アキト「やっとかよ・・・」
―――統合しました―――
インサイド
焔大佐からとんでもない話を聞いた俺は、ある程度の覚悟をしながら、皆がいるコテージへ向かった・・・
俺は皆に改めてISが絶対防御で守られているとはいえ、危険な事に変わりはない事や福音が爆撃される事を事細かに説明した・・・
爆撃される事を聞いた時にいの一番に口を開いたのは鈴だった・・・
「それがどうした」
言葉を口にする鈴の眼には確かな[覚悟]があった
その言葉に感化されたか知れずだが、他の皆も作戦の参加に賛同した
それから俺達はISを身に纏い、福音迎撃へとブースターを吹かした・・・
ノーサイド
太平洋沖にて・・・
それぞれの専用機を身に纏った者達は縦1列に並びながら、福音へと向かっていた・・・
「こちら暁、全体聞こえるか?」
「こちら簪・・・感度良好」
「ねぇ!アキト!」
「何だ鈴?」
不意に鈴からの通信がアキトに入った・・・
「なんで私が[先頭]で、皆を先導してるの?」
縦1列の順番としては、鈴・簪・アキト・箒・シャルロット・ラウラ・セシリアとなっていた・・・
この順番にはある理由があった・・・それは
「鈴、お前がこの中で一番近接戦闘慣れしている」
「それなら私よりもアキトや箒の方が――」
「俺や篠ノ之は近接型だが、鈴は近・中距離型だ。福音の適格な戦闘タイプを見極めるために先頭になってもらった」
「何それ?!それって私が噛ませになるって事じゃない!」
「そうとも言うな」
「アンタねぇ!」
鈴は怒りをアキトに向けたが、アキトは真剣な口調で鈴をなだめた・・・
「だが、逆に考えると一番槍をお前に任せるんだ。それほどに俺は鈴を信用しているんだ。だから頼む」
「っ!しょ、しょうがないわね!任せておきなさいよ!」
「あぁ、任せる」
アキトと鈴がそんな会話をしていると・・・
ピコーンピコーン
福音の反応を示す電子音が鳴り響いた・・・
「アキト、反応がでた。1.6㎞先に銀の福音が」
「あぁ、こちらも目視で確認した。これより福音迎撃作戦への指示をする。セシリア?」
「はい?何でしょうアキトさん?」
「セシリアはライフルをスナイパーモードに切り替えて、福音を牽制」
「了解しましたわ!」
「残りは鈴を先頭に突っ込んだ後に円陣で福音を囲み一気にカタをつける!」
「「「「「了解!」」」」」
「それに篠ノ之、突出するなよ」
「フン、言われなくても!」
「ならこれより、福音迎撃へと移る。各員、戦闘準備!」
そのアキトの掛け声とともに人外と戦乙女達は銀の福音へと刃と銃口を向け、攻撃を開始した・・・
[[・・・La・・・]]
「おや?あれは・・・」
「・・・?」
「見てください大尉、あれは[アーカード]じゃありませんか?」
「・・・」
「どうしますか大尉?様子見をした後に漁夫の利をえますか?」
「・・・」
「ムム~ン♪そうですか様子見をしますか」
アキト達を双眼鏡で確認した人狼とホムンクルスはそんな会話をしていた・・・
―――――――
ボシュン
[[La?]]チャキ
福音はイキナリ飛んで来たスモーク弾に視界を遮られ、警戒の為にライフルを構えた。やがて煙が晴れ、福音がメインカメラで最初に見たものは・・・
「テェェエッイッ!」
[[ッ!!?]]
ガギィッッン!
青竜刀を振り上げた鈴の姿だった!
福音は青竜刀を銃剣で受け止め、体勢を立て直そうとしたが・・・
「セェッイ!」
[[Laッ!?]]ズギゥッ!
