人外になった者   作:rainバレルーk

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Q.吸血鬼関係で有名な映画と言えば?

A.「ブレイド」シリーズ
 「ヴァン・ヘルシング」
 「吸血鬼ドラキュラ」

―――統合しました―――



人外と兎耳の天災・・・

 

ノーサイド

 

 

 

カラン・・・コロン・・・

 

「んッン~♪良い気分だ。歌でも一曲歌いたい良い気分だ~♪」

 

朝風呂を頂いたアキトはホカホカ気分で朝日に照らされた中庭を歩いていた・・・

 

 

「ホッコリしたら、腹が減ったな・・・そう言えばココの旅館の朝飯は朝粥が出るんだったな・・・コイツは楽しみだ」

 

[[・・・・・・・・・]]

 

「おん?どうした朧?」

 

[[イエ・・・ナンデモゴザイマセン・・・]]

 

「?。さよか」

 

 

アキトはそのまま旅館の女将が用意してくれた自室に戻って行った・・・

だが、朧は自らのセンサーを張り巡らせ、警戒していた・・・

 

 

[[(コノ気配・・・[彼女]か・・・?)]]

 

 

その後、クラスメイトと合流したアキトは朝飯を平らげた・・・

 

1時間後、海辺の砂浜に生徒達は集められ、打鉄を纏って専用刀の[葵]で素振りをしていた・・・のだが・・・

 

 

「あの織斑先生?どうしてここに箒さんがいるんですの?」

 

 

専用機持ち達は一般生徒とは違う場所に集められていたのだ・・・

そこにはいつもの専用機持ちのメンツに混じり、ISスーツを着た箒がいた・・・

 

 

「それはだなオルコット――」

 

 

溜め息混じりに千冬が事情を説明しようとした・・・その時である・・・

 

 

「ちぃぃぃぃぃ~~~~~ちゃぁぁぁ~~~ッん!!!」

 

 

兎耳のカチューシャをつけた白衣姿の人物が千冬に向かって突撃していった・・・

そんな人物に対して千冬は・・・

 

 

「ふんッ!」バキィッ

 

「ぐべらっ!?」

 

 

ラリアットをかました・・・

ラリアットをかまされた人物は潰れた蛙のような声でひっくり返されたのだが・・・

 

 

「なにすんのさ!ちーちゃん![束]さんの大事な頭脳が壊れたらどうすんのさ?!」

 

 

平気な顔で起き上がり、千冬に向かって文句を言った・・・

 

 

「大丈夫だ。さっきの衝撃で脳には良い刺激になったんじゃないか?」

 

「そうかなぁ~?そうかも!ちーちゃん頭っ良いぃ~!」

 

「ハァ・・・まったく・・・」

 

 

二人の会話に周りは唖然となった・・・

すると一夏が口を開いた・・・

 

 

「た、[束]さん?」

 

「やっほ~!いっくん!久しぶり~!そうだよ!束さんだよ~!」

 

 

兎耳は一夏に向かって実に馴れ馴れしい挨拶をした・・・

 

 

「あ、あの織斑先生?この方は一体?」

 

 

周りがまだ唖然となる中、セシリアが千冬に質問すると、千冬はまた溜め息をついて話始めた・・・

 

 

「コイツはISの生みの親・・・[篠ノ乃束]だ」

 

「ヤッホー♪皆ヨロピクねー♪」

 

 

彼女の名前は[篠ノ乃束]。ISと言う世紀の大発明を一人で創りあげた人物である・・・

 

その事を説明され、驚きの声を周りがあげるなか・・・この男は・・・

 

 

「アキト・・・起きて・・・?」

 

「Zzzzzz・・・」

 

 

目を確りと開けたまま眠るという高等テクニックを使い、簪に寄りかかっていた・・・

 

 

 

―――

 

 

 

専用機持ち達は一人を除いて驚きを隠せずにいた・・・

それもそうだ。今、自分達の目の前には世紀の大発明[IS ]を創りあげた天才科学者[篠ノ乃束]博士がいるのだから・・・

 

