 

 あくまで王様を引きやすくしただけ。欲を出し過ぎず、確率をあげただけ。

 

 本来ならこのやり方でこの程度なら疑われるはずでは無かった。だが、普段の行いのせいかすぐに疑われてしまったみたい。俺ってそんなにいつも卑怯ですかね?(ゲス顔)

 

 

 

 王様ゲームの勝利の手段、それは命令で追い詰め脱落させる事だ。このゲームの勝利が見え、俺は微笑を浮かべる。

 

 

 

 

「さぁて、次のクジ引くよ~!」

 

 

 由比ヶ浜の号令に皆が集まる。

 さて、次も楽しみますか。ウキウキ気分でクジを差し出す由比ヶ浜の所に歩みより、クジに手を伸ばす。

 

 

 ……が、俺がクジに手をかけるか否かの所で雪ノ下が横から俺が狙っていたクジを掴んだ。

 

 

「……なに?」

 

 

 

 

 雪ノ下が勝ち誇ったような顔で俺を見ている。

 

 

 ……やむなく俺は違うクジを掴む。そして一斉にクジを引いた。

 

 

「王様は私よ。ひき……いや、三番はクジを作り直しなさい。何故だかクジを見分ける人がいるみたいだから」

 

 

 なん、だと……?

 雪ノ下の司令に眉をひそめてしまった。

 

 

 そして雪ノ下はクジを火に投げる。

 因みに三番は俺だった。やむ無くクジを作り直しを始めた。

 

 くっ……。

 

 

 

「あれだけこのゲームに反対していた貴女が毎回必ず一番にクジを引きに行く。貴方らしくない行動の早さだわ。これから定期的にクジを作り直す。下手な小細工は通用しないわよ?」

 

 

 

 クジの形を細工しようとしても雪ノ下が目を光らせている以上それは出来ない。俺は綺麗にクジを作り直すしかなかった。

 

 

「毎回クジを作り直していたら、お前もクジに目星をつけにくくなる。それはつまり由比ヶ浜にお前の攻撃的な命令をやらせる可能性もあるって事だ。いいのか? そんな消極的で」

 

 

「例え由比ヶ浜さんだってこのゲームに参加した以上は覚悟の上でしょう。私に揺さぶりをかけても無駄、よ。でもその挑戦的な目は気に入らないわ。すぐに潰してあげるから覚悟しなさい」

 

 

 雪ノ下の宣言に、俺も睨み返す事で開戦の合図となった。俺たちはこの一回でさらなる王を巡る謀略が始まった。

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーー

 

 

 20回目の命令。

 

 

 俺が皆にクジを引かせる番になる。

 クジを引かせる人は不正を防ぐため皆が選んで余った物を取るのがルールだ。

 

 

 周りを見渡す。

 皆それぞれ楽しそうに話をしている。不自然な動きなどせず俺はクジを順番通りにぎり、皆に手を伸ばす。

 

 材木座がつかみ、一色が掴み、皆が一斉にクジを掴んだ。

 

 さて、引くか。一斉の~。

 

 

 その時、由比ヶ浜がクジを変える。

 俺が取るはずだったクジに取り替えたのだった。

 あからさまな警戒だが、残念ながら俺の仕込みはそれじゃない。

 

 

「王様だ~れだ?」

 

「我であるぅ!!」

 

 

 材木座が飛び上がるように立った。因みに材木座は初王様。

 

 

「やっと……、やっときた……。我が世の春がきたぁああ! 全員ひれ伏せ!! フハハハ!」

 

 

「はい三人以上に命令したから炭酸一気飲み~」

 

 

「いやいやいや、今のは違くね? 今のは違うぅうう!!」

 

 

 必死な材木座。冗談だよ、皆が笑った。

 

 

 

 

 この結果が俺の仕込みだ。

 クジを引かせる人間が意図的に王様のクジを残らせる事は不可能に近い。マジシャンみたいにすり替えるとかは専門の技術が無くては出来ないし、引かせたいクジを引きやすいよう動かした所で色々な考えを持った人間が多数いる以上確実に引かせる事は無理だ。

