人外になった者   作:rainバレルーk

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コイツで仕上げ・・・

アキト「今回も毛探偵達との絡み」

あと、初めての7000字越え・・・驚き!



嵐の前の日常・・・7

 

 

ノーサイド

 

 

 

その日、キューティクル探偵こと『因幡洋』は依頼人の『大矢太朗』の父親、通称『船長』を探すためにこの場所に来ていた

 

・・・のだが・・・

 

 

『的屋の難題越えて、ゴールの花火を打ち上げろ!全国裏組織、夏の最大イベント『敵揶祭~花火のように散ってこそ~』スタートせいや!』

 

ダッ!!!

 

紆余曲折あり、『九条組』の若頭『蔵見虎泰』と共に敵揶祭に参加していた

 

ギュン!

 

『おお~!速い速い大矢親子!さっすが本命馬、初っ端から魅せるねー!』

 

まず先頭にたったのは白い髪の大矢親子、その後ろを追いかけるのは・・・

 

 

『おっ?』

 

┣"ン

 

『二番手は我らがヴァレンティーノの女帝『ガブリエラ』や!』

 

ガブリエラと夏輝ペア、観客はそれに騒ぐ

 

 

「「「姐さ~ん♥♥♥」」」

 

「うるせぇッ、撃つぞ!」

 

『レース中でもファンサービス忘れず罵倒や!敵揶祭の華の1つやな。ポロリもあるで』

 

「ねーよッ!!」

 

その遥か後ろを因幡達は走っていた

 

 

「はえーな、アイツら・・・」

 

「急ぐか?鉄謙は大矢に任せるとして・・・探偵さんはどうする?」

 

「もちろん、ヤギ逮捕だ。あっ、そうか、お前、優勝狙ってんのか」

 

「いいよ。あの親子と吸血鬼さん達が出てちゃあ諦めもつく・・・あ」

 

因幡と話をしている途中で蔵見は何かを思い出したように声をだした

 

 

「どした?」

 

「敵揶祭の中での喧嘩は一切不問だ。喧嘩も祭りの華ってヤツでね。それ目的で出てるヤツも少なくない」

 

「つまり?」

 

「つまり、悪いんだけど―――」チャキ

 

「喰らえ虎ぁッ!」ブンッ

 

蔵見は腰に差していた脇差しを抜くと直ぐ様、後ろから襲って来る金属バットを防いだ!

 

ギィンッ!

 

「俺も狙われるんだ」

 

「うぉッ!危ねぇッ!?」

 

そんな因幡達の横をドンを担ぎ、ローラースケートを履いたロレンツォがガ――ッと過ぎ去った

 

「「「「「ずっりー!!なんだアレ!?」」」」」

 

「シャーシャシャ♪これも武器であろー!」

 

あまりの出来事に因幡は襲って来た輩をノシた蔵見に声を発した

 

「このままじゃ引き離される!俺らも先頭集団に入るぞ!」

 

「どうやって?」

 

「これを使って!」

 

因幡はポケットから『茶髪の毛』を取り出し、口に含んだ

 

 

「快適であろー」

 

「優勝賞金はいただきですねー」

 

余裕のドン達だったが・・・

 

 

「待ちやがれヤギ―――ッ!!」

 

「「えぇ~~~!!?」」

 

蔵見を担ぎながら虫のような羽で飛んで追いかけてくる因幡に驚愕した!

 

 

『最近の法の番犬は空飛ぶで、皆、気ぃ付けてなー!』

 

「ず、ズルいであろー!狼ィ!」

 

「うっせぇ!お前が言うなぁッ!」

 

・・・と言い争うヤギと飛行狼の後ろから・・・

 

 

「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYY !!! 」

 

┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"・・・

 

叫び声が聞こえて来た!

 

 

「げッ!?こ、この声は!」

 

「おぉ!この声は!」

 

叫び声の正体は後ろから参加者達を蹴散らして行き、ついにドン達に追いついた!

