人外になった者   作:rainバレルーk

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今回、最後らへんでアキトが・・・・・

アキト「・・・なんだよ?」

それではどうぞ・・・

アキト「ちょ、最後まで言えよ!」



戦夜一夜のホテル6

 

 

「アームストロング家に代々伝わる防御錬金術ゥウ!」

バ――ン!

 

アームストロングが錬金術で壁を造り、屍喰鬼の蔓延を防ぎ、シェルスとシュトロハイム並びに米軍がそれをサポートする。という防御と攻撃を合わせた連携により、ホテルの外の喧騒は終息に向かっていった。だが・・・

 

 

「ッ! おい! アレ!」

 

「マジかよ?! 救助だ、救助! 要救助者だ!」

 

ホテル内の屍喰鬼を完全に閉じ込める壁を錬金術で錬成する直前に窓から血みどろの黒い鎧が落ちてきた。フラッグ達だ。

最初はフラッグ達までも屍喰鬼になっているかと危惧していたがシェルスの『検査』により、屍喰鬼でない事がわかり、救助される。

その後、二人は比較的安全な作戦本部まで連れて行かれるとホテル内の状況を洗いざらい話す。

 

 

「ウソだろ・・・・・」

 

「そんな・・・バカな・・・!」

 

二人の話す内容に関係者達は驚きの色を隠せずにいる。世界最強の兵器であるはずのISが実体が不確定で曖昧な吸血鬼などという存在にボロ負けしたのだから。

それを隣で聞いていたシュトロハイム達が「やっぱりか・・・」と溜め息混じりに呟く。そんな雰囲気の中でただ一人・・・

 

 

「それでアキトは今、どこにいるの!?」

 

シェルスだけがアキトの居場所を聞いていた。

 

 

「え・・・アキト・・・って?」

 

「貴女達と合流した黒髪の男よ!」

 

「黒髪の・・・あぁ! 暁青年か! 彼はアキトと言う名前なんだな・・・」

 

状況を話していたリタルが少し顔を赤らめながら、アキトの名を呟く。

 

 

「そうよ! その暁アキトはなんで貴女達と一緒にいないの?! 一体どこに?!!」

 

「そ、それは・・・私達もわからないんだ」

 

「ハァア!?」

 

「彼と一緒に行動していたんだが・・・いつの間にか外に・・・・・」

 

「っっっ~! あのバカ!!!」

 

ゴンッとシェルスは鉄製の机をへこませ、怒りを露にする。

 

 

「ちょ、落ち着いてくだされヴィクトリア殿!」

 

「これが落ち着いていられるかぁ!! これからホテルに戻ろうにしても少佐の壁を砕けば、屍喰鬼共がまた溢れ出る! どうすりゃいいのよ!」ガシリ

 

「ぐぇええッ!? お、落ち着いて~!」

 

シェルスはアームストロングの首を掴んで振り回す。

 

 

「・・・心配なんだな、君は」

 

リタルがシェルスに言葉をかけるとシェルスは

 

 

「当たり前よ! 早くしないとホテルにミサイルが落ちてくるんだから!」

 

とんでもない事を口にする。

 

 

「・・・・・・・・はァ!?」

 

リタルは驚愕の声をあげる。そう、ホテルの屍喰鬼を完全に駆逐する為にホテルをミサイルで破壊する事が軍部により決定したのだ。

 

 

「ど、どうしてそんな事に?!」

 

「上のバカタレ共が判断したのよ! 糞ッタレが!」ザンッ

 

「「「ッ!?」」」

 

口が悪くなるシェルスは今度は机を蹴りあげる。蹴りあげられた机は真っ二つに千切れる。そんな中・・・

 

 

「大佐! これを!」

 

シュトロハイムの部下が一つのPCを急いで持って来るとそれをシュトロハイムに見せる。

 

 

「なんだ? 今・・・ヴハッ!? グワハハハハハハ♪」

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

シュトロハイムは驚き、吹き出す。そして盛大に笑い転げる。周りは驚き、怪訝な目で見る。

 

 

「ど、どうしたでござるか? シュトロハイム大佐?」

 

