『世界一カッコいいデブ』・・・斯くありたいモノだ
アキト「あのmadな野郎が久々に出やがる・・・意外と人気なのが・・・腹立つ」
だって『あの人』だからね
ノーサイド
草木も眠る丑三つ時・・・
吸血鬼が吸血姫を、吸血姫が吸血鬼を貪っている頃。
旅館が見渡せる崖に・・・『彼女』はいた!
「・・・」バァ―――ンッ!
その人物は腕組み、仁王立ちをしながら一点を見ていた。その目線の先には・・・
「えへへ♪ちーちゃん♪」
ウサギ耳のカチューシャをつけた天災科学者『篠ノ之束』が満面の笑みを溢していた。その彼女に向かい世界最強のIS乗り『織斑千冬』は鋭い眼光で睨み付けていた
「束・・・」
「こうしてゆっくり話をするのは久しぶりだね♪あの時は色々と忙しくて話せなかったけ―――」
「『お前がやったのか』・・・?」
「・・・え?」
「『お前がやったのか』と聞いているんだ?!!答えろ!篠ノ之束ッ!!!」
千冬は鬼気迫る形相で束に迫った
「お、落ち着いてよちーちゃん!あ、あれはね・・・」
「やっぱりお前がやったのか!ハァ・・・」
「で、でもアレはいっくんと箒ちゃんの為に―――」
「そのザマがあれか!」
「ヒっ!?」
「お前の勝手な独断で一夏や箒だけじゃなく、他の生徒まで危険な目に合わせた!」コツコツコツ
「そ、そんなのどうでもいいじゃん!いっくんや箒ちゃんが強くなる為には必よ――パァンッ!―――・・・え?」
千冬は束の頬を叩いた
「い、痛いよちーちゃん・・・た、束さんじゃなかったら頭が砕けてた――「黙れ」――ヒッ!?」
「お前のせいで・・・お前のせいで私はたった一人の家族を『また』失いかけたんだぞ!」
「そ、それは・・・」
千冬は怒り心頭の頭を振りながら、ぼそぼそと呟きだした
「・・・現れるな・・・」
「え・・・?」
「もう二度と―――」
『私達の前に現れるな!』・・・と、だがその声は紡がれる事はなかった
「いやぁ~!白熱してますねぇ~!ニシシシ♪」
この人物の登場によって!
「だ、誰だ・・・?」
「お、お前は!?」
その人物に千冬は怪訝な顔し、束は驚愕した
「いやはや、また会いましたね?束博士♪そして、初めまして織斑・・・なんだっけ?ま、織斑操縦士で良っか」
「お、お前は誰だ?」
「僕?僕はシュレーディンガー。『吸血鬼大隊』または『レギオン』所属の准尉。『シュレーディンガー准尉』とは僕の事ですよ♪ニシシシ♪あと、さっきぶり博士♪」
シュレーディンガーはニコやかに自己紹介し、束に手を振った
「なんでなんでなんでなんでなんで・・・なんで?!どうして『生きてる』んだよ!?理解不能理解不能!」
束は顔を歪ませ、シュレーディンガーを睨んだ。そんな事とはお構い無しにシュレーディンガーは千冬に近づき、ジロジロとなめ回すように見た
「ん~♪ねぇ、織斑操縦士?」
「な、なんだ?」
「僕の『愛人』にならない?」
「な、ななッ!?///」
「ま、そんな事は置いといて・・・『弟』さんはお元気かな?」
「なに・・・!」
「束博士、『妹』さんはお元気かな?」
「お、お前!箒ちゃんに何かしたのか?!」
興奮する千冬と束を宥めるような動作をおこした
「落ち着いて落ち着いて・・・別に僕ァ何もしませんよ。『大尉』と『ムーン』さんから生き残った二人のご家族を見にきただけですから。ニシシシ♪」
「どうゆう事だ!?」
「あら?聞いていないんですか?貴女方の弟さんと妹さんを『殺害』しようとした人達の仲間ですよ僕は。ニシシシ♪」
「き、貴様ァア!!」ダッ
激昂した千冬はシュレーディンガーに殴りかかろうとした。・・・が
『でんわだよ♪でんわだよ♪大隊長からのでんわだよ♪』
