ガンダムブレイカー2外伝 機動戦士ガンダムEX 異次元の救世主   作:ZEXT933

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【ショウマとハント:Ⅱ】★

「ん……」

 

 ぼんやりとした意識で目を開けたショウマに、見知らぬ天井が映る。

 

「(ここは……、俺なにしてたんだっけ……)」

 

 記憶にある最後の光景を思い出す。

 薄れゆく意識の中で、誰かが自分の名を呼んでいたような……。

 

「(あぁ……気を失ったのか俺)」

 

 身体を起こそうとすると、ふと首元と腹部に重さを感じた。

 かけられた布団で、それが何かは分からないが、重さのある部分は不自然に盛り上がっている。

 右手で重さに触れると、それはぷにぷにと柔らかく体温に近い暖かさを持っていた。

 

「(……?)」

 

 身体の上からどけようと今度は左腕を動かそうとする。 が、左腕は何か重いものに挟まれたかのように動かなかった。

 それでも動かそうと、開いていた左手の指を丸めた時……。

 

 ―くにっ……。

 指先が何か湿った部分に触れた。

 

「ふぁんっ……」

 

 同時に耳元で誰かの声が聞こえ、吐息がかかる。

 

「……へっ!?」

 

 ―ビクッと、驚いたショウマが顔を左に倒すと……、ハントが自分に抱きついて寝ていた。

 首元と腹部の重さの正体はハントの腕と足。左腕が動かないのはハントの胸とふとももに、手が挟まれていたからだった。

 

「おわああああぁっ!?」

 

 寝ぼけていたショウマの意識が一気に覚醒する。

 慌てて挟まれた腕を抜き取り、身体を起こしハントからずりずりと後退するショウマだったが……。

 ―ドンと、背中で何かを押し飛ばした。

 

「ぷにゃっ……!」

 

 小さな声とともにドサッと何かが落ちる音がする。

 背後を振り返りベッドの下を見ると、フレスがうつ伏せで伸びていた。

 

「ああぁ、フレスごめ……はぁ!?」

 

 フレスをベッドの上に戻そうと布団から出たショウマの視界に、何も身につけていない自分の下半身が映った。

 

「(な、なんで裸なんだよ俺!? 風呂場で倒れたからか!? にしても何か着せてくれても……)」

 

 焦りつつも素早くフレスを抱え、布団に押し込もうと振り返ったショウマを……。

 

「ふあぁ~、おぅ気が付いたか」

 

 同じく何も身に着けていないハントが出迎えた。

 

「わああああああああああぁ!」

「おわっ、どうしたんだよ!?」

 

 絶叫を上げるショウマ。

 昨晩は決して見ることがなかったハントの生まれたままの姿を、はっきりと目視してしまった。

 抱えられていたフレスもショウマの絶叫に慌てふためき、その腕から飛び立つ。 両手が自由になったショウマは咄嗟に股間を手で覆い、ベッドの縁に座り込み身体を隠す。

 

「大丈夫か? お前昨日から変だぞ?」

「変なのはそっちだろ! なんで裸なんだよ!」

「なんでって……オレ、寝る時なにも着ねーもん」

「……」

 

 あっけらかんとしたハントの態度に、反論する気力もなくなる。

 

「お前……、俺が気絶してる間に変なことしてねぇだろうな?」

「変なこと? 血や水分を拭き取ったりはしたけど……後はここに運んで、寝かせただけだぞ」

「……見た?」

「……何を?」

「いや、なんでもない」

 

 見られたんだろうな……と考えつつ、ハントに性の意識が無くて本当によかったと思った。

 そして、いつまでもこの状態ではいられないと、そそくさと部屋から出ようとする。

 ―が。

 

「オレが何を見たって?」

 

 後ろからハントに抱きつかれた。

 

「うお、お、お前また……っ!」

 

 背中全体に広がる柔らかい感触と、温もりにデジャブを感じつつ、またも心臓の鼓動が速まる。

 ハントを振りほどこうと身を捩らせるが、動かす度に肌と肌が擦れ、その感覚がショウマをのっぴきならない状態に陥れる。

 

「ば、馬鹿離れろって!」

「なぁー♪ なにかオレに見られたらマズい部分があったのかー? どこだ、言ってみろよ♪」

「嫌だって!」

「……じゃあ自分で探す」

「へ?」

 