鈴に続いて、すかさず簪が福音に薙刀でスラスト攻撃をして、ダメージを与えた・・・
[[La~!]]ジャキ
福音は二人にライフルを向け引き金に手をかけたが、500m離れた場所から発射された弾丸が福音の右肩を貫いた!福音は衝撃のあまりグラついた・・・
「今です!皆さん!」
「「「「わかった!」」」」
セシリアの銃撃に続けとばかりに福音に攻撃を仕掛ける・・・
まずはシャルロットとラウラが重火器で稼働部に攻撃を喰らわせる・・・
「わあぁぁぁぁッ!」
「落ちろよぉおッ!」
ガガガガガガガガガガガガッ!
[[~~~!]]
福音は堪らずに金切り声をあげる・・・
それでも福音は尚もライフルを構えようとするが・・・
「させるかぁーーッ!」
[[La~~~!]]ザシュゥゥッ!
福音の反撃を箒が許す訳もなく、刀を直線上に降り下げる・・・
「この!このっ!!このぉっ!!!よくも一夏をぉ~!」
ザクザクザクザク!
[[La!LaLa!!LaLaLaっ!!!]]
箒は狂ったように福音を何度も何度も刀で突き刺す!
「篠ノ之?!ッチ、退け!」ガシィッ
「ぐわっ!?暁、貴様ァッ!」
「簪、頼んだ!」
「・・・任せて」バシィッ
アキトはそんな箒を掴んで、簪に放り投げる。放り投げるとアキトは朧に指示をかける・・・
「朧![アレ]頼むぜ!」
[[承知。[輻射波動機構]発動]]キュイィイン
そうするとアキトの左腕に弾薬のようなモノが装填された・・・
「WRYYYYYYYYYYY!」
[[La!?]]
アキトは左腕を振り上げ、瞬間加速で近づいて行った!
「銀の福音ンンン!」
[[!]]
「[彼女]の[紛いモノ]なんぞになりやがっってぇぇッ!渇かず飢えず弾けやがれえェエッ!」ガシィッ
アキトは叫びながら、カギ爪で福音の頭部を鷲掴みにした!
しかし、その時である・・・
――やめて![アルカード]!――
「っ!?」
突然、アキトの頭の中に聞き覚えのある[声]が響いた・・・
「り、[リップヴァーン]・・・?」
[[王ッ!?]]
その声にアキトの体は硬直し、腕から力が抜けてしまった・・・
「[リップヴァーン]?貴女・・・なのか・・・?」
福音はアキトの言葉に答える事はなく、変わりに・・・
ズギャアァッン!
「がはぁっ!?」
縦横無尽の弾頭がアキトの胸を貫いた!
「アキトさんっ!?」「「アキト!!」」「暁!?」
「K、KUAAAAA!」
後ろの叫び声に正気を取り戻したのか、アキトは体勢を立て直し、輻射波動を福音に叩きつけようとする。だが・・・
ズギュゥッン
ズギャアァッン
ズブシュゥゥウッ!
「GuGyaaa!!!」
体を貫いたはずの弾丸は燕のように方向を反転、変更しながら、アキトの体を幾度となく貫く・・・
[[王ッ!]]
「U、URYYYYYYYYYYY!」ガシィッ
[[La!?]]
それでもアキトは再び、福音の頭部を鷲掴みにすると・・・
「うばっしゃあぁぁぁぁッ!」
[[La――ッ!]]
ドバボォォオ――ンンンッ!
