リアル?モンスターハンター 異世界に飛んだ男の帰宅物語?   作:刀馬鹿

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頑張れ! 刀馬鹿ちゃん!


はい頑張ります!!!!!


一人頑張るちゃんで……僕は頑張る……頑張るよ……





頑張れ! 刀馬鹿ちゃん!

 

 

はい頑張ります!!!!!

 

 

一人頑張るちゃんで……僕は頑張る……頑張るよ……

 

~リオス~

 

 

風が……吹き荒れていた。

 

私が生まれ、そして育ってきたこの自然豊かなユクモ村は……今暗雲に立ちこめられ、その豊かな自然は見ることすら叶わず、その自然が……我々に猛威となって襲いかかってきていた。

 

 

……何という嵐だ

 

 

ジンヤ君に残って欲しいとリーメから伝言を頼まれてそれを聞いたとき、言われるまでもないと思っていた。

ここは私の故郷。

いや、それは私だけでなく、ユクモ村に住むほとんどの人間がそうだった。

そのため、私は有志を募り、この嵐の中避難せずに、残っていた。

 

 

私にも何かが出来ると信じて……

 

 

だが、何が出来るのか……私にはわからなかった。

ただ何かをせねばならない……そういう感情だけが急いてしまって、私の心を焦がした。

 

 

 

 

~刃夜~

 

 

始まり……そしてその最初の一撃で……圧倒された。

 

 

ゴバッ!

 

 

敵の口から放たれた強烈な、まるで巨大な川が氾濫した濁流を、そのまま収束したかのような猛烈な水のブレス。

それをどうにか龍刀【朧火】の力で防ぐが……そのまま押し切られ、俺が騎乗しているムーナごと、遙か後方へと吹き飛ばされた。

 

 

「ぐぉぉぉぉぉぉ!?」

 

「クォォォォォ!?」

 

 

俺とムーナの悲鳴が辺りの空気を振るわせる。

だがこの暴風が吹き荒れる中では、まるで海の中に一滴のしずくを落としたかのような……その程度の悲鳴でしかないだろう。

 

 

「ぐ!? ムーナ! 何とか態勢を!」

 

「ガァ!!!!」

 

 

崩れてきりもみになって落ちていたのを、ムーナはどうにか態勢を立て直し、再度滞空する。

だが相当吹き飛ばされたのか、敵とこちらで結構な距離が開いていた。

 

 

【その程度か?】

 

「……うるせえ」

 

 

正に圧倒的だった。

確かに空に浮いているために、俺にとって不利な状況ではあるが……力の爪と守りの爪を手に入れた俺をこうまで圧倒するとは。

 

 

……騎乗したままでは駄目か

 

 

ムーナには悪かったが、やはり勝手が違いすぎる。

最初はムーナに乗ったまま斬りかかろうと思っていたが……敵の攻撃からムーナも守らなければいけないのは少々きつい。

だがかといって空を飛ばなければ俺は敵に近づく事さえ出来ない。

 

 

ならば近寄った後は……俺が飛びかかって攻撃するか……

 

 

それが妥当だった。

俺一人ならば何とかなる。

今の水流も防ぐこと自体は別に不可能ではなかった。

間違いなく、覇竜と崩竜の力のおかげだ……。

となるとそれを収束してぶつければ、攻撃すること自体も問題ない。

それにラオシャンロンの力もある。

やれないことは無かった。

 

 

「ゆくぞムーナ! 最大速度で突っ込め! そして俺が突っ込む!」

 

 

何の疑いもせずに、俺の言うことを実行してくれる。

ムーナが飛翔し、再度敵へと……アマツマガツチへと突っ込んだ。

そしてある程度距離が狭まり、俺が突っ込める距離になった瞬間に……俺はムーナを足場にして飛んだ……。

 

 

ズダン!

 

 

一瞬ムーナが沈むほど踏み込んだ。

だがそれで墜落するほどムーナももう柔ではなかった。

しっかりと態勢を立て直し、俺を受け止めるために高度を下げながら俺に追従する。

それを確認し……暴風を突っ切り……敵へと斬りかかろうとした……。

 

 

 

だが……

 

 

 

 

【……愚かな】

 

 

 

 

その落胆した言葉と共に、敵が身に纏う風が猛烈に勢いを増した。

そしてそれによって……気と魔力、さらには風の古龍、クシャルダオラの魔力で強化されたこの俺が、文字通り吹き飛ばされた。

 

 

何!?

 

 

暴風が吹き荒れても、ほとんど影響がなかった俺を強烈な風で吹き飛ばされたのだ。

正直、驚きが隠せなかった。

しかも、アカムトルムと違った意味で……

 

 

こ、攻撃が当てられない!?