そんな天才に向けて、冷たい目を向ける者が一人・・・

 

 

「むふ~♪久しぶりだね♪箒ちゃん!」

 

「・・・姉さん・・・」

 

 

束は手をワキワキさせながら箒に近づいていく・・・

 

 

「久しぶりに会ったから色々と成長してるね~?特にむn――」バキィッ

 

「うるさい・・・殴りますよ?」

 

「殴ってから言った!箒ちゃんひど~い!いっくん!箒ちゃんがイジめる~!」

 

「あは、ハハハ・・・」

 

「ハァ・・・」

 

 

天真爛漫な天才に一夏は苦笑いし、千冬はまた溜め息をついた・・・

 

そんな中・・・

 

 

「あの、篠ノ乃博士?どうして貴女がここに?貴女は確か世界中から指名手配されてるはずでは?」

 

 

セシリアが束に声をかけた・・・しかし、束はセシリアに対して・・・

 

 

「え・・・お前誰?」

 

 

何とも言えない冷たい目と反応を示した・・・

 

 

「イギリス国家代表候補生のセシリア・オルコットですわ。どうぞよろし――」

 

「うるさいよ」

 

「・・・え?」

 

「今、束さんは箒ちゃんにいっくんにちーちゃんと話をしてるんだよ。お前なんかに興味ないから黙っとけよ」

 

「え・・・あ・・・はい・・・」

 

 

まるでセシリアは道端の石ころのように束に冷たくあしらわれ、ショボンとした・・・

そんなセシリアを余所に束の興味の矛先はある人物に向けられた・・・

 

 

「おい、お前」

 

「え・・・?」

 

「お前じゃないよ水色・・・お前だよ黒髪の」

 

「・・・」

 

 

束は簪に寄りかかるアキトに近づく・・・

 

 

「お前・・・なんでISを動かせたんだよ?」

 

「・・・」

 

「この束さんが質問してんだよ!さっさと答えろよ!」

 

「・・・」

 

 

鋭い眼孔で束はアキトを睨む・・・だが、当の本人のアキトは寝ているのだ・・・

これでは会話は成り立たない。しかし、端から見れば二人は睨みあってるように見える・・・

そんな事とは露知らず、束はアキトに対してイライラする・・・すると

 

 

「・・・あの・・・篠ノ乃博士?」

 

「なんだよ水色?お前にようはないんだけど?黙っとけよ」

 

「・・・それでもです」

 

「なに?」

 

 

寄りかかられた簪が束に意見をしだした・・・

 

 

「突然・・・声をかけるにしても・・・少し失礼ではないですか?」

 

「ちょ、ちょっと簪!?」

 

「この束さんが声をかけてやったんだ。ありがたく思えよ。しかもお前にようはないんだよ水色!私がようがあるのはそこの黒髪なんだよ!」

 

「人に声をかける時は・・・主語をつけて話せ・・・と学校で習わなかったんですか?」

 

「な、なんだと~!お前は国語の教師かよ~!」

 

 

二人の間に不穏な空気が流れていき、簪を知る周りはハラハラと手に汗を握った・・・その時

 

 

「やめろ束、大人げないぞ」

 

「でもちーちゃん!」

 

「やめろ、いいな・・・!」

 

「む、むぅ~・・・」

 

「お前もだ更識」

 

「すみません、織斑先生」

 

 

千冬が仲裁?をした

 

 

「ヤレヤレ・・・お前もなにか言ったらどうだ?暁?」

 

「・・・」

 

「暁?」

 

「・・・Zzz」

 

「・・・ふんッ!」

 

「ゲボラッ!?」バキィッ!

