人外になった者   作:rainバレルーk

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久々の投稿・・・コツが掴めない・・・

―――統合しました―――



旅館での出合い・・・

 

 

 

ノーサイド

 

 

 

ここはイギリス・・・

 

 

タタタタタタッ・・・

 

 

首都ロンドンから東へ離れた場所にある、軍司令部にて・・・

 

 

「退け!退けぇ~!」

 

 

司令部の廊下を走る男が一人。

男は司令部のある部屋に飛び込んだ。

 

 

ガチャリ 

 

「大佐いますか?!!」バン!

 

 

部屋にはデスクの上に大量の書類をおき、その処理に追われる軍服に身を包んだ黒髪の男とその右側に立つ軍服に身を包んだ金髪を後ろで纏めた女がいた・・・

 

 

「少尉、部屋に入る時はノックをしろと言っているだろう?」

 

「そんな事より大変なんですよ!大佐!」

 

「何が大変なの?」

 

「おぉ!中尉もいましたか!ちょうど良かった!これを見てください!」バン

 

 

少尉と呼ばれた男は持っていた封筒から書類と写真を出し、大佐に渡した・・・

 

 

「ふむ・・・こ、これは!?」

 

「大佐、この男は・・・!」

 

 

大佐と中尉は写真を見ると顔の血相を変えた・・・

 

 

「「ハボック」・・・何処だ!何処でコイツが撮られた?!!」

 

「はい!今から31時間前に中国、広東省の空港でです!」

 

「大佐・・・どうしますか?」

 

「4年・・・あれから4年たって漸くか・・・!」

 

「大佐?」

 

 

大佐がボソボソと呟いていると・・・

 

ガチャリ

 

「おぉ~!「ロイ」邪魔するぞ~!」

 

「中佐殿!?」

 

 

扉からは眼鏡をかけた男が飄々と現れた・・・

 

 

「昼飯を――ってなんかそんな雰囲気じゃないな」

 

「・・・ちょうど良い時に来たな「ヒューズ」」ガタリ

 

「・・・え?」

 

 

大佐はデスクから立ち上がると中佐に近づき、肩を叩いた・・・

 

 

「ヒューズ、仕事だ」

 

「は?ちょっと待て!何の話だ?!」

 

「4年前の続きだ、「アームストロング」少佐に連絡を頼む」

 

「よ、4年前って!ヤツらの動きが掴めたのか?」

 

「わからん、しかし中国の空港でこの写真が撮られた」

 

「こ、コイツは!?」

 

 

大佐が中佐に見せた写真には群青色のコートに古い軍帽を深く被った白髪の男が隠し撮りされていた・・・

 

 

「人違いの可能性はないのか?」

 

「私の部下だぞ、間違いはないはずだ・・・」

 

「ロイ、ホムンクルスや蟲共の事もある・・・不確定な情報に人員は割けないぞ?」

 

「ヤツらを潰す方が先決だ!」

 

「しかしだな――」

 

ケンケンゴウゴウ

 

「少尉、対象は空港からどこに向かったの?」

 

「待ってください、え~とですね・・・」

 

 

大佐と中佐が言い争っている隣で、中尉が少尉に聞いていた・・・

 

 

「途中で尾行をまかれたみたいなんで、詳しい場所はわかりませんが、大まかな場所なら」

 

「それはどこ?」

 

「日本です」

 

「「なにっ!?」」

 

 

その言葉を聞いて、大佐と中佐は少尉を向いた・・・

 

 

「ハボック、聞き間違えじゃなければ「日本」と言ったか?」

 

「はい、日本すけど・・・それが何か?」

 

「はぁぁぁ・・・」

 

 

大佐は肩をユックリと落としながら、息を吐いた・・・

 

 

「どうするんだロイ?あの国にはあの「アルカード」がいるぞ」

 

「あぁ、確かにな・・・どうしたものか・・・」

 

「あの中尉?」

 

「何?少尉?」

 

「大佐達が言っているアルカードって・・・」

 

「えぇ、4年前の戦役の英雄・・・「暁のアルカード」よ」

 

「なんでその英雄が日本に?」

 

「彼、日本人なのよ」

 

「そうだったんすか・・・」

 

 

中尉と少尉が話をしていると・・・

 

 

「そうだ!」

 

 

大佐が何かを閃いた・・・

 

 

「どうしたんだ?ロイ?」

 

「休みだ・・・休みをとって慰安旅行だ!」

 

「はぁ?」

 

「何言ってすか大佐?」

 

