人外になった者   作:rainバレルーk

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今回・・・短め!



宣戦布告

 

 

インサイド

 

 

 

夏休み中、俺は課題に苦しむシャーロットを助けたり、シェルスやウィッチー卿の買い物に付き合ったり、エミリーの勉強を教えたりした。その時に切や祝ちゃんが遊びに来たりして交友を深めたりした

 

・・・んだが・・・

 

 

「あ~・・・(胸くそ悪ィ~)」イライラ

俺は今、IS委員会の円卓会議場の中央にいる。イラついた目で円卓に座るIS委員会役員共の顔を睨む

 

何故、こんな事になったのか・・・順を追って説明しよう

 

ある日、俺はIS学園のジェントルマン『轡木 十蔵』学園長に呼び出され、俺は仕方なく学園長殿が指定した場所に行った。ところがどっこい!なんとそこは『IS委員会』が入っている施設だったのだ!

 

それを察した瞬間、俺は走った!まことに迅速!

その速さ正に電光石火のごとき速さでここまで来たタクシーに急いだ!

 

・・・んだが・・・

 

 

「・・・」チラリ

 

「ん、なんだ?」

「どしたのアキト?」

 

「・・・ハァ・・・」

 

俺の後ろで学園長と並んで立つ麗しの赤髪の『吸血鬼』と黒髪の『戦乙女』を見て溜め息をつく・・・

 

察しの通りだ。一緒に来たシェルスには捕まり、ブリュンヒルデには学園長御用達の専用手錠をかけられるという始末・・・これじゃあまるで裁判じゃあないか

 

 

「それで君が二人目・・・『暁アキト』くんかね?私は―――」

 

円卓に座る役員共が順に自己紹介的なモノをする。役員の面々はその道で名を馳せる重要人物ばかり・・・特に

 

 

「フン・・・貴方が二人目・・・」

 

円卓の中央でふんぞり返る人物『マーサ・グスト・カーバイン』、コイツが喰えない女だ

コイツはグスト社の財力で『裏』の俺達の仕事を何度も何度も何度も何度もそれはまぁネチネチネチネチと邪魔してくれやがった憎きenemy野郎!

『表』の用事で呼ばれてなきゃ、首から上を握り潰してるところだ

 

 

「暁くん?ちゃんと聞くように」

 

「・・・ウェイ」

 

・・・ッチ、学園長の面前もある。ここは大人しくしてやろうか

 

 

「それでは暁アキト。君が何故、この誉高きIS委員―――」

 

「知らん、御託は良いから用件を言え」

 

「なっ!?」

 

「おい暁!」

 

生憎と腕に素敵なブレスレッドをかけられた状態を喜ぶ性癖はないからな!

 

 

「こちとら騙された形で連れて来られたんだ。気分が良いわけないだろうが・・・で?用件はなんだよ用件は?とっとと言えよ」

 

「き、貴様!生徒の分際で!我々を誰だと思って――「学園長?アンタから話してくんない?話が長くなりそうだからさ」―――コラ!聞かんか!」

 

癇癪を起こす役員は放っておいて、俺は学園長に言葉をかける

 

 

「ヤレヤレ・・・」

 

学園長殿は溜め息を吐きながら俺の側に近寄り、リモコンを取り出した。円卓の後ろには大きなモニター画面が降りてきた。そして、その画面には口角をあげ、嫌な目付きで笑う男が映った

 

 

「『少佐』・・・いや、今は『大隊長』だっけか?」

 

「そうよ、『暁』の坊や」

 

「おん?って、あ"ん?!」

 

誰だよと声のする方を見て、俺は目を見開いた!

そこには金髪にケバい化粧をし、中世の装飾品をゴテゴテと付けたドレスを着た男?がいたからだ

 

 

「だ、誰・・・!?」

 

「『ジェルマン』卿、遅刻ですよ」

 

「ゴメンなさいね~、お化粧に時間かかちゃってね」

 

そんな事を言いながら男?は円卓の空いた席に座った

 

 

「初めましてね『坊や』。私は『ラン・ジェルマン』よ。よろしくね」

 

ジェルマンはそう自己紹介をしながらウィンクをしてきた。それにあまりにもゾッとしてしまったが動揺を上手く隠して質問する

 

「は、はぁ・・・それでこの男がどうかしたのかよ?早く終わらせて帰りたいんだが?」

 

「まぁ、そんな事言わないの坊や。貴方に頼みたい事があって呼んだんだから」

 

おん?どうゆうこった?

 

 

「暁くん、君にこの男・・・大隊長を『捕縛』してほしい」

 

・・・・・・・・・・・・・・・what?