そのまま太平洋の海水に衝突した。海は爆弾が爆発したような水飛沫があがり、アキトと福音は沈んでいった・・・
「あ・・・アキト・・・?」
アキト達が沈んだ場所は、赤く濁っていた・・・
「あ、アキトぉぉぉっ!!!」
簪の悲痛な叫びが太平洋沖に轟いた・・・
―――――――
ノーサイド
アキト達が福音と戦闘を行っているその一方で、マスタングは2つの事に手を焼いていた・・・
まず1つはウラン濃縮弾をつんだ爆撃機の発艦をどうにか止めようと色々なコネを使っている事・・・
2つ目は・・・
「ウチの生徒達をどこに連れていった?!!」バンッ
「まぁまぁ、落ち着いてくださいよms. 織斑?」
机を叩いて生徒達の行方をマスタングに問いただす千冬の応対であった・・・
「(ヤレヤレ・・・暁ののヤツ、黙って出てきやがったんだな。)」
「聞いているのかマスタング大佐?!!」
「え、えぇ、聞いておりますよ?それでウチになんの用でしょうか?」
「さっきから聞いているようにウチの生徒、暁アキト達はどこに行った?」
「ですから、おっしゃってる意味がわかりかねますな。私達は休暇中の軍人の身、お宅の生徒さんの事は知りません。それよりもms.織斑?立ち話もなんですし、紅茶などはいかがですか?丁度良く、良い茶葉が――」
バンッ
カバンを開けようとするマスタングに対して、千冬はまた机に手を叩きつける・・・
「貴方がドン・ヴァレンティーノと繋がっている事はわかっている!その貴方がヴァレンティーノファミリー遊撃部隊[バケガリ]所属の暁アキトを知らないはずがないッ!」
「!。ほぅ・・・どこでその情報を?」
突然の千冬の言葉にマスタングは反応したが、悟られないように顔色を変えない・・・
「それは言えない・・・だが貴方がこの事で糸を引いてる事はわかっているんだ!」
そう言いながら、千冬は「どうだ」と言わんばかりに覇気をマスタングに飛ばす・・・
「それで暁達はどこに行った!?」
「・・・ms.織斑?」
「なんですか?やっと話す気になりましたか?」
「確か貴女は今日の正午、あの[天災科学者]と接触していたそうですね?」
「な、なに!?」
今度は千冬がマスタングの言葉に動揺した・・・
「おや?動揺しましたな?なら本当にあの天災科学者と接触していたんですか」
マスタングは千冬の反応を見ると、手を組んでニヤリと笑った・・・
「そ、それとこれと何の関係が・・・?」
「簡単な話だ。貴女のご友人である篠ノ之束を此方に[引き渡して貰いたい]」
「なっ!?」
アキトがこの場にいれば、「気持ち悪ィ」と言えるほどのニコやか作りスマイルが千冬に炸裂した・・・
「篠ノ之束を引き渡してくれると言うのなら、私は貴女に情報を渡す。どうですか?簡単な等価交換だ」
「・・・」
マスタングの作り笑いに千冬はギロリと睨む・・・
二人の間にはバチバチと火花が散っていると・・・
コンコン ガチャリ
「大佐、失礼します」
少し焦った顔をしたホークアイが部屋に入って来た・・・
「どうかしたのかね?中尉?見てのように客人がいるのだが?」
「そうですか・・・ならお耳を拝借」コツコツコツ
ホークアイはマスタングに近づくと、耳元でゴニョゴニョと囁くと・・・
「っ!?それは本当か?!!」
「・・・?」
「えぇ、[彼女]が飛び出して行ったので確かかと・・・」
「まさか、アイツが・・・」
マスタングは深刻そうな顔をしていき、千冬は頭を傾げた・・・
「例の件は?」
「なんとかなりました。あとで[彼]を連れていく事を条件に」
「わかった。mr. 織斑?」
「なんですか?」
「急な要件が入りましたので、お引き取りください」
「は?ふざけないで頂きたい!まだ質問に――」
「さて急ぐぞ中尉」
千冬の声を無視したまま、マスタングは出掛ける準備を始めた・・・
そうして準備が出来たのか、部屋のドアノブに手をかけた。するとマスタングは不意に千冬に声をかけた・・・
「あぁ、そうそうms.織斑?」
「な、何でしょうか?」
「貴女の予想が正しいですよ。それでは」
「え?ちょ、ちょっと――」
マスタングは千冬の答えを聞かぬままにホークアイと部屋から出ていった・・・
「私の・・・予想・・・?・・・まさか?!!」
おいてけぼりにされた千冬も何かを悟ったのか、さっさと簡易司令室に大急ぎで戻っていった・・・
太平洋沖にて・・・
「アキト・・・待ってて・・・」
アキトの事を虫の知らせで察知したシェルスが太平洋上空を自らの翼を広げ、全速力で向かっていた・・・
←続く
最後のは伏線に・・・なりえるかな?
次回も頑張る!