「ドグマ――?」
そう訊き返したのは、ガイストであった。
メガール将軍と、地獄谷五人衆による、山彦村襲撃の数日前の事である。
ガイストがいるのは、彼が蘇生し、黒井響一郎と戦って深化を得た、あの闘技場のある何処か――ショッカーの基地の内、破壊を免れ、以来、マヤが率いる強化改造人間三名が拠点としている場所だ。
その一角に、トレーニング・ルームがある。
四方を囲む壁に、素振り用の木刀やコシティー、ダンベルなどが掛けられている。
天井から、鉄橋用のワイヤーで吊るされた、千年杉の幹の如くサンドバッグがある。
部屋の中心には、リングが設けられており、四本のロープで四方を囲まれている。
ボクシングのリングである。
キャンバスの下は、鉄骨が走っており、それに関する訓練を積んでいない人間が投げ落とされた場合、一発でお終いである。
そのリングに、白い柔道衣を来た、黒井響一郎が寝転がっていた。
端正な顔に汗の珠を浮かべ、痣を作り、歪めている。
「そ、ドグマよ」
ガイストに返したのは、マヤであった。
マヤは、蒼い柔道衣を着て、黒い帯を締めている。
コーナー・ポストに寄り掛かり、リングの下のガイストに答えていた。
ガイストは、トレーニング用のトランクス一枚で、サンドバッグの前に立っている。
ダビデ像を連想させる身体には、やはり、汗が浮いており、拳や足の赤い痕は、打撃練習をしていた事を意味する。
黒地に、赤い日輪を刺繍したタオルで汗を拭き、翼を広げた鷲――ショッカーのマークがプリントされた水筒から、ストローで水を吸っていた。
同じ空間には、松本克己もおり、彼は、黙々とベンチ・プレスをしている。
三〇〇キロを、軽々と上げ下げしていた。
ドグマについては、既に説明している通りである。
「そのドグマが、どうしたって?」
「密偵から、情報が送られて来たわ」
「ほう?」
「裏切り――」
「裏切り?」
「ショッカーへの背反行為が発覚したの」
「それは、どういう事だ?」
ガイストに問われると、マヤは、指を一本立てた。
「一つは、人類統治の為の作戦の異様なまでの遅れ」
「……耳が痛いな」
ガイストは言った。
かつてのGOD機関で、アポロガイストはその遅れを解消する為に派遣され、しかし、彼の就任後も、日本転覆計画の進行は、ぱっとしなかった。
「もう一つは、計画そのものを歪めてしまっている事」
「それは?」
「そもそもショッカーの目的は、人類を一つの思想の下に統一する事――」
かつて、ショッカー首領は、強化改造人間への手術を済ませた本郷猛に対して、次のように述べている。
“サイボーグが世界を動かし、そのサイボーグをこの私が支配する”
又、その本郷を抹殺すべく改造された、強化改造人間計画第二期の者は、
“ショッカーは、醜い争いに明け暮れている世界中の人々に、心の平和を与え、仲良く新世界の建設に協力させようとしているのだ”
と、本郷に対して語っている。
更に、ショッカー壊滅より数年を経て新生した、ネオショッカーは、地球に存在する資源の枯渇を憂えて、人類の総数を三分の一まで減少させる事を計画していた。
事の善悪は兎も角として、ショッカーは、常に地球の事を考慮して作戦を決行して来た。
人間よりも燃費の良い改造人間が跋扈する世界ならば、資源が尽きるまでの時間を引き延ばす事が出来るし、人類の総数が現在よりも減るのであれば、そのタイム・リミットはより先に延びる事になる。
時には、環境破壊を促進するかの如き計画も立案されるが、これは、人間の数を減らす事を目的としているのであり、それが成った後には環境の再生計画も同時に考えられていた。
「彼らは、それをはき違えているらしいわね」
「と、言うと?」
「人類を統治するのが、大首領ではなく、自分だと思っているのよ」
「自分?」
「テラーマクロよ」
テラーマクロは、ドグマの総帥である。
