心理描写って中々にアレですな・・・
―――統合しました―――
ノーサイド
辺りは暗くなった保健室・・・
「うぅ・・・あぁ?・・・ここは・・・?」
一夏はベットの上で目を覚まし、上体を起こした・・・
「こ・・・ここは?・・・え?」
「Zzz ... 」
「むにゃ・・・一夏・・・Zzz ... 」
一夏のそばには箒と鈴が眠っていた・・・
「・・・俺は・・・痛っ!?」
突然、頭に激痛がはしり、頭をおさえた・・・
ガラリ
「起きたか・・・織斑」
一夏が頭をおさえていると、保健室に千冬が入って来た・・・
「ち、千冬姉?痛たたた!」
「ハァ・・・まったく、お前はまたムチャを・・・」
「ムチャって?――痛っ!?」
千冬は一夏に近づくと、その額にデコピンを喰らわせた・・・
「ててて・・・ところで千冬姉?」
「なんだ愚弟?」
「愚弟って・・・それより、なんで俺は保健室にいるんだ?」
「・・・なんだと?」
キョトンとした一夏の問いかけに千冬は目を丸くした・・・
「覚えてないのか?自分のした事を?」
「え・・・確か俺は・・・自室にいたら火事の避難警報が出て、アリーナに避難したら、シャルやラウラがいないってなって・・・それで、二人を探しに行って・・・・・・・・・あれ?」
「どうした?」
「探しに行って・・・どうしたんだっけ?」
一夏は整備室での出来事の記憶をなくしていた・・・
「それから後の事がスッポリと記憶から抜けている・・・なんで俺は頭にケガをしてんだ?千冬姉?」
「あぁ・・・それはな――」
「うぅん・・・一夏?」
「え?」
千冬が一夏に答えようとした時、眠っていた箒が目を覚まし・・・
「一夏ぁ!」ガシッ
「ぶべっ!?」
一夏に飛び付いた・・・
「ぐはっ、ほ、箒、く、苦しい!」
「一夏!一夏ぁ!心配させおってぇぇ!」
「うるさいわね~・・・静かに――って一夏!?」
「り、鈴!」
箒の騒ぐ声に起こされた鈴は・・・
「このバカっ!心配させてんじゃないわよ!」バチィッン
「ばべっ!?」
箒と同じように飛び付いた・・・
「おい鈴!離れろ!一夏が苦しがっているだろう!」
「はぁ?!アンタこそ離れなさいよ!」
「ふ、二人とも・・・ぐ、苦〝じい〝~!」
ピーピーギャーギャー
騒ぐ3人に千冬は・・・
「ハァ・・・ヤレヤレ・・・」
溜め息を吐いていた・・・
少し、笑みをだしながら・・・
学長室にて・・・
ところ変わって、ここは学長室・・・
ここで十蔵はパソコンを弄り、椅子に腰かけたアキトに語りかけた・・・
「ご苦労様でしたアーカードくん・・・貴方のおかげで被害は少なくてすみましたよ」
十蔵はそう言いながら、机の上に封筒に入った札束を出した・・・
「「少なくて」ねぇ・・・教師の負傷者3人に生徒の負傷者3人・・・決して少ないとは言えない・・・それなのにこんなに貰って良いので?」
「えぇ、教師の負傷については慢心によるものですし、生徒については・・・自分から首を突っ込んだ事ですからね」
「まぁ、織斑については自業自得か・・・」
「それに、貴方が間に合わなければ、3人はあのホムンクルスに食われていたかもしれません・・・貴方には感謝しているんですよ?アーカードくん」
「感謝ねぇ・・・」
「別に良いんですよ?貴方がいらないと言うのなら、この報酬は――」
ガシッ
十蔵は封筒を引っ込めようとしたが・・・アキトはそれを阻んだ・・・
「誰も「いらない」とは言ってないでしょう?Mr. ?まぁ、それでも半分しか受け取りませんが」サッ
アキトはそう言いながら、封筒から半分の札を抜いた・・・
「ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ・・・あぁ・・・ところで学園長殿?」
「なんですか?アーカードくん?」
「教師達・・・いや、学園長が倒したホムンクルスの残骸はどうしたんですか?俺の方は自分で処分しましたが・・・」
