人外になった者   作:rainバレルーk

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「あいうえ!お?」

「あいうえ! お!」に

今回、アレなのもあります・・・



戦夜一夜のホテル3

 

キュ、キュ・・・・・ポン!

 

先にホテルに突入したアメリカのIS乗り達。確か『フラッグファイター』つったけな? ソイツらとの合流並びにホテルの外で暴れる『屍喰鬼(グール)』達の親、『グールマスター』の排除を任された俺は『朧』を展開してホテルの玄関から突っ込んだ。外の屍喰鬼達はシェルス達に任せて・・・

濁流のように襲いかかる屍喰鬼達を千切っては投げ、千切っては投げ、たまに千切った部位を味見をしてホテルのエレベーターに乗り、フラッグファイターの反応を追って、30階のパーティ会場へと向かう。

 

 

カランカラン・・・・・

 

しかし、向かってる途中でフラッグファイター達の機体反応が朧のレーダーから消えた。

「こりゃあノンビリ向かってる場合じゃねぇ!」なんて言いながら、俺は動いているエレベーターの天井をぶち抜き、ブーストを全開にして向かった。

 

だが・・・・・時既に遅く。フラッグファイターの一人が無惨な肉塊へと変わっていたのだ。

されど不幸中の幸いか、まだ残りの二人はISが強制解除していて、屍喰鬼達からボコボコにされてはいたものの、まだ『喰われては』いなかった。

 

 

トクトクトク・・・・・

 

そんな中に屍喰鬼達とは一線を隠す野郎がいた。『吸血鬼』だ。しかも『人工』ものではない、『石仮面』で吸血鬼になった厄介な輩。

何故わかるって? そんな事簡単、俺も『吸血鬼』だから。

 

このバーテン服の吸血鬼がフラッグファイターの一人のISスーツを引き裂き、頸動脈あたりに汚ならしい牙を突き立てようとしやがったので、俺の十八番の鋼糸ワイヤーで辺りにいた屍喰鬼もろともフラッグを掴んでいた腕を切り刻み、その顔面に拳を思いっきり入れてブッ飛ばした。

ブッ飛ばした後、あられもない姿になっちまっていたフラッグファイターの二人に上着をかけ、事情を説明する。勿論の事か、二人は混乱しちまったが無理矢理に肉塊になった仲間を見せて黙らせた。今思えば、酷な事をしたなと反省・・・・・

その後、また俺に襲いかかって来やがったタフなバーテンくんの顎を抉り蹴った俺は二人を抱えてエレベーターに直行。さっさとズラかろうと思ったら、エレベーターは屍喰鬼で満員。流石の俺も怪我人を抱えての処理は難しいと判断。非常階段を駆け降りた

 

 

グイッ・・・グビ、グビ、グビ・・・

 

途中、怪我人の一人が殺意の眼でパーティ会場に戻ろうとしやがったので、取り合えず鳩尾にグーパン入れて黙らせた。そんな事をしてたモンだから、血の臭いを嗅ぎ付けた下の階にいた屍喰鬼共が上がって来る。本部に回線をいれてもヤツらがジャマーを仕掛けていて繋がらない。もう最悪!

悪態をつきながら、俺達はその階『12階』に逃げ込んだ。勿論、非常階段の扉はバーナーでキッチリカッチリ蓋をして。

12階は免税店のようになっていて、上みたいに酷い有り様。千切れた肉片やら血やらで白い大理石の床は赤のフローリングになっちまってる。

しかし、おかしな事にこの階からは嫌なヤツらの気配がしなかった。最初は罠かと思ったが、違うようだ。

どうやらここは『上を攻めるヤツら』と『下を攻めるヤツら』の丁度中間地点になってる事が床にこべりついている血を舐めて読み取れた。しかも全員出払っている。

これを好機とばかりに・・・

 

 

「くぅっっはぁぁあ~~~ッ! 生き返んゼ!」

 

取り合えず店頭に置いてあった上物のスコッチを開けて一息ついている

 

 