 ハントの思惑を察する間もなく、拘束された身体が持ち上げられ、足が浮く。

 

「うおぉ!?」

 

 思いもよらないハントの怪力に驚いていると、そのまま180度方向を変えられ、ベッドの方を向かされる。

 身体が降ろされ、拘束が解かれたと思いきや……。

 

「えいっ」

 

 ベッドに向かって突き飛ばされた。

 

「ぷはっ……、お前なにを……」

 

 うつ伏せでベッドに倒れ込む。

 身体を起こそうと仰向けになったところに、小さくジャンプしたハントが馬乗りになってくる。

 

「ぐえっ!」

 

 瞬間的に下腹部に伸し掛かる重量。

 勢い余って前のめりになったハントの両肩を掴み、押し戻す。

 と、同時にその胸元を直視しないように目を閉じ、顔を背ける。 しかし両肩を掴んだはいいが、それがハントの狙いを妨げる事にはならなかったと、このあと気付かされた。

 

「さぁーて、どこが見られたくないんだ?」

 

 ハントがにやにやした声とともに、ショウマの首筋にピタッと指を当てると、そのままツツー……っと、当てた指を不規則に動かしながらゆっくりと首筋……胸元……腹部……の順になぞっていく。

 

「うぁ……お、まえ……」

 

 閉じた視界の中でゾクゾクと、身動ぎするような感覚を味わわされ、ショウマの腕がハントの肩から離れる。

 

「ほれほれ♪ どこが見られたくないんだー?」

「やめろって! マジでヤバいから! この体勢ヤバいから!」

「だから見られたらヤバい部分はどこだって聞いてんだろー♪」

「(それはお前がいま乗っかってるとこだよ!)」

 

 業を煮やしてハントの腕を掴んで止めようとした。―その時。

 

 ―ピリリリリリ。ピリリリリリ。

 突然、着信音のような音が鳴り響いた。

 目を開けると、ハントの背後に「CALL」と表示された巨大な立体画面が映し出されていた。

 

「お、グラ達からの通信か」

「ちょ、ちょっと待てまさか……」

 

 ―ピコン。

 ショウマがハントを制止するよりも速く通信ウインドウが開き、画面には居間に座っているグラッドナイト、ラン、レンの姿が映し出された。

 

「ひゃっ……!?」

 

 こちらの状況もそのまま映し出されたのか、画面の向こうでレンが慌てて手で顔を覆う。

 

「うおおおおぉーっ!?」

 

 ショウマは慌てて近くにあった掛け布団を、自分とハントの身体に巻いて隠す。

 その行動の意味が分からず、きょとんとするハントの横でショウマは汗をだらだら流し、無理やり笑顔を作った。

 

「フーちゃんおはようデース♪」

「ふぃー♪」

 

 そんな2人を気にすることもなく、画面越しに楽しげに手を振り合うランとフレス。

 

「おうショウマ、久しぶりだな」

「お、おう……久しぶり」

「お前いつの間にハントと仲良くなったんだ?」

「いや、これはその……」

 

 ショウマがグラッドナイトに返した挨拶はどこかぎこちなかった。

 自身とハントの身体を巻いて隠したおかげで、布団の中でハントと密着してしまっているのだから当然だった。

 

「それはそうとハント、あとどんくらいでこっちに着くんだ?」

「えーと……」

 

 グラッドナイトの問いかけにハントが艦の機能に意識をリンクさせ、到着時間を割り出す。

 

「あと1時間ってとこだな。 ところでさっきから顔隠してるそいつ、誰?」

「あぁ、(おれ)の弟子のレン。 こいつも連れて行くから」

「おう」

「じゃあ待ってるぞ」

 

 ―プッ。

 通信が切れると、ショウマはホッとため息をついた。

 

          ――――――

 

 レンの家で通信を終えた3人。

 

「師匠、今の方達が……」

「おう、俺達の仲間」

「その……大胆ッスね」

「……大胆?」

 

 何事もなかったかのように準備を再開するグラッドナイトとランの横で、レンだけが悶々とした表情を浮かべていた。

 

          ――――――

 

「じゃあ俺達も準備するか」

「お前、今日はまともな服着ろよ?」

「まともな服?」

「はぁ……」

 

 まだまだ苦労させられそうだなと、ショウマがため息をつく。

 この後、2組は無事に合流し、アークエンジェルへ向け出発した。

 


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