 

「「「「えっ!?」」」」

 

千冬は目を開けたまま眠るアキトの顔面に右ストレートをぶちこんだ・・・

アキトはそのまま後ろに倒れた・・・

 

 

「え・・・暁のヤツ、今まで寝てたのかよ」

 

「随分とまぁ、器用な寝方だな」

 

「まったくね」

 

「というかさっきのパンチ、モロにヒットしたよ?大丈夫かなアキト?」

 

「大丈夫でしょう・・・アキトさんですから」

 

「「「「あぁ・・・確かに」」」」

 

 

セシリアの言葉にアキトを知る者は深く納得してしまった・・・

一方のアキトはというと・・・

 

 

「な、何をするだーッ!ゆ、許さん!!!」

 

「やかましいッ!!」バキィッ

 

「ぐべらっ!?」

 

今度は左フックで殴られていた・・・

 

 

「い、痛い・・・」

 

「大丈夫?アキト?」

 

「まったく、一時はどうなることかと・・・」

 

「いや~、悪い悪い」

 

 

ストレートとフックを喰らったアキトは、痛そうに殴られた鼻と頬を簪から貰った氷袋で冷し、セシリアに怒られていた・・・

 

 

「スゲェ・・・千冬姉のパンチを受けて、平気だなんて・・・」

 

「それより姉さん・・・頼んでいたものは?」

 

「[頼んでいたもの]だと?」

 

「オーケーオーケー!もちろん持って来たよ!」

 

 

そういうと束は何処からかあるISを取り出した・・・

 

 

「束さん・・・これは?」

 

「フッフッフ~♪これは束さんが箒ちゃんのために作った新しい[第4世代]のIS・・・その名も[紅椿]!」

 

「「「「「ッ!?」」」」」

 

「へぇ~・・・」

 

「え?・・・どうゆう事?」

 

 

束の発言にアキトや一夏以外が驚愕した!

 

 

「だ、[第4世代]ですって!?」

 

「第3世代でもトライアル段階なのに・・・」

 

「なぁ鈴?それはスゴい事なのか?」

 

「い、一夏、アンタねぇ~!」

 

 

一夏の何の気なしの疑問に鈴はガックリと肩を落としながら答えた・・・

世界のISがまだ第3世代までしか作られていない事を分かりやすく説明した・・・

 

 

「――とゆうことよ」

 

「へぇ~・・・つまりは?」

 

「トドのつまりはねいっくん、束さんは天才だって事だよ!」エッヘン

 

「威張るな」ゴチン

 

「痛いよ!ちーちゃん!」

 

 

それから箒に急かされた束は紅椿をフィッティングし始めた・・・

フィッティングは思うように進んでいったのだが・・・

 

 

「・・・」

 

 

そんな場景をアキトは怪訝な顔で見ていた・・・

 

 

「どうかしたのか?嫁よ?」

 

「嫁言うな。なぁラウラ?軍人のお前からみて篠ノ乃はどう見える?」

 

「?・・・そうだな・・・」

 

 

フィッティングを進めていく中で、紅椿を纏う箒の顔をラウラは事細かく観察し、ある答えを導き出した・・・

 

 

「初めて銃を握った[新兵]だな」

 

「その理由は?」

 

「あの顔だ」

 

「ほう」

 

「初めて力を、[殺す]ための力を得たケツの青い新兵だ」

 

「さっすがドイツ軍少佐殿、言うことが違うねぇ~?」

 

 

アキトは茶化すようにラウラを褒めたのだが・・・

 

 

「そ、そうか?て、照れるな///」

 

「おん・・・(ヤバイ可愛い)」ポン

 

「わっ!?///あ、アキト!?///」

 

 

予想外にラウラが素直な反応にアキトは頭を撫でた・・・

 

 

「アキト~?」

 

「アキトさん?」

 

「・・・」

 

 

他の者にジト目で見られながらもラウラの頭を撫で続けた・・・

 

それを余所に紅椿のフィッティングは完了し、箒の顔は何処かほころんでいた・・・

 

 

「(これで・・・これで私はやっと一夏と並べる力を・・・得たんだ)」

 

「・・・」

 

「どうしたの?ちーちゃん?怖い顔して?」

 

「いや・・・なんでもない・・・」

 

 

顔がほころぶ箒を千冬もまた怪訝な顔で見ていた・・・

 

 

「あ、そう言えばお前」

 

「おん?」

 

 

