人外になった者   作:rainバレルーk

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スランプ・・・なりたくねぇー!
展開を早めよう!そうしよう!


放課後の戦闘・・・

 

 

 

ノーサイド

 

 

 

シュバルツからの報告書を読んだ、翌日の放課後・・・

 

 

「くぁ~・・・寝み・・・」カポ

 

 

アキトは「打鉄弐型」のプログラムを簪と共に完成間近に作りあげ、仕上げの「山嵐」のプログラムを簪に任せ、自販機が側に置いてあるベンチで缶コーヒーを飲んでいた・・・

 

 

「コクコク・・・うわぁ・・・苦ぇ~・・・」ダラー

 

「「苦イノナラ、ナゼ買ッタノデス?自販機ニハトマトジュースガアリマシタノニ?」」

 

「いいんだよ・・・たまには苦い苦いブラックコーヒーが飲みたいんだよ・・・」

 

「「フム・・・私ニハワカリマセンネ・・・」」

 

「カカ♪そうかそうか♪」

 

 

アキトが待機状態の朧と談笑していると・・・

 

 

「ア、アキト~!」タタタタタ

 

「おん?ありゃあ・・・」

 

「「デュノアサマデゴザイマス・・・王ヨ」」

 

「だな・・・」

 

 

シャルロットが廊下の向こうから走ってきた・・・

 

 

タタタタタ・・・

 

「ハァ!ハァ!ハァ!」

 

「どうした?え~と・・・」

 

「「現在、半径10mニ盗聴機器並ビニカメラノ類イハアリマセン」」

 

「あぁ・・・なら、どしたよ?シャルロット?」

 

「ハァ!ハァ!ちょっ、ちょっと待って・・・すぅ・・・はぁ・・・」

 

「大丈夫か?まぁ飲めよ?」

 

「うん・・・ありがとう・・・コク・・・苦ぁ!?」

 

 

アキトから手渡された飲みかけのコーヒーを飲み、シャルロットは涙目になっていた・・・

 

 

「そんな事よりどしたよ?シャルロット?なんか俺に急ぎの用があんだろ?」

 

「ハっ!そう!そうだった!」

 

 

アキトの言葉にハッとしたシャルロットは――

 

 

「アキト!助けて!」

 

「・・・・・・・・・は?」

 

 

――アキトに助けを求めた・・・

 

 

 

 

 

 

 

事の発端はシャルロットがアキトに助けを求める数十分前に遡る・・・

 

 

 

アリーナにて・・・

 

 

学校の授業も終わり、放課後のアリーナではセシリアと鈴がISの特訓をしており、周りには見学の生徒達がいた・・・

 

 

「スミマセン、鈴さん・・・」

 

「いいわよ、それよりどうしたのよ?セシリア?突然特訓なんて?」

 

「それはですね――」

 

 

「打鉄弐型」の制作から外されたセシリアは行き場のない高鳴りを特訓にぶつけようとしていたのだ・・・

 

 

「ハハハ♪あんたも大変ねセシリア?」

 

「まったくですわ・・・それに・・・」

 

「それに?」

 

「私は強くなりたいのです・・・アキトさんに負けないくらいに・・・」

 

 

そう語るセシリアの目には確かな熱いものが写っていた・・・

 

 

「もちろんよ!頑張りましょうセシリア!」フンス

 

「はい!」

 

 

二人がそんな事を話していると・・・そこへ・・・

 

 

「おい・・・そこのイギリスと中国の代表候補生・・・」

 

 

二人の先には、明らかにお呼びではないドイツ人『ラウラ・ボーデヴィッヒ』がいた

 

 

「貴女は・・・!」

 

「確か、一夏を後ろから攻撃しようとしたヤツね!」

 

 

セシリアと鈴はラウラを警戒するように睨んでいた・・・それに構わずラウラは・・・

 

 

「お前達は専用機持ちだそうだな・・・データ収集のために私と戦え」

 

 

二人に戦闘を申し出た・・・

 

 

「戦えって、あんたねぇ~!」

 

「・・・そうですわね、此方としてもデータ収集としては確かに良いかもしれませんわね」

 

「ちょ、ちょっと!セシリア!?」

 

 

セシリアの発言に鈴は驚いた・・・

 

 

「イギリスのは中々に話が分かる・・・なら早速――」

 

「だが断りますわ」

 

「・・・なに?」

 

 

セシリアはラウラの提案を蹴った!