「勘違いも甚だしいわ。所詮は、大首領の傀儡に過ぎないくせにね」
ドグマの目的は、帝王テラーマクロを頂点とした、ユートピアの建設だ。
頂点となるのは、大首領でなければならない所、テラーマクロは、人類の支配者を自分に設定しているのだ。
そのユートピアに住む人々の選定基準も、異なっている。
彼らは、人間に元から備わった能力を基準に、王国民たるべき者を選んでいる。
容姿の美しいもの、能力の優れたもの――
ショッカーにあっては、そうではない。
作戦を決行する改造人間の素体には、確かに、知能や身体能力で優れた者を採用する。
しかし、やがて来るべき新世界に於いては、ショッカーに忠誠を誓う者全てを改造人間として、容姿や能力、人種、性別などの分け隔てなく、擁する事としていた。
元から能力に優れたものがあるのなら、それを存分に生かせるし、そうでないのならば、改造手術によって能力を引き上げる事が出来る。
それに対してドグマは、元来の能力を重視し、テラーマクロが認めた以外の者は、王国から排除される事となる。
ショッカーという組織の系譜にありながらも、大首領の意思に逆らう事であった。
「で、三つ目――」
「――」
「その遅れを取り戻す為に、私たちの財産を勝手に使っているという事よ」
「財産?」
マヤが頷いた。
「改造人間を造るのだって只じゃないし、基地の維持にだってお金は掛かる。ドグマに必要な資金は私ているけれど、それ以上のものを、使い込もうとしているのよ、彼ら」
「それ以上、というのは?」
「黄金よ」
「黄金⁉」
「三〇と、何年か前かしらね。大量の金塊を発見したのよ」
「それは、凄いな」
「普通の人間なら、一生掛かっても使い切れない程の額に、換算出来るでしょうね」
「――」
「国内でのショッカーの運営は、この黄金で賄っていた所が多いわ」
「――」
「それらを回収して、潰したり、溶かしたりして、日本各地に改めて隠したりしていた訳だけど――」
「ドグマの連中が、それを掘り起こし始めたって事かい」
「ええ」
「つまり、人類統治――まぁ、ドグマからすれば、テラーマクロとやらによる理想郷建設の遅延の解消に、大量の資金が必要という事か。何の為にそんな金が要るかというと――」
ガイストが、ちらりと、リング上のマヤを見上げた。
マヤの笑みを見るに、ガイストの考えは当たっていたらしい。
「より強力な改造人間を作製する必要がある――」
「そういう事ね」
「という事は、要するに、今までの改造人間じゃあ、どうにもならない相手がいるって事だ」
「その通りよ」
「ドグマとかいう奇妙な集団に、喧嘩を吹っ掛けてゆくような変わり者は――」
「ご名答」
「仮面ライダー……」
「しかも、最新型の、ね」
マヤが言った。
仮面ライダーとは、ショッカーから見れば、強化改造人間計画によって誕生した、それまでの改造人間とは一線を画す存在である。
それまでの改造人間は、人間の脳下垂体を、薬物や細菌などで刺激して、身体に埋め込んだ他の動植物の遺伝子と融合させるホルモンを分泌させる事で、人間を超えた能力を備えさせて来た。
中には、特殊な金属の骨格や兵装を用いたりもする。
ショッカー最初期の改造人間の中で、蠍男などはそのタイプである。
毒蠍の遺伝子を内蔵する事で、体内に毒腺を生じさせ、皮膚をセラミックやカーボンなどを混入した高硬度のものに特殊加工して、その上にプロテクターを装着する。
左手の電磁ハサミには、医療用メスなどに使われるモリブデン鋼製のブレードを使用し、それを高速振動させるパーツを設置して、完成だ。
後のデストロンの、機械合成改造人間の走りと言っても構わないであろう。
一方、強化改造人間計画では、それとは別のプロットが採用された。
脳や、その周囲の神経のみを残して、殆どの部分を人工のものに置き換えるのである。