「まさかお前!慰安旅行の名目で日本に行く気だな?!」

 

「その通りだ、紅蓮のもそれで日本に行ってるみたいだからな」

 

「大佐・・・」

 

 

大佐の考えに中尉は頭を抱えて、溜め息を吐いた・・・

少尉も同じように大佐を見ていたが・・・

 

 

「ハァ・・・わかったよ」

 

「中佐?」

 

「中央には俺から話をつけておく、好きにやれ」

 

「ありがとうヒューズ」

 

「ちょ、ちょっと良いんすか?!ヒューズ中佐?」

 

「大丈夫だ、なんとかなるだろう」

 

「えぇ~・・・」

 

「そう言う事だ!中尉、各員に連絡をしてくれ、出発は3日後だ」

 

「了解」

 

「待っていろよ・・・「ワーウルフ」」

 

 

こうして、英国軍の小隊の慰安旅行が決定されたのであった・・・

それはアキト達が臨海学校に行く1週間前の事であった・・・

 

 

 

 

 

 

 

―――――――

 

 

 

インサイド

 

 

 

トンネルをぬけると、そこから海が見えた・・・

 

 

バスの窓からは風が潮の香りが運び、俺の鼻腔をくすぐる・・・なんともまぁ~、気持ちが良い・・・

 

 

「おい起きろ!嫁よ!」

 

「アキトさん!起きてくださいまし!」

 

「もう着いたよ!アキト~?」

 

 

隣からラウラやセシリア、シャーロットが俺の体を揺らす・・・この揺り心地のなんと良い事か・・・素晴らしい・・・どんどんと眠りの深淵へと誘われる・・・コイツは素――

 

 

「ふん!」

 

バギィィィッ

 

「ぐがっ?」

 

 

・・・なんだよ?なんだよ?なんなんですかぁ?人が折角気持ち良い感じで寝てたのにってのに・・・まぁ

 

 

「麗しの戦乙女に起こされのも良いもんか・・・」

 

「さっさと起きんかバカ者!もう旅館に着いたぞ!」

 

バギィィィッ!

 

・・・アンタは人の頭を叩かないと話が出来ないのか?

 

 

 

 

 

 

 

ノーサイド

 

 

 

「「「「「「「よろしくお願いします!」」」」」」」

 

 

海辺にある旅館の玄関前ではIS学園の生徒達が挨拶をしていた・・・生徒達の前には

 

 

「えぇ、皆様ごゆっくりと」

 

 

和服美人の旅館の女将が朗らかに笑っていた・・・

 

 

「女将さん、今年もよろしくお願いいたします」

 

「えぇ、こちらこそよろしくお願いいたします・・・それで今年は・・・」

 

「はい!今年は男子がいます」

 

「それはこちらも把握しておりますが・・・」チラリ

 

「え?」

 

 

女将は他の生徒と話をする一夏の方を見た・・・

 

 

「「2人」来ると聞いておりましたが?もうお一人は?」

 

「そ、それはですねぇ・・・も、もうすぐ来ますので!」

 

「(何やってんだ?暁のヤツ?)」

 

真耶は焦りながら、女将に応対し、一夏が疑問に思いはじめたそんな頃・・・

 

 

「さぁ!とっとと歩け!」

 

「痛い痛い痛い!耳を引っ張るんじゃあない!」

 

「ホント良く寝ていましたわ」

 

「お寝坊さんだな」

 

「ハハハ・・・」

 

 

セシリア達を引き連れた千冬に耳を引っ張られながら、アキトが歩いて来た・・・

 

 

「あぁ!来ました来ました!あの人がもう1人の男子の――」

 

「「若旦那」!?」

 

「若旦那くんです・・・ってアレ?」

 

 

女将はアキトを見ると、すぐさまに近寄っていった・・・

 

 

コツコツコツ・・・

 

「若旦那、暁の若旦那じゃあありませんか?!」

 

「おん?これはこれは!女将じゃあありませんか?」

 

「あらまぁ!覚えていましたか?暁の旦那さん?」

 

「もちろんですとも女将さん」

 

 

二人は懐かしく懐かしい挨拶をした・・・

 

 

「暁、知り合いなのか?」

 

「おん?知り合いもなにも、昔からの馴染みの旅館の女将さんですよ」

 

「昔?という事は・・・」

 

「アキトさん!どういう事なんですの?!」

 

 

千冬が何かを言う前にセシリアが口を挟んできた・・・

 

 

「どういう事って言われてもなぁ・・・」

 

