二人の鬼   作:子藤貝

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第四十三話 鬼神事変④

気力を取り戻したネギは、すぐにでも救出に向かいたい衝動を抑えつつも、これからどう動くべきかを話し合うことに決める。

 

「現状、我々にとって最大の脅威はやはり……」

 

「姉さん、ですね……」

 

間違いなく、今回の戦いで最強の敵といえる。いや、そもそも戦いにすらないらないであろう相手というなら、それはもう敵ではなく災害に等しい。人が巨大過ぎる災害に対して無力なのと同義なのだ。

 

「魔法が通じないうえに、体術面で僕達が敵う相手ではない……」

 

「かーっ、そこまでどうしようもない相手やったんか」

 

「最善手は、やはり彼女と戦わないことでござるな」

 

敵わない相手なら、そもそも相手にする必要はない。今回の作戦でもっとも重要なのはこのかの奪還だ。鈴音やあの少年を倒すことではない。現状、こちらは人数で勝っている。それを最大限に活かしていくべきだろう。

 

「ふた手に別れるべきか。片方が奴らを抑え、もう一方が近衛を奪還する」

 

「しかし、ただ抑えようとするにはこちらも相応の血を流すことになりますが」

 

千雨が手勢を分けて事に当たるべきというが、ただ分けただけでは苦戦は免れないと進言する。正面から当たれば、間違いなく瞬殺されるのが落ちだ。

 

「ですが、こちらが持っている情報アドバンテージを鑑みても、分かれて行動するというのは有効に生かせると思います」

 

そう、のどかによってもたらされたフェイトが持っていた情報。これがこちらの切り札だ。内容によれば、向こうはあるものを復活させるために事にあたっているらしい。そして、それを復活させるためには千草の協力が必要なのだとも書かれていた。

 

「リョウメンスクナノカミ……まさかこんな大物を復活させようと画策していたとは……」

 

刹那が神妙な面持ちでポツリと零す。師である詠春から、この怪物のことは聞いていた。何年も前に封が破られ復活し、詠春とその仲間によって再び封じられたという。そして封じられてなお、現在も気脈の流れを乱しているのだと。

 

「そのために、近衛のでかい魔力が必要だった、か」

 

「巫山戯た話でござる、災厄を齎すためにいたいけな乙女を、それもつい先程まで魔法の存在さえ知らなかった者を利用しようなどと画策するとは」

 

裏にもある程度精通している楓は、裏にもルールというものが存在することを知っている。堅気にむやみに手を出すような輩は、それこそ爪弾きにされる。それは裏に生きる者の信用とメンツ、あるいは矜持を汚すような行為だからだ。それを平然と行う彼らに、楓は憤りを感じていた。

 

「……こうしてる間にも向こうの作戦は着々と進んでる。悩んでる時間はねぇぞ」

 

「……ですね。現状で言えば、やはりこれが最善手と考えるほかないでしょう」

 

不測の事態に備えるのは大切なことだ。しかし、それが意図せぬ時にやってくるからこそ不測なのだ。満足とはいえない準備であっても、それを受け入れ立ち向かうほかないのである。その場その場においての必要な手札が何かを考え、どう切るかを考えるのもまた、戦いの醍醐味といえよう。

 

「では、作戦を実行するにあたって、それぞれのチームメンバーを決めようと思います」

 

「チーム分けは、それぞれの役割に合わせて行うことにするぞ」

 

着々と、このかの救出に向けて準備を進めていくのであった。

 

 

 

 

 

時間は少し巻き戻る。小太郎がのどかを連れて命からがら逃げ切った直後のこと。

 

「ようやく会えたな……私の怨敵」

 

「……見違えたな、復讐者」

 

一方は憎悪の言葉を吐き、一方は賞賛の言葉を返す。互いに互いを意識し合い、その瞳には相手のみが写り込んでいる。

 

「……よくぞ、そこまで練り上げた」

 

「貴様らを葬り去る、その一心のためなら、耐え難き苦痛も泥の味も瑣末なことだったよ」

 

「……憎悪と怒りがお前を鍛えたか……」

 

普段の飄々とした態度など、どこにも感じられない真名の鬼気迫る裂帛の殺気は、鋭く鈴音へと向けられている。だが、それにもかかわらず当の鈴音はそんなものはどこ吹く風といった雰囲気だ。

 

(……近衛詠春程ではないが、今の僕ではまだ厳しい相手か……)

 

傍からそれを見ているフェイトは、冷静に彼我の戦力差を分析する。彼の所属する組織は、怪物蔓延る魔窟そのもの。故に自他の実力も測れないような無能では生き残れない。現在、彼は幹部候補まで上り詰めてはいるが、決してそれに驕りはしない。その程度では、いくら地位があってもあっという間に転落するのが落ちだと知っているから。

 

