ノーサイド
集中治療室にて・・・
アキトが黒い千冬を沈黙させ、ラウラを助けてから数時間が経った・・・
救出されたラウラはすぐさま集中治療室に運ばれ、事なきをえた・・・
「あぁ・・・あ?・・・ここは・・・?」
腕に数本のチューブを付けた状態で意識が覚醒した・・・
「目が覚めたか?ボーデヴィッヒ?」
「教官っ!あがっ!?」ガクッ
「おい無理をするな!」ガシッ
目が覚めたラウラは千冬の気配に気づき体を起こしたが、体に負担が残っているためか、フラつき、千冬に支えらえた・・・
「私は・・・何を?」
「覚えていないのか?」
「はい・・・断片にしか・・・ひっ!?」ガシッ
「どうした!?ボーデヴィッヒ?!」
ラウラは何かを思い出したのか、頭を抱えた・・・
「だ、大丈夫です・・・それよりも・・・」
「あ、あぁそうか?なら・・・ボーデヴィッヒ、お前の専用機「シュバルツェア・レーゲン」に「VTシステム」が乗せられていた」
「VTシステム・・・」
VTシステム・・・正式名はヴァルキュリー・トレース・システム、世界の専用機持ちのデータを積み込まれたシステムである・・・
「何故、そんなモノが?」
「今のところドイツ政府にかけよっているが・・・今のところはわからない」
「そう・・・ですか・・・」
ラウラはうつ向いてしまったが・・・
「ラウラ・ボーデヴィッヒ!」
「は、はい!?」
「お前は何者だ?」
「私・・・私は・・・」
ラウラは千冬の問いかけに答えられなかった・・・
「お前は「ラウラ・ボーデヴィッヒ」だ・・・「織斑千冬」じゃない・・・」
「ラウラ・ボーデヴィッヒ・・・私はラウラ・ボーデヴィッヒ」
「そうだ」
「私はラウラ・ボーデヴィッヒ!」
「そうだ・・・だからお前はもう自分を肯定していいんだ」
「グスッ・・・ありがとうございます・・・教官・・・!」
「織斑先生だ・・・バカ者」
「はい・・・すいません・・・グスッ」ポロポロ
ラウラは嬉し涙なのか、涙をポロポロと流した・・・
すると・・・
「グスッ・・・そういえば教k、じゃなくて織斑先生?」
「なんだボーデヴィッヒ?」
「暁・・・暁アキトは今どこに?」
「あ、暁だと!?」ガタッ
ラウラの質問に千冬は明らかに動揺した・・・
「どうかしたんですか?教官?」
「あ、あぁ・・・暁はな・・・」
「?」
このトラブルを終息させたアキトはと言うと・・・
IS学園地下にて・・・
「あぁ~・・・暇だに~・・・」ゴロリ
独房室に入れられていた・・・
何故、アキトがこんな処遇なのかと言うと・・・
アリーナの破壊
退避命令の無視等でアキトは専用機の引渡し命令が出たのだが・・・
「だが断る」
アキトがこんな事を平然と受け入れるタチではなく、当然にこの命令を拒否・・・拒否したためにアキトは独房室に入れられてしまったのであった・・・
「暇だに~・・・」
「「デスネ」」
「まさか引渡し命令が出るとはな・・・思いもよらなかったに~・・・」
「「シカシ、何故私ヲ引キ渡サナカッタノデ?引渡シタラ、王ハ独房室ニ入ラナカッタノデハ?」」
「バカ言え、自分の臣下をおいそれと引渡せるかよ」
「「王・・・」」
「それに・・・」
「「ソレニ?」」
「引渡して、お前を解析されたら電子機器をハックしたのがバレるだろうが」
「「ア~・・・言エテマスネ・・・」」
「あ~ら?何の話?お姉さんも混ぜて欲しいわ♪」
「おん?」
アキトと朧がそんな話をしていると、第3者が現れた・・・
「アンタは・・・誰だっけ?」
「あら?悲しいわね、あんなに私を求めてくれたじゃない?」
「あぁ、食い損なった簪の姉ちゃんか!」
「・・・その覚えかたは無いんじゃない?」
アキト達の話に入って来たのは簪の姉、「更識楯無」であった・・・
「そんで食い損ないが何のようだよ?」