 

 

当たらないではなく、当てられない。

攻撃が通じるというのは何となくわかった。

神器、龍刀【朧火】と覇竜と崩竜の力と守。

それを全て解放すれば攻撃が通じないと言うことはあり得ない。

 

 

だが……それも当たらなければ当然意味もない

 

 

「!!!!!」

 

 

どうにかムーナが吹き飛ばされた俺を拾ってくれた。

なんとか俺はムーナに騎乗し、どうすればいいのか、考えようとした……だが……。

 

 

 

 

【失せよ】

 

 

 

 

その言葉と供に……敵の胸が光輝いた……

 

その光と……先ほどの水流だけでなく、その身に纏った風さえも口内へと収束し……

 

 

 

 

それが放たれた……。

 

 

 

 

ゴォォォォ!

 

 

 

 

この暴風が吹き荒れる中……それでもその飛来する音が響き渡り……俺とムーナを襲う。

先ほど同様……どうにか龍刀【朧火】で防ぐのだが……しかしダメージを負うことは無くても、その勢いを受け止められない。

いや、普段なら受け止めたかもしれないが、この風が荒れる中での飛行はムーナでも苦しい物があり……そして俺たちは吹き飛ばされた。

 

 

「ぐぉぉぉぉぉ!?」

 

「クォォォォォ!?」

 

 

そしてそのまま川へと突き落とされて……俺たちは敗北した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「う……」

 

「!? 気がつきましたか!?」

 

「……リーメ?」

 

 

傍でリーメの声が聞こえる。

だがそれはどこか……明瞭に聞こえず、どこか夢見心地で……。

 

 

「無理に起きないでください。そのままでいいですから。ひどい怪我だったんですよ」

 

「……怪我?」

 

 

それを聞いてようやく……俺は今どういう状況下を思い出した。

 

 

ガバッ!!

 

 

ズキッ

 

 

「ぐっ!?」

 

「あぁ、そんなに急に起きるから!?」

 

 

明瞭になった意識で辺りを見渡すと、そこはギルドナイト出張所に備え付けられた救護室だった。

そこのベッドに寝かされていたらしく、体に包帯を巻かれていた。

 

 

「肩を脱臼したんです。あまり無理しない方が」

 

「そんなもの関係ない! ムーナは!?」

 

 

怪我なんぞ直そうと思えば数秒で治せる。

それよりも俺の息子は……。

 

 

「安心しろ。ムーナも無事だ」

 

 

そこで部屋に入ってきたのは、右手に俺が鍛造した武器、斬破刀を持った、リオレイアの装備を纏ったフィーアだった。

 

 

「氾濫した川に流されてよく生きているなお前は」

 

「……ムーナの容態は?」

 

「怪我一つしていない。さすが銀レウスと言ったところか」

 

「……どうなったんだ? 俺が出てからどれくらいたった?」

 

「安心しろ。お前が飛び立ってからまだ日付も変わっていない。岸に流れ着いていたお前とムーナを回収してからまだ三時間ほどしか経っていない」

 

 

……なるほど

 

 

どうやら特に大事にはならなかったようだった。

その事に安堵するが……。

 

 

「状況に変化は?」

 

「……特に変化はない。今のところあの龍も暴れていない」

 

 

? すぐに行動を起こすと思っていたが……

 

 

どういう訳か知らないが、俺を見逃したのも意味がわからない。

気絶していたというのならば、俺を喰らうに絶好のチャンスだったはずだが……。

 

 

「一応かなり遠くから双眼鏡で観察を行っているんだが……その観測班の報告では、あの龍はただじっと何かを待っていると言うか……何かを蓄えているように見えたらしい」

 

 

蓄える?

 

 

【恐らく魔力を蓄えているのでしょう】

 

 

フィーアの言葉に、キリンが回答を出す。

と言っても俺にしか聞こえていないが。

 

 

【嵐龍、アマツマガツチは前回の大戦で葬られた。それから復活したばかりでまだ魔力が十全ではないのでしょう。もしくは天気を扱う感覚を思い出しているのか……】

 

 

なるほど。っていうか大戦ってなんだ?