「いやな・・・ワハハハハハハ♪ 今やってるニュースが・・・ワハハハ――「うっさい!!」――げばッ!」

 

笑いを抑えてるようで抑えてないシュトロハイムの腹をシェルスが殴る。殴られたシュトロハイムは倒れるがそれでも笑う。

 

 

「シュトロハイム・・・貴様、よほど鉄屑にされたいらしいわね? てか、何を見て笑ってるのよ?!」

 

シェルスはポキポキと拳を鳴らし、シュトロハイムからPCを奪い取り、画面を見る。

 

 

「って!? 何よコレぇええッ!?」

 

画面には今、生放送でニュースが放送されている。

そこで中継されている内容はホテルの屋上で向き合う赤い鎧を装備したアキトと白いコートとハットを被った男。それを囲む武装する屍喰鬼達。後ろには拘束された生存者らしき者も見えたのだ。

 

 

「そう言えば、ボーデヴィッヒ少佐は?」

 

「え? 確か野次馬共の護衛にまわっていたはずじゃあ・・・・・?」

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

ホテル屋上のヘリポートは異様な雰囲気に包まれている。

アキトの目の前にはさっき投げつけた白い手袋をはめる髭面の男、トバルカインがいる。周りは武装した屍喰鬼共が二人を囲む。

 

 

「どうしたんですか? 暁のアルカード?」

 

「いや・・・それで俺はどうすりゃいいのかな?」

 

アキトは眉間に皺を寄せてトバルカインに尋ねる。トバルカインは内ポケットから取り出した煙草に火をつけ一服する。

 

 

「なら、そのISを解除して体から外してもらおうかな」

 

「なにッ!? ISだって?!!」

 

トバルカインの言葉に食いついたのは二人を後ろで見るウィルだ。

 

 

「まさか『暁のアルカード』ってのは――」

 

「・・・・・朧?」

『え、しかし!!――「いいから」――・・・御意に』カシャン

 

アキトは言われた通りにISを解除し、待機状態の朧を足元に置く。朧が解除された事により、赤い鎧から黒一色のアンダーアーマーの姿へと変わる。

 

 

「――『男のIS操縦者』!?」

 

ウィルはビックら仰天して顎をあんぐりと開ける。隣で拘束されていたギルベルトも驚く。

 

 

「まさか男性IS操縦者だったとは・・・いやはや・・・これは驚きですな」

 

「?・・・??」

 

クラウス少年は何が何だかわからないようだ。

 

 

「で? 言われた通りにしたけど・・・どうするよ? 殴り合う?」

 

アキトはポーズをとる。

 

 

「まさか本当に解除するとは・・・・・だが、好都合」

 

「おん?」

 

「IS無しでの貴方の強さ、計らせてもらおう!」ゴソッ

 

「ッ!? ソイツは・・・・・!」

 

トバルカインは内ポケットから掌大の『六角形の鉄塊』を取り出し、アキトの顔が歪むのを確認したトバルカインは『核鉄』を構え『覚悟』を叫ぶ!

 

 

「『武装錬金』!!」

 

「「「ッ!?」」」

 

核鉄が光り輝くとトバルカインの周りを幾つもの『トランプカード』が飛び回る。

 

 

「No.22の武装錬金『フォースアルカナイト』。これで貴方の命、討たせて貰う」

 

「・・・うそ~ん・・・・・」

 

トバルカインの台詞にアキトは少々困った顔をして、戦闘体勢をとる。

それは左腕を盾のように突きだし、右腕を槍のように構える。まるで『古代ローマの重装歩兵』のようだ。

 

┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"・・・

 

二人を中心に周りの温度は下がっていく。

 

 

「・・・・・」

「・・・・・」

 

両者は何も動かず、相手の出方を伺う・・・

 

 

「これが・・・これが牙狩りと吸血鬼の闘争・・・! ぶつかる前からなんて異様な空気・・・なんて恐ろしい圧迫感・・・!」

 

遠目から二人を見ているウィルはガチガチと顎を震わせ、手に汗を握る。

 

 

「・・・!」

 

ウィルの隣にいるクラウス少年も目を見開き、ゴクリと唾を飲み込みながらアキトを見る。

 

 

「・・・スゥ~…」

 

戦闘体勢のまま固まっていたアキトが突然、大きく息を吸い込んだ。肺にある肺胞全てをパンパンに膨らませる程に吸い込むと・・・

 

 

「『WRYYYYYYYYYYYッッ!!!』」ダッ

 

脚の力を爆発させ、トバルカインに飛び込んだ!