 

 だけど王様を誰かに引かせる事は出来る。

 俺は材木座に机の下で番号を示した。

 

 

 

 予め材木座には俺がクジを引かせる番になったら、親指に握ったクジを引けと指示をしている。念のため皆の会話の様子を見て材木座が早めに引けるタイミングにクジを差し出した。

 

 代償として俺の番号を呼ばない事を約束させている。

 

 これで材木座は王様になる事が出来るし、俺が命令される危険を減らせる。まさにウィン&ウィンの関係だ。

 周りに小さなルーザーを押し付け相互に利益をえる。これがビジネスの基本だよね?

 

 イカサマの基本は調子に乗らない事。

 小さな利益を少しづつ積み上げれば良い、それだけで十分なんだ。結果、俺の危険を減らしつつ材木座の勝利を稼げる、逆もまたしかり。今まで何故か王様になれず勝ちに飢えていた材木座、交渉は簡単だった。

 

 

 

 さて、王様。なんなりと命令を。

 自分が関係無い所で王様の我が儘を見る分には楽しいものだ。そう余裕を持って材木座の指令を待つ。

 

 

 しかし、その時一色の手からクジがするっと手から落ちる。そこには6と、書かれたクジがあった。

 

 

「あ~、クジ落としちゃいました~! すみませ~ん、ドジっちゃって~。あれ? こんな時どうなるんでしたっけ、せんぱ~い」

 

 

「……王様以外、引き直しだ」

 

 

「あ、そうでした~! じゃ引き直しますか。良いですよね? せんぱ~い」

 

 

 戸部とかに気をつけろよ~? とか言われている一色。てへっと頭にコツンとげんこつを当てる。

 

 そしてニヤリと笑い、俺の耳元で囁いた。

 

 

「先輩の事、私ず~っと見てますからね?」

 

 

 その声に、ぞわっと背筋から震えた。

 なにそれヤンデレなの? ていうかふ○っし~を根に持ち過ぎじゃね?

 

 

 こんな中材木座に俺の番号を教えたら、材木座との共犯がバレてしまう。

 

 もはや敵は雪ノ下だけじゃない、一色も、なんとなく由比ヶ浜の視線も感じる。

 イカサマを疑われている時点でイカサマは達成しずらいのは仕方ない。もはや様々な小細工を仕込む事がほぼ不可能になった。

 最初に恨みを買ったのが何よりの間違いだった。やむ無くクジを回収し、やり直す。

 

 

 王様、命令は自重しろよ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気を取り直してクジを引き直し。

 材木座は改めて命令を出す事になった。

 

 

 材木座はう~む、と悩んだ跡とんでもない命令を出す。

 

 

「一番は王様にあ~ん、である! どうだぁ!」

 

 

 とんでもない命令を口走った材木座に俺は立ち上がり制止する。城山も戸部も焦っていた。

 

 

「待て、待て待て待て」

 

「なんだ八幡! 我が一生に一度参加出来るか否かの王様ゲームなのだぞ! なら、なら少し位、少しだけでも美味しい思いしても良いじゃない!」

 

 マジに懇願する材木座。コイツに俺は解らせてやらなければならない。別にそこは問題じゃないんだよ。

 

 

「お前な、美味しい思いなら構わない。別にセクハラとまで言わないレベルの命令だ。けどな、戸部ショックを忘れたのか……」

 

 

 俺の言葉にハッとなる材木座。

 

 そう、コイツの望み通り女の子ならまだ良い。

 だがあ~んをするのが俺とか戸部とか城山ならどうなる? 寒いですよ~?