 

 

「やぁ『吸血鬼』さん」

 

「おん?『ミラクル蔵見ン』じゃないか、久しぶり!あと狼も!」

 

「テメ!『吸血鬼』!」

 

叫び声の正体はシェルスをお姫様抱っこしたアキトであった

 

 

『おおっと!ここでもう1つの本命馬、我らがヴァレンティーノの鬼札(ジョーカー)『アーカード』や!』

 

「「「往生せぇ!吸血鬼ィッ!!」」」バッ

 

「無ぅうううう駄ぁぁぁぁあッ!」ドゴォッン!

「「「ぎゃあぁぁッ!?」」」

 

襲ってくる刺客をシェルスを担いだままアキトは器用に蹴散らす

 

 

『頑張れ~アーカード~』

 

『ウィッチーさんの暢気な事は置いといて、救護班急いでな~』

 

「行けぇ~!アキト~!」

 

担がれるシェルスはアキトにエールを送った

 

先頭集団は独走して行き、最初の的屋に着いた

 

 

『第一の的屋の課題は『射的』!言うまでもなく実弾やで!!』

 

射的の的は棒にくくりつけた人形の頭に的袋を被せたモノである。『的が怖すぎる!』と放送テントに圭のツッコミが響く

 

 

「よし、得意分野だ」

 

「やったっスね」

 

「・・・俺がやんのか?」

 

「・・・」グイグイ

 

「弓道の大会なら優勝したけど、銃はわかんねーぞ」

 

「シェルス、任せた」

 

「Ja~、任せて」

 

各々が射的場にあるライフルに弾を込めている中・・・

 

 

「悪いな探偵さん。重かったろ?」

 

「あぁ!超重い!でもロン毛だから許す!」ゼーゼー

 

荒く息を吐く因幡にドンとロレンツォは目をギラッと輝かせ―――

 

 

「狼ィい!クタバるが良かろ―――ッ!」

 

ライフルを因幡に向け、引き金に指をかけたが・・・

 

ドンッ!とガブリエラのライフルが火を吹き、ぶばッ!とドンの額を撃ち抜いた!

 

「首オォォ領!!!」

 

「ガブさん!?何やってんだよッ!?」

 

「あ・・・つい・・・クセになってるな」

 

「「クセになってるな」じゃないわよガブリエラァ!!」

 

一方で・・・

 

 

「(今のうちに)」ドンッ

 

大矢太朗がライフルを的に向けて撃った。ビシャッ!と人形の頭に穴が開き、ダラリと赤い液体が垂れた

 

 

「ッ!?」

 

大矢太朗はドキリと驚愕した。すると、ノアの明るいアナウンスが聞こえて来た

 

 

『的の中身はスイカでした~。あとでスタッフが美味しく頂くで~』

 

「脅かすな!!!」ドキドキドキドキドキ・・・

 

場面は戻り・・・

 

 

「逮捕だヤギ!」バッ

 

因幡がヤギを掴もうとしたが、ロレンツォが刀を抜いて因幡に降り下ろした!

 

ガギィンッ!

 

しかし間一髪、蔵見が脇差しを抜いて防いだ!

 

 

「首領には指一本触れさせませんよ!さぁ!かかって来なさい!」

 

ロレンツォは刀を振り回した。その刀を掴む腕につられ、ロレンツォと一緒に手錠をしているドンがぶんぶんと振り回された

 

 

「ヤギが!」

 

「ヤギが振り回されてんぞ!落ち着け!!」

 

だが、そんなロレンツォに振り回されるドンは落ち着いた口調で喋る

 

 

「狼よ!ここは1つ賭けをするであろー!」

 

「なに?!」

 

「この敵揶祭で、お主がワシらに勝ったら大人しく捕まってやろー!」

 

「お?言ったな!若、優勝狙えるぜ」

 

「いいって言ったのに」ガシャ

 

二人はグーでハイタッチをした

 

 

「ただし、ワシらが勝ったらお主の命を―ドンッ「行こうぜ!」―聞くであろ――!」

 

因幡達はさっさと次の的屋に走っていった

 

 

「急ぐであろー!狙うは優勝であろ~!」

 

「ハイ!!」

 

ドン達も続けとばかりに課題をクリアした

 

因幡は再び背中に羽を生やし、蔵見を担いで飛んだ。先に課題をクリアしたアキトとガブリエラ達を追い、ついに追いついた

 

 

「おっ先に~」

 

因幡はシタリ顔で二組の前を通り過ぎようとするが

 

 

「めっめっ!」バシバシバシ!