 

 

「ど、どういう事ですか?!!」

 

ってブリュンヒルデ、何でアンタが驚く?

 

 

「学園長、暁には『デュノア』の事に関しての説明のはずではなかったのですか?!」

 

いや、俺まったく聞いてないんだけど・・・

 

 

「てか俺、一応『一般人』なんですけど~?」

 

「何が一般人だか」

 

「おん?」

 

惚けた声に反応したのは中央に座るグストだ

 

 

「『ヴァレンティーノファミリー』の一員だと言う事はわかっているのですよ暁くん?」

 

「・・・ヤレヤレ」

 

と俺は溜め息を吐きながら、今日視聴予約した『ヤクザVSエイリアン』までに帰れるか心配した

 

 

 

―――――――

 

 

ノーサイド

 

 

 

『やぁ、腐った世界の管理者ども。御機嫌はいかがかな?私は『レギオン』の全体統括者、皆からは『大隊長』などと呼ばれている。』

 

円卓前のモニターには白い軍服を着用し、ニタニタと笑う男が映し出されている

 

 

『今回、君達にこんなビデオレターを送ったのにはある理由がある・・・我々は『作戦』を実行に移す。『四年前』の騒動よりドきついヤツをな』

 

大隊長は一人掛けのソファに体重をかけクツクツと笑う

 

 

『君達に我々の作戦は邪魔出来ないし、阻止する事も出来ない。しかし・・・ククク♪』

 

大隊長は目を閉じ、嫌な笑みをもっと嫌にするように笑う

 

 

『我々の作戦を止める事が出来る人物が一人いる。その人物の名前は『暁アキト』、言わずと知れた『二人目』の男だ。彼なら『また』我々の作戦を台無しにしてくれるだろう・・・クヒヒヒ♪では諸君、舞台は『星条旗』の国で』ブツン

 

映像はそこで切れた

 

 

「と言う訳で・・・暁アキトくん、君には『アメリカ』に行ってもらいたい」

 

「いや、これ絶対『罠』だろ」

 

役員の言葉にアキトは冷静にツッコミをいれた

 

 

「暁くん、これはIS学園からの命令だ。拒否する事は出来な――「知るかボケ」――なっ・・・」

 

「俺は態々罠に引っ掛かりに行くようなアホじゃないんだよ」

 

アキトは呆れたように悪態をつく

 

 

「だがこの男は君を名指しで指命している。余程君にご執心なようだ」

 

「いや、知らないよ。コイツが何しようと俺には関係ない。傭兵でも雇ってこのイカれた男を捕まえればいい」

 

「しかし―――」

 

「しかしもヘッタクレもねぇよ。てかこの手錠外してくんない?手首がそろそろ痒くなってきた」ジャラ

 

アキトは手錠を役員に見せつけながら顔をしかめる

 

 

「なら『依頼』はどうかしら?」

 

「・・・おん?」

 

ザワザワ

 

彼はしかめた顔で提案を出して来たジェルマンを横目で見る。役員達はコソコソと静かにざわめく

 

 

「どういう事ですかジェルマン卿?」

 

「彼は私達IS委員会からの命令だと言う事が気にくわない・・・なら『ヴァレンティーノ』の『バケガリ』に依頼するというのはどうかしら?貴方もそれで良いかしら?『アキト』くん?」ニコリ

 

ジェルマンはアキトの目を見ながら笑う

 

 

「・・・気安く名前を呼ばないでもらいたいね」

 

「あら、ゴメンなさいね」ホホホ♪

 

「だが気に入った。その依頼受けよう。良いよねシェルス?」

 

アキトは振り返り、後ろに立つシェルスに声をかける。シェルスも「構わないわ」と言う

 

 

「それでさぁ、そろそろこの手錠外してく―――」

 

アキトがまた手錠の解除を要求していた、その時である

 

 

パチ・・・パチ・・・パチ

 

「―――おん?」

 

会場のすみから手を叩く音が響いてきた。その音がする方向をみるとそこには・・・

 

 

「お、お前は!?」

 

「何故アンタが反応するんだブリュンヒルデ?」

 

「久しぶり~!ブリュンヒルデにアルカード」

 

半袖半ズボンの軍服に身を包んだケモミミの人物がアタッシュケースを背負いながら立っていた

 

 

「・・・あぁ・・・久しぶりだな、『シュレディンガー』」

 

アキトは呆れた顔で半袖半ズボンの少年『シュレディンガー』に手を振って答えた

 

 

「だ、誰だ君は?・・・!」

「ここは関係者意外立ち入り禁止じゃなかったのか!」

 

ガヤガヤ

 

役員達は不測の事態に騒ぎだす。そんな事とは気にせず、シュレディンガーは朗らかに歩いてくる

 