どうやら天災兎が人外吸血鬼に興味を移したようだ・・・

 

 

「・・・だれ?」

 

「篠ノ乃束博士だよ、アキト」

 

「グラッツェ、シャーロット。で?その世紀の大発明者が俺になんのようだい?」

 

「お前の専用機寄越せよ」

 

「・・・・・・あ"?」

 

 

アキトは束の発言に耳を疑った・・・

[テメェ、何を言ってやがるんだよ?このアバズレがぁ!]などど言う気持ちが猛烈に沸き上がったが・・・

 

 

「(落ち着け、落ち着けよ。自然数を数えて落ち着くんだ・・・1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.・・・よし)なんで俺が初対面の貴女に専用機を渡さなくちゃあならんのだ?」

 

「この束さんが寄越せって言ってるだよ。速く寄越せよ凡才風情が」

 

「フフ、凡才風情か・・・(そんな方に俺の朧を渡す訳にはいきませんな)ブチ殺すぞテメェ?」

 

「アキト・・・逆」

 

 

先程の和やかな雰囲気とはうって変わって殺伐とした空気が辺りを塗り替えた・・・

 

 

「なんだとお前?」

 

「おっと・・・コイツは失礼。つい本音が・・・失礼失礼このアバズレ糞兎」

 

「お前ぇ~!」

 

「止めないか二人とも」

 

「でもちーちゃん!」

 

「いいからやめろ束。お前もいいな?暁」

 

「アイアイサー了解しましたよ。・・・ッケ」

 

「む、むぅ~・・・この野郎・・・!」

 

 

殺気だった空気を千冬はうやむやにした・・・

束はアキトをキツく睨みつけたが、アキトはどこ吹く風である。そんな自分に興味無さそうなアキトに束はますます苛立った・・・

 

 

「(ヤレヤレ、シェルスに吸血されたから気が短くなってやがるな・・・どうしようかね~?)」サスリ

 

「アキト・・・?」

 

 

アキトは無意識の中で簪の首を撫でた・・・

その目は血のように、紅椿より赤い紅い目をしていた・・・

周りに気づかれないように何度も何度も簪の髪を触り、匂いを嗅ぐ・・・この変態め

 

 

「ゴクリ・・・」

 

「・・・良いよアキト///」

 

「そうか?なら・・・」

 

 

この吸血鬼、かなり思考回路が食欲に向いているようだ。簪の首に気づかれないように指を刺そうとした・・・その時である!

 

 

「あッ!」

 

「「っ!?」」ビクッ

 

「あれは・・・山田先生?」

 

 

集められた場所から離れた所から真耶が急いで走って来たのだ・・・

 

 

「(あ・・・コレ、絶対面倒臭いヤツだ・・・)」

 

アキトの直感があたるのは・・・すぐ先である・・・

 

 

 

―――――――

 

 

 

インサイド

 

 

 

あれから幾分かの時間が経ったろうか?

昼飯が食いたいでござる!

 

あの糞・・・じゃない、天災兎に絡まれた時にちょうど運良く?山田先生が急いで持って来た[緊急事態]ってのが発端だ・・・

 

これまた、この[緊急事態]が糞面倒臭い厄介なモノで・・・

 

要約するとこうだ

 

今日午前10:47頃、南太平洋沖にて、アメリカ海軍所属のIS[銀の福音]、英名[シルバリオ・ゴスペル]が演習実験中に原因不明の[暴走]を起こしやがった

 

銀の福音・・・長ったらしいから、[銀ちゃん]で良いか

 

この銀ちゃん、アメリカとイスラエルの共同開発で作られた第3世代型のISで、最新鋭の武器が取り付けられている。それが暴走したとなったら、さぁ大変!

 

どうにかこのジャジャ馬を止めようとした軍は、その場の戦力で銀ちゃんと交戦・・・結果は、同行していたイージス艦1隻と巡洋艦2隻が大破、この銀ちゃんを運んで来た空母に至っては中破・・・散々だね

 

んで・・・その尻拭いが俺達にまわって来たとさ・・・めでたしめでたし・・・

 

 

 

 

 

 

 

ふざけるなよ糞が・・・!