(改めて、幹部の方々がどれほど異常なのかが分かるな……)

 

冷や汗を流しながら、一人心のなかでそうごちる。彼がよく知る幹部メンバーは、目の前の自分でも引き分けにできるかさえわからない相手と比較してなお、上をいくだろう。それに輪をかけて凶悪な大幹部など、最早次元が違いすぎる。

 

そんな大幹部の一人である鈴音を相手にして、なお戦意を高揚させている真名を、フェイトは素直に評価している。自分であれば、果たして逃げ出すまでに何秒もつか。いや、ひょっとすれば足が竦んで動くことすらままならないかもしれない。それほどまでに、フェイトにとって鈴音は畏怖の対象なのだ。

 

「……フェイト。……これからの戦い、しかと目に刻みつけておけ」

 

「は……了解しました」

 

恐らく、彼女は自分の戦いを参考にしろと言っているのだろう。なにせ、世界最高峰の剣士の戦いだ。得るものも多いことだろう。フェイトは剣術は用いないが、体術面でも鈴音はトップクラスのものがある。最も、さすがに無手での格闘は近衛詠春を足止めしているであろうもう一人の大幹部に譲るだろうが。そんな彼女が相手では、あっという間に決着が着いてしまうであろうことをフェイトは予測していた。

 

だが、彼は鈴音の言葉の真意を履き違えていたことをすぐに思い知ることとなった。

 

「……先手は譲ろう」

 

「余裕のつもりか? 額に風穴が空いても文句をいうなよ」

 

鈴音の挑発じみた言葉に、軽口で返すと同時。

 

ダァン!

 

流れるような動作で、いつの間にか手に握っていた拳銃で鈴音へと銃弾を放った。しかし。

 

リィン

 

澄んだ鈴の音が響き渡る。同時に、彼女へ直進していたはずの弾丸が勢いを急速に失い、地面へと落下する。みれば、弾丸は滑らかな断面を晒し、真っ二つに切断されていることを暗に告げていた。

 

「え……?」

 

その一連の動きを見ていたフェイトは、思わずそんな声を漏らす。余りにも自然に放たれ、ただ目で追うだけしかなかった銃弾。そして、それを一連の所作を一切感じさせることなく、まるで鞘の内にて斬撃を放ったかの如き速さで弾丸を斬り捨てた見えざる刃。

 

「……児戯では私には勝てんぞ」

 

「試しただけさ、そっちが鈍っていないかとな」

 

少しだけ、眉根を寄せてそう言った鈴音に対し、はぐらかすかのような態度で返す真名。どちらも、まだそれ程に余裕があるということをひしひしと感じさせる光景であった。

 

(見誤っていた……龍宮真名は幹部に劣るレベルではない……間違いなく同等かそれ以上の実力者だ……!)

 

考えてみれば、相手は気を逸らしていたとはいえ鈴音を騙すレベルの隠形で弾丸を撃ち込んだ。そんな人物が、幹部に劣る程度であろうはずがないことは、分かりきっていたことではないか。フェイトは冷静に分析をしたつもりでいた己を恥じ、そして彼女の真意をようやく理解した。

 

(そうか……この戦いは間違いなく最上級クラスの戦い……ということか)

 

片一方のレベルが高くとも、相対する存在がそれについていけなければ戦いは成り立たない。そういうものは蹂躙といったほうが正しいだろう。だが、相手がそれに喰らいつける実力を有する場合、まさに極上の戦いとなる。

 

鈴音が戦いと形容してフェイトに言ったのは、龍宮真名が自分に追いすがれる実力を有していることを瞬時に見抜き、フェイトにこの戦いを通じて上位者の戦いを学ばせようとしていたからなのだ。

 

(……遠い)

 

余りにも、遠い。フェイトはそう感じていた。組織で研鑽を積む日々、一日とて妥協したことはないし、己の力に驕ったこともない。だが、それでも届かぬ境地というものが、確かに目の前に存在しているのだ。

 

(……だが、いずれ……!)

 

それでもなお、彼の向上心は萎んだりなどしない。むしろ、届かぬからこそ面白いとさえ思っていた。若き悪党は、さらなる高みを望む。それが、どれだけ果てしなくあろうとも。

 

 

 

 

 

銃を構える。トリッガーを引き、装填された弾丸を吐き出していく。それにしても驚くべきは、その速射能力。銃自体に何らかの特殊な改造が施されているのか、弾丸をまるでマシンガンのように射出していくその驚異的なスピード。そしてそれを実現する速射技術。双方が揃って初めてこれらが実現されている。

 

その恐ろしさは、まさに同時に数発が放たれたかのように錯覚する弾丸の猛進にある。マシンガンの如き連射と、それを精密に対象へと放つ技術力でまさしく弾幕を張っているのだ。音速を超えるスピードで肉体をえぐり食らう凶器が、面で攻め寄せてくることのなんと恐ろしいことか。