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

その日、ラウラ・ボーデヴィッヒは頭痛によって起こされた。

昨晩シェルスにより飲まされたテキーラで頭は金槌で打たれるように響き、胸焼けが止まらないという最悪のコンディションで出撃した。

 

 

「な・・・なんだコレは・・・!」

 

そこで彼女が見たものは信じられない光景であった。

ホテルから溢れるオドロオドロシイ人の形をした化物共。

戦場を知る彼女にとってもそれは異様であり、奇妙であった。そして何よりもその化物達と戦う彼等がラウラ・ボーデヴィッヒには夜空に輝く星のように映る。

 

 

「快感だゼぇえ――ッ! がぁ――ハッハッハッ!!」

 

ひどく大口を開けて笑い、毎分800発もの弾丸を発射できる自慢の重機関銃で敵をほふる我等がドイツ軍のシュトロハイム大佐。

 

 

「ヌゥう――ッん!!」

 

獣のような唸り声を上げ、両手にはめたナックルと不思議な能力で敵を潰すイギリス軍のアームストロング少佐。そして・・・

 

 

「腸を~・・・・・ブチまけろッ!!!」

 

ステップを踏み、舞を踊るように赤い戦鎌を振るい敵を切り裂く恋敵? のシェルス。

 

この三人が夜空に浮かぶ綺羅星に見えたのだ。

しかし、それと同時にラウラの心に何時かの虚無感が覆う。『戦いたい!』それが彼女の思考を埋めた。

だが・・・彼女は理性ではなく、本能で理解していた『自分では敵わない』と・・・

 

そんな思いを抱きながら、化物共と戦う綺羅星達を遠目にラウラは市民の避難を促していた。

 

 

 

それから幾時が経ったであろう・・・

三人の活躍により、外にいた屍喰鬼を粗方片付け、アームストロングが屍喰鬼がもう出てこないように錬金術で蓋をする。それで漸く、軍並びに警察、市民の負傷者の手当てに人手が回るようになった。

そんな時である・・・・・

 

『ホテルに立て籠る危険人物達を一掃する為、爆撃をする』という「ハァッ!? フザケてんのか!?」と誰かが叫ぶような緊急通告が作戦本部に飛び込んで来たのだ。

 

これにラウラは皆と同様驚愕したと同時にホテルに突入しているアキトの事が頭を過った。

 

 

「また・・・・・また私は『失う』のか・・・?」

 

彼女の奥でアキトによって封じ込められた『マイナス』が顔を覗かせる。

 

 

「・・・嫌だ・・・・・アレはもう嫌だ!」

 

「ちょッ!? 少佐、どこへ?!!」

 

部下の制止も聞かずラウラは愛機『シュバルツア・ハーゼ』のエンジンブースターに火を噴かせ、星がちらつく空へと飛翔した。

 

ラウラはまずアキトの専用機『朧』の反応を追って、ホテルの上へ上へと上っていく。

 

 

「速く・・・もっと速く!」

 

祈るように声を張るラウラが漸く屋上のヘリポートまで上った時、彼女の眼に最悪な状況が映った。

 

 

「フン」

 

「・・・ぐ・・・げほっ・・・・・!」

 

そこには後ろに武装した屍喰鬼を率い、浮かぶトランプカードを操るコートを羽織った男とその目の前には血みどろの人物が膝まづいていた。

ラウラはその血塗れの人物の名前を叫ぶ。

 

 

「あ・・・アキトォオ―――ッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

←続く

 




いつの間にかピンチの吸血鬼!
そこに急いで現れた銀の戦乙女!

こんな展開に誰がした?!

アキト「お前だ!」

一体どうなってしまうのか?!
デュエルは続くよ、どこまでも!

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