 

 

【神々の大戦です。私にはわかりかねます。あまりにも桁違いな戦いだったので近寄ることすら】

 

 

OK。わかった

 

 

まぁ今はそんな過去……それも伝承すら残っていないどころか、人が生まれていたかどうかも怪しい時代の話なんぞ関係がない。

今はとりあえず敵に対して、どう対処するかだ……。

 

 

……問題は暴風で吹き飛ばされるということ、そして、敵が宙に浮いているということだ

 

 

攻撃に関しては当たりさえすれば、損傷を与えた箇所によっては致命傷を与えられるはず。

だがそれにはあの敵の風をどうにかしなければならない。

もしくは俺が吹き飛ばされないようにするか……。

 

 

……後者で行くか

 

 

敵の能力を無効化できるとは思えない。

ならば俺が吹き飛ばされないようにするしかないだろう。

これでとりあえず一つの問題は解決したとして……もう一つ……。

 

 

敵が浮いていると言うこと……

 

 

これもどうにも出来ない。

だが致命傷を与えるためには、一瞬でいい……。

動きを封じることが出来れば……。

 

 

「今戻ったぞ」

 

「レグルか? どうだった?」

 

「古龍観測隊の連中から聞いた山の上に、確かに最新式のバリスタがあった。特に損傷しているようにも見られないから、地面に設置してやればまだ発射できるとは思う。だがバリスタを撃ったところでどれほどのダメージを与えられるかは……」

 

 

バリスタ?

 

 

「わからない……だが試してみなければ。攻撃手段は一つでも多くあった方がいい」

 

 

……バリスタ

 

 

二人の会話に出てくるバリスタ……。

俺はそれをどうにか利用できないかと考えて……

 

 

……いけるか?

 

 

一つ思いついたことがあった。

 

 

「フィーア。主要メンバーを今すぐ出張所の広間に集めてくれ」

 

「? どうするんだ?」

 

「お前達も作戦が決まっていないんだろう? 俺に一つ策がある」

 

「!? 本当か?」

 

「あぁ、それを説明する。だから皆を広間に集めてくれ」

 

 

 

 

~レグル~

 

 

「……以上が俺が考えた作戦だ」

 

 

ギルドナイト出張所の広間。

そこで俺たちユクモ村のハンターに、有志で残った男と女が集まり、ジンヤの話を聞いていた。

 

 

「……そんなことが出来るのか?」

 

 

確かに……無茶苦茶だ

 

 

広間に集まった皆の前で、ジンヤは自分が考えたという作戦を説明し終えて、皆が驚きの声を上げている。

いや、驚きというよりも呆れているのかもしれない。

 

 

だがもしもジンヤの作戦が通用すれば……勝てるかもしれない

 

 

滅茶苦茶で、無茶苦茶だったが……勝算は確かにあった……あると思える。

 

 

「しかしそのためには、お前達にも協力してもらわなければならない。強制はしないが……どうする?」

 

「……」

 

「ど、どうするって……」

 

 

その言葉に、皆が二の足を踏む。

それはそうだ。

何せこの作戦……直接戦闘するジンヤが一番危険だったが……他の作戦行動をする人間にも危険が多い。

しかも作戦決行地が、渓流の最奥、切り立った山々の頂上の霊峰だ。

そこはほとんど前人未踏と言っていいほど険しい山で、道なんて上品な物はない。

この暴風雨の中、登山することになる。

下手をすれば作戦に参加することも出来ずに転落して死ぬかもしれないのだ。

直接戦闘を行って死ぬ、というのはハンターである以上、覚悟はしているだろう。

だが、戦闘に参加することもなく死ぬというのは……あまり考えたくないことだった……。

しかもこの作戦では、作戦開始するその日までにすることが多すぎる。

切り立った絶壁の山、霊峰と村を何度も往復しなければならない。

 

 

「バリスタに関しては、ギルドナイトから材料を調達させるからその心配はないが……どうする?」

 

 

 

 

沈黙が降りる。

 

 

 

 

……確かに成功するかもしれないと思える作戦だが、危険も多い。

しかも都合の悪いことに、ジンヤはすることがあると言うことで、下準備を行うのは全てこちらが請け負うことになる。

それも敵に見つかるとまずいと言うことで、安全に材料を運ぶことが出来るであろう、飛竜種……最近銀リオレウスになったジンヤのリオレウス、ムーナの使用は出来ないと言っている。

これでは反感を抱かない方が無理だった……。

 

 

 

 

だが……俺は……

 

 

 

 

「俺は賛成だ」

 

 

 

 

俺はこの場にいる全ての人間に聞こえるように……大きな声でそう発言した……。

 

 

「レグル!?」

 

「正気か? 死ぬかもしれないんだぞ?」

 

「死ぬこと自体は、ハンターになったときに覚悟を決めているだろう?」

 

「そうじゃない! お前だってわかっているんだろう? 戦闘することもなく、死ぬことになるかもしれないんだぞ!?」

 

 

俺と同い年の、俺の友人がそうつぶやく。

確かにそうだった。

崖から落ちて死ぬ、風に吹き飛ばされて死ぬ、物が飛んできて死ぬ、川の氾濫に巻き込まれて死ぬ……かもしれない。

 

 

だがそれがどうしたというんだ?

 

 