「あらあら、「また」ですか?若旦那?」

 

ピクリ

 

 

女将の言葉に反応した者が3人・・・アキトの方をギロリジロリと見る・・・

 

 

「アキトさん?・・・」

 

「アキト?聞きたい事があるの、良いかな?」

 

「嫁よ・・・どういう事だ?」

 

 

そして・・・

 

コツ コツ コツ・・・

 

「アキト・・・?」

 

 

生徒達の波をかきわけ、凄みをだす生徒が歩いてくる・・・

そして、その場にいる生徒達が思った・・・

 

 

「「「「「「「(しゅ、修羅場だ)」」」」」」」

 

 

そんな中、女将はと言うと・・・

 

 

「これはこれは面白いですね~」

 

 

楽しそうに眺めていた・・・

 

 

「おいコラ、女将・・・アンタは・・・」

 

「おぉ、怖い怖い睨まないでください若旦那?」

 

「・・・先生助けて?」

 

 

アキトは耳を引っ張る千冬に助けを求めると・・・

 

 

「ハァ・・・」

 

 

アキトの耳を離し・・・

 

 

「茶番は終わりだ!旅館に入るぞ!今回は一般の方々もいるようなのであまり騒がないように!いいな!」

 

「「「「「「「はい!」」」」」」」

 

 

生徒達に指示を出した・・・

生徒達はゾロゾロと旅館の中に入っていった・・・

 

 

「アキトさん、あとで説明・・・お願いしますね?」

 

「それではな嫁よ」

 

「じゃああとでねアキト?」

 

「アキト・・・またあとで・・・」

 

 

生徒達に続いて4人も旅館に入っていった・・・

 

 

「ヤレヤレ・・・助かったぜ」

 

 

なんとか切り抜けた?アキトは安堵の息を吐いていると・・・

 

 

「暁?」

 

 

千冬が声をかけてきた・・・

 

 

「なんですかな?先生?」

 

「お前の部屋割りは私達と同じだ」

 

「・・・・・・・・・What?」

 

「織斑、もとい一夏との相部屋も考えたがお前は私達といた方が良いと思ったのでな」

 

「はぁぁぁぁぁっ!?」

 

 

アキトや一夏を相部屋にすると、他の生徒達が詰め寄ると考えた千冬は、職員の部屋と男子の部屋を一緒にしたのであった・・・

 

 

「・・・と言うわけだ、一夏には伝えてある」

 

「OK OK 理解した・・・しかしまぁ、なんとも・・・」

 

「ん?なんだ?暁?」

 

「・・・いや、なんでもございません」

 

 

アキトは言いたい事をグッと我慢していると・・・

 

 

「あら?若旦那の部屋はこちらで用意しますよ?」

 

「え?」

 

 

女将が提案をしてきた・・・

 

 

「女将それは・・・」

 

「良いんですよ織斑先生、暁の若旦那には昔お世話になりましたし・・・それに」

 

「それに?」

 

 

女将は千冬に近づくと耳打ちをした・・・

 

 

「(あの若旦那の毒牙にかかってしまいますよ?」

 

「っ!?///な、なにをバカな!」

 

「あら?織斑先生は彼の毒牙にかかってませんでしたか?」

 

「あ、当たり前です!私があのような青二才などに!」

 

「なぁ、お二人さん?話は終わったか?」

 

 

二人の話に痺れを切らしたのか、アキトが声をかけた・・・

 

 

「すみません若旦那・・・そういえば」

 

 

今度はアキトの方に近より耳打ちをした・・・

 

 

「(旅館の中庭で、若旦那がよく知るお嬢さんがいましたよ」

 

「はぁ?お嬢さんって・・・まさか!」ダッ

 

「お、おい!暁!・・・行ってしまった・・・」

 

 

アキトはそれを聞くと、一目散に旅館に入って行った・・・

 

 

「・・・ったく、なんなんだアイツは・・・」

 

「ふふふ♪」

 

 

残された二人のうち、千冬は飽きれ、女将は朗らかに笑っていた・・・

 

 

 

―――――――

 

 

廊下にて・・・

 

 

ドタドタドタドタドタ・・・

 

アキトは旅館の廊下を忙しなく走っていた・・・

 

 

「ちょっとお客さま!」

 

「すまねぇ!許してくれ!」

 

 

若い従業員に注意されても、アキトは中庭に急いだ・・・

 

 

「な、なんなんだあの人は・・・?」

 

「あら?あれは暁の若さんじゃないか」

 

