人外になった者   作:rainバレルーk

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『人間讃歌』と『鉄血にして冷血にして熱血』
どっちが強かろな?




戦夜一夜のホテル2

 

 

颯爽と駆け付けたアキトはバーテンを一睨みするとフラッグ達の方を向き、朧から上着を取りだし二人にかける

 

 

「大丈夫か?」

 

「え、えぇ・・・」

 

「でもどうして?」

 

フラッグ1は掛けられた上着を掴み、アキトに声をかける

 

 

「状況が変わった」

 

「え?」

 

「それは一体どういう事?」

 

そこからアキトは二人に事情を話す

 

 

「アンタ達がホテルに突入した後、ホテルの入口やら窓やらから『屍喰鬼(グール)』が溢れ出た」

 

「ぐ、『屍喰鬼』?!」

 

「お陰でホテルの外は阿鼻叫喚の地獄絵図だ。そして心配して駆け付けてみりゃあ今度は『吸血鬼』か。糞野郎!」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ!」

 

フラッグ1がアキトに口を挟む

 

 

「なんだよ?」

 

「さっきから『屍喰鬼』やら『吸血鬼』やら一体何を言っているんだ!?そんなオカル――」

 

「目ぇ見開いてしっかりと見やがれ!」

 

「「ッ!?」」

 

アキトが指差す先にはフラッグ2の残骸が転がっていた

 

 

「これが現状だ!目の前のもんが真実だ!」

 

「で、でもそんな事―――」

 

「なぁ?」

 

「おん?」

 

バーテンがアキト達に声をかける

 

 

「なぁなぁなぁなぁなぁなぁなぁ?もういいかいかいかいかいかいかい?」

 

バーテン達はナイフを取りだし、盾を持ち、銃を構える

 

 

「ッチ、ド畜生が!立てるか二人とも?!とっととズラかるぞ!」

 

「させると思う~?」ダッ

 

バーテンはナイフを突き立てようとアキトに襲いかかる!

 

 

「危ない!」

 

「避けて!」

 

フラッグ達の叫びがあがる。しかし

 

 

「無駄ァッ!」

「ぐべぇらッ!?」

 

アキトは襲いかかるバーテンに回し蹴りを決めた。しかもただの回し蹴りではない

 

 

「「なっ!?」」

 

「「「「「Aッ!?」」」」」

 

「ぐががッ、ぐぢが!?」

 

回し蹴りを決められたバーテンの下顎は抉られ、なくなる程の威力!

アキトは攻撃の手を休める事なく、今度は拳を構え

 

 

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」

ドガガガガガガガガガガッ!!

「げきべぼラァッ!?」

 

「「「「「Vaaaaa?!」」」」」

 

バーテンの体全体にラッシュを叩き込む!バーテンはそのまま重装備兵の群れと激突する。さながらボーリングのように!

 

 

「き、君は一体・・・?!」

 

「説明は後だ!逃げるンだよ~!!」カチッ

 

「きゃっッ!?」

 

バシュウウゥゥゥウゥッ~

 

アキトは二人を抱えると腰に提げていたスモークグレネードのピンを抜き、辺りに撒き散らした。そして急いでパーティ会場の扉を破壊して出ていく

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダッダッダッダッダッダッダッダッ!

 

「糞糞糞糞糞ッ!エレベータが屍喰鬼でいっぱいって、ザケてんじゃあねぇぜ!糞ッタレがぁッ!」

 

パーティ会場を出たアキト達はホテルの長ったらしい非常階段を駆け降りる

 

 

「ちょ、ちょっと!君!待ってくれ!」

「と、止まってぇ!」

 

「おぉん?!なんだよぉッ!?」キキィッ

 

アキトは呼び止められ、立ち止まる。立ち止まるとここまで抱えられていた二人はアキトの腕を抜け出し

 

 

「「お、おえぇぇッ!」」

 

嘔吐を階段にぶちまけた

 

 

「おいおいおい?大丈夫かよ?それでも軍人なのかよ?」

 

「ふ、フザケルな!戦闘機のG並の負荷がかかったぞ!」

 

「げ、げぇえっ・・・ハァ、ハァ、ハァ・・・き、君は一体?」

 

血の混じった嘔吐を吐き終えたフラッグ1はアキトに尋ねる

 

 

「おん?さっきも言ったろ。俺は『暁のアルカード』。今回の作戦に参加している『学園の男』だよ。てか、軍用トラックで会ったろうが」

 

「それはわかった。なら『アレ』はなんだ?!」

 

「おん?『アレ』?」

 

「あの『化け物』達の事だ!なんなんだアレは!ISがまるで玩具のように!」

 

「それもさっき言った。『屍喰鬼』達だよ。あのバーテン服のヤツは『吸血鬼』だろうがな」

 

「フザケルなぁ!」ガシッ

 

平然と答えるアキトの襟をフラッグ3は掴み、声を荒らげる

 

「ちょ、フラッグ3!」

 

「そんなオカルトが私に通じるかぁ!アイツらは!アイツらはフラッグ2を・・・マインを・・・」

 

「ミネルバ・・・」

 

フラッグ3こと『ミネルバ・ベスケ』は涙を流しながら何度もアキトを揺らす

 

キッ

「殺してやる!今すぐに戻ってヤツらを!」

 

「そりゃあ出来ねぇな」

「なにぃ!――グフッ!?」ガスッ

 

「な、ミネルバ!?」

 