 

「やぁやぁ皆さん、今回はお集まり頂き恐縮の限りだよ」

 

「え!?もしかして本当はこの為に呼ばれたの俺?!」

 

「んな訳ないでしょアキト・・・」

 

シェルスが呆れた口調で話す

 

 

「警備員!この侵入者をつまみ出せ!」

 

「一体どこから入って来た!?」

 

役員の一人が立ち上がり、シュレディンガーに指をさす。すると

 

 

「ん~・・・うるさいな。『僕は何処にでもいるし、何処にもいないんだ』。何処から入ろうと僕の勝手だ」カサッ

 

シュレディンガーはポケットから拳銃『ワルサー』を取り出し、標準を立ち上がった役員に合わせ

 

チャキ

「へ?」

 

「だからクタばれよ」ニコ

カチリ

 

躊躇なく引き金を引いた

 

 

 

┣"ンッ!

 

だが・・・

 

シュウゥゥ~

 

「ひ、ひぃッ!?」

 

発射された弾丸は役員の頭を逸れ、その後ろの椅子を貫いた

 

 

「ふん・・・なんで邪魔するかな?」

 

シュレディンガーは自分の手に添えられた手の持ち主、『十蔵』を睨んだ

 

 

「生憎と私は君達『化物』の邪魔をするのが生き甲斐でね」

 

「学園長!」

 

千冬が慌てて十蔵に駆け寄ろうとするが

 

 

「来るな!ブリュンヒルデ!」

 

「なっ!?」

 

アキトが睨みをきかせ、制止させた

 

 

「そこを動くなよ!」

 

「しかし!」

 

「動かない方がいいわよ千冬」

 

「え?」

 

「役員の皆さん方も動くなよ、頭がザクロになりたくなけりゃあな!」

 

それから膠着状態が少しあったが

 

 

「まぁまぁ皆さん、僕はただの『使者』だから」

 

シュレディンガーが背負っていたアタッシュケースを円卓の上にドカリと無造作に置く。そこからノートパソコンを取り出すと起動ボタンを押した

 

 

「・・・?」

 

「一体何がしたいの貴方は?」

 

「ちょっと黙っててよ、このパソコン重いんだから・・・」

 

真っ暗なパソコンも漸く起動した。その画面から

 

 

『あ、あ!おいドク、これはもう話して良いのか?』

 

白い軍服を着用した男が映しだされた

 

 

「もしもし『大隊長』~?こっちは聞こえてるし映し出されてるよ~」

 

『ん?・・・おぉ!こっちも映しだされた。なんとも文明の利器は素晴らしいものだ♪』

 

画面の男は愉快そうに笑う。だが、その画面を睨む者が一人

 

 

「『モンティナ・マックス』・・・!」

 

「ん?この声は・・・クク、クハハハハハハハ♪」

 

キレた声を聞きき、大隊長はそちらを向いて笑う

 

 

『久しぶりだな~十蔵!こうして会うのは20年ぶりか!いや懐かしいな!』

 

「やはり生きていたか・・・死にぞこないめ!」

 

十蔵は今まで見たことのないような顔で画面を睨んだ

 

 

『そう恐い顔をするな十蔵。悪いが今回、私はお前に会いに使いを出した訳ではない』

 

「なに?」

 

『准尉』

 

「Ja~!」

 

大隊長はシュレディンガーに命じるとシュレディンガーは画面をIS委員会委員長グストに向けた

 

 

『やぁ、マドモアゼル。私は『レギオン』の指揮をしている通称『大隊長』だ。よろしく』

 

大隊長は嫌味ったらしくグストに自己紹介をした

 

 

「はじめまして、大隊長?『本名』で呼ばなくていいのかしら?」

 

『悪いな。生憎、『本名』はすでに捨てている。それに今の名前を気に入っているのでな』

 

大隊長とグストは互いの腹を探るように話をはじめた

 

 

「それで私達に一体何のようなのかしら?こんな無礼な使者を寄越して」

 

「エヘヘ♪」

 

「いや、誉めてはないわよ」

 

シュレディンガーは照れ臭そうに頭をかく

 

 

『それはすまない。だが確認しておきたかったのだよ』

 

「確認?」

 

大隊長はフッと笑みを溢し声を張り上げ指をある人物にさす

 

 

『そこで笑いを堪えるイカれた男が我等の作戦に参加するかをな!』

 

指の先にいたのは・・・

 

 

「カカッ・・・カハハ♪」

 

口を手で押さえ、目を見開き、可笑しそうに笑う黒髪の吸血鬼がそこにはいた

 

 

「カハハハハハ♪やはり!やはり生きておられましたか!大隊長殿!」

 

アキトは嬉しそうに『牙』を出しながら笑う

 

 

「あ、バカ!」ヒュッ

「ハハハ―――痛ッ!?」ゴチン!