「だ!あだ!?」

 

「WABEEE!」バギィッ!

「ぐべらッ!?」

 

夏輝には刀のみねで殴られ、シェルスには吸血鬼パンチ(弱)を叩きつけられた。その後ろをロレンツォが猛スピードで追撃する

 

 

『さすがは駆除係!茶バネ狼にも怯まんな~。ローラーロレが火花散らして追っとるで~!』

 

「(どうなってんだ後ろは・・・?!)」

 

大矢太朗は疑問符を浮かべながら次の的屋に着いた

 

 

『お次は輪投げ!!・・・と思わせて裏大会らしく、手錠投げや!っとどや顔』

 

『そんな上手い事言ったろ感出されても』

 

「いや、見えねーよ」

 

冷静なツッコミをしながら大矢親子は手錠を手に持つ

 

 

「あのマネキンの手首に入れりゃあいいんだな。親父も投げろよ」

 

「・・・」ヒュッ

 

大矢船長が手錠を投げるとマネキンの手首がスパッと切れた

 

 

「ヘタクソ!」

 

「・・・」シャルリラ♪

 

『ヘタとか問題ちゃうで息子。大矢親子、苦戦の予感!』

 

なおも苦戦する大矢親子に次いで

 

 

「ついに来たか!俺の見せ場!!」

 

「うわ!?ボロボロだ!」

 

頭にタンコブを幾つも作り、顔面も腫れ上がった因幡達とアキトペア、ガブリエラペアが、その次にドンペアが来た

因幡は手錠を持つと――

 

 

「警察犬に生まれ、物心ついた時からコイツを触ってた・・・法の番犬の手錠捌きをとくと見やがれ!悪党に吸血鬼!」ヒュッ

 

意気揚々と手錠を投げた。しかし、手錠はマネキン手首を倒すだけだった

 

 

「見たぞ」

 

「見たっス」

 

「見たであろー」

 

「見ましたよ」

 

「見たぜ」

 

「見たわ」

 

「うるせぇ!見てんじゃねーよッ!///」

 

顔を真っ赤にして怒る因幡を余所に大矢親子がちゃっかりクリアして次なる的屋へ走っていった

 

 

『お次の的屋はイカ焼にタコ焼やで』

 

「(早食いか)」

 

大矢親子が次の的屋に着くとそこには真っ黒な水が注がれた大きな生け簀があった

 

 

『好きな方獲って来いや~!』

 

「漁獲かよ!?」

 

『水、真っ黒だよ!?』

 

『イカスミとタコスミや。気にすんな』

 

大矢親子は仕方なく生け簀に飛び込む

 

 

『大矢さんはイカに縁があるね。イカ親子って呼ぼうか』ハフハフ

 

『タコ獲ったら失格やで、イカ親子は』ハグハグ

 

『なんで!?』

 

『イカ焼って美味しいね~』マムマム

 

イカ親子の息子はスミ生け簀から顔を上げ、肺に酸素を入れていると

 

 

「ご苦労、獲物を寄越しな」

 

ガブリエラがイカ息子にハンドガンを突き付け横取りを狙った

 

 

しかし・・・

 

ウネウネ

 

大矢太朗の手には3m級のクラーケンが握られていた

 

 

「・・・やっぱいい!」

 

「遠慮するな受けとれ!」ポーイ

「「ぎゃあぁぁっ!」」

 

大矢太朗はクラーケンをガブリエラペアに投げつけた。クラーケンはガブリエラ達をプールに引きずり込む

 

 

『コラァ!イカ親子!姐さんにイカはイカンでエロすぎるで!ちゃうちゃうダジャレやなくて!でも代表して言っとく、ようやった!』

 

「ノア、後でゲンコツ10発!!」ヌラヌラ

 

「そいや!」「「とうッ!」」ドボン

 

『先頭集団がドンドン生け簀に入っとるで!ここが一番の山場や!追いつくなら今のうちやで~!』

 

なんて言ってると因幡達が生け簀にたどり着いた

 

 

「チャンスだ若!一気に差ぁつけるぜ!」

 

「「「「「「?」」」」」」

 

因幡はポケットから『金髪の毛』を取り出し、邪悪な笑みを浮かべて口に含んだ

 

「・・・ギヒィ♪」

 

「あ、あの野郎!?」

 

アキトは気づくも既に時遅し、金髪を含んだ事により因幡の体からは電撃が走った。そのまま因幡は生け簀に手を突っ込み

 

 

「『キューティクルボルト』ォォオッ!!!」

バリバリバリバリバリィ!