アキトは会場に戻ろうとしたミネルバの鳩尾を殴り、意識を刈り取る

 

 

「き、貴様!なにを!」

 

「悪いな。このままだとこの人、態々死にに行くハメになったからな」

 

「それは・・・」

 

「わかったところでとっとと・・・おん?」

 

フラッグ1を黙らせたアキトはミネルバ達を担ごうとしたが、何かにアキトは反応する

 

 

――Vaaa・・・――

 

「な、なに?」

 

非常階段の下から何とも言えないおぞましい叫び声が木霊聞こえて来た

 

 

「オイオイオイオイオイ・・・冗談じゃあないぜ!」

 

「どうしたんだ?一体なにが」

 

「HQ!HQ!こちら暁!応答を願う!」

ザーザー

 

アキトは無線のチャンネルを開き、応答を試みるが無線からは雑音の音だけが聞こえて来るばかり

 

 

「無駄みたいね」

 

「糞ッ、ジャマーなんか仕掛けやがって」

 

『王よ来ます!』

 

「なッ、ISが喋って?!」

 

「んな事はいい!行くぞ!」ガシッ

「え、きゃあ!?」

 

アキトはまた二人を担ぐとその階の扉を開け、走って行く。アキト達の去った階段の下からはワラワラとオドロオドロしい屍喰鬼達が上がり、上からは重装備の屍喰鬼達を率いて下顎のないバーテンが降りてくる

 

 

「――、―――――――ッ!!!(野郎、ぶっ殺してやぁるぅッ!!!)」

 

「「「「「「「Vaaaaaaaaaaaaaa!」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――

 

 

 

アキト達がホテル内でシッチャカメッチャカしている頃。そのホテルの外では・・・・・

 

 

「むぅッン!!」

「Vaaaッ!?」ドオォッン!

 

「WANABEEEッ!!」

「Aaaaaaaaaaaaaaa!」ザシュッ!

 

「スカッとするぜぇぇえッ!」

「「「Vaaaaaaaaaaaaaaッ!?」」」ガガガガガガッ!

 

拳が交わり、銃弾が飛び交い、鋼が火花を咲かせる。それにより鮮度の悪い血が飛び散り、火薬と焼けた鉄の臭いが広がる。

フラッグ達がホテルに突入した数分後、一人の血だらけの人物が玄関から出てきた。軍は勿論の事にこの人物を保護しようと近づく・・・・・それが間違いのはじまりであった。

血だらけの人物は保護しようと近づいた兵士に『牙』突き立て襲いかかる。それを合図に玄関から、窓から次々とオドロオドロしい『屍喰鬼』達が濁流のように溢れ、ホテルを囲んでいた野次馬達や兵士達に襲いかかった!

そして10分と経たない内にホテルの周囲は血みどろの戦場とかした

 

 

「ぬおおおぉぉッ!」パンッ

 

英国陸軍特殊班専用の青い軍服を纏ったアームストロングは錬成陣の描かれたメリケンサックをはめた拳をぶつけ、地面を殴る。すると地面から拳の形をした支柱が何本も飛び出、屍喰鬼達を潰す

 

 

「Ryyyyy!」ザンッ

 

赤と黄をベースにしたバトルドレスを着たシェルスは自らの血で造った大鎌を振り回し、屍喰鬼達を斬殺に処す

 

 

「ダーッハッハッハッ!!!」ガガガガガガガッ

 

ドイツ陸軍の黒い軍服を纏ったシュトロハイムは改造された自慢の体から重機関砲を出し、問答無用に撃ちまくる。シュトロハイム部隊の者達も本国から持って来た対吸血鬼用の武装で屍喰鬼を残骸にする

各個人がそれぞれの個性を発揮し、それでいて連携もとれた攻撃。まるで歌劇のようだ

 

 

「す・・・・・凄い・・・」

 

そんな光景を見て、民間人の防衛を任されたラウラは感嘆の声をあげる。二日酔いの頭痛から開放されたその眼は一番星を見つけた子供のように輝く

 

「続けぇええ!」

 

「うおぉぉッ!」ズガガガガガッ

 

一方の米軍兵達も残存兵力で屍喰鬼に対処し、少ないながらも屍喰鬼を破壊していく

 

 

 

 

 

 

 

「おぉぉ!!!」

「ワーッハッハッハ!」

「チェストぉッ!」

ザッ

シェルスはアームストロングとシュトロハイムと背中合わせになる。するとシュトロハイムはシェルスに向かって親指を立てながら言葉をかける

 

「おいシェルス嬢?貴様の『コレ』からは何時になったら連絡が来るんだ?!」

 

「知らないわよ!」

 

「どうせ合流対象のIS乗りのアメ公共とシッポリやってるんじゃあないか?ダハハハ♪」

 

「なんですって!?このサイボーグ野郎!その口の中に手榴弾ぶちこむわよ!!」

 

「お二方!喋ってる場合では――「Vaaaaa!!」――ホラ来たぁッ!」

 

そんな三人に屍喰鬼達が襲いかかる。・・・・・が

 

 

「「やかましいッ!!!」」

「「「Vaaaaaaaaッ!?」」」ズブシッ

 

二人の突き上げられた拳と鎌は屍喰鬼達の体を貫く

 

 

「アキトォォオ!!とっとと連絡入れなさァ――い!!」

 

そのままシェルス達はまだまだいる屍喰鬼達を蹴散らしていった

 

 

 

 

 

 

 

←続く

 




『敬意を表す』
それは簡単なようで難しい事がらだ

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