「あぁ、あのゴリラですか・・・あのゴリラなら」
「ゴリラなら・・・?」
「地下室の一室に厳重に保管してます」
「えぇ!?大丈夫ですか?!誰かが奪いに来ますよ?例えば、「兎耳の科学者」とか「パピヨンマスクの変態」とかに」ズイッ
驚いたアキトは十蔵に迫った・・・
「俺に任して貰えれば、キッチリカッチリ処分しますよ?」
「う~ん・・・因みにアーカードくん?君はどうやって整備室のホムンクルスを処分したんですか?」
十蔵は恐る恐るアキトに聞くと、アキトは朗らかな顔で・・・
「勿論、「美味しく頂きました」よ?骨も血の一滴も残さず、よく噛んで」
「は、はぁ・・・そうですか・・・」
ホムンクルスの処分方法を話した・・・
十蔵は口角をひきつらせて聞いていた・・・
「いやぁ~食べ方が汚かったのか、返り血が制服にべったりと付いちまって、制服が一着ダメになりましたよ、ハハハハハ♪」
「は、ハハハ・・・新しい制服を用意しますよ」
「ありがとうございます学園長殿」
「ふぅ・・・ところでアーカードくん?」
「おん?なんですか?」
「彼女・・・デュノアさんはどうしたのですか?」
「あ・・・それは・・・」
十蔵の質問にアキトの顔が強張った・・・
「ボーデヴィッヒさんの方は織斑先生に口止めをしてもらいました・・・彼女なら口外することはないでしょうが・・・問題はホムンクルスと戦闘を行ったと思われるデュノアさんです」
「・・・」
「貴方の事ですから、何かしているのでは?」
「Exactly・・・さすがは学園長殿だ、畏れ入りますよ」
「えぇ、これでも一応学園の長をやってるので」
「ハハ♪シャーロット・・・いや、シャルロットには今回の事は記憶の奥深くに閉じ込めました」
「ほう・・・それは――」
「おっと!ここらか先は企業秘密です」
アキトは自分の唇に人指し指をそえて、イタズラっぽく笑った・・・
「ふむぅ、それは残念」
「では俺はこれにてドロンで」
「はい、それではお休みなさいアーカードくん」
「えぇ、お休みなさい学園長殿」
コツコツコツ・・・ガチャリ
そうして、アキトは学長室をあとにした・・・
「ふぅ・・・やはり読めませんね?彼は」
残された十蔵はどこか可笑しそうにアキトの出ていった扉を見ていた・・・
―――――――
騒動のあった翌日、アキトはシャルロットが治療を受けている部屋に向かっていると・・・
「おん?ありゃぁ・・・」
「あら?アキトさん」
カゴを持ったセシリアが扉の前に立っていた・・・
「おう、セシリアも見舞かい?」
「えぇ、アキトさんもですか?」
「まぁね、その手に持ってんのは見舞品かい?」
「はい、クッキーを焼きましたの」
カゴの中のクッキーはなんとも形容しがたい色をしていた・・・
「流石はセシリアだな、美味そうだ」
「エヘヘ、それほどでも///」
「なら入るか」コンコン
アキトは扉にノックをすると・・・
「どうぞ入って来てくれ」
何故かラウラの声が部屋の中からした・・・
ガチャリ
「あ!アキトいらっしゃい、それにセシリアも」
「よぉシャーロット元気か?ツーかラウラいたのかよ」
部屋には上体を起こしてベットに横たわるシャルロットと、その隣で椅子に座ってリンゴを切る、頭に包帯を巻いたラウラがいた・・・
「私も見舞いだぞ、嫁よ」
「は?」
「よ、嫁っ!?ア、アキトさん!これは一体どういう事でいやがりますの?!!」
ラウラの発言にセシリアは顔を真っ赤にして、アキトを睨んでいた・・・
「ステイステイ、待ってくれセシリア」
「どういう事ですの!?アキトさん!事と場合によっては――」
「いやいやいやいやいや!話を聞けよ!」
セシリアは専用機のライフルを取りだそうとしていた・・・そうしていると・・・
「もうラウラ、「嫁」じゃないでしょ」
シャルロットが口を挟んできた・・・
「そうなのか?シャルロット?」