 

 どうやらそれをようやく想像出来たようで材木座はその想像に顔を青くする。

 

 

「だ、だが確率的には当たりの方が多いのだぞ! 男子でも戸塚なら寧ろバッチ来いだし!」

 

「そう上手くいくわけがねぇだろ。絶対に城山だ。城山にあ~んされるに決まってる」

 

 

 

 嫌だぞそんな物見せられる上に、なんか居た堪れない空気になってしまうの。

 それを誤魔化す為に城山が照れた顔で微笑んだりしたらもうたまらない。

 

 

 しかし、そんな会議お構いなしに一番の持ち主が名乗り出る。

 

 

「一番は私ね。由比ヶ浜さん、あ~んとは何かしら?」

 

 

 ……なん、だと……?

 

 そこには悔しそうな雪ノ下が手を挙げていた。

 

 

 

「ツンデレメイドきたぁああ!!!」

 

 予想外の材木座の引きの強さに驚く。絶対に城山が来てウホッ的な感じになるとばかり……。

 

 由比ヶ浜が丁寧にあ~んについて教えている。

 

 

「なるほど。彼に何か食べさせれば良いのね?」

 

 雪ノ下が箸を取り材木座に向かった。

 ドキッと姿勢を正すと材木座はそわそわと椅子に座る。

 

 

 雪ノ下が丁寧に肉を取り、材木座に面して椅子に座る。その振る舞いは服をメイド服に変えてもまるで違和感がないほど洗練されていて優雅で、目を離せなくなる。材木座はドキドキそわそわと待ちわびた。

 

 

 そして雪ノ下から箸で掴んだ肉が差し出される。命令した癖に、緊張のあまり材木座が硬直してしまった。雪ノ下はその姿にこう言葉を投げかけた。

 

 

「さっさと口を開きなさい。何をボーッとしているの? 食べさせて貰う立場でありながら、なんて図々しいのかしら」

 

 

 その言葉は、態度は、皆が夢見るお世話好きのメイドさんの姿では無く、高慢に、冷たい態度のいつもどおりの雪ノ下だった。

 

 

 材木座も皆も固まる。

 

 

「……あ、あの、もっとおしとやかに王様にするように、さ。あ~んとはもっと優しくさ……。メイドのごとく……」

 

 

「食べさせてあげているのは此方でしょう? 何を甘えた事言っているの。自分で物すらを一人で食べられない無能な王様に控える必要は無いわ。さっさとしなさい。私は命令に従う義務でやってるだけなの。貴族に使えてるメイドと同じ、仕方無くよ。解るかしら?」

 

 

 まあ現実のメイドはそうなのかもしれない。

 ある意味リアルなメイドさんだわ。

 

 キョドりながら材木座は口を開く。

 

「はいあ~ん。終わりね。簡単な命令で良かったわ」

 

 

 さっさと肉を口に突っ込み立ち上がる雪ノ下。

 

 材木座は女の子にあ~んして貰ったのにかえって元気を失っていた。妄想と現実の差に、材木座は打ちひしがれてしまった。

 

 

 こうして二人目の心ポッキーが生まれる。

 

 どんまい材木座……。

 

 

 ーーーーーーーーーー

 

 

 

 25回目の命令。

 

「王様だ~れだ!」

 

 

「あ、僕だね♪ やったぁ!」

 

 

 嬉しそうな戸塚。えへへと笑うその顔に癒される。マジ命令じゃなくたって言う事聞いちゃう。王様が戸塚なら、その国でだったら社畜になって王に尽くすまであるな。

 

 そして優しい微笑みで命令を出す戸塚王。

 

 

「えっとね……、屈み跳躍30回っ♪」

 

 

「」

 

 

 そして容赦なく、戸塚は俺の番号を読み上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ウォオオオオ!!!

 

 

「頑張って♪ 八幡!」

 

 

 

 

 

 

 

「なんかさ、さいちゃんの命令、一番容赦無いよね」

 

 

「うん、戸塚怖いわ(マジ話)」

 

「しかもあの笑顔である」

 

 

 

 戸塚から出される筋トレ、寧ろご褒美です。

 気ん持ち良いィイイイイ!!