 

 

「貴女は戦う相手に対して、敬意をはらっていません・・・だから貴女とは戦えませんわ」

 

「セシリア・・・」

 

「・・・」

 

「そういう事なので・・・行きましょうか鈴さん?」

 

「えぇ、そうね」

 

ガシャン スゥーー

 

 

二人はラウラに背を向けて、歩み出していると・・・

 

 

「フン・・・所詮は腰抜けの種馬に当てられたヤツらか」

 

 

ラウラはそんな事を口走った・・・その時!

 

 

ズキューーン! 

 

「っ!?」

    ドォッン!

 

ラウラの側をビーム攻撃が掠めた!

 

 

「貴女・・・今なんて言いました?」ゴゴゴ

 

「アンタ、余程ボコボコにされたいようね?」ゴゴゴ

 

 

ビーム攻撃が飛んできた方向にはプッツンしているセシリアと鈴がラウラに殺気を送っていた・・・

 

 

「フフフ・・・そう来なくてはな!」ダッ

 

 

・・・こうしてセシリア、鈴 VS ラウラの戦闘が始まった・・・

 

 

 

 

 

 

 

数十分後・・・

 

最初、アリーナにいた生徒達は2対1で戦うラウラの苦戦を予想していたが・・・

 

 

ズドォッン!

 

「きゃあぁぁっ!?」

 

「セシリア!くっ!」

 

「フッ・・・こんなものか・・・」

 

 

苦戦を強いられていたのはセシリア達であった・・・

 

 

「な、何なのよ!あのISは!?」

 

「どうやら、動きを止める能力があるようですわね」

 

「な、何よ!その能力は?!卑怯じゃない!」

 

 

ラウラの専用機「シュバルツァ・レーゲン」にはAICと呼ばれる装置が取り付けられていた

 

 

「どうした・・・来ないのなら此方から行くぞ!」ダッ

 

 

二人の動かない様子に業を煮やしたのか、ラウラがブレードを構えて突撃してきた!

 

 

「鈴さん!」

 

「何よ?!」

 

「連携しますわよ!」

 

「っ!やるしかないようね!」

 

 

ガキィッン!

 

「くっ!今よセシリア!」

 

「はい!」

 

「なっ!?」

 

ズキューーンズキューーン!

 

 

鈴がラウラのブレードを青竜刀で受け止めると、その後ろに控えていたセシリアのビットが火を噴いた!

 

 

ガキガキィッン! ザザザ

 

「くっ!貴様らァ!」

 

 

攻撃を受け、後ろに下がったラウラは激昂した!

 

 

「あらあら、こんな攻撃で怒るなんて、ドイツの軍人さんは沸点が低いんですのね?」

 

「違うわよセシリア?このボーデヴィッヒがお子ちゃまなんじゃないの?」

 

「フフフ♪かもしれませんわね?」

 

 

二人がそんな事を言っていると・・・

 

 

「舐めるなよ・・・ド素人どもがぁ!!」ビュッ

 

「「っ!?」」

 

 

激昂したラウラはレーゲンから黒いワイヤーを射出し、二人に巻き付け――

 

 

「フンッ!」

 

「「きゃあっ!?」」

 

 

そのまま二人を地面に膝まづかせた!

 

 

「う、動かない!?」

 

「た、立ち上がれない!?」

 

ザッザッザッザッザ

 

 

そんな動けない二人にラウラは近づいていき――

 

 

「フンッ!」バキィッ

 

「げふぅっ!?」ドゴォッ

 

 

鈴の腹部に強烈な蹴りを入れられ、そのまま吹き飛ばされた!

 

 

「舐めるなよ!ド畜生がぁ!」

 

「鈴さん!?このぉ!」ビュッビュン

 

 

セシリアはビットをラウラに向けたが――

 

 

「邪魔だぁ!」ズガンズガン!

 

ドゴォン!

 

「なっ!?」

 

 

ラウラはビットをライフルで撃ち落とし、そのままセシリアにライフルを撃った!

 

ガン!

ガン!

ガン!