「く、食い損ないって・・・まぁ良いわ、それより暁くん?「アレ」は何なのかしら?」
「「アレ」?アレって何さ~?アキトくんわかんな~い」
「惚けないで!あの「黒い狗」はなんなのと聞いているのよ!」
「狗~?」
楯無はアキトが戦闘で自分自身から出した「黒い狗」について聞いてきたのだ・・・
「あれはな~・・・俺もよく覚えてないのよね~」
「覚えてない?」
「あぁ、覚えがない・・・テンションが「ハイ」になってからな~・・・ゴメンちゃいね?お姉さん?」
「フザケないでちょうだい!そんなので私を騙せると思っているの?!暁アキト!」ピシッ
楯無は扇子をアキトに指しながら、声を荒げた・・・
「うるせぇなぁ・・・「黙れよ人間」?」ギロリ
「ぐっ!?」
アキトは濃厚な殺気を出しながら楯無を睨んだ・・・
睨まれた楯無はその恐怖なのか、呼吸器が痙攣した・・・しかし・・・
「や~めた!」
「っ!かはっ、ケホッ、ケホッ!」ドタリ
アキトは殺気を何故か納めた、殺気が解かれた楯無は膝をついて肩で息をした・・・
「ど、どうして?」ハァハァ
「おん?」
「どうして殺気を納めたの?今なら私を」ハァハァ
「確かに殺気を当て続ければ、アンタは気絶してたろうな・・・でも」
「でも?」
「そこの」ピシッ
アキトは楯無の後ろの壁に指を指すと・・・
「そこにいる「人が煩そう」だからな~」
「え?」クルリ
楯無はアキトの指さされた後ろを振り返ると、そこには・・・
「ハハ♪私を感知するとは・・・さすがはかの「アーカード」殿かな?」コツコツコツ・・・
初老の男性はゆっくりと近付いて来た・・・
「『アーカード』?・・・それはどういう――」
「その名前を知ってるって事は・・・アンタ只者じゃあねぇな?」ニヤリ
初老の男性の発言に楯無は疑問符を浮かべ、アキトは口角をあげた・・・
コツコツコツ・・・ピタリ
「こんな形でスマナイね、アーカード殿、いや「A.A.」?それとも「アルカード」?どれで呼んだらいいかな?」
「どれでもいいさ、好きに呼んでくれや・・・ところで貴方の事はなんて呼べば良いかな?gentleman?」
「gentlemanか・・・そうだね私の事は――」
「これはどういう事ですか?!「学園長」!」
初老の男性が正体を明かす前に、楯無は男性を「学園長」と呼んで引き止めた・・・
「学園長!この件については私に一任されたいたはずですが」
「へぇ~!貴方、学園長だったのか?コイツは御見逸れしやした」
「それに「アーカード」とか「アルカード」とか一体何の話をしているんですか?!」
「いや~、IS学園の学園の長がダンディなジェントルだったとはな~!」
「ちょっと暁くん!少し黙っててくれる?!」
「断る!」
「貴方ねぇ~!」
「ハハハハハハハハハハハ♪」
アキトと楯無が言い争っていると学園長は笑い出した・・・
「が、学園長?」
「ハハ♪いや、すまないすまない、君達の掛け合いが面白かったのでな」
「ニョホホホ♪話がわかるね学園長♪」
「更識君、この件は私に任せて貰おう・・・」
「しかし!」
「事情が変わったのだよ・・・良いね?」
「・・・は、はい・・・わかりました」
「よろしい・・・君は元の仕事に戻ってくれ」
「・・・はい・・・それでは私はこれで・・・」クルリ
コツコツコツ・・・
「じゃあな~」バイバイ
「くぅ・・・」コツコツコツ・・・
学園長は楯無を黙らせると、楯無は苦虫を噛み潰した顔で生徒会に戻っていった・・・
「すまないねアーカード殿、うちの生徒が」
「構わねぇよ・・・それよりも貴方は?」
「申し遅れたね・・・私はこのIS学園の長をやっている・・・「轡木 十蔵」だ、よろしくアーカード殿?」
初老の男性、轡木十蔵はアキトとの自己紹介を済ませた・・・