 ビクンビクンッ(痙攣)

 

 

 

 ーーーーーーーーー

 

 25回目の命令。

 

 

 王様・由比ヶ浜

 

 命令 犬の真似

 

 

 

 そして7番雪ノ下が恐る恐る手をあげる。

 

 

「……私、ね。よりによって犬、なんて。せめて猫なら……」

 

 

「あ、ゆきのんだったんだ! よぉし、ゆきのん、犬になれっ♪」

 

 

 楽しそうな由比ヶ浜。”くっ”と唸った後に雪ノ下は手を付けて犬座りになった。

 

「わ、わん……」

 

 

「あハハッ! ゆきのん可愛いよ♪」

 

「雪ノ下先輩、可愛いですよ! 写真撮るんでこっちに視線お願いします♪」

 

 

 

 悔しい、と目を伏せる雪ノ下。

 

 くっころが良く似合っていらっしゃる。姫騎士雪ノ下に精神的ダメージが与えられた。

 

 ーーーーーーーーーー

 

 25回目の命令。

 

 王様 戸部

 

 命令 ケツバット

 

 実行者 一色

 

 食らう人 城山

 

 

 

「え~、城山先輩にって、凄いやりにくいですけど……。先輩なら容赦なく振り抜いてやるのに……」

 

 

 嫌だよ。

 正直この命令だけは受けたくない。

 

 なんて~か、色々失いそうだよな。

 城山も非常に悔しそうにケツを差し出す。

 

 

「くっ、もういっそやけくそだ! 来い一色いろは! 俺を、俺をしばいてくれ!」

 

 

「えぇと、いいんですか?」

 

 

「構わん! 強いのを、強いのを入れてくれ!」

 

 

「……じゃあ……」

 

 

 あんなに遠慮しといて、一色は果敢に素振りをし、そして城山のケツ目掛けて思いきり振り抜いた。少し楽しそうに。

 

 

 

 バシィイイン!!!

 

「ぐぁあああ!!!」二回目

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハァ……ハァ……。

 

 

 激戦が続く。

 

 

 あれから御互い様々な工夫で出し抜き合う。

 

 

 

 クジのすり替え、クジの偽物作り、

 誘導尋問、動作や表情の読み合い、裏切り、容赦無い命令。

 

 

 

 

 

 ギリギリの策で中々接戦の王様ゲームとなっていた。

 それぞれの長所を活かして、皆が全力で見事に戦っている。

 

 いよいよもって皆がラストスパートへと近づいていた。

 

 

「なぁ、そろそろ終わらないか? 諦めろよ、なぁ?」

 

「あら、ハァ、比企谷君、リタイアかしら? も、持った方じゃ、無いかしら?」

 

「もう諦めるが良い、貴様に、勝ち目は、無い」

 

 

 

 お前らの為に言ってやってるのに、息も絶え絶えの癖に強がりやがって……。

 小細工が出来なくても、ぼっちで鍛えた人間観察力なめんなよ。

 

 

 城山すら辛そうにしている。

 王様ゲームももはや佳境だな。仕留められるか、仕留めるかのタイミングだ。

 

 そう認識し、クジに手を伸ばした。

 

 

「タイム!! いやいやタイムタイム!」

 

 

 すると戸部が騒ぎだした。

 なんだよ、休憩の暇なんて与えないぞ?

 

「いや違うから! これ耐久を競うゲームでもなければ、心理を読むとかそんなゲームじゃないから!」

 

 

 

 言われて皆御互いを見渡した。

 

 違うの? いかに周りを出し抜いて、いかに周りの人間を屈服させるかが王様ゲームじゃないのか?