 

「「「「「「ぐぎゃあぁぁッ!!!」」」」」」

 

一撃必殺の電撃『キューティクルボルト』を生け簀に流した!

 

 

『『全国の外道もドン引きだよ(や)!!』』

 

圭とノアのツッコミが炸裂する。

 

 

「良し!若、タコとイカどっちが―――」

 

生け簀には白目をむいた者達が浮かぶ。それに因幡は満足し、相棒の方を向くと

 

 

「―――ってうわッ!?誰だお前!?」

 

「ははっ♪ひどいな探偵さん」

 

電撃で蔵見の頭はチリチリになり、黒焦げになっていた

 

 

「ごめんごめんごめん・・・あぁ俺のバカ!若のストレートが、サラサラストレートが・・・」

 

「良いから食べなよ」

 

謝る因幡に蔵見は露店で買ったタコ焼を進め、因幡は泣きながらタコ焼を食べていると

 

ザバッ

 

「あ、大矢!」

 

大矢親子が生け簀から這い上がって来た

 

 

「さすがにしぶといな」

 

「後は任せとけ!優勝して、鉄謙を保護。ヤギも逮捕だ♪」

 

因幡と蔵見が朗らかに話していると・・・

 

 

「誰が優勝するって・・・?」

 

「・・・え?」

 

「俺達に決まってんだろ」

┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"・・・

 

大矢親子はとんでもない『凄味』を出していた

 

 

「やだ!!なんか怒ってる!」

 

『そりゃ怒るよ!!!』

 

そして、ここにも怒れる一組が・・・

 

 

「おぉん?大矢?もう一度言ってみろよ?」ザバッ

「・・・」

 

アキトとシェルスも生け簀から這い上がって来た

 

 

「あ、吸血鬼さん」

 

「お前もしぶといな」

 

「それで大矢・・・誰が優勝するって?」

 

「あ"?だから俺達に決まってんだろ」

 

「カカカ・・・寝言が言いてぇなら寝かしつけてやるぜ!」

 

「優勝するのは私達よ・・・!」

 

「・・・あ"?」

 

┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"・・・

 

ぶつかり合う『凄味』と『凄味』、重苦しい圧がその場所にかかった。

 

 

『法の番犬が眠れる虎と恐怖の吸血鬼達を起こしたで!ブランクを心配去れとった息子もここで覚醒や!』

 

『久々にアキトとシェルスのあの顔見たよ』

 

「急ぐぞ探偵さん!」ダッ

 

「吸血鬼達はわかるが、アイツあんな怖いヤツだったの?」

 

睨み合う四人から逃げるように因幡達は走った

でも・・・

 

 

┣"ンッ!

 

四人は風のように因幡達を抜き去った

 

 

「「めちゃくちゃ速ぇ―――ッ!!」」

 

因幡達も負けじと走る

 

 

 

 

 

 

 

一方、生け簀では・・・

 

 

「は・・・ハローでアロー!!」

 

「「ッ!」」ガバッ

 

生け簀に浮かぶドンが突然叫んだ。それを合図に生け簀に浮かんでいた者達が一斉に起きた

 

 

「首領!ご無事ですか?!」

 

「ったくなんてヤツだ」

 

ガブリエラは虚ろな目の夏輝を起こす

ドンは眉間に大きく皺を寄せた

 

「今からでは追いつかないであろー!我らはリタイアして賞金はアキトに任せ、ゴール地点へ先回りして狼のゴールを阻止するであろー!」

 

「「おぉ!」」

 

ドン達はゴール地点に走っていった

 

いよいよレースも佳境に入る・・・

 

 

 

『さぁ!ゴールまで、あと一息!今度の的屋はカキ氷や!ジャンボカキ氷を完食せなアカンで!シロップはかけ放題。赤ーい液体入ったビンが沢山あるやろ?』

 

『あるねズラーッと』

 

『苺シロップは1つだけや・・・』

 

『あとは何ッ!?』

 

因幡と蔵見は山盛りのカキ氷を二つテーブルに置き、食べていった

 

カッカッカッカッカッカッカッ!