強化セラミックやチタンの骨格、人工培養した筋肉、高い酸素供給機能を持った循環器、エネルギー変換率の高い臓器などに、生身の部分を取り換えてしまう。
改造人間として作戦を決行する際には、強化服とヘルメットを装着し、強靭なボディが生み出すパワーで、自壊する事を防ぐ。
この強化服と仮面という手法は、生体改造によって誕生する改造人間らが、何らかの能力に特化した目的で製造され、一度改造されればノーマルの人間の姿には戻れないという点を、解消する意味であった。
この強化改造人間の製造には、通常の改造人間よりも時間もコストも掛かり、素体となる人間を選ぶ必要もある。
その為、本来ならば強化改造人間には、組織の戦闘に立って、人類統制の指揮を執る大幹部クラスの人物が改造される筈であった。
そうならなかったのは、強化改造人間計画第一期の改造素体として選出された人物が、ショッカーを裏切り、脱走してしまったからである。
本郷猛――
知能指数六〇〇、運動神経抜群という、稀に見る秀才であった彼は、やがて地球を統制するショッカーの筆頭格として、この上なく相応しかった。
だが、ショッカーの行為を、人類に対する侵略と解釈した科学者、緑川弘や、その友人であった神啓太郎らが、強化改造人間を用いたショッカーに対する反逆を計画し、本郷猛は、ショッカーに忠誠を誓う事なく脱走し、組織に牙を剥いた。
最新型の改造人間である仮面ライダーを斃すべく、何体もの改造人間が送り込まれたが、尽く破られ、ショッカーは、強化改造人間計画第二期を発動する。
それによって、六体の強化改造人間――仮面ライダー第二号が誕生したが、その内の一体であった一文字隼人は、脳改造前に本郷によって拉致(飽くまでもショッカー側の目線である)され、他の五体を破壊する。
そうして、脱走した二人の仮面ライダーは、ショッカーの人類統治の敵となったのである。
この時点で、“仮面ライダー”というコード・ネームは、ショッカーにとっては忌まわしきものと化した。
ショッカーは、大幹部であった地獄大使の死と共に滅び、大首領はアフリカ奥地の呪術集団ゲルダムと結託し、ゲルショッカーを組織する。
ここに於いて、ダブルライダーのデータを解析した、六体の強化改造人間、通称ショッカーライダーが、ナンバー1から6まで造り出される。
彼らの敗北と、浜名湖地下の日本支部に侵入された事を以て、大首領は基地の自爆を敢行し、ゲルショッカーは滅びる事となる。
それから後、デストロン、GOD機関を設立し、又、インカの秘宝を手に入れる為に科学者ゴルゴスを唆してゲドンを、バルチア王朝の末裔であったゼロ大帝と結託してガランダー帝国を、更には蟲毒によって生まれた奇怪な生物たちに交渉を試みてブラックサタンを組織した。
それらの組織は、しかし、ダブルライダーから強化改造手術を受けて誕生したV3、デストロンと協力していたヨロイ一族のヨロイ元帥に復讐を誓ったライダーマン、神啓太郎が瀕死の息子を助ける為に術式を施したXライダー、インカの超技術で改造されたアマゾン、親友の仇を討つ為に自ら改造されたストロンガーなどにより、崩壊する。
彼らを討つ為に、大首領は、自らの直属の軍団、デルザーを召喚した。
世界各国に残る、異形の者たちの伝説の起源となった怪人たちに、人間に対する精神的支配を行なう為に“大元帥”“参謀”“師団長”などの称号を名乗らせた。
来日以前にダブルライダーに葬られた――実は生き延びていた――ジェットコンドルを含めた一三体の改造魔人らと、大首領のボディでもあった岩石大首領も、七人の仮面ライダーたちの前に敗れ、組織は暫く活動を停止する。
所で、デルザーの魔人たちが、称号を用いて精神的支配を促したと述べたが、これは仮面ライダーたちにも当てはまる事である。
そもそも、仮面ライダーというのは、強化改造人間の別名であった、
System Masked Riders(S.M.R)
を、マヤや、本郷猛か緑川弘が、彼らなりに解釈した名前である。