 

だが、それさえも彼女の前では通用しない。

 

「……村雨流、『五月雨』」

 

横殴りの刺突の雨が、弾幕へと襲いかかる。それらは寸分の狂いもなく弾丸へと到達し、衝突と同時にはじけ飛ぶ。なんてことはない、弾丸を連続の突きで弾いて飛ばしたのだ。

 

しかし、言うは易く行うは難し。実際にそんな超超高度な大道芸をこんな極限状態で行えば待っているのは普通は死だけだ。それを難なく行う鈴音の恐ろしさといったらない。

 

弾丸すべてを瞬時に刺突で払い落とすなど、最早人間業ではない。鬼と成り、果てまできてしまったものの末路こそ今の彼女だ。体は人間でも、魂はまさに鬼。人間としての限界さえ置き忘れてしまった。

 

弾丸と刃の衝突と同時、凄まじい金属音とともに火花が飛び散る。それも弾幕レベルで打ち込まれた弾丸を全て鋼の刃で弾いたため、尋常ではない量の光が視界を覆った。真名はその隙を突いて一気に鈴音へと肉薄し、腹部めがけて蹴りを放つ。

 

「ちっ!」

 

「……甘い」

 

だが、視界を奪われてなお感覚で彼女の蹴りを感知した鈴音は左の手でその蹴りを掴んでいた。足を掴まれ不安定になった彼女に、鈴音は容赦なく返す刃で袈裟斬りを放つ。真名は左手に握っていた銃から迫り来る弾丸へと弾丸を数発打ち込み、それらは正確に刃に沿って整列した形で激突する。

 

真名を斬ろうとしていたため、弾丸に対して刃筋を立てることができず刃は数瞬その動きを狂わされる。その僅かな猶予を利用して真名は鈴音の左手のひらを足場代わりにして必殺の間合いから離脱する。

 

「……逃げたつもりか」

 

だが、彼女の間合いは剣士のそれとしては圧倒的なまでに広い。それは偏に、彼女の流派である村雨流の『朧瞬動』が理由だ。あまりの速さで朧月夜の如く影を残し、月が出ると闇夜に掻き消えるようにその姿を晦ます。今度は、彼女が真名へと肉薄した。

 

「近づいてきてくれて感謝するよ」

 

真名は、向かってきた鈴音へと自ら突貫した。横薙ぎの一線を背を屈めながら躱し、そのまま一気に彼女の懐へと潜り込む。剣士にとって、超接近のインファイトは最悪の間合いだ。ゼロ距離故に剣を目前の敵へと振るうことができない。真名はそのまま銃口を彼女の額へと照準を合わせるが、鈴音はそれを膝蹴りによって跳ね上げる。結果、銃弾は数瞬遅れて上空へと飛び去った。

 

鈴音は更に彼女の襟首を掴み上げると、そのまま背負投げのようにして投げ飛ばした。対する真名もそれに慌てることもなく、空中で姿勢を変えると振り向きざまに弾丸を見舞う。

 

無論、鈴音にはその程度は通じず弾き落とされる。今の弾丸は、わざと弾かせて動きに制限をかけ、着地を狙われないようにしたものだった。結果、彼女の地面への帰還は安全に実行されたのである。

 

(……すごい)

 

肉体のごとく刃を操る鈴音も、それについていける技量を発揮した真名も。特に真名は、敵ながらその格闘技術と拳銃操作技術を高いレベルで融合させている。その戦闘技法にフェイトも思わず目を見張ったほどだ。

 

(拳銃で、鈴音さん相手にあそこまで戦えるとは……)

 

銃は剣と違って誰でも扱えて殺傷能力が高い代わりに、それを操る技術面では未熟な武器だ。剣よりも歴史が浅いのもその一因である。故に、ある一定以上のレベルまでいくと、拳銃は剣に封殺されてしまう。

 

だからこそ、そんな銃でここまでの戦いを繰り広げる真名は並みのガンナーではないことが分かる。一体、どれほどの研鑽を積めばこの領域へとたどり着けるというのか。

 

「……流石だ」

 

「ちっ、脳天をぶち抜いてやるつもりだったんだがな」

 

鈴音の賞賛の言葉も、真名にとっては鬱陶しいだけだ。なにせ、相手は彼女が己の全てを賭けて殺すと誓った仇敵。そこに情も、敬意も挟む余地などない。

 

鈴音はちらりと千草の方を見やると。

 

「……天ヶ崎千草。……近衛木乃香を連れて先にいけ」

 

今まで黙して状況を見守っていた千草は、いきなりのことに暫し呆然としていたがすぐに意識を戻すと、鈴音へと問い返す。

 

「あ、あんたはどうするんや……?」

 