 

「・・・ッ!地味にキツイ」キーン

 

「これは時間かかりそうだね」キーン

 

二人は山盛りカキ氷に苦戦していた

そこに異様な『凄味』を出す四人が現れた。アキトと大矢太朗はシロップのボトルに山盛りカキ氷を入れて溶かした。それを・・・

 

 

「「ぐびぐびぐびぐびぐびぐび」」

 

「「飲むの―――ッ!?」」

 

「試合に出たからには勝つ・・・」

「獲物が出たからには狩る・・・」

 

「「誰であろうと譲らねぇ・・・!」」

 

「それが大矢だ!」「それが吸血鬼だ!」グビビビ

 

二人はラストスパートをかける

 

『皆、イッキコールや!』

「行けぇ!アキトォ!」

 

ワァァァァァ――――――――――――――――――!

 

会場の熱気が最高潮に達した・・・その時!

 

 

 

 

 

 

 

┣"オォォォォォオオオッッンッ!!!!!

 

ゴール地点が爆発した!

原因はリタイアしたドン達が誤ってゴール地点の花火を爆発させてしまったのだ

 

 

「「「「「「なんだ―――ッ!?」」」」」」

 

『なんや―――ッ!?』

 

『どこのアホや?燃えとるやないか?!』

 

『逃げようノアにウィッチーさん!圭くんを置いて!』

 

『何故あえて置くかな!?』

 

爆発の火により、放送場は炎に包まれた

 

 

放送場にて・・・

 

「鉄謙さん!起きて!火事だよ!」ベベベベベ!

 

圭は倒れた鉄謙を起こそうと殴る

 

 

「入り口が燃えとる・・・どっから出んねん」ゴホゴホ

 

「ノアしゃがんで」

 

「マズイね・・・皆、口をハンカチで押さえて」

 

四人はアタフタと慌てふためき、それがマイク越しに伝わる

 

 

『誰か助けて!』

 

その声は確かに・・・

 

 

「無駄ァッ!」バギィッ

 

「ふん!」ガンッ

 

・・・聞こえていた

 

 

「「仕事だ」」

 

太朗はくじ引きで当てた手斧で手錠を切り、アキトは手刀で手錠を切った

 

 

「若頭、人集めて消化頼む」

 

「ああ」

 

「行くぜシェルス、大矢」

 

「ええ」「おう」

 

アキト並びにシェルス、大矢はゴール地点に急いだ

 

 

「探偵さん、俺達も―――ってアレ?」

 

いつの間にか因幡もいなくなっていた

 

 

 

 

 

 

 

ダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッダッ!

 

アキト達は現場へとかけ上がる・・・『赤い狼』に導かれて

 

その現場では・・・

 

 

「ノア―――ッ!」

 

トテトテ パシャ トテトテ パシャ トテトテ パシャ

 

ドン達は近くにあった柄杓で火事に対処していた

 

 

「これではキリがなかろー!!」

 

「火事でも冷静な判断!流石はドン!」

 

「「邪魔」」ガンッ

 

「首―――領!!」

 

ドンは走って来たアキトと太朗にシロップボトルで殴られた

 

 

「夏輝ちゃん、誰も出てないのか?」

 

「ハイっス、アキトさん!」

 

「だそうだ」

 

「ならこれでリレーしてくれ」ポイ

 

「は、ハイっス!」

 

太朗は夏輝にシロップボトルを渡した

 

 

「シェルスは『気化冷凍法』頼むぜ?」

 

「アキトはどうすんのよ?」

 

「決まってんだろ・・・行くぜ、大矢!」

 

「おう!」ザバッ

 

水を被ったアキトと太朗は火中に飛び込んでいった

 

 

 

放送場では皆は床に張り付いていた

 

「トンカチ・・・あるかな?」

 

ようやく麻酔薬から醒めた鉄謙がそんな事を言った

 

 

「なんや?寝惚けとるんか?」

 

「二度寝で永眠できるよ」

 