強化改造人間が真の機能を発揮するには、“仮面”を被る事による改造部分の起動と、戦闘マシンとの連携が必須であったから、S.M.Rと名付けられ、その戦闘マシンがオートバイであり、本郷自身も優れたモトクロスの選手(ライダー)であったから、
仮面ライダー
と、理解したとしても、不思議ではない。
それに対抗する為に造られた第二期の強化改造人間が、本郷を皮肉るように、敢えて“仮面ライダー”とネーミングする事も、おかしくはなかった。
又、デストロンに家族を殺され、そのデストロンに対抗し得る力を持つ仮面ライダーたちと同じ能力を、自分に授けてくれと懇願した風見志郎が、仮面ライダーを名乗る事も、自然である。
同じく復讐という目的を持つ結城丈二が、仮面ライダーをモチーフとした強化服を纏った姿を、ライダーマンと呼ぶのも、考えられる事だ。
神啓太郎は、息子・敬介(啓介)が蘇生した時、“Xライダー”と命名しているが、これは、緑川からショッカーの強化改造人間計画について聞かされており、そもそも深海開発用改造人間
一人飛ばして、七号ライダーとも呼ばれるストロンガーは、ブラックサタンという秘密結社に親友を殺され、その仇討ちの為に自ら手術を受けた城茂が、強化改造人間突撃型となった自身を、都市伝説として知っていた仮面ライダーに見立てて、名乗ったものである。
さて、ここで問題となるのが、アマゾンである。
赤ん坊の頃に飛行機の事故で南米のジャングルに墜落し、生き延びた山本大介は、“アマゾン化石人”と呼ばれる者たちに育てられた。
野生の中で育った彼の身体能力を見込んだ、古代インカ帝国の長老バゴーは、弟子であったゴルゴスの、インカの超パワーを手に入れようとする野望を防ぐ為に、大介にギギの腕輪を与え、その肉体に変身能力を授けた。これが、仮面ライダーアマゾンと呼ばれる事になる存在の、誕生である。
強化改造人間を仮面ライダーと呼ぶショッカーからすれば、彼は、仮面ライダーの定義には当てはまらない。
だが、山本大介は、他のライダーたちから仮面ライダーと呼ばれているし、六人目に数えられてもいる。
何故か。
それは、立花藤兵衛という男の存在による。
本郷猛のオートバイの師匠であった藤兵衛は、改造され、人ではなくなった事に苦悩する本郷を傍で支え続けた人物だ。
ショッカーとの戦いを、あらゆる面でサポートしていた。
ショッカー・ゲルショッカーが滅び、デストロンが現れ、組織と戦う風見志郎や結城丈二とも、一緒に戦い抜いた。
又、単に“Xライダー”としか名乗っていたなかった神敬介に、正式に“仮面ライダー”の名前を与えたのも、彼の姿にかつての本郷たちと同じものを感じた藤兵衛である。
ギギの腕輪を守る為、独り、言葉も通じぬ故郷に帰った山本大介が、その身を獣人に変えて、同じく異形の獣人から藤兵衛を守ってくれた。
大介はバゴーの暗示によって日本へ渡り、高坂という男の許へ向かう。学者であった高坂は、“アマゾン化石人”についての調査で南米へ渡り、バゴーと知り合っていたのである。
その折に高坂は、バゴーからインカの秘宝の一つである“太陽の石”と、それを動力源とした古代の戦車の設計図を託された。この設計図を基に、古代戦車の再現する事を、藤兵衛に依頼していたのだ。
古代戦車は、現代で言うオートバイに当たるものである。それは、バゴーが、やがてアマゾンが日本へ帰り、ギギの腕輪を狙うゴルゴスらとの戦いの、手助けとする為のものであった。
藤兵衛は、肉体に超常の力を秘め、マシンを駆るその姿に、仮面ライダーを重ねずにはいられなかった。
こうして、ライダー自身と言うよりは、立花藤兵衛という男により、“仮面ライダー”の名前は、戦士たちの称号として、受け継がれて来るようになったのである。