「……私はこいつの相手をする。フェイトを連れて先にいけ」

 

千草からの質問に、あっさりとそう答える鈴音。そして予想していた返答と、予想外の

追加の言葉に千草は驚愕した。

 

「ちょ、うちはどないやって身を守れ言うんや! フェイトはんが強いとはいえ、うちは戦闘は門外漢ですえ!?」

 

彼女は優秀な善鬼・護鬼を有している上位の陰陽師ではあるが、彼女自身にはそこまで戦闘能力はない。だからこそ月詠のような神鳴流剣士や、小太郎のような戦闘専門の仲間を連れていたのだ。

 

だが、今この場には鈴音とフェイトしかいない。月詠は詠春の足止めをしているし、小太郎は何故かわからないがこちらを裏切った。それでも実力十分なこの二人と共に行動すれば安全だと考えていた彼女は非常に面食らった。

 

いくらフェイトが強いとはいえ、関西呪術協会本部の異変に気づいた者が大挙すれば、さすがに厳しくなるだろう。京都の守護に出払っているだけで、上級陰陽師や神鳴流剣士などの実力者はまだ少なからず残っているのだ。だからこそ、慎重に動いていたというのもある。

 

「……月詠から先ほど連絡があった。間もなく転移魔法符を用いてこちらに着く」

 

「つ、月詠が? ってちょい待ち、月詠がおらへんなら長の抑えは誰がやるんや!?」

 

月詠がこちらに来てくれることに安堵を覚えると同時に、抑えを担っていた月詠の離脱後、詠春をどうするのかという不安が鎌首をもたげる。が、それは杞憂で終わった。

 

「……私のもう一人の仲間と交代でこちらに来る、だから大丈夫」

 

「だ、大丈夫て……」

 

「……もう一人の抑えは、私が最も信頼している人物。……実力も、私と互角」

 

「ご、互角ぅ!?」

 

まさか彼女のような怪物級の存在がもう一人いたと露も思わず、驚愕の声を上げる。だが、それはつまり詠春を抑えておくには最適な人材であるとも思い至り、一応の納得とした。

 

「ほんなら、うちは一足先に祭壇に向かいますえ!」

 

そう言うと、彼女は猿鬼を呼び出して木乃香を抱えさせ、自身は猿鬼の肩に乗った。そしてそのまま走り去ろうとしたが。

 

「逃すと思うか?」

 

彼女が背を向けた途端に銃声が鳴り響いた。それも一発ではなく数発も。思わず千草は顔を後ろへと向けるが、その目に映ったのは大きく映った鈍い光を放つ幾つもの礫。万事休すかと思ったその時。

 

「……邪魔をするな」

 

一瞬の内に視界が暗く覆われる。余りにも刹那の出来事に固まってしまったが、よく見れば先ほどまで別の場所に立っていたはずの、鈴音の艶やかな紫の着物がそこにあった。そして、足元には先ほど迫っていたのであろう弾丸が細切れになって落ちていた。

 

「……私は彼女を抑えておく、早く行け」

 

「お、おおきに!」

 

猿鬼に全力疾走するよう指示し、森の奥へと消えていく千草。そんな彼女を、これ以上追撃しようともせず真名は鈴音をただ見据える。

 

「……この先には行かせない」

 

「構わんさ、私にとっては貴様を殺すことが最重要だ」

 

闇夜の狂宴は、未だその終わりを見せない。

 

 

 

 

 

「ふむ、ここまで一切の妨害がないとは……」

 

「妙だな……」

 

作戦会議を終え、木乃香の救出作戦に乗り出した一行は、犬上小太郎の先導のもと、暗闇の森のなかを疾走していたが、相手からの妨害行為が一切ないことに不気味さを覚えていた。

 

「私達相手じゃ妨害も必要ないって舐められてるのか?」

 

楓の背に負ぶさりながら、千雨はそんな意見を述べる。彼女は身体能力は一般人以下なので、彼女らについていくにはこの方法しかないのである。最初は負ぶさることを酷くためらったが、時間がないこともあり、楓が強引に背負って走り始めてしまったため、最早諦めてしまっている。

 

「或いは、本部が既に壊滅状態である今、私達が追ってくる事自体想定していないのやもしれません」

 

千雨の意見に、刹那がそんな風に返す。最大戦力である長の消失、そして壊滅した関西呪術協会。こんな状況で、一般人ではないとはいえまだ中学生でしかない彼女らが、木乃香を取り返そうなんて意気込んでくるとは考えないだろうと。

 

「いえ、それはありえません。僕と千雨さんは奴らから英雄候補と目されてる身です」

 

「その程度で諦めるんなら、さっき対峙した時に殺されてるだろうよ」

 

だが、それはありえないと千雨とネギが言う。彼女らの存在がそれを否定する材料だからだ。自らの利のために、平気で他人を振り回すような輩がその程度を想定しないはずがない。