 

「ぐうぅっ!!!」

 

「セシリア!アンタ!よくもぉ!」ギギギ

 

 

鈴は撃たれたセシリアを助けに行こうとしたが、ラウラに甲龍の駆動部分を壊され、動けなかった・・・

 

 

「貴様はそこで大人しく見ておけ・・・」ザッザッザッザッザ

 

「う、うぅ・・・」

 

スチャッ

 

ラウラはセシリアに止めを刺すために近づいていき、セシリアの至近距離にライフルとは別のレールガンを構えた・・・

 

 

「くうぅ・・・」ギロリ

 

「なんだ・・・その目は?」

 

 

セシリアはレールガンを構えるラウラを睨んだ・・・憎しみや悔しさを持った目ではなく、まだ勝負に負けないという闘争本能を持った目でラウラを睨んでいた・・・

 

 

「まぁ良い・・・貴様はここでリタイアだ!」グッ

 

「くっ!(私はこんなところで!)」

 

「やめてぇぇぇ!!!」

 

 

アリーナの周りや動けない鈴は悲鳴をあげた!

その向こうにあるアリーナ出入口から――

 

 

「「命中率97.4%・・・王ヨ、行ケマス」」

 

「おう!ドォラァァァッ!!!」

 

ビュォォォン!

 

 

――レーザーのように投擲された一本のナイフが――

 

 

グサァッ!

 

「ぐあぁっ!?」

 

「「「「「「「っ!?」」」」」」」

 

「な、何よ!一体!?」

 

 

――レールガンを構えいたラウラの腕に刺突した!

 

 

「あ、あのナイフは?!」サッ

 

 

セシリアはアリーナの出入口を見ると・・・そこには!

 

 

「ったく・・・何やってんだよ・・・」

カツカツカツ・・・

 

「き、貴様はぁ!」

 

「あんたは!」

 

「アキトさん!!」

 

 

気だるそうに歩く、朧を纏ったアキトがいた!

 

 

「大丈夫か?二人とも?」

 

カツカツカツカツ・・・

 

アキトは朧を展開しながらセシリアに近づいていった・・・

 

 

「貴様!一体何時の間に!?」

 

「まったくよぉ~、綺麗な顔が台無しだぜ?」サスリ

 

「ちょっ!?ア、アキトさん?!///」

 

「お~~い!チビッ子も大丈夫か~?」

 

「チビッ子言うな!」

 

 

ラウラの問いかけを無視し、セシリアの前でしゃがみ、その頬を優しく撫でていた・・・

 

 

「~~~っ!私を無視するなぁ!!」ジャキ

 

「っ!?危ない!」

 

「おん?」

 

 

無視された事にキレたラウラは、アキトの頭にレールガンを突きつけ、引き金に手をかけた・・・しかし!

 

 

ギシィッ!

 

「なっ!?」

 

 

ラウラは引き金にかけた指を動かす事が出来なかった・・・それどころか――

 

 

「か、体が「動かない」・・・だと!?」

 

 

体の自由が出来ない状態になっていたのだ!

 

 

「・・・どうした?」

 

「っ!貴様、一体――ぐふぅっ!?」

 

ズドゴォッッッ!

 

 

動けないラウラは突然の衝撃により、3m吹き飛ばされた!

 

 

 

「がはっ!(な、なんだ!?今の衝撃は!ヤツからの攻撃か?そんなバカな!ISのセンサーが反応しない攻撃など出来るハズがない!)」

 

「・・・おい・・・」カツ カツ カツ・・・

 

「っ!」

 

 

突然の衝撃に混乱しているラウラを余所に、アキトは先程までラウラを拘束していた「極細の鋼糸ワイヤー」を広げながら迫っていた・・・

 

 

「10分の間だ・・・」

 

「何?」

 

「今、デュノアがお前の愛しい愛しい織斑教官殿を迎えに行っている・・・織斑先生が職員室にいると仮定して・・・そこから、このアリーナまでやく10分かかる・・・」

 

「それがどうしたと――っ!?」サクッ タラリ

 

 

何時の間にか、ラウラの頬に触れていたワイヤーが、その柔肌に傷をつけた・・・

 

 

「だからよぉ・・・その10分間・・・俺はテメェを存分にブチノメス!」

ゴオォッ!

 

 

アキトは体から、多大なるプレッシャーを放った!