デルザー軍団が、人類に対するアンチ・テーゼとして、敢えて人間側の称号を名乗ったのならば、仮面ライダーたちは、人類の自由を侵害する者らの敵としての仲間意識、団結力を高める為に、“仮面ライダー”という名を背負ったのである。
デルザーとの戦いの後、彼ら七人の仮面ライダーは、世界各地に散り、敵対していた組織の残党の討伐や、紛争・災害などが興っている地域に赴いて活動していた。
改造される以前に就職していた者もおり、一文字はカメラマン、大介は日本で言葉を覚えた事とジャングルで得た知識で、ガイドなどをやっていた。
その後、デッドライオンと暗黒大将軍の共謀を砕いた事は、前章にて述べているが、同時に、暗黒大将軍がゼネラルモンスターとしてネオショッカー日本支部の創設に着手した事も記して置いた。
ネオショッカーは、ショッカーの頃よりも、人類の総数を減らすという目的を明確に打ち出しており、デルザー壊滅から時間を掛けて立ち上げられて来た組織という事もあって、ショッカーと同様に世界中に支部を創り上げた、大規模の組織となった。
そのネオショッカーから現状を守ろうと、七人ライダーも戦うが、地球全土を彼らだけで防衛し切れる筈もなく、彼らの故郷である日本には、守護者たちがいない状況が出来てしまった。
しかしながら、ゼネラルモンスターが、ジェットコンドルとデッドライオンを融合させた改造魔神デッドコンドル計画の経過を見て考案した、
重力低減装置搭載型強化改造人間空挺計画
によって誕生した改造人間が、ネオショッカーを脱走し、日本支部の作戦計画を、尽く阻害するようになったのである。
重力に抗する装置を持って、自由に空を飛ぶ強化改造人間は、それだけに留まらず、
仮面ライダー
という、ショッカーにとっての天敵を名乗ったが、これには、その強化改造人間の手術を執り行なった人物の経歴による。
志度敬太郎という人物であった。
専攻は、人間改造工学。
ネオショッカーは、彼の持つ技術に眼を付け、改造技術陣に加え入れようとしたのである。
志度は、しかし、この要求を拒否する。
ネオショッカーの計画を知った志度は、組織の事を告発しようと逃げ出すが、そうはさせじと追跡する。
この時、ネオショッカーの邪魔をしたのが、筑波洋という青年であった。
彼は、志度を何処かに匿ったが、ネオショッカーが遣わした改造人間ガメレオジンが、彼の大学の、ハングライダー部の友人を殺害し、洋自身にも重傷を負わせる。
志度は、自分を守る為に生命を懸けた洋を死なせたくないと、ネオショッカーに戻る事の条件に、洋への改造手術による蘇生治療を懇請した。
洋は、簡単な手術であるとは言え改造を施しているアリコマンドを倒せるだけの身体能力を持っており、ゼネラルモンスターは――前件の前田さくらの事もあり、人間が鍛錬によってかなりの強さを手に入れる事を知っている――、洋の身体を強化改造人間へと造り替える事を許可した。
そうして、重力低減装置搭載型強化改造人間――別名、空挺強化改造人間が誕生したのである。
所が、志度の要請により、脳改造手術を施す前に洋への事情説明を許した事と、洋がネオショッカーの計画を受容出来なかった事が重なり合い、最新型の強化改造人間は、ネオショッカーに反旗を翻す事となる。
強化改造人間――筑波洋が、仮面ライダーを名乗った事は、偶然ではない。
志度敬太郎は、城北大学で、緑川弘や神啓太郎と交流があり、その詳細は知らなかったにしても、人類の支配を目論む組織がある事についての話を、密かに聞いていたのである。
当然、それらに対抗する為に、仮面ライダーという象徴を創り上げようという事も、だ。
だからこそ、同じく強化改造人間の系列の身体を与えた筑波洋に、仮面ライダーの名前を授けたのである。
しかし、マヤが言う所の“最新型”は、この重力低減装置搭載型強化改造人間――所謂、
スカイライダー
では、ない。
ここから本当に長い回想が始まってしまいます……(鉄鬼側もあるし)。