 

「……恐らく、僕達は試されているんだと思います」

 

「試されている?」

 

「この状況を私らの試金石にしてるんだろうよ、ふざけやがって……」

 

曰く、木乃香を誘拐した事自体には、リョウメンスクナ復活という意味もあるのだろうが、同時に彼女を奪還するためにどれだけ動けるのかも見ているのではないか、というのが千雨の予測だった。

 

「では、我々は奴らの遊びに付き合わされているのでござるか」

 

「恐らくは」

 

なんとも巫山戯た話である。こちらは大事なクラスメイト、特に刹那にとっては大切な親友を誘拐されるという一大事だというのに、向こうにとってはそれも片手間に行う遊戯かもしれないというのだ。

 

「姉さん……」

 

その予測が、刹那の胸に突き刺さる。彼女にとっては、暗い闇から自分を掬い上げてくれた敬愛する家族だった人物だ。そんな人が、親友を遊び半分で攫ったかもしれないという。彼女からしてみれば、これほど複雑なこともないだろう。

 

「……む」

 

「どうしやした、楓の姐さん?」

 

突如歩を止めた楓に、アルベールが尋ねる。訝しげなその表情は、何かが引っかかっているといった風だ。

 

「……この先に、何やら人の気配がするでござるな」

 

「奴らか?」

 

「や、そこまではなんとも……ただ、対象は二人ほどのように見えるでござる」

 

「さすがだな、楓。私でも意識しなければ分からなかったぞ」

 

「俺の鼻でも匂いが分からんかったわ。多分、俺に嗅ぎ分けられんよう対策しとるな……」

 

楓の鋭敏な索敵能力が、数十メートル先の何者かの気配を察知したらしい。相手はどうも隠形を用いていたため刹那でも殆ど感知できなかったようだが、楓には通用しない。

 

「罠かもしれん……」

 

「でも、僕達には余り猶予がありません。行くしかないでしょう」

 

たとえ罠であっても、ここで躊躇っている時間はない。意を決して、一行は気配のあった場所へと直行した。そこにいたのは。

 

「んな!?」

 

「…………」

 

「天ヶ崎千草っ!」

 

「もう一人は確か、フェイトでござったか?」

 

鈴音と別れ、祭壇へと向かう途中であった千草とフェイトであった。

 

「っ、お嬢様!」

 

みれば、猿の善鬼が抱えているのは、救出対象である木乃香であった。そして、今まで気絶したままであった木乃香が、刹那の呼びかけによって突如目を覚ます。

 

「ん……?」

 

「ちいっ、目を覚ましてもうたか!」

 

「んうっ!?」

 

だが、口元に貼られている呪符のせいで声を上げることさえできない。じたばたと暴れようとするが、手足も札で縛られており、猿鬼にガッチリと掴まれているため抜け出せそうもない。

 

「天ヶ崎千草、お嬢様を返してもらうぞ!」

 

「数の利はこちらにあるでござる。いかにそちらの少年が強者であろうと、取り返すのに苦はないでござるよ」

 

「ハン、大人しくハイそうですかと返すわけないやろ! オンキリキリヴァジャラウーンハッタ!」

 

そう言うと、千草は呪文を唱えだす。すると、木乃香の体が淡く発光し始め、悩ましげに体を強ばらせて身悶えする。そして、川面や地面のあちこちからも光が溢れ出す。

 

「んんー!?」

 

「お嬢様! 貴様、何をする気だ!?」

 

「お嬢様のお力の一端を、お借りするだけですえ。それ、いでよ!」

 

呪文を唱え終わると同時に、あちらこちらから異形の存在が顕現する。それらは鬼と呼ばれる存在や、烏族、あるいは中・上位の妖怪であった。

 

「あいつらの相手をしいや」

 

「あいよ」

 

最も強大な覇気をもつ鬼へネギ達の相手をするように命令し、鬼は短く応える。

 

「せいぜい指くわえてよし」

 

そう言って、猿鬼と共に逃げ去っていく。

 

「くっ、待て!」

 

「おおっと! あんたらの相手は俺達や!」

 

追いかけようとする刹那であったが、鬼の一人が手に持った棍棒を振り下ろして叩きつける。咄嗟に刹那は後ろに飛んでかわすが、既に千草の姿はなかった。

 

「……立ち直ったか」

 

「……?」

 

一方、ネギは先ほどからこちらを見つめているフェイトと目を合わせたままであった。その鋭い瞳には、何が宿っているのかもわからない不気味さがあると同時に、何かを感じさせるものがあった。

 

やがて、フェイトは視線を切ると千草の向かっていった方向へと走り去っていった。

 

「さて、どうすっかねぇ……」

 