 

 

「・・・セシリア?」

 

「は、はひぃ?!!」

 

「まだティアーズが動かせるなら、鈴を連れて避難しろ・・・」

 

「はい!ただいま!」ガシィン シュー

 

「よし・・・なら・・・」ギロリ

 

 

アキトは振り向かずに、セシリアに避難の指示を出し、ラウラを鋭く睨みながら・・・

 

 

「さて・・・ラウラ・ボーデヴィッヒ?」

 

「なんだ!」

 

「スゥ~・・・ハァ~・・・」

 

 

アキトは大きく深呼吸をして・・・こう言い放った・・・

 

 

「トイレは済ませたか? お祈りは? アリーナの隅でガタガタ震える準備はOK?」

 

ラウラを後ろに下がらせたアキトは挑発的に言った!

 

 

「貴様・・・ふざけるなよ・・・!」ジャキ

 

 

ラウラは体勢を立て直し、ブレードを構え――

 

 

「高々、私を下がらせたくらいで調子に乗るなぁ!」

ビュォン!ブン!

 

 

――一気に距離を詰め、斬りかかった!

 

 

ガッキィィィン!

 

 

ラウラのブレードとアキトが取り出したショートアックスから火花が散りに散った!

 

 

「くぅ!中々に重い一撃をお持ちで?これも織斑教官のオカゲかい?」ギリギリ

 

「黙れ!貴様は私の邪魔をした!ジックリといたぶってから止めを刺してやる!」バキィ!

 

「げふっ!?」

ズザァァァ

 

 

剣と斧の鍔迫り合いの中、ラウラはアキトの腹部に蹴りを入れ、後ろに退かせた・・・しかし!

 

 

「・・・クフフフ♪」

 

 

アキトは不敵な笑みを浮かべて、ラウラを見ていた・・・

 

 

「何が可笑しい?!」

 

「おやおやおや~?もしかしてお気付きでない?その腕の「手榴弾」にさぁ?」

 

「なに!?」

 

 

そう!ラウラの腕には一つの手榴弾が張り付いていたのだ!

 

 

「一体何時の間に!?」

 

「ニョホ♪ここで問題です!これから銀髪ちゃんはどうするでしょうか?因みに――」

 

「こんなもので手榴弾一つで私を止められると思ったか!」

ベリィ!

 

 

ラウラは自分の腕に張り付いていた手榴弾を無理に引き剥がした!

 

 

ピン ピン ピン ピン ピン ピン ピン ピン ピン ピン

 

 

「なっ!?」

 

 

引き剥がした手榴弾には沢山の糸が付いており、ラウラが無理に引き剥がした為、その糸の先に付いていた「別の手榴弾」の安全ピンが抜けてしまったのであった!

 

 

「問題は最後まで聞くもんだぜぃ?銀髪ちゃ~ん?」

 

「貴様ァァァァァァァァァァァ!!!」ダッ

 

 

ラウラはレールガンをアキトに向けたが、既に時遅し・・・

 

 

カチッ ドゴオォォォォォォォォォォォォォォォォンン!

 

 

張り付いていた手榴弾全てが爆発した!

 

・・・普通こんな事をすれば、並みの人間なら綺麗にローストされてしまう・・・しかし、この爆発にさらされながらもISを纏ったラウラには多少SE(シールドエネルギー)が削れるも視界がボヤけるのみだったのだ!

 

 

「くっ(なんてヤツだ!何時の間にあんな大量の手榴弾を張り付けていたんだ?・・・まぁ、良い・・・私があんな素人に負けるハズがない)」

 

 

慢心なのか、この時点でまだラウラは自分の勝利を疑ってはいなかった・・・

そして、視界が段々とクリアになっていくと・・・ラウラの目に最初に飛び込んできたのは――

 

 

「WRYYYYYYYYYYYAAAAAAAA!!! 」ビュォォォン

 

 

――眼前に迫り来るアキトの拳だった・・・

 

 

「うわぁっ!??」ヒュン  ドガァァァン!

 

 

寸でのところでアキトの拳を避けたラウラ・・・

避けられたアキトはそのままアリーナの壁に激突した・・・

 

 

ヒュゥゥゥ~~~

 

 

「ハァ、ハァ(あ、危なかった!)」

 

「次にお前は「なんて無茶苦茶なヤツ」と思う!」

 

「(なんて無茶苦茶なヤツ!)――ッハ!?」

 

 

ガチャン ガチャン ガチャン

 

 

土煙の中からニヤニヤと下卑た笑みを浮かべながらアキトは歩いてきた・・・

 

 

「動揺してるな?自分の思考が読まれて狼狽えたか・・・ナァーーー?!!」

 

「っ!そ、そんな事はない!ドイツ軍人は狼狽えない!」

 

「だったら・・・」ブオン スチャ

 

 

アキトはに朧から出した銀色の西洋剣をラウラに向け・・・

 

 

「・・・来いよ三下・・・こっからは俺もチョイと「本気」で行くぜ?」ゴオォッ!