 

シェルスの投げた物がアキトの頭に直撃した

 

 

「何すんじゃい!」

 

「アキト、歯!歯!」

 

「おん?あ!ヤベヤベ」

 

「え・・・(あれは・・・『牙』?)」

 

アキトは急いで牙を引っ込め、画面の大隊長に向きなおす

 

 

「それで大隊長?一体何のようなんだい?」

 

『『宣戦布告』だ』

 

「「「「「宣戦布告?」」」」」

 

アキト達は大隊長の言葉を復唱する

 

 

「それはどういうわけかしらミスタ?」

 

『簡単なことだ。あのビデオレターは気に入ってくれたかい?』

 

「あぁ、それならさっき皆で鑑賞したけど」

 

『君には聞いてない』

 

「ひどッ!?」

 

大隊長は呆れた口調でアキトにツッコむ

 

 

「それがどうかしたのか?」

 

『おや、この声は・・・ブリュンヒルデか?准尉、向けてくれ』

 

「喜んで~!」

 

シュレディンガーは画面を千冬に向ける

 

 

『やぁ、久しぶりだねフロイライン』

 

「おん!?なんだよアンタ!大隊長と面識があったのかよ!?」

 

アキトはその事に驚きの声をあげるが大隊長達はお構い無しに話を続ける

 

 

「大隊長とか言ったな。お前達の目的はなんだ?どうしてこんな事をする?お前達に一体何の得が―――」

 

『得?得だと?』

 

大隊長は顔をしかめる

 

 

『ブリュンヒルデ、君は『阿呆』か?』

 

「なに?!」

 

『ならよく覚えて置くと良い。この世界には損得を考えないどうしようもないヤツらがいるのだ。『手段』の為なら『目的』を選ばないどうしようもないもないヤツラがな』

 

「な、何を・・・」

 

「何を言ってるの?」

 

役員達は目をまん丸にして大隊長の言葉を聞いている

 

 

「マックス・・・お前というヤツは」

 

十蔵は拳を震わせ、敵意を剥き出しにする

 

 

『それで一応確認なのだが・・・『アーカード』?』

 

「なに!?(アーカードだと?!!)」

 

「・・・おん?」

 

『君はどうするのだ?』

 

「そ~だな~」バキリ

 

「「「「「「!?」」」」」」

 

アキトは腕にはめられていた手錠をいとも容易く引きちぎると先程シェルスにぶつけられた物を取り出し、シュレディンガーの口に押し込む

 

 

「むご?」

 

その口に押し込んだのは黒光りする38口径のハンドガンだった

 

 

「暁、一体何を!?」

 

「これが俺の答えだ・・・!」

 

そして、クタバレと言わんばかりに引き金を引く。ドン!ドン!ドン!と3発の銃声が響く

 

シュレディンガーの脳髄はザクロのように弾け、力なく膝をつき倒れる

 

バタリ

 

「ひっ!」

 

「な、なんて事を!」

 

役員達は腰を抜かし椅子に突っ伏す者、気絶する者とに分かれた。その光景に画面の大隊長はと言うと

 

 

『ククク・・・クハハハハハハハハハハ♪』

 

盛大に手放しで大笑いをしていたのだ

 

 

「暁・・・貴様は―――!」

 

「さて・・・ご満足頂けましたかな?大隊長殿?」

 

『あぁ最高だ!使者を問答無用で殺したのだ。最高の宣戦布告だ!それではなアーカード』

 

「あぁ、それでは星条旗の国でな」バキン

 

アキトは構わずにパソコン画面を砕いた

 

 

「さてと・・・学園長?後片付け頼みましたよ」

 

「・・・君はどこへ行くつもりだ?」

 

十蔵は立ち去ろうとするアキトに言葉をかける。それにアキトは振り返らずに答える

 

 

「世紀の狂人をぶちのめしに。シェルス行こうぜ」

 

「ヤレヤレだわ」

コツコツコツ・・・

 

アキトはシェルスを連れて立ち去る

 

 

「暁・・・」

 

「なんだよブリュンヒルデ?腰ぬかしてんのか?」

 

「貴様は一体・・・?」

 

立ち去る途中で尻餅をつく千冬にアキトはニヤリと笑い答えた

 

 

 

 

 

 

 

「俺はただの『吸血鬼』だよ」

 

その眼は血よりも紅い色をしていた

 

 

 

 

 

 

 

←続く

 




続きどうしょ・・・?

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