買い物編前に小話入れます!悪しからず!
ノーサイド
アキトが命の水を楽しんでいる頃・・・
ヨーロッパ某所のある施設で長テーブルにつき、ミディアムレアの肉を頬張る男がいた・・・
カチャカチャ パクリ
「クチャクチャ・・・美味い、コイツは美味いなぁ!このソース誰が作ったんだ?「ドクトル」?」
男の隣にいる「ドクトル」と呼ばれる可笑しな眼鏡をかけた男に声をかけた・・・
「私が作りました・・・あと、そのピクルスも私が漬けました」
「なんだと?コイツは驚きだ!ドクトルは何でも出来るのだな」
「いえいえ・・・さぁ、おかわりもまだありますよ」
「あぁ、勿論貰おう」
男はニコリとドクトルに微笑みかけていると・・・
「おい」
長テーブルに向かい合って座っていた「パピヨンマスク」の男がイラついた声をかけた・・・
「どうした?「パピヨン」?食べないのか?」
「「食べないのか?」だと?俺は貴様の食事に付き合うために遠路はるばるヨーロッパに来たんじゃないんだよ!」
「そう怒るなパピヨン?私は三食しっかり決まった時間に食べないとくたばってしまう体質でね」
「まったく貴様は・・・なら食べながらでも構わん、「計画」はどうするつもりだ?」
「ふむ・・・」カチャリ
パピヨンの言葉に男はナイフとフォークを置き、ナプキンで口を拭うと・・・
「私達だけでやる・・・あの計画は私達のモノだ、誰にも誰にも誰にも渡さない・・・君達ホムンクルスに渡してなるものか」
「ふん、そうか・・・」ガタリ
パピヨンが席を立つと、男の隣に立つもう一人の軍服を着た男がギロリと睨む・・・
「よせ、「中尉」・・・パピヨンは私の友人だ」
「しかし――」
「クドイぞ中尉」
「ハッ!申し訳ありません・・・」
中尉と呼ばれた軍服の男はその言葉に素直に従い、パピヨンから目を反らした・・・
「ふ・・・相変わらず抜き身の刀のようなヤツだ」
「珍しい、君が他人を評価するなんて・・・一体どういう風の吹き回しだ?」
「さぁな・・・理由があるとすれば・・・ヤツに久しぶりに出会ったからか」
「ヤツ?」
「・・・アーカード」
「!」
パピヨンの言葉に男は目をいっぱいに見開き、口角を吊り上げた・・・
「クフフフ♪・・・ソイツは良い!彼は、アーカードは元気だったかい?」
「あぁ、元気そうにしていたぞ」
「そうか!そうか!そうか!楽しみだなぁ!彼と会うのは楽しみだなぁ!」
男はケラケラと笑う・・・愉快に愉快に子供のように笑い、グラスに入った水をグビリと飲む・・・
「・・・しかし」
「なんだ?パピヨン?」
「貴様らレギオンに勝算はあるのか?」
「何?勝算?勝算だと?」コトリ
男はグラスをテーブルに置くと、語りだした・・・
「世界を変えて来たのは何時だって夢を掴もうとするバカ共だ・・・世界を続けて来たのは何時だって凡人共だ」
「それがどうした?」
「パピヨン、私はね世界に衝撃を与えたい!だって世界に衝撃を与えて来たのは何時だって天才だ!私はその天才になりたい!それに勝算だと?フザケルな!勝算など私達には不要だ!」
「天才?・・・あの兎のようにか?」
「兎?・・・あぁ、彼女の事か・・・いや、私は彼女とは違う道を歩むよ・・・それが私達に割り振られた・・・私のこの世界での「役割」だ」
「役割?」
「あ・・・君達には少し早い話だったな」
「?」
パピヨンは男の言葉に首を傾げた・・・
「まぁ、良い・・・貴様がそのつもりなら、俺達は計画には手を出さない」
「あぁ、君達の纏め役にそう伝えておいてくれ」
「わかった・・・ではなレギオンの「大隊長」」
「あぁ、ではなパピヨン」
話を終えたパピヨンは部屋から出ると、闇に姿を溶かして姿を眩ませた・・・
「さて・・・帰ったか」
「本当に尾行をつけなくてよろしいので?」
「良い、彼にそれは失礼と言うものだ・・・それよりドクトル?計画は順調か?」
「えぇ、勿論・・・ですが」
「ん?どうした?」
「我々を探っている紅蓮の錬金術師が厄介で・・・先日も我々に武器を流していた組織がやられました」
「それは悲しい事」
「ですが、計画に変更はありませんので・・・ご安心を」
「そうか!ドクトルが言うには安心だ・・・どれ食事を続けよう」
それから男は、また楽しそうに美味そうに肉を頬張っていった・・・
←続く
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