「それで学園長殿は俺になんのようだい?その名前で俺を呼ぶって事は・・・裏のしかも「裏の裏の人間」かい?」
「まぁ、これでも学園長の椅子に座る前は「牙狩り」をしていたものでね」
牙狩り・・・人外、または化け物を専門に狩る仕事を生業としている人間の事である
「牙狩りねぇ・・・だったら俺と同業者なのか」
「ヴァレンティーノファミリーの遊撃部隊隊長殿と同業だったなんて光栄だね」
「そうかいそうかい?嬉しいねぇ♪ニョホホホ♪」
「ハハハハハハ♪」
アキトと十蔵は互いに目が笑わずに笑い声をあげた・・・
「で?元牙狩りで現IS学園長が俺に何のようだい?」
「そうですね・・・本題を切り出そう」ペラリ
「おん?・・・コ、コイツは!?」ガタリ
十蔵は懐からある写真を取り出した・・・
その写真には何処かを歩いている男が写っていた・・・
「「蝶野攻爵」・・・!」
「そうです・・・世界初の人型ホムンクルスの成功例、稀代の錬金術師・・・そして――」
「「L.X.E」の大幹部・・・」
L.X.E・・・超常超人同盟と呼ばれる、ホムンクルス達による一大組織である
「こんなモノを何時撮ったんだ?」
「今日ですね」
「そうか今日か・・・・・・はっ!?今日!?今日だってのか!?」ガシッ
アキトは驚きのあまり、独房の鉄格子を掴んだ!
「今日って何時よ?何時どこで撮ったんだよ?!おい!」
「今日の正午過ぎ・・・君が戦っていた最中の学園の廊下でね」
「OH!糞ったれのドチキショウが!フザケやがって!」
ガァッン
キレたアキトは悔しそうに独房の椅子を蹴りあげた・・・
「「落チ着ツキ下サイ王ヨ!」」
「これが落ち着いてられるか!こん畜生!」
「まぁまぁ落ち着いてよアーカード君?そして、その左腕の手甲が朧君かい?」
「「オ初ニオ目ニカカリマス、王ノ専用機ヲシテオリマス朧デゴザイマス」」
「何を学園長と朧は冷静に自己紹介しとるんじゃい!」
冷静に自己紹介していた十蔵と朧にアキトはツッコミを入れた・・・
「ノオォォォォォォォォォォォォォッ!!!逃した!取り逃した!一斉一大の武将首ぃぃぃぃぃ!!!!!!」
ガンガンガン! ズルズル
アキトは壁に頭を打ち付け、うち崩れた・・・
「大丈夫かい?アーカード君?」
「「大丈夫デスヨ学園長殿・・・ダッテ王ハ」」
「ふぅ~・・・スッキリしたぜぇ~」スタッ
「「立直リノ達人デスカラ」」
アキトはスッキリとした顔で立ち上がった・・・
「それで学園長殿は俺に何のようなんだい?」
「あぁ~・・・それなんだがね・・・どうだろうアーカード君?このIS学園に雇われるというのは?」
「雇われる?この俺がか?」
「そうです・・・アーカード君、いや暁アキト君・・・このIS学園を守ってはもらえないでしょうか?」
「・・・・・・」
十蔵はアキトに学園の防衛の仕事を頼んだのであった・・・
「もちろん報酬も十分に――」
「その前に良いですか?」
「なんですか?」
「ここから出してくれませんか?さすがに独房に入ったままじゃビジネスの話ができないんで」
「それもそうですね」カチャ ピピッ ガチャン
ギィィィ コツコツコツ・・・
「あぁ、暇だったぜ~・・・」
アキトは鉄格子の外に出ると・・・
「学園長?仕事の話の話なんだが・・・あとでドンを通してくれ・・・」
「もちろん、そのつもりですよ」
「それと・・・俺から幾つかある条件があるんだが・・・良いですかい?」
「もちろん良いですよ?それで、その条件とは?」
「シャルル・デュノア・・・いや本名で言うと・・・「シャルロット・デュノア」についてなんですが・・・」
「ほう・・・詳しく聞きましょうか?」
それから数時間・・・アキトと十蔵は仕事の話をした・・・
←続く
Please me idea !!!