 

 

 

―――――――

 

 

 

ノーサイド

 

 

 

アメリカ海軍からの要請により、アキト達専用機持ち達は秘密裏に旅館の大広間に集められ、千冬から説明と作戦の概要を受けた・・・

 

専用機持ち達は熱心にそれを聞いていた・・・一人を除いて・・・

 

 

「作戦目的としてはアメリカ海軍所属のIS、銀の福音の完全停止だ」

 

「はい。織斑先生」

 

「なんだ?オルコット?」

 

 

仁王立ちした千冬にセシリアが手を挙げて意見する・・・

 

 

「先程の説明で、銀の福音が遠・中距離戦に特化した機体のようですが・・・誰が先陣をきるので?」

 

「うむ、今回の作戦では短期決戦を主軸とする・・・織斑に先陣をきらせる」

 

「えっ!?お、俺っ?!!」

 

 

さっきまでポケーとしていた一夏の顔が驚愕に変わっていった・・・

 

 

「ど、どうして俺が?」

 

「お前の専用機体[白式]の単一能力が必要だからだ」

 

「白式の?」

 

 

一夏の専用機[白式]、その単一能力である[零落白夜]は自らのエネルギーを使い、相手を一気に再起不能にする能力である。この一撃必殺の能力で銀の福音を停止させようとする魂胆である

 

 

「無理にとは言わん・・・どうしても無理だと言うなら――」

 

「いや・・・やるよ。やらせてくれ千冬姉」

 

 

一夏は真っ直ぐに千冬の目を見た・・・

 

 

「――わかった・・・なら織斑のバックアップをオルコ――」

 

 

千冬がセシリアの名前を呼ぼうとした・・・その時!

 

ドタドタドタドタドタ・・・バァァーァン!

 

「ちぃぃぃぃぃーーーちゃぁぁぁん!」

 

「ね、姉さん?」

 

 

 

束が襖をおもいっきり開けて現れた・・・

 

 

「・・・ここは関係者以外立入禁止なハズだが?」ガシッ

 

「痛い!痛い!痛いよ!ちーちゃん!」

 

千冬は有無も言わずにアイアンクローを束の顔にかました・・・

 

 

「ここは断然![紅椿]の出番なんだよ!」

 

「・・・なに?」

 

「紅椿なら、確実に完璧にそこの金髪より白式のバックアップできるんだよ!」

 

 

いつの間にか消えて、また突然現れた束はこの銀の福音停止作戦に紅椿を押した・・・

 

 

「・・・本当か?」

 

「もちもちろんろん!だからこの作戦には紅椿を――」

 

 

束が千冬に熱弁をふるっている、その隣で・・・

 

 

「俺は・・・反対だな」

 

ひっそりと眉間に皺寄せ、腕組みした人外が呟いた・・・

 

 

「おい、どういう意味だよ?」

 

 

アキトの呟きに束は鋭い睨みを向け、千冬は疑問を投げ掛けた・・・

 

 

「暁、それはどういう意味だ?」

 

「そのままの意味ですぜ織斑先生?織斑はともかく、本作戦に篠ノ之が参加する事に反対する」

 

「どういう事だ!暁!」

 

 

アキトの言葉に箒が噛みついた・・・

 

 

「ドウドウ、落ち着けよ篠ノ之。なら聞くが篠ノ之?お前さんは、この作戦の意味がわかってんのか?」

 

「は?何をバカな事を。太平洋沖で暴走中の銀の福音を――」

 

「違ぇーよ・・・んな事言ってんじゃねぇーよ」

 

 

アキトはヤレヤレと首を振りながら、溜め息を吐く。そんなアキトに対して、箒は苛立ちを押さえられずに怒号をあげる・・・

 

 

「だったらなんだと言うんだ?!ハッキリと言え!」

 

「なら言ってやるよ・・・この作戦における敵は、お前達が普段から相手している[生温い敵]じゃない。確実に此方を殺しにかかる[殺意を持った敵]なんだよ。お分かり?」

 

