どうも、あるです。
pixivで投稿しているSAOクロスをこのサイトにも載せたいと思い、投稿させてもらいます。
感想や、アトバイスなどいただけたら嬉しい限りです。
今日も俺はアラサーの鉄拳制裁を喰らい、部室に足を運んでいた。
つかなんだよあの威力、人間じゃねぇ。あの人見た目美人なんだからそういうとこ無くせば結婚できると思うが。
そんなこんなで部室に到着。扉を開くとそこには一枚の絵のような絶世の美少……
「……気持ち悪い」
女じゃなかった、氷の女王こと雪ノ下雪乃がいた。いやまぁ美少女なんですけども、認めますよはい。
「入ってきていきなり悪口とかやめてくれる? 泣くよ、俺」
本当に、泣いていいかな。何もしてないよね僕。と言っても冗談って分かるから泣かないんだけどね、テヘ。
やべ、気持ち悪いな。うん。やめよう。
「ふふ、冗談よ」
時折こいつは俺や由比ヶ浜に対して自然な笑みを見せるようになってきた。雪ノ下も少しずつ変わってきているのか。そう思うと俺も自然と笑顔になれた。
そう思いながらいつもの定位置に椅子を出して座ると同時に扉の方からアホっぽい挨拶が教室に響く。
「ゆきのん、ヒッキー、やっはろ〜!」
「こんにちは、由比ヶ浜さん」
「おう」
相変わらずビッチっぽい身だしなみだな。まぁその豊かな二つの山はいいと思います。べ、別に大きいのが好きってわけじゃないんだからねっ!
冗談はさておき由比ヶ浜もいつもの席に着く。
そこからはもう自分の世界。雪ノ下はひたすら読書。由比ヶ浜はひたすら携帯。……たまにチラチラ見てくるのやめてもらえます?勘違いしちゃうから。
俺は読書か勉強だな。え? 聞いてないって? あぁ、トラウマが蘇る。
でも俺はこの時間が、この場所が、嫌いじゃない。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「てかさっきヒッキー女の子に話しかけられてたよね!」
おいなんでそれを知っている。待て雪ノ下、携帯を構えるな。とりあえず二人とも睨むな、怖いから。超怖いから。あと怖い。
「いやあれだよ、何か渡したいものあるとか言われて貰ったんだよ」
「ほえ〜、何貰ったの? てかそれ本当にヒッキー宛てなの?」
止めて、ちゃんと俺宛てだよね? そうじゃなかったら人間不信になりそう。明日になって教室に入るといきなり黒板にナルガ谷とか書いてないよね?大丈夫だよね?
「クッキーだよ、クッキー。まぁ俺宛てかはわからんが多分俺だろ。誰かに渡してとか言われなかったし」
「ふーん、最近目の腐り具合が無くなってきたからかな? 何か普通にイケメンでちょっと複雑」
え、本当に?あの超絶腐った目が治ってきてんの?やだ嬉しい。待てよ、もしこれでイケメンになったら周りに人だかりが出来て葉山2になったりして。あれじゃん、超迷惑。神様元に戻して。 ……ないわ、ないな。
「まじかよ、これで俺もモテモテの仲間入りか……」
「えっ、ダメだよ! ヒッキーは私のヒッキ……てうわぁぁああ、何もない、なんもないからぁ! ヒッキーマジきもい」
これ完全に被害者だよね?ヒッキーマジ泣きそう。
「落ち着いて由比ヶ浜さん。この男が入部してきたときの依頼が解決しそうでよかったじゃない」
「何、お前は俺にいなくなって欲しいの?」
「別にそうとは言ってないわ、でもいなくなったらきっと寂しいわ、きっとね」
おぉふ…。雪ノ下がデレた。ちょっとときめいたじゃねーか、ときめきメモリアルしちゃうよ俺。ヒッキーがユッキーに恋しちゃうぞ。
「茶番はここまでにして、今日は終わりましょう。鍵を渡してくるから2人は先帰ってて」
茶番だったのかよ。少し残念だよおい。
俺は由比ヶ浜と雪ノ下に別れを告げると足早に駐輪場に向かった。
自転車で帰路を走ると風が当たり気持ちいい。そういえば今日はSAOの製品版が発売だったな。予約しておいてよかった。もう届いてるかなと俺は胸を躍らせながらペダルを強く漕ぎ出した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