「ッ!?」
「あ、ゴメンよ。もしもし大隊長?」
『准尉か?なにをしている?』
シュレーディンガーの携帯電話からは『男』の声が聞こえて来た
「ゴメ~ン大隊長。今さ、ブリュンヒルデと天災兎に会ってるんだ♪」
『ほう、そうなのか・・・准尉、スピーカーに変えろ』
「Ja~♪」
シュレーディンガーは男の言うとおり携帯をスピーカーに変えた
『もしもし、聞こえるかね?フロイライン方?』
「お前は誰だ?!」
『私は『レギオン』または『吸血鬼大隊』を率いる『大隊長』という者だ』
「お、お前がいっくんや箒ちゃんを・・・?」
『そうだ兎博士。それを聞いてどうする?』
「こ、殺してやる!」
『ククク、怖い怖い』
大隊長は嘲笑するように笑った
『でも博士、君が悪いんだよ』
「なに?」
『君が『あんな事』をするから』
「そ、そんなの・・・お前達が邪魔なんかするから!」
『逆ギレか?所詮はガキか。クハハハ♪』
「お前~!」
『でも良かったか悪かったか・・・君達は『あの方』に救われた。なんとも奇妙だ』
「なに?」
千冬は大隊長のモノ言いが引っ掛かったのか、聞き返そうとしたが・・・
「お前!お前!お前!どこにいる?!見つけ出してやる!必ず見つけ出して殺してやる!」
激情にかられた束にそれを奪われた
「ハハ♪それはそれは楽しみだ♪話は変わるがブリュンヒルデ?」
「な、なんだ?」
「君はこの『世界』がおもしろいか?」
「・・・は?」
大隊長の奇妙な質問に千冬は間が抜けた声を出した
「正直に答えてくれ。この『世界』はおもしろいか?」
「ちーちゃん!こんなヤツの言葉に答えちゃ――「まぁまだ」――ちーちゃん!?」
『ほぅ・・・『不思議な答』だ。だが、安心したまえブリュンヒルデ。これから世界は面白くなるぞ!』
「・・・なに?」
『なんせ君の近くには・・・あの『アーカード』がいるのだからね』
「アー・・・カード?誰だそれは?!」
『君には是非、彼の『妃』になってもらいたいが・・・それは無理か・・・『第一夫人』はすでに決まってるからな、それに沢山の『夫人候補』もいる・・・ククク♪アァ、なんとおもしろい事か!』
「お前!ちーちゃんと話すばっかりしないで――『それではなフロイライン達』――おい!」
ブチリ
大隊長は電話を切った
「あ~ぁ、切れちゃったよ・・・ってアツッ!?」
「シュ、シュレーディンガーッ!?」
電話が切れると同時にシュレーディンガーの体が燃え出した
「まったくヤレヤレ・・・それじゃあブリュンヒルデに兎博士、またどこかでね♪ニシシシ♪」
「お、おい!まだ話は!」
千冬の呼び止めも空しく、シュレーディンガーは燃え尽きた
「い、一体なんなんだヤツは・・・」
「・・・さない・・・!」
「た、束・・・?」
「この束さんをコケにしやがって!絶対に許さない!」
ダッ!
「お、おい!?」
顔に青筋をたてた束は崖から飛び降り、姿を消した
「・・・一体・・・一体何が起きているんだ・・・?!」
三日月が輝く闇夜にポツリと千冬の声が響いた・・・
こうして夜は更けていく・・・
――――――――――――――――――――――――――
ここではない何処かにて・・・
「ただいま~♪」
「おかえり准尉。どうだ?楽しかったかい?」
「うん!とっても楽しかったよ大隊長!」
「そうか・・・それでは報告書を頼むぞ」
「ハイハ~イ♪任せてくださいよ!」タタタタタ・・・
「さて・・・『おもしろき世をもっとおもしろく』してやろうか!」
大隊長は朗らかに楽しそうに笑った・・・
←続く
今回はかなりシリアスになったな・・・
アキト「なんでだ?」
フハハハ♪・・・わからない
アキト「おいッ!」