「本当だよ」

 

「やめなさいよ二人とも」

 

ウィッチーが変な事を言う圭と優太を叱った

 

 

「音鳴らして・・・場所知らせんと・・・」

 

「似たような形しとるで『喉頭鏡』」

 

「喉開くやつだね」

 

「ん・・・」

 

鉄謙はノアから喉頭鏡を受け取るとフラリと立った

 

 

「オイ、立たんほうがええで」

 

「危ないよ!」

 

「刀鍛冶舐めるでないよ・・・こんくらいの火で参ったりしないさ・・・タロさは必ず来る。ちゃんとここにいるって教えてやらんと・・・」カンカン

 

鉄謙は叩けばよく鳴るモノを探した。そして、それを見つけると喉頭鏡を振り上げ―――

 

 

「火の中で迷子にさせてられんさ・・・お前らも信じて待っとれ!」

 

―――降り下ろした。カ―――ンと高い音が鳴ると同時に・・・

 

 

「無駄ァッ!」ドゴォッ!

 

「全員無事か!?」

 

アキトと太朗が入って来た。それを見るとノア達は

 

 

「『信じとったでタロさ』」キリッ

「『絶対来るって信じてた』」キリッ

「『信じて待ってた』」キリッ

 

助けたあとに鉄謙が言うであろう台詞を吐いた

 

 

「言―――う―――な―――よ―――もぉ―――っ!!///」

 

鉄謙は悶えていた。大矢太朗はここまで案内してくれた赤い狼を撫でた

 

 

「ここまでありがとう。お前は賢い犬だな・・・どこの犬か知らんが」ナデナデ

 

赤い狼は嬉しそうにしていた

 

「あっちも中々賢いで」

 

「いいこだよ」

 

「ほめてあげて」

 

「いいってもぉ―――っ!///」

 

「それじゃあ皆で逃げようか・・・アキト?優しく頼むよ?」

 

「へいへい仰せのままに魔女殿。ノアもハケるぞ」

 

「了解や」

 

アキトはウィッチーとノアの手をとると背中から吸血鬼の翼を生やし、大矢太朗に気づかれないように二人を包み霧になって消えた

 

 

「なっ!?アキトさんは!?」

 

「消えた・・・」

 

 

 

その後・・・消防がすぐさま来て、火事は鎮火され事なきをえた

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

インサイド

 

 

無事に火事から逃れた俺達は部屋で眠るエミリー達に気づかれないように屋敷に入った

 

 

「ヤレヤレ・・・とんでもない事になったな」

 

「お陰で賞金もパァ・・・踏んだり蹴ったりね」

 

「・・・そうでもないよ?」

 

「「おん?」」

 

その台詞に疑問を持った俺達はウィッチー卿に質問した。すると

 

 

「スポンサー権限で二人に賞金をあげるよ」

 

「「おぉ!」」

 

「でも・・・その代わり」

 

「おん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・ウィッチー卿・・・賞金を貰うのは嬉しいんだが・・・

 

 

「ン~♪アキトは冷たくて気持ち良いね~♪」

 

「・・・何ぶん吸血鬼なもんで・・・」

 

なんで賞金貰う代わりが俺の添い寝なんだよ?いつの間にかシェルスも俺の隣にいるし

 

 

「ちょっとウィッチー!引っ付きすぎよ!」

 

「え~!シェルスは何時もアキトと一緒にいるじゃあないか、たまにはボクが独占してもいいだろう?」

 

「そ、それはそうだけど・・・それでもダメ!」

 

「ケチ」

 

「ケチで結構!」

 

「・・・あの二人とも?俺を挟んで喧嘩するなよ。あと、隣でエミリー達が寝てるから静かにしてくれ」

 

「「イヤ!」」

 

「・・・ハァ・・・ヤレヤレだぜ・・・」

 

こうして夏の『裏』と『表』の祭りは過ぎて行った

 

 

 

・・・でも・・・俺はこの時、まだ知らなかった。まだ今年の夏には世界を巻き込む『イベント』があった事を・・・

 

 

 

 

 

 

 

←続く

 





漸く終わったが・・・まだまだ、これはオリジナルの序章に過ぎない!



次回・・・どうしよ?

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