今回から次章への繋ぎ的な章に移っていきます。
ひっちゃかメッチャかにやろうと思っております。
オリジナル設定をぶち込んでいきたいと思っております。
『誰おま』な感じにしたいと思っています。
そろそろ作品全体を編集・統合したいと思っています。
では、どうぞ・・・・・
鉄人警部から毛探偵社への依頼
【飛行船事件】
十年前の【白騎士事件】を優に超える史上最悪のバイオテロの総称。
推定でも死者ならびに行方不明者数は五万人を超え、被害総額は戦前戦後を合わせ過去最大のものとなった。
首謀となったのは、四年前東欧で国家転覆を狙った大規模テロ未遂を引き起こした反IS団体『レギオン』。通称『吸血鬼の大隊』。
そして、この事件を皮切りに世界各国で反IS主義を唱えるクーデターやテロが次々と引き起こされたのである。
―――――――
その凄惨な事件から二週間後のある日。
俺、『野崎 圭』は因幡探偵事務所所長『因幡』さんと同僚の『優太』くんと共に『剣持』刑事の運転する車で警視庁へ向かっていた。
「どうしたの圭くん? 突然ナレーションなんかして?」
「優太くん、普通は人のナレーションに割り込まないのがお約束だと思うんだけど?!」
「まぁアレだ。荻からの直々の依頼で態々出向いてやっているんだよな」
「因幡さんまで俺のナレーションに入って来ないでください!!」
「ハハハ・・・」
剣持さんまで苦笑いの始末。
だが因幡さんの言う通り、俺達は警視庁警備課所属の『荻野』警部からの依頼で向かっている事は確かだ。
飛行船事件以降、今まで成りを潜めていたISに異を唱える団体や女権主義団体に虐げられていた被害者グループなどが日本各地で大規模なデモを起こした。それが原因の一つかどうかはこの際置いておいて・・・治安は事件前よりも悪化してしまった。
世の中の隠され抑えつけられていた不満が一気に溢れ出た為だろう。ついこの間も、ISによる『女性優遇法案』に加わった代議士が暗殺されかかる事件が起こっている。
そのせいで警察は猫の手も借りたい位に大忙しなんだろうな。
「ちなみに・・・猫の手って肉球が気持ちが良いよね」
「圭くんキモい☆」
「そんな笑顔で言わなくてもッ!」
「まぁ大方、『吸血鬼』についての案件だろうよ」
「吸血鬼・・・」
『吸血鬼』
それは世界で最もメジャーな化物の一種だ。
なぜここでこの話題が出たのかというと、あの事件には多くの吸血鬼なるものが関係していると噂されているからだ。
実際ネットには、絶対防御領域を持つ筈のISが生身の人物に殴り壊されている動画や長い牙を皮膚に喰い込ませて血を啜る動画が何件も投稿されている。
「まったく、吸血鬼なんて馬鹿らしいぜ」
「いや、『狼男』の因幡さんの言える台詞じゃないでしょ」
モンスターといえば、この因幡さんも世界でも有名な『人狼』と呼ばれる種族。
人狼は個体差もあるが様々な能力を持っていて、その自慢の能力で因幡さんは数々の難事件を解決してきた優秀な『
「ですが、あの事件を治めたのは・・・あの『アーカード』という情報がありますので・・・・・」
「ッチ・・・久々に聞いたぜ、その化物の名前・・・」
剣持さんのある言葉に因幡さんは忌々しそうに歯噛みをする。
『アーカード』。その道の世界では知らぬ者はモグリとまで言われる程の有名人だ。
因幡さんが追っかけている『ヴァレンティーノファミリー』の遊撃部隊隊長と呼ばれる幹部の一人で、今までに沢山の麻薬カルテルなどの反社会組織を壊滅している人物だ。
『反社会的組織を壊滅している』。
それだけ聞くと何だか正義の味方のように聞こえるが、それは違う。アーカードは、潰した組織が持っているモノを全て奪う事で有名だからだ。金も、情報も、物も、そして『命』も。だから、彼が襲撃した場所には何も残らない。
・・・・・『
・・・とまぁ、怖い話が多いが、アーカードの逸話の殆どは噂でしかない。
実際のあの人は―――――
「でもなんであの吸血鬼ヤローの名前が出て来るんだ?」
「事件から生還した人たちの多くが、『赤いジャケットを身に纏った不気味な笑顔を浮かべる不審人物』を目撃しているんですよ。しかもその不審者・・・『