「飲んどる場合かぁあッ!?」バゴォ

「ぐえぇッ!? な、何をするんだ――ッ!?」

 

そんな一息いれてる俺の頬をフラッグ1こと『リタル・クルーガ』が殴る。殴られた事でスコッチを注いでいたグラスが床に落ちて弾ける。・・・まだ飲みかけだったのに

 

 

「「何をするんだ――ッ!?」じゃあない! 何を暢気に君は酒なんか飲んでいるんだ?! 頭がイカれているのか?!」

 

「良いじゃあないか! ちゃんと金は払ってるしよ~!」

 

「日本円じゃなくて、$で支払え! それに君は仮にも『IS学園』の生徒だろう? 未成年じゃあないか!!」

 

「カッカッカ♪ ・・・・・何時から俺が未成年だと勘違いしていた?」

 

「ダ、ダにィっ!?」

 

なんかこの人、表情がコロコロ変わっておもしれぇなぁ~

 

 

「そんなに騒ぐなよ。手当てした傷口が開くぜ?」

 

「誰のせいだと思っている?!」

 

「勿論、俺のせい♪」・・・なんて言ったら、ホントに傷口が開きそうだからやめとこ

 

 

「まぁまぁ、取り合えずアンタも飲めよ。気分が少しは落ち着くぜ?」

 

「私はワイン派だぁあッ――!」

・・・ブチリ

 

あ・・・傷口開いた・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

アキトのせい? で傷口がで開いたリタルはもう一度傷口を縫合してもらうと、アキトの持って来た高級ワインボトルを奪い取り、ラッパ飲みをする

 

 

「っか~~~ッ! 美味い! 美味すぎる!//」

 

「よっ! 良い飲みっプリ!」

 

血まみれの大理石の床に腰をおろし、包帯まみれの気絶したミネルバを真ん中にヤケ酒を飲む二人。・・・・・異様だ。

そんな中、程好く酔ったリタルがアキトの襟を掴んで引き寄せる

 

 

「おい、暁青年!//」

 

「なんだいクルさん? てか酒臭ッ」

 

「これからどうするつもりだ?! ヤツらには武器がきかない! しかも再生能力もあると来た! それに対してこっちはボロボロが二人に素人が一人と来た!//」

 

「あぁ・・・そうだな~…てか近いよクルさん」

 

「しかも! 救援を呼ぼうにも無線はヤツらによって使えない! まさに絶対絶命だ! ヂキショウ!//」ゴンッ

「痛"ッ!?」

 

「うわぁぁあッ!//」

 

リタルは赤い顔でアキトの顔面に頭突きをするとそのままアキトに抱き、涙をボロボロと流す

 

 

「え、ちょっと、クルさん!? 酒弱すぎじゃないか?! まだ5分の1も飲んでないだろ? どんだけ下戸なんだ!」

 

アキトは突然の事に戸惑い、アタフタとする。

そんな事を余所にリタルは赤く腫らした眼でアキトを覗く。その眼はどこか熱っぽく艶やかだ。

 

 

「おい・・・・・暁青年・・・//」

 

「な、なんだよ・・・クルさん?」

 

「私を・・・・・抱け///」

 

「・・・・・・・・・・ぎゃ、ぎゃにィッ!?」

 

そう言うとリタルはISスーツを脱ぎはじめた。

 

 

「オイオイオイオイオイッ!? 待て待て待て!落ち着けクルさん! 俺ちゃん展開に着いてけない!」

 

「あんなヤツらに殺られるのならここでアイツらごと自爆してやる。だが、その前に最期の思いでに君に私の『ハジメテ』をあげようと思ってな。なにぶん恥ずかしい事にこの歳で初めてでだな、色々と間違えてしまうかもしれないが・・・ ///」

 

「ちょいちょいちょい、クルーガさん!?」

 

「そんな他人行儀はよしてくれ。『リタ』と呼んでくれ///」

 

「ならリタさん?! 俺の話聞いて?!」

 