「知ってるんですか?料理長?」

 

 

若い従業員は料理長に疑問を投げ掛けた・・・

 

 

「そういえば、お前さんはまだ入って日が浅かったな・・・あれは暁の若さんだ、うちの常連で恩人のな」

 

「恩人?」

 

「あぁ、今から数年前にここが大手に買収される話があったろ?」

 

「あぁはい、たしか赤字のために大手のホテルから買い取られる話がありましたね・・・それが?」

 

「その赤字を黒字に変えてくれたのが、あの暁の若さんだ」

 

「へぇ~・・・でも」

 

「「でも」なんだよ?」

 

「あの人、何歳なんすか?その話を聞く限りにとても」

 

「アホっ!」

 

 

料理長は口に人指し指をおいて、若い従業員をしかった・・・

 

 

「あの若に滅多な疑問を思うんじゃない!消されるぞ」

 

「え!?あの人何者なんすか?」

 

 

そんな会話が廊下でおこなわれていた・・・

 

 

 

 

 

 

 

中庭にて・・・

 

 

「あ・・・」

 

 

廊下の曲がり角を進み中庭に出ると、アキトの目の前には中庭を眺める人物がいた・・・

 

その人物は赤毛の髪を後ろで網目に纏め、青の浴衣をピッシリと着、抹茶をたしなむ女性であった・・・

 

 

「あぁ・・・あぁ!」

 

 

アキトはその人物に向かって勢いよくかけて行き、名前を叫びながら飛び付いた・・・

 

 

「シェルスぅぅぅぅぅ!」バッ

 

 

・・・のだが・・・

 

 

「トオゥッ!」ガシッ

 

「おん!?」

 

 

シェルスは反射的にアキトの腕と胸ぐらを掴むと――

 

 

「セイはぁぁぁぁぁっ!!」ブオン

 

「アイエぇぇぇえぇえっ!?」

 

ドッボォォォーン!

 

 

そのまま背負って投げ、中庭の池にアキトを叩きつけた・・・

 

ザパァッ

 

「な、何をするだっー!」

 

 

池から身をお越し、激昂した・・・

 

 

「あ、あれアキト?なんで?」

 

「「なんで?」じゃねぇよ!臨海学校の宿舎の旅館で久々に会ったのに・・・なんで背負い投げられんだよ!」

 

「ご、ごめん・・・でもアキトが突然飛び付いてくるから・・・」

 

「それは俺もゴメン!でも普通投げるか?というかなんでシェルスがここにいるの?!」

 

「えと、それはね――」

 

「ヴィクトリア殿、ちょっといいかい?」

 

 

シェルスが事情を話そうとすると、シェルスの後ろから男の声が聞こえた・・・

 

 

「おん?」

 

「おや?」

 

 

男は黒シャツにジーンズというラフな格好であった・・・

 

 

「お、お前はマスタング!焔の錬金術師「ロイ・マスタング」じゃあないか!」

 

「そう言うお前は「暁のアルカード」!なんでここに?!!」

 

「それはこっちの――あれ?」

 

「・・・アキト?」

 

 

アキトは突然に別の思考が働いた・・・

 

 

「あぁ、そうか・・・なるほどそうか・・・」ギロリ

 

「え?え?ちょっ、あ、暁の?」

 

 

┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"┣"

 

 

アキトはとてつもない凄みを出しながら、マスタングを睨み、近づいて行った・・・

 

 

「ちょっ、ちょっと!アキト!?」

 

「シェルス?あとで話は聞くから・・・その前にそのマスタングの野郎に話があるからさぁ」

 

「いや、話って明らかに違――っ!?」ヒュン

 

 

マスタングが反論する前に、そのすぐ側にある柱にナイフが突き刺さった!

 

 

「お、おい、あ、暁の?」

 

「テメェ・・・「ホークアイ」さんという人がありながら、何うちのファミリーに手を出してんだ?コラ?ぶち殺すぞヒューマン・・・朧、ナイフ」

 

「「御意二」」ヒュン

 

 

アキトは朧からナイフを取り出し、マスタングに突きつけた!