冷や汗を流しながら、千雨はこの状況を打開する方法を模索していた。だが、数は圧倒的にこちらが不利。おまけに、何匹かはかなりやる奴がいそうだ。

 

「ぬう、久方ぶりに呼び出されたっちゅうに、相手はこんなかいらしいおなごかいな」

 

「ま、命令されたんやししゃあないわ。嬢ちゃんら、恨むんなら恨んで構わんで」

 

そう言って、ネギ達へと手を伸ばそうとしたその時。

 

「ラス・テル・マ・スキル・マギステル、逆巻け春の嵐、我らに加護を!」

 

「ぬうっ!?」

 

ネギが呪文を唱えだす。思わず、鬼は何かされるのではと思い手を引っ込めてしまう。

 

「『風花旋風 風障壁』!」

 

だが、それこそがネギにとって思う壺であった。魔法が完成すると同時、彼らを中心に巨大な竜巻が地面から立ち上ったのだ。

 

「しまったぁ!?」

 

竜巻は凄まじい勢いでうねっている。これでは、手出しをすることもできない。

 

「落ち着け、どうせこんなでかい竜巻、そう長くはもたんて」

 

だが、鬼の大将格は冷静にそう分析して鬼をなだめる。一方、渦の中心ではネギ達が作戦について話し合っていた。

 

「ネギ坊主、この竜巻は後どれぐらいもつでござるか?」

 

「残念ながらもって数分です。ですが、その間に作戦の変更について話し合うぐらいはできるはずです」

 

当初の予定では、刹那と楓によって鈴音を、小太郎でフェイトを抑えこむ予定だった。そして隙を見てネギが木乃香を奪還するつもりだったが、大幅に当てが外れてしまった。

 

だが、悪いことばかりではない。何故かは分からないが、明山寺鈴音は一緒に行動していなかった。待ち構えている可能性はゼロではないが、千草やフェイトの様子からこれからリョウメンスクナのところへ向かうつもりであろうことは分かった。ならば、鈴音は何らかの理由で別行動をしている可能性が高い。

 

「問題は、ここをどう抜けるかだが……」

 

「なら、俺が引き受けたる」

 

「小太郎君! でも、いくら君でもこの数は……」

 

「ならば拙者も残ろう。何、刹那と先生、それに千雨殿がいれば奪還は十分可能なはず」

 

「決まりだな、あまり時間をかけてるわけにもいかねぇ」

 

短いながら、なんとか作戦会議を終える。竜巻もあと少しで解けてしまうだろう。

 

「魔法が消えたと同時に、僕が『雷の暴風』を叩き込みます。その隙に、脱出しましょう」

 

「ネギ、しっかりお嬢様を助けてこいよ。んで、無事に戻ってきてくれ。そうでないと俺は読心師の姉ちゃんに顔向けできひん」

 

「うん、分かった!」

 

上空から、徐々に竜巻が解けて消えていく。それに合わせ、ネギは呪文を詠唱していく。

 

「タイミングをあわせて行くぜ。1、2……」

 

「おっ、ようやく見え……」

 

「3っ!」

 

「『雷の暴風』!」

 

極大の魔法が射出される。様子をうかがおうと何十匹もの鬼が正面の方へと集まっていたため、哀れにも直撃に巻き込まれて吹き飛んでいく。そして、ネギと千雨は杖による飛行術で、刹那は自らの足で一気に駆け抜けて去っていった。

 

「ちくしょう、追え! 追うんや! ぐへあっ!?」

 

相手を追うように指示する鬼を、小太郎は容赦なく蹴り飛ばして送り返す。

 

「さ、やろうやないか!」

 

「拙者たちが相手でござるよ!」

 

「生意気な……いてこましたれ!」

 

「「「応!」」」

 

妖怪変化が、一息に楓と小太郎へと殺到した。

 

 

 

 

 

囲いを脱出したネギ達は、真っ直ぐにリョウメンスクナが封じられている場所へと向かっていた。

 

「小太郎くんと楓さん、大丈夫かな……」

 

未だ一抹の不安を拭いきれずにいるネギ。二人共ネギよりも強いのは重々承知だが、それでもあの数の妖怪を相手にするのは相当に苦労するはずだ。いわば、ネギは二人をお取りにして逃げたようにも見える。それを気に病んでいるのだ。そんな彼を、千雨と刹那が宥める。

 

「心配すんな、あの二人がそうそうやられるタマじゃねぇことぐらい先生もわかってるだろ」

 

「ええ、楓とはよく手合わせをすることもありましたし、実力は我々の中でもトップクラスでしょう。犬上小太郎も、単純な戦闘ではかなりできます。早々遅れなど取らないはず」

 

暗い面持ちであったネギも、二人の言葉で段々と意気を取り戻してきた。

 

「そう、ですか。いや、そうですよね。楓さんはとても頼りになる人ですし、小太郎くんとは実際に戦ったから分かります。あの二人なら、大丈夫でしょう」

 