「うん、日本では男の人には「婿」だと思うけど」
「しかし、クラリッサ・・・部下は好意的な人物に対しては「俺の嫁!」と言うのが、日本の文化だと聞いたぞ?」
「・・・どんな部下だよ、ソイツ?」
「部隊で一番の日本通だ!」
「間違った日本通ですわね・・・」
ふんぞり返るラウラにセシリアは目を細めて見ていた・・・
「プッ、フフフ♪」
「ニョホ、ニョホホホ♪」
二人のやり取りにシャルロットとアキトは笑いだし・・・
「クフ、フフフ♪」
セシリアも笑いだした・・・
「ん?何が可笑しいのだ?」
一人ラウラはキョトンとしていた・・・
「フフフ♪っ痛!」
「あ!?大丈夫ですか?シャルロットさん?!」
笑っていたシャルロットは突然に胸を押さえた・・・
「う、うん大丈夫・・・笑ったら痛めた所が痛いや」
「そうですか・・・それにしても災難でしたわね?火事に逃げ遅れて、胸を強打するなんて」
「そ、そうだね・・・」
「そうだな!まったくもって災難だった!私も頭を強打したからな!」
セシリアの発言にシャルロットはうつむき、ラウラは激しく頭を縦にふった・・・
そんなラウラの肩をアキトはつつくと・・・
「(おいラウラ、わざとらしいぞ」ボソッ
「(そうか?私としては上手い事やったのだが・・・」
「ちょっと、お二人とも?何をコソコソしてるんですの?」
「いや、なんでもないぜ?」
「そうだ!何もあの火事がではなく、襲撃などと――むがっ!?」
「そうかラウラ!腹が減ってんのか!リンゴ食え食え!」
「むががっ!」
アキトはラウラの口の中に切ったリンゴを押し込んだ・・・
「アキトさん何をやってるので?」
「アハ、アハハハ・・・」
二人のやり取りにセシリアは疑問符をシャルロットは苦笑いを浮かべていた・・・
「それよりセシリア?そのカゴは何?」
「あぁ、これですか?これはお見舞品のクッキーですわ」
「へぇ~、クッキー・・・もしかして・・・」
「えぇ、私の手作りですわ!」
「え・・・」サァ
その事を聞いたシャルロットの顔から血の気が引いた・・・
「どうしたシャルロット?青い顔して?」
「う、うぅん!なんでもない!大丈夫!大丈夫・・・大丈夫大丈夫大丈夫・・・」
「何を自分に言い聞かせてんだ?シャーロット?しかし、セシリアの手作りを食べんのは久しぶりだな♪」
「あら?アキトさんの分はありませんわよ?これはシャルロットさんの分なのですから」
「えぇ~!」
「え〝っ!?」
「ど、どうした?シャルロット?変な声を出したぞ?」
「え!?いやいやいやいやいや大丈夫だよ!アキトも食べていったら?」ガシッ
シャルロットは尋常ではない汗をかきながら、アキトの袖口を力強く掴んだ・・・
「私にも食べさせてくれ」
「ちょっ!?ラウラ?!!」
「いいではないかシャルロット、私も食べてみたいぞ!いいか?セシリア・オルコット?」
「勿論ですわ!あと、セシリアで構いませんわよボーデヴィッヒさん」
「私もラウラで構わん、なら頂くぞ」スッ
ラウラはカゴから百々目色のクッキーを取りだし・・・
サクッ
「モグモグモグ・・・」
頬張った・・・
「モグモグモグ・・・ゴクリ」
「ど、どうですか?ラウラさん?」
セシリアはラウラに感想を聞くと・・・
「キュゥ~・・・」バタリ
「お、おい!?ラウラ!」
「ラウラ(さん)!?」
ラウラは目を回して、倒れた・・・
アキトがラウラを抱き寄せると・・・
「しっかりしろ!ラウラ!」
「あ、暁アキト・・・」
「なんだ?ラウラ!」
「あ・・・」
「あ?」
「アヴァロンが見える・・・」ガクリ
「え!?ちょっ、ラウラ?!」
「ラウラさーん!!」
「メディック!メディィィィィック!!!」
意味のわからない事を言って、気絶した・・・
後に「セシリアのポイズンクッキー」として語られる・・・
余談だが・・・後日、ラウラはセシリアを色々な意味で認めたらしい・・・
←続く