「うェ~・・・絶対あのヤローだ」
絶対にあの人だ・・・
「ところで・・・あの国家の犬からの依頼って何なんでしょうかね?」
「優太くん辛辣だよ」
「まぁ何であれ・・・この俺にかかればラクショーだぜ!!」
「そんな自惚れな所も素敵です先生!」
相変わらずの因幡さんと優太くんは置いといて・・・
そんな我々因幡探偵事務所一同は、依頼人の待つ警視庁へと向かうのだった。
―――――――
トゥルルルンッ
「おいッ、 備品が足りてないって報告が!」
「こっちの書類を各階に回せ!!」
「誰か俺の携帯知らね?!!」
お気楽だけど腕は確かな因幡探偵事務所の面々が目的地に到着すると内部は案の定の天手古舞に騒がしく忙しい。皆は目の下を黒いくまで染め、因幡達に見向きもせずにギラついた眼で職務に追われていた。
「うわぁー! 皆さん大変そうですねぇ」
「えぇ。あの事件以来、人員が追い付かずにこの有様です。まだここなんて良い方ですよ。外に出回っている組はここよりも・・・」
「面倒な事してくれたぜ、あのレギオンとかいう連中は」
「まったくです」
現場の惨状に皆が壁々していると奥の扉からガチャリと無精髭を生やした男が現れ出でた。
「来たか、洋」
「!? オイオイオイッ、どうしたんだよ荻ィイ!!」ビュンッ
「因幡さん早ッ?!」
依頼人の髭面を認識したと同時に因幡は光の速さで荻野警部へ接近し、その無精髭を撫で・・・
「洋、待て」
「ワン!」
・・・まわす前に静止させられた。
「因幡さん・・・」
「・・・ッハ?! し、しまった・・・いつもの癖で・・・・・」
「なにをやっとるんだ、お前たちは?」
因幡を説き伏せたこの男こそ、警視庁が誇る鉄人刑事『荻野 邦治』だ。
飛行船事件では警備課でありながら機動隊の指揮権を一任され、事件に巻き込まれた多くの人命を救出。さらにレギオンの幹部の一人である『シュレーディンガー准尉』を剣持と共に逮捕した功績を持っている。
「それで国家の犬畜生さん。僕達に一体何の用なんですか」
「そーだそーだ! 俺達は忙しい合間を縫って来たんだから早く要件を言いやがれ! あと、その髭を撫でさせろ! 愛でさせろォッ!」
「因幡さん・・・」
「まぁ、そう叫ぶな洋。詳細を離すから、ついて来い」
無精髭に唸りを上げる毛フェチ人狼を諫めた荻野は探偵社一同をエレベーターへと案内していく。
「・・・? おい、荻ここ・・・」
しかし、何故だか荻野は彼等を警視庁内でもあまり使われていない階へと通したのだ。
その階に因幡は見覚えがあった。自分が幼少期を過ごし、自らのルーツとも言える階層であったからだ。
階層名は『公安0課』。
通称『零課』と呼ばれる現在はその存在すら抹消された秘匿階層である。
「荻さん、なんでこんなトコに?」
「因幡探偵に助手の方々、失礼しますね」
「へ?」
不思議そうな表情をする因幡達に対して、剣持は何やら棒状の機械で身体全体をさわった。
「剣持・・・」
「はい、大丈夫です。発信機ならびに盗聴器の類いはありません」
「おい荻! こりゃあ一体なんだよ!!」
「因幡さん・・・また容疑者リストに入ったんですか? これで三回目ですよ」
「俺はなんにもやってねぇッ!!」
圭の言うように因幡は過去に警察からマークされていた事があった。まぁ、そのどれもが濡れ衣であったが。
「もう酷いじゃないですか! セクハラで訴えますよ、エロポリ公!」
「すまん。用心の為にな」
「用心?」
「なにかあったんですか、荻さん?」
「・・・あぁ・・・実は警察内部に『内通者』がいる疑いがあってな」
「「えぇッ!?」」
荻野の話だと、このところ警察内部で極秘扱いにされていた文書がネットに流出していたり、IS反対に湧くデモ隊の摘発情報がリークされていたりと・・・散々なものだ。
「だからこんな人気のない場所を・・・」
「という事は・・・・・荻ぃ、今回の依頼は余程重要な件なんだろうなぁ?」
因幡の言葉に荻野はゆっくりと一息入れて、声帯を震わせる。
「ああ・・・・・今回、お前達探偵社に頼みたい事は―――――
―――――IS学園生徒の護衛だ」
←続く
サブ主人公候補を何人かに絞っている・・・