決戦を前にして、うだうだと悩んでもしかたがないとネギは割り切り、意識を切り替える。

 

「救出への道は、私が強引にでも切り開きます。お嬢様のこと、よろしくお願いしますね」

 

「先生はまず、目の前のことに集中してりゃいいさ。私は戦いには参加できないが、多少知恵を貸すぐらいならできるかもしれんしな」

 

「オレっちだっていやすぜ!」

 

頼もしき仲間の激励をうけ、ネギは決意を改めて先へと進む。待ち受けているであろう激戦に思いを馳せて。

 

 

 

 

 

千草とフェイトは、リョウメンスクナが封じられている湖のほとりへとやってきていた。祭壇には再度眠らせた木乃香を寝かせ、封印を解除する術の準備にかかっている。

 

「ようやく、ようやく東の奴らに……思い知らせてやることができる!」

 

「……千草さん、早めに片づけてしまおう。彼らがこっちにくる可能性もある」

 

「……あの数をくぐり抜けるんは至難やと思うけど……そやな、さっさと初めてまいまひょ」

 

準備を滞り無く済ませ、祭壇の前へと向き直る。

 

「イジャヤ」

 

始まりの呪文を唱えると、先程と同様に木乃香を淡い光が包む。そして、眠りながらも木乃香は声を漏らし、体を捩らせる。

 

(……長かった、ここまでくるのに)

 

呪文を唱えながら、千草は己が復讐を誓った道筋を思い出す――。

 

 

 

幼いころ。陰陽師として名うての実力者であった両親に育てられ、幸せな日々を過ごした。ぶっきらぼうながら優しさを持った父。柔和で温厚、しかし芯のある女性であった母。共に、大好きな人であった。

 

だが、今から20年前。突如彼女は両親を失った。両親は彼女の前から姿を消したのだ。いなくなる直前に預けられた祖父母の家は、決して苦ではなく祖父母も優しく接してくれた。

 

だが、やはり彼女にとって両親はそれに優る存在であった。だからこそ、親がいつまで経っても帰ってこないことに不安を覚え、毎夜涙で枕を濡らした。祖父母がいながら、言い知れぬ孤独と悲しみで胸がいっぱいの日々。

 

そして、決定的であったのはやはり。

 

『父さんと母さんが、死んだ……?』

 

半年が経ち、最早限界に近かった千草は、祖父母から知らされた突然の言葉に困惑した。死ぬとはどういうことだ、両親は一体どうしてしまったのだ。幼い彼女には理解できなかった。父と母に会うことはできないのかと尋ねれば、気の毒そうな顔で祖父が首を縦に振るだけ。

 

そしてようやく理解した。父にも、母にも。もう会うことはできないのだと。どうして、何故。胸には両親に会えないことへの悲しみ、理不尽への怒り。そしてひとつの疑問が残った。

 

『どうして……』

 

一体何があったというのか。彼女は成長するに連れ、それを調べようとし始めた。だが、大人に尋ねても嫌な顔をされて口を閉ざすばかり。自分は親に捨てられたのか、そんな風にさえ思い始めていた彼女を見かねた祖父母によって、ようやく何があったのかがわかった。

 

『戦争……?』

 

魔法世界(ムンドゥス・マギクス)』と呼ばれる別世界で勃発した戦争。それに参加するために多くの呪術師や陰陽師が連れて行かれたのだという。そして、その中には父と母もいたのだと。

 

原因は、関東魔法協会にあった。関東魔法協会は、その『魔法世界』にある本国との繋がりがあり、戦争によって消耗した人員を補填するために関東呪術協会に命じていた。そして、関東魔法協会は、あろうことか無関係の関西呪術協会を脅して呪術師らを連れて行ったというのだ。

 

『……許せない……』

 

両親の失踪の真相を知った彼女が抱いたのは、憎悪であった。穏やかに過ごしていた家族を、無理矢理に引き裂いて連れて行った関東魔法協会を、許せなかった。

 

『いつか絶対……報いを受けさせたる……!』

 

祖父母に頼み込んで、自分を陰陽師として育ててくれることとなった。父も母も、その道では中々に秀でた人物であり、その娘である彼女も、やはり相当に筋がよく、どんどんと教えられたことを吸収していった。

 

憎悪は彼女に執念を与えた。力をつけた彼女は、更なる飛躍を求めて祖父母のつてを使って関西呪術協会の門扉を叩き、その一員となった。実力の伴った彼女は次々と功績を上げ、協会の中でも一目置かれるようになった。

 

そして彼女は、いつの間にか上級陰陽師の中でも高いネームバリューを有する存在となっていた。そんな彼女に、関西呪術協会は相応の地位を与え、彼女が求めるものを与えた。そして、ようやく彼女は見つけ出したのだ。関東へと復讐を果たす方法を。