「ん? ミネルバの事か? 心配するな。そうなったら一緒に『3P』すれば良い。ミネルバも『まだ』だしな。それに君は私達の命の恩人だ。気にするな///」

 

「そう言う事を言ってるんじゃあないぜ!」

 

叫ぶアキトをこれまた余所にリタルは下の方へと腕を伸ばし、下部武装のベルトに手を―――

 

 

「落ち着け馬鹿野郎!!!」ゴチン

「あうッ!?」

 

――かける前にリタルの頭にアキトの強めのチョップが炸裂した

 

 

「な、何を――」

 

「「何を」じゃあねぇ! 何を勝手に悪酔いしてサカっていやがる?! この阿呆!」

 

アキトは眼を真っ赤にしてリタルに向かって怒鳴りあげる

 

 

「何を勝手に諦めてやがる? 何を勝手に覚悟決めてやがる? 仲間の仇はとりたくは無ぇのか?! 生き残りたくは無ぇのか?! 生きてやりたい事は無ぇのか?!」

 

「そ、それは・・・・・」

 

リタルはアキトの言葉にグウの音も出ないのか、口をつむぎ俯いた。しかし・・・

 

 

「・・・たい・・・」

 

「おん?! 何だと?!」

 

「生きたいに決まってるだろう!!」

 

リタルはすぐに顔をあげ、アキトの襟を掴んで叫んだ。目に涙を溜めて

 

 

「まだ生きていたい! 好きな人と出会って恋がしてみたい! 新しい家族を持ちたい! 何より・・・そして何より!」

 

名一杯の声でアキトに叫ぶ!

 

 

「私達の仲間をゴミのように扱ったあの糞野郎をブチ殺してやりたい!!! でも! でも・・・」

 

リタルはそれだけ叫ぶとまた力なく俯く。アキトはそんな彼女の背中に手を回し、優しく抱きしめる

 

 

『よくぞ・・・よくぞ言った』

 

「・・・え? あ・・・!」

 

アキトはリタルの目を『紅い眼』で覗く。その怪しく光る眼に覗かれたリタルは意識が薄れていく

 

 

「き、君は・・・何を・・・・・?」

 

『あとは俺に任せてくれ。何を隠そう、俺は『用意の達人』。『用意』が出来るまでお休みフロイライン?』

 

「へ? ・・・あぁ・・・」

 

無邪気に笑うアキトの顔を見ながら、リタルは意識を深く沈めていった。

眠ったリタルと気絶したミネルバを比較的安全な場所に隠すように寝かせると朧からヴァレンティーノファミリー特製のロボ『高性能小型万能ロボ』、通称『ミニ・ドン』を数体をおくと命令を出す。

 

 

「それじゃあミニ・ドン達? 用意が出来たら知らせるから、フロイライン達を起こしてくれよ? あと、それまでの護衛と二人が起きたら『コレ』を二人に渡して」

 

『『『『『『『『アロー』』』』』』』』

 

アキトはミニ・ドン達にこれまたヴァレンティーノファミリー特製の『ISの予備バッテリー』を渡し、非常階段の方へと歩いて行く。

 

 

『アロー、アロー!』チャッ

 

『『『『『『『アロー!!』』』』』』』チャッ

 

ミニ・ドン達はそんなアキトに敬礼をした。

 

 

 

コツコツコツとアキトはテンポ良く靴を鳴らして非常階段へと向かう。

その眼は『紅く』。口からは白く長い『牙』が見える。

 

 

「・・・朧?」キュ

 

『なんでしょう、我が王よ?』

 

アキトは手の甲に紅い紋章がはいった白い手袋をはめながら、自らの愛機である朧に尋ねる

 

 

「ナイフ並びにその他の貯蔵は十分か?」

 

『勿論でございます』

 

「ならヤツを・・・ヤツらを『仕立て』に参ろう。久々の『闘争』だ。腕が鳴る」

 

コツコツコツと靴音だけが妙に静かに響いていく

 

 

 

 

 

 

 

←続く

 




変化は少し、されど着実に変わっていく・・・

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