「それとこれと何の関わりが――」

 

「[新しい玩具]を与えられて[はしゃぐ童]には無理な話って訳だ」

 

「なんだと貴様!?」

 

 

その言葉に納得がいかないのか、箒はどこからか木刀を取りだし、アキトに向けた・・・

 

 

「それによぉ~篠ノ之束博士?」

 

「・・・なんだよ」

 

 

今度は束に言葉をかける・・・

 

 

「アンタ、天災なんて自分で言ってけど・・・本当はバカなんじゃない?」

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

「は、はぁぁっ!?」

 

 

まったくもってとんでもない言葉を吐いた・・・

 

 

「・・・やめろ暁」

 

「だってよぉ~、世界でも開発されてない最新型をよりによって身内にあげるて・・・バカだろ?」

 

「ど、どういう事だよ暁?」

 

「考えてもみろよ織斑?世界中で未開発の最新ISを天才でも世界最強でもない、剣道が少し上手いだけのただの天才の[妹]がそんなもん持ってたら、世界中がどんな手を使ってでも欲しがるだろうよ。篠ノ之博士?アンタはそれを――」

 

「やめろと言っているのがわからんのかっ!暁ッ!!」

 

「お断りだね!」

 

 

アキトの話を遮るように千冬の怒号が部屋に響く・・・

だが、エンジンがかかってしまっているアキトはそのままベラベラと口を動かす・・・

 

 

「アンタもアンタだ織斑千冬!アンタ、篠ノ之の浮かれ具合に気づきながらも、そこの自称天災博士さまの口車にのってんじゃねぇよ!アホなんじゃねぇよ?!アホなんですか?!態々自分の生徒を危険地帯に放り込むなんざ、さすがは世界最強だね!呆れて呆れて尊敬しちまうよ!」

 

「暁ッ!お前ぇぇッ!!」バキィッ

 

 

一夏はアキトの発言に堪えかねたのか、その肩をつかみ、拳を振り抜いた・・・

しかし、殴られたアキトは怒るどころか一夏に向かってケラケラと笑った・・・

 

 

「カカ♪なんだよ?なんだよ?なんなんですかぁ~?織斑一夏くぅ~ん?お姉ちゃまを貶されて、オコですか~?オコなんですかぁ~?」

 

「暁ィィイッ!」グッ

 

 

一夏はまたもアキトに向かって拳を振りあげた・・・

しかし・・・

 

バシィッ!

 

「「「「っ!」」」」

 

 

アキトを叩いたのは・・・

 

 

「・・・何すんだよ?・・・簪・・・?」

 

 

真剣な面持ちでアキトを睨む簪だった・・・

 

 

「アキト・・・言って良い事と・・・悪い事がある」

 

「はぁ?俺は正論を言っただけ――」

 

「それでも・・・ダメッ!」

 

「っ・・・そうかよ・・・」

 

 

簪に怒られた?のかアキトはツカツカと出口に向かい、襖を開けた・・・

 

 

「どこに行く?暁?」

 

「ッケ、俺はどうやらこの作戦には不似合いらしいんで失礼させて頂きますよ!それでは失礼!」

 

 

バタンと乱暴に襖を扱い、アキトは部屋から出ていった・・・

 

あとに残されたのは重い空気とオロオロする真耶だけだった・・・

 

 

 

―――――――

 

 

 

ノーサイド

 

 

アキトが部屋から出ていったあと、一夏並びに箒を筆頭としたチームが編成された・・・

 

チームが編成されてすぐ、一夏と箒は作戦に出るために控え室に移動し、ISの調節をしていた・・・

 

 

「・・・」

 

 

初めての実戦作戦に一夏の表情は強ばっていた・・・

そんな一夏を余所に箒は嬉しそうに作戦開始時間を今か今かと待っていた・・・

 

 

「緊張しているのか一夏?」

 

「箒・・・?」

 

「大丈夫だ一夏!暁の言う事など真に受けるな。この作戦には私がついているのだから」

 