家に着くと小町による愛のある一言でテンションが上がった。まぁおかえりって言ってもらっただけなんだけどね。
自室に行き、制服から部屋着に着替えると、ベットの横にある白い箱を開ける。中にはヘルメット、通称ナーヴギアと説明書と手書きのお礼の言葉が入っていた。
説明書の方を見るとナーヴギアを被ってからの動作とβテスターは初期装備とお金がちょっと豪華になっていると書かれていた。
「βテスターねぇ、SAO内で絶対なんか言われるよ」
俺はβテスターだ。何故かと言うと最近のゲームはほとんどクリアしてしまい、暇になってぶらぶら散歩していた時、SAOβテスター募集のチラシを見て、挿入絵には草原やお城などが書かれていて、衝撃だったのが仮想世界に行ってみませんか?の言葉。俺はそれを見たとき面白半分で送ってしまったところ見事に当選した。
あの時はマジでベットの上で暴れまわったね。そのあと小町にフルボッコに罵倒されたけど。そのあと枕を濡らしました。
やってみるとゲームはゲームでも遊びじゃなく本当に凄かった。近頃有名な茅場晶彦さんが作った仮想世界では夢にまで見た自分がドラ○エの主人公のような感覚。ものすごい震えました。嬉しすぎて嬉しすぎて震えるってことあるんだね。
製品版が発売って聞いた時は光を超えるスピードで予約しました。高かったけど。一年のお小遣い全部はたいて買ったけど。
「あいつも今頃やってるかな」
β版で出会った友達……というか、フレンド。お互いぼっちで意気投合してしまった。柄にもなく本当に柄にもなく友達と呼ぶ響きに嬉しさを覚えてしまい、少し恥ずかしかったのを覚えている。
ナーヴギアを被ると書かれていた動作を行いコンセントを挿す。
ベットに寝転がってエアコンで適切な温度を保つ。
準備万端、では
「リンクスタート」
吸い込まれるような感覚に陥り意識を失った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
意識が覚醒するとそこは見覚えのある街だった。初期設定を済ました俺はβ版の時の記憶と重ね合わせる。
ふむ、だいたい思い出してきた。少し歩くと右手を振りかざしてウインドウを開くとマッピングをし、草原のある方へ走り出す。
「相変わらず、すげぇな」
目の前には延々と広がる大草原。大草原不可避ってのはこの事かな?
草原に足を踏み入れるとすぐに牛型のモンスターが現れた。モンスターは俺を見ると突進してくる。
俺はそれに合わせ剣を抜き、一瞬溜める。なんとなくのタイミングで撃つような感覚で剣を振るうと一撃で倒した。
牛はガラスが割れた音と共に無数のポリゴンが散らばり消えていった。
ドロップしたアイテムがストレージに追加されていく。
「この溜める感覚がいいな、いかにも技使ってますよ感満載」
「それ分かる」
不意に後ろから声をかけられる。すぐに振り向きざまに後ろへ飛んで武器を構えるがそこにはあの顔。
「よおプロぼっち」
「よお未熟ぼっち」
俺はこいつを知っている。そしてこいつも俺を知っている。知ってるよね?間違ってないよね?
HPゲージの横を見るとそこには《kirito》と表示されており安心する。よかった、これで違ってたら今すぐログアウトしてるレベル。
「久しぶりだなキリト」
「おう、ハチ。そうそう後ろにいるこの人はクラインって言ってちょっと戦闘の仕方をレクチャーしてたんだ、お前も一緒にやろうぜ」
相変わらずお人好しだな、マジでなんでこういう性格のこいつがぼっちやってんのか不思議だわ。あれだろ、どうせ葉山みたいにイケメン君なんだろ、爆発しろよ。
「あぁ、いいけどステ振りするから少し待ってくれ」
分かったとだけ聞こえるとメニューを表示させステ振りの画面にする。
基本的に俺はAGIにほとんど振って余ったのをSTRに振っている。
「終わったし行くか」
「自己紹介遅れたけど俺はクラインってんだ、よろしく。ハチも見たところβテスターだろ? いろいろ教えてくれよな!」
あれ、俺って何で名前ハチにしたんだっけ。