 

 

「おい話を!話を聞け!」

 

「大丈夫だって、お前の頭と胴体を切り離したあとにシェルスから事情を聞くからさ」

 

「いや、それは私が大丈夫じゃないだろう!」

 

「なら説明してくれんの?なんでテメェとシェルスが同じ旅館にいるのかをよぉ!」

 

トタトタトタ・・・

 

「あれ?何かしら?」

 

「あれ、暁くんじゃない?なんでびしょ濡れ?」

 

「ナイフを出してるわよ!」

 

「え、なになに修羅場?」

 

 

騒ぎを聞き付けた生徒達が中庭に集まって来た・・・

 

 

「おい、暁の!ギャラリーが増えてきた・・・ここは抑えてくれないか?」

 

「・・・確かにな」ヒュン

 

 

アキトはナイフをしまい、マスタングに向けてニコリと笑んだ・・・

 

 

「あぁ、良かった・・・なら話を――」

 

「ならステゴロな」ピキピキ

 

「・・・へ?」

 

「WRYYY!」

 

 

変な勘違いをしたアキトがこんな事で止まるハズもなく、牙を剥き出しにし、マスタングに襲いかかった!

 

 

「お、落ち着け!暁の!ってうわ!」

 

「うるせぇ!大人しくクタバリやがれ!」

 

 

アキトの攻撃をマスタングは軽いフットワークでかわしていった・・・

 

ガヤガヤ・・・

 

「何かあったのだろうか?」

 

「騒がしいわね?」

 

「何かあったのか?」

 

 

騒ぎに招かれ、箒と鈴をつれた一夏が現れた・・・

 

 

「あ、織斑くん!なんか暁くんが他のお客さんとトラブってるみたいだよ」

 

「なんだって!?そこを通してくれ!」

 

 

一夏は野次馬の波を押し退け、前に出ると暁に声をかけた・・・

 

 

「暁!何やってんだ!これから授業が始まるんだぞ!」

 

「知るかボケぇ!」

 

「少年!危ないから下がっていなさい!」

 

「え、え~・・・」

 

 

エンジンのかかったアキトと、エンジンのかかり始めたマスタングが一夏の言葉を歯牙にかけるハズもなく・・・

 

 

「やるな・・・衰えてはないな「焔の錬金術師」!」

 

「なら少し本気を出そうか・・・」キュ

 

「良いねぇ・・・望むところだ」ピキピキ

 

 

マスタングはズボンのポケットから赤い紋章の入った白い手袋を着け、アキトが手から冷気を出し始めた・・・

 

 

「KUAAAAA!」

 

「・・・」キリッ

 

 

吸血鬼と錬金術師の攻撃が衝突しようとした・・・その時である!

 

コツリ・・・

 

「大佐?」

 

ガシッ

 

「アキト?」

 

「「・・・え?」」

 

 

マスタングの後ろには金髪を後ろで纏めた女性が・・・

アキトの首根っこを掴むのは赤毛のシェルスが・・・

 

 

「ちゅ、中尉?」

 

「シェ、シェルス?」

 

「大佐・・・」

 

「アキト・・・」

 

「「やり過ぎ(です)」」

 

「「・・・はい、スイマセン・・・」」

 

 

それから二人は大人しく、旅館の奥に連れられて行った・・・

 

 

「え・・・な、なんだったんだ?」

 

「さぁ・・・?」

 

「と言うか、あの人達誰?」

 

 

その場に多くの謎を残して・・・

 

 

 

―――――――

 

 

 

ウィィィーン

 

「あぁ~暑かった~・・・」

 

「日本の夏はジメジメして嫌だな」

 

 

旅館の自動玄関入って来たのは・・・

くわえタバコをした筋肉質の男と恰幅のいいソフトモヒカンの男であった・・・

 

 

「おい『ハボック』、ホテル内は禁煙だぞ」

 

「いけね、いけね・・・あら?あらら?」

 

「どうした?」

 

「なぁ、「ブレダ」?俺の携帯灰皿知らね?」

 

「ハァ・・・お前のズボンの後ろポケットだ」

 

「あ?・・・お!あったあった」ジュッ

 

 

ハボックは携帯灰皿でタバコを消して、辺りを見回した・・・

 

 

「しかし、今日は同じ服のなんか女の子が多いな」

 

「日本の学生旅行だろ、しかもIS学園の」

 

「IS学園ねぇ・・・大佐も良いとこのホテルをとったもんだ」

 

「色目を使って見るな、怪しまれるぞ」

 

「へいへい、わかったよ・・・お!あの子可愛い!」

 

「ハボック・・・」

 

 

二人はそんな会話をしながら、エレベーターを使って部屋に向かった・・・

 

コツ コツ コツ・・・

 

「そういやよブレダ?」

 

「なんだよハボック?」

 

「俺達が情報収集で外に出てたって事は、部屋には大佐と中尉の二人っきりか?」

 