 

「っ!」

 

┣〝┣〝┣〝┣〝┣〝┣〝┣〝┣〝┣〝┣〝┣〝┣〝┣〝

 

 

アリーナは先程までと違い、重い殺気に包まれ、この戦いを見ていた生徒の中には泡を吹く者まで出始めた・・・

 

 

「貴様ぁ・・・何処までも舐めるなよぉぉぉ!!!」チャキ!

ビュゥォォォ

 

 

ラウラはブレードを構え直し、突撃してきた!

 

 

「KUAAAAAAAA!!! 」スチャ 

ビュゥォォォ

 

 

アキトも銀色の剣を構え、突撃した!

このまま二人の刃が交差し、火花が散る・・・

二人の戦いを見ていた生徒達はゴクリと息を飲んだ・・・

 

だが!

 

 

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」

 

ガッキィィィン!

 

「なっ!?貴様は!織斑一夏!!!」

 

「・・・ッチ・・・タイミング悪いなぁ!おい!」

 

 

アリーナのカタパルトから白式を纏った一夏が飛び出し、ラウラのブレードを雪片弐型で防いだ!

 

 

「助けに来たぜ!暁!」ギリギリ

 

「邪魔をするなぁぁぁ!」ギリギリ

 

「まぁ良い・・・このまま両方――」

 

 

アキトは剣を構え直し、鍔迫り合いする二人に突撃しようとしたが・・・

 

 

「遊びは終わりだ暁・・・剣を降ろせ」スチャ

 

 

アキトの後ろから打鉄の刀を突き付ける千冬に止められた・・・

 

 

「おいおいおいおいおい?先生ともあろうと言う人が生徒の背中に刀を突き付けるんですかぁ?つか、お早いお着きで・・・デュノアが呼びに行ってまだ7分くらいしか経ってませんぜ?」

 

「織斑に学園内でのIS使用を許可して、ここまで乗せてもらったのでな」

 

「ウハハァ~い!職権乱用だぁ~」

 

「黙れ・・・ボーデヴィッヒも武器を降ろせ」

 

「しかし教官!」

 

「二度も言わせるな」ゴオォッ

 

「っ!・・・はい・・・」チャ

 

 

ラウラはブレードを納め、後ろに数歩下がった・・・

 

 

「ボーデヴィッヒは後日、処分を伝える・・・部屋で大人しくしておけ」

 

「・・・はい」

 

 

ラウラはアリーナの出口まで進んでいった・・・

すると・・・

 

 

「お~い、銀髪ちゃん?」

 

「・・・なんだ?」

 

 

アキトがラウラを呼び止めた・・・

 

 

「俺に何か言う事があるだろう?」

 

「・・・・・・やる・・・」

 

「何だって?聞こえねぇなぁ~?」

 

「次は確実に狩ってやる!暁アキト!」

 

 

ラウラは指をアキトに突き付けながら、そう言った・・・

 

 

「ニョホ♪ニョホホホ♪楽しみにしてるぜ?ラウラ・ボーデヴィッヒ?」

 

 

アキトは新しい玩具を見つけた子供のように笑った・・・

 

 

「それとお前もだ!織斑一夏!」

 

「えっ!?俺ぇ!?」

 

「教官の汚点は私が消してやる・・・必ず私がな!」

ガチャン ガチャン ガチャン

 

「え!おっ、おい!」

 

 

ラウラは一夏に言葉を吐き捨てるとアリーナから出て行った・・・

 

 

「え?えぇ~?」

 

「ったく・・・ヤレヤレだ」

 

 

こうして、放課後のゴタゴタは幕を閉じた・・・

 

 

 

―――――――

 

 

 

インサイド

 

 

キィィーン パチパチ

 

 

あの放課後の戦闘から2日経った、休みの日・・・

俺は光栄な事に簪の専用機「打鉄弐型」の最終プログラムに立ち会っていた・・・

 

 

パチパチ カチャ・・・

 