 

 

 王様ゲームとはそういうゲームだと、途中から理解したのだが。

 

 

 

「いや、多分、違うと思うよ……」

 

 

「勝ち負けじゃないんよ!」

 

 

 由比ヶ浜も困った顔をしていた。

 

 なんだよ、王という権力を取る為に皆が策略を巡らせ、そしてチャンスを掴んだならそのチャンスを活かしてライバルを蹴落とすという見事なまでの王様の取り合いを再現したゲームだな、なんて神ゲー認定しそうにまでなっていたのだが。

 

 ともあれ、二人の訴えに俺達も一旦クールダウンする。

 

 

 

 ……確かにちょっと熱くなっていたかも知れない。

 

 屈辱的な命令や、キツい命令をこなしているうちに、絶対に王様になってやり返す、そんな風に考え始める内に如何にして周囲を屈服させるかばかり考えていた。

 やはり戦争は、どちらかが滅ぶまで終わらないのかも知れない、と世界規模でまで王様ゲームの奥深さを感じてしまったまである。

 

 雪ノ下も、一色も、息切れしながらムキになっていた自分に気付き、髪を整え咳払いを一つ。

 皆が落ち着いたのを確認すると、由比ヶ浜はにこりと笑い、クジを差し出す。

 

 

 

「んじゃ、最後に一回やって終わろっか! はい、クジ。最後は皆楽しく、さ♪」

 

 

 

 差し出されたクジを、皆が落ち着いた様子で受け取っていく。

 とは言っても、命令にワクワクとか無いだろ? 俺なんて、もうやり返される心配が無いから凄まじい命令を出す気満々なんだけど。

 

 

 リア充の楽しみ方とか知らないしな。まああいつらは基本エロ目的だろうけど。

 

 

 

 

 

 

 

 最後の王様ゲームのクジを引く。

 

 皆それぞれ、笑顔でハラハラしながらクジを見た。まあ、なんだかんだ言っても、こんな風に自分の番号を見るワクワクや、命令をされるハラハラ感。

 

 最初に一色が言っていた事も、少しだけ理解出来たような気がした。

 

 

「王様だ~れだ!?」

 

 

 最後の王様は誰だ?

 皆が一斉に顔をあげる。

 

 皆ドキドキしながら御互いの顔を見た。

 

 

「あ、私だ!」

 

 

 そして、最後に王様就任したのは、由比ヶ浜結衣、彼女である。

 

 

「さ、王様、なんなりと命令を!」

 

 

「しっかりと仕留めるのよ? 由比ヶ浜さん」

 

 

「由比ヶ浜先輩、トリに相応しい命令をお願いしますよ?」

 

 

 皆からの激励に由比ヶ浜はう~ん、と唸りしばし考えた後、思い付いたように微笑み、命令を出した。

 

 

 

「じゃあ、私からの命令ね? また、この皆で集まって、こうして思い出を語って、ゲームして、楽しい時間を一緒に過ごそうね?」

 

 

 そして由比ヶ浜はニッコリと皆を見渡した。

 最後のトリとして、由比ヶ浜らしい、最後の優しい命令だった。

 

 

 

「……三人以上に命令したから炭酸一気飲みな?」

 

「え!?」

 

 

「よっしゃ! 俺スペ翔ブレンドっしょ! メロンソーダ6に、コーラ3……」

 

 

「いや、え? 今の命令はさ……。いやヒッキー、戸部っち、空気読めし!」

 

 

 空気読んでるからこう言ってんだよ。

 照れ臭くて、恥ずかしくてあんな空気でいられっか。

 

 

 戸部から出されたブレンド炭酸を涙目になりながら一気する由比ヶ浜。

 

 皆、コールしたり手を叩いたりしながら応援をする。なんだかんだ、最後は由比ヶ浜のリアクションに、悲鳴に、皆が笑ってこのゲームを締めくくった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 というか肉どうなったんだよ?

 

 

 結局、俺の目論みは戸部のノリで返され、一色達に流され、由比ヶ浜の優しさで終えられてしまった。

 

 

 ……まあ、良いか。

 肉については、今楽しそうな空気が収まってから決着を着ければ良い。なにやら普通と違ったらしいが、こんな優しい王様ゲームも良いのだろう。

 

 テントに響く笑い声を聞きながら、俺は一気飲みする由比ヶ浜を笑わしにかかった。

 

 

 

 そして、間違った王様ゲームは綺麗に幕を下ろす。

 




続く

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