「それはないだろ、大佐の協力者がいたろ?」

 

「あ、そうだな・・・たしか「シェルス・ヴィクトリア」ちゃんだろ?なんとかファミリーの」

 

「ヴァレンティーノファミリーな、あとハボック、口に気を付けろよ?」

 

「なんで?」

 

「あの協力者は、4年前の「ファントムブラッド戦役」の英雄、「暁のアルカード」の相棒なんだぞ」

 

「・・・人は見かけによらないな」ガチャリ

 

 

ハボックは部屋の扉を開けると・・・そこには・・・

 

 

「まったくアキトは何時も何時も何時も!」

 

「大佐聞いていますか?」

 

「「・・・はい」」

 

 

正座をさせられ、シェルスとホークアイに説教されるアキトとマスタングがいた・・・

 

 

「・・・なんだこれ?」

 

「・・・出直すか?」

 

 

その光景を目撃したハボックとブレダは引いた・・・

 

 

 

 

 

数十分後・・・

 

 

 

「ハァ?なら、お前があの「暁のアルカード」なのかよ!?」

 

「戦役の英雄がまさか学生だったとは・・・」

 

「オイオイオイオイオイ、マスタング大佐殿の部下さん達は辛辣じゃあないか?」

 

「致し方なかろう?現に学生なのだからな」

 

「ヤレヤレ・・・」

 

「フフフ♪」

 

 

 

説教も終わり、アキトはシェルスと小隊の隊員達と話をし始めた・・・

 

 

「それよりアキト?」

 

「なんだよシェルス?再会のキスでもする?」

 

「!///」バキィッ

 

「ぐべらっ!?」

 

「「えぇっ!?」」

 

 

アキトの軽口にシェルスは肘鉄を顔に喰らわせた・・・

 

 

「さてと・・・ところでアキト?」

 

「続けるのかよ!?」

 

「気にしないでハボック少尉、彼らの何時もの事だから」

 

「は、はぁ・・・」

 

 

驚くハボックとブレダをホークアイはなだめた・・・

そんな二人をほっといて、シェルスは続ける・・・

 

 

「アキト?貴方授業は?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・あ」

 

「「あ」、じゃないわよ!今すぐ授業に出なさい!」

 

「えぇぇ~・・・」

 

「「えぇぇ~」じゃない!ほら!行った行った!」

 

「ならシェルス?」

 

「何よ――ってキャっ!?///」グイッ

 

 

アキトはシェルスを抱き寄せ、頬に手を添えた・・・

 

 

「ヒュゥ~!やるねぇ!」

 

「二人とも程々にな」

 

「・・・・・・///」

 

「シェルスさん?」

 

「リザ・・・窓を開けてくれる?」スタリ

 

「え?あ、はい・・・」

 

ガシッ

 

「え?シェ、シェルス?」

 

 

シェルスはホークアイに窓を開けてもらうと、アキトの胸ぐらを掴むと・・・

 

 

「シェルス?まさかとは思うがここから投げる気じゃないよな?」

 

「ねぇ?アキト?///」

 

「な、何?」

 

 

シェルスはアキトに赤い顔を見せながら、大きく振りかぶり・・・

 

 

「恥ずかしいのよぉぉぉっ!!///」ブオン

 

「やっぱりかよぉぉぉぉぉぉっ!」

 

 

海の見える窓から外に投げた!

 

 

「ちょ、ちょっとヴィクトリアちゃん?!ここ7階ぃい!」

 

「ちょっと大佐良いんですか!?」

 

「別に構わん・・・あの吸血鬼は頑丈なんでな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

旅館1階にて・・・

 

 

「かは・・・結構痛いな、おい・・・」

 

 

7階から投げ出されたアキトは1階ベランダの床に大の字にめり込んでいた・・・

 

 

「しかし、シェルスのヤツ・・・「また」か?」バザリ

 

 

アキトは床からめり込んだ体を起こしながら呟いた・・・

 

 

「まぁ、良いや・・・さて、あの恐ろしいブリュンヒルデの授業に行きますかな」

 

コツリ コツリ コツリ コツリ コツリ・・・

 

 

アキトはなんともなく平気そうに立ち上がり、だいぶ遅刻した授業に向かった・・・

 

因みに・・・このあとアキトは千冬にドロップキックを喰らい、生徒達からは中庭のトラブルについて質問攻めにあった・・・

 

 

 

 

 

 

 

←続く

 




無理矢理感がパない・・・
なんとかせねば・・・

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