「で、出来た・・・出来たよ!アキト!」

 

「おぉ!ついにか!それじゃあこれでも開けるか」

 

 

そうして、俺は持ってきた鞄からボトルを取り出した

 

 

「何?そのボトル?」

 

「これは俺の取って置きのシャンパン」

 

「シャンパン?・・・私、未成年・・・」

 

「大丈夫大丈夫、ノンアルコールだから心配すんなよ」

 

 

キュキュ~

 

俺はコルクを開けようとしたが・・・

 

 

「アキト!待って!」

 

「どしたよ?」

 

「そのままじゃ、シャンペンが噴き出して整備室が汚れちゃう」

 

「そっか~・・・あ!、フフ♪そうだ簪、今から面白いモンを見せてやるよ」

 

「え?」

 

 

キュキュ ポーン! ブシュゥゥゥ!

 

俺はシャンペンのコルクを抜くと、シャンペンが勢いよく噴き出した・・・

 

「え!?ちょっと!」

 

 

簪は驚いているが、コイツを見ればもっと驚くだろうな~!

 

 

「気化冷凍法!」ピキピキピキ

 

「えっ!?」

 

 

俺はシャンペンのボトルを能力で冷却した・・・すると噴き出したシャンペンは綺麗に凍った・・・

 

 

「うわぁ~・・・綺麗・・・これもアキトの吸血鬼の能力?」

 

「まぁ、そうかな?」

 

「スゴい・・・でもこれじゃあ飲めないよ?」

 

 

フフ♪そこは考えているのさ!簪くん!

 

 

「朧?ワイヤー」

 

「「御意ニ」」ブゥン

 

 

俺は朧からワイヤーを出すと、凍ったボトルを宙に投げ――

 

シャッ ズシュゥッン!

 

 

ワイヤーで細かく切り刻んだ・・・切り刻んだ瞬間にシャンペンとボトルのクズを分離し、切り刻まれたシャンペンの中身は雪のように舞い上がり、俺が用意したコップに盛り付けられた・・・

 

 

「完成!ノンアルコールシャンペンかき氷!」

 

「うわぁ~!」

 

「さて、食べますか?」

 

「うん!」

 

 

それから俺達は仲良く二人でかき氷を食べた・・・

 

 

 

サイドアウト

 

 

 

―――

 

 

ノーサイド

 

 

 

シャクシャク・・・

 

 

「あ、頭がキィーンとする・・・」

 

「フフ♪吸血鬼でもなるんだね?」

 

 

二人はシャンペンのかき氷を食べていると・・・

 

 

「そ~いや~、専用機が完成したって事は、簪はトーナメントには出るのか?」

 

「うん・・・その事なんだけど・・・」コト

 

 

簪は食べるのを止めると・・・

 

 

「私とペアを組んでくれない?」

 

 

アキトにペアを申し込んだ・・・のだが・・・

 

 

「あ~・・・それ無理なんだわ」

 

「・・・どうして?」

 

「なんか男子どもは公平にクジでペアを決めるらしい・・・だから無理だなぁ~」

 

「・・・そっか・・・」シュン

 

 

シュンとする簪の頭にアキトは手を乗っけた・・・

 

 

「そんな顔するなよ、簪は一人じゃないんだから、のほほんでも誘ったらどうだ?」

 

「むぅ・・・私はアキトが良いのに・・・///」ボソッ

 

「え?何が?」

 

「なんでもない!」シャクシャク

 

 

簪は勢いよくかき氷を掻きこんだ・・・

 

 

「うぅ、キィーンてする・・・」

 

「ハハ♪何やってんだか♪」

 

 

こうして、和やかに二人っきりの祝賀会は過ぎて行った・・・

 

 

 

 

 

 

 

その3日後・・・トーナメントのペアと対戦表が食堂の掲示板に張り出された・・・そこには・・・

 

 

 

 

 

 

暁アキト&ラウラ・ボーデヴィッヒ ペア

 

VS

 

織斑一夏&シャルル・デュノア ペア

 

 

 

「何でだーーーっ!?」

 

 

吸血鬼もビックリする内容が張り出されていた・・・

 

 

 

 

 

 

 

←続く

 




アキト[大丈夫か?作者?]

大丈夫だ・・・問題な――ぐふっ!

アキト[・・・今日はもう寝ろ・・・]

・・・・・・あい

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