「あ、あぁ・・・そうだよな!大丈夫だよな!ハハ、ハハハ♪」

 

「そうだ!心配するな!フフフ♪」

 

 

朗らかに二人は笑いあった・・・

このあと、千冬に召集された二人は銀の福音に向けて出撃した・・・

 

 

 

―――――――

 

 

 

旅館のある一室にて・・・

 

 

一夏と箒が作戦に出撃している一方で、残された専用機持ち達は万が一の為に部屋に集められているのだが・・・

 

 

「・・・」ズーン

 

 

部屋の片隅で落ち込む水色が一人、項垂れていた・・・

 

 

「か、簪?そんなに落ち込まないで」

 

「・・・ハァ・・・」

 

 

溜め息を吐き、髪色のごとくブルーになる簪をシャルロットが励ましていた・・・

そんな二人を遠巻きにセシリアとラウラは話をしていた・・・

 

 

「大丈夫なのか?更識簪は?」

 

「どうでしょう?たぶん簪さんは突発的にアキトさんを叩いてしまったから、その罪悪感で落ち込んでるんでしょう」

 

「そうか・・・それよりアキトはどこに行った?」

 

「さぁ?頭を冷やすと言ってから、どこかに行ってしまいましたし・・・なんとも言えませんわね」

 

「ちょっと二人とも!冷静に話してないで簪を励ましてよ!」

 

 

冷静に話をする二人にシャルロットは叫んだのだが、元気のない簪の溜め息が響くばかりだった・・・

 

 

 

―――――――

 

 

 

場面は戻る・・・

 

銀の福音掃討の為に一夏と箒は太平洋上を飛行していた・・・

 

 

「ん?・・・あれは!」

 

 

紅椿のレーダーが数㎞先の反応を告げた・・・

 

 

「こちら紅椿。織斑先生、レーダーに反応あり」

 

「「こちら指令室、こちらも確認した・・・銀の福音だ。織斑、スコープで確認できるか?」」

 

 

一夏は白式に取り付けられたスコープで反応先をみると、そこには海上で静止状態の銀の福音がいた・・・

 

 

「こちら白式、銀の福音を目視で確認・・・」

 

「「こちら指令室、銀の福音の今の状態はどうだ?」」

 

「どうって・・・動いてない。静止状態だ」

 

「「そうか・・・篠ノ之、そちらからはどうだ?」」

 

「・・・」

 

「「篠ノ之?」」

 

「・・・フフ♪」

 

「「応答しろ!篠ノ之!」」

 

「は、はい!?すみません!静止状態で動く気配がありません」

 

 

中々に応答しない箒に千冬は叱咤したのだが、箒の顔は緩んだままであった・・・

 

 

「「まったく・・・これより作戦に移る。双方ともに無理はするな」」

 

「「了解」」

 

「「あと、篠ノ之」」

 

「はい?なんでしょうか?」

 

 

千冬はプライベートチャンネルを箒に繋げ・・・

 

 

「「無理はするな・・・無理だと感じたら、すぐに退却しろ良いな?」」

 

 

忠告したのだが・・・

 

 

「・・・貴女もか・・・」

 

「「何?」」

 

「大丈夫です千冬さん、貴女の代わりに私が一夏を守ります。それでは」

 

「「待て篠ノ之、それは――」」

 

ブチ

 

箒は千冬の言葉も聞かぬまま通信を切った・・・

 

 

「ん?どうかしたのか箒?」

 

「いや、なんでもないぞ一夏。それよりも作戦に集中しろ一夏!」

 

「あぁ、わかってるさ!」

 

「(そうだ一夏・・・私がお前を守ってやるぞ。この紅椿で!)」

 

「なら・・・行くぜ!」

 

 

そうして二人は銀の福音に向けて発進していった・・・

不穏な結末に向けて・・・

 

 

 

 

 

 

 

[[・・・・・・La♪]]

 

 

 

 

 

 

 

←続く

 




出したは良いが口調が難しい・・・

どうしよ・・・想像力に文章能力が追い付かない…

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