 

『リョウメンスクナノカミ……』

 

大昔、カミの一柱として崇められていた強大な存在。古の術師によって暴れているところを封じられたらしいが、今もその存在は生きているのだという。

 

彼女はリョウメンスクナを復活させる方法を模索した。そして、数年をかけてそれを発見し、実行に移した。だが、その時は復活をさせることはできても、制御することまではできず、暴れまわるリョウメンスクナを関西呪術協会の長である近衛詠春とその仲間によって再封印されてしまった。

 

しかも、彼女は封印を解いたのではないかと疑われた。幸い、万が一にもバレることが無いよう立ちまわったおかげで犯人とされることはなかったが、中央からは退けられてしまった。

 

 

 

――そして今回。京都の片隅で燻っていた彼女は、フェイトらの協力を得て再び、あのリョウメンスクナを復活させようと画策したのだ。リョウメンスクナは、強大な魔力さえあれば制御できることを明らかにしていた彼女は、長の娘である木乃香に注目していた。

 

そして、修学旅行という最初で最後の好機。これを逃すまいと、彼女は自らが誘拐を狙っていることがバレることも恐れずに実行に移した。中央から遠ざかっていたおかげで失うものなどないと思っていたのもあるだろう。

 

「さあ、復活するんや……リョウメンスクナノカミ!」

 

最後のじゅもんを唱え終え、彼女が両手を広げると同時。湖の中心にあった巨大な大岩が、突如ひび割れた。そして、どんどんとその形を変え、次第にその姿を露わにしていく。

 

『グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!』

 

雄叫びが、闇夜に響き渡る。およそ二尺、約60mはあろうかという巨躯に、二面四臂の姿。二対の双眸は禍々しく光り、今にも暴れだそうかとしている。

 

「やった……これで……!」

 

リョウメンスクナの復活を見届け、彼女は確信する。これで、関東魔法協会への復讐を果たすことができると。

 

だが。

 

「ご苦労様、千草さん」

 

「かはっ」

 

突如、今まで黙したまま動かなかったフェイトが、背後から彼女を貫いたのだ。腹から突然に生えた石柱に驚愕しながら、なんとか首を背後へと振り向かせてみれば、そこには無表情のフェイトがいた。

 

「これで、僕達の目的は達した」

 

「どういう、ことや……」

 

「何、君をそそのかしてリョウメンスクナノカミを復活させることが僕らの目的だっただけさ。スクナが復活した今、君はもう用済みだ」

 

驚愕で目を見開く。そして、腹から熱いものがこみ上げてきて吐き出した。赤黒い血がぼたぼたと地面へ落ち、染みをつくる。

 

「うちが、おらんと……スクナの制御は……」

 

「ああ、勘違いしているみたいだけど、僕たちはスクナなんて欲してない。むしろ、これを暴れさせることが目的なんだ」

 

「な、ん……」

 

「京都で暴れまわるように仕向ける、といえば分かりやすいかい?」

 

その言葉に、千草は急激に顔を青白くさせる。出血のせいもあるだろうが、なによりフェイトの言葉の恐ろしさからきたものであった。彼らは、両親との思い出が残るこの京都を、故郷を火の海に変える気だというのだ。恐らく、それによって関西呪術協会をガタガタにし、あわよくば壊滅させてやろうと画策しているのだろう。

 

「ふ、ざけ……誰が、そん、な……!」

 

「ああ、そうそう」

 

彼女の怒りもどこ吹く風といった様子のフェイトは、更に驚愕の言葉を零す。

 

「君の両親が死んだ戦争。あれは、僕達の組織も関わってるんだ」

 

「……え」

 

「正確には別の組織が黒幕だけど、僕所属してる組織の人が戦争中に殺した者の中には、関西呪術協会の人間も結構いたって聞いたよ。それから、僕達の組織は関東魔法協会の本国、メガロメセンブリア連合とも関わりがある。謂わば、君は復讐対象の親玉が計画していたものの片棒を担いだわけだ」

 

それは、まさに青天の霹靂であった。自分の両親が死ぬ大本となった組織、その手先がこんなにも近くにいて、そして自分はその手助けをしていたというのだから。

 

「……して……やる……殺じでや゛る゛……!」

 

悔しさと怒り、己の不甲斐なさ。様々な感情が入り乱れて涙が零れ落ちる。精一杯の怨嗟の言葉を吐くが、しかし何もできず相手は涼しい顔だ。そればかりか、藻掻いたせいで石柱が半ばから折れ、大怪我を負った彼女は体に力が入らず、重力のままに倒れこむ。

 

『父さ……ん、か、あさ……』

 

薄れ行く意識の中、最後に思い浮かべたのは、あの懐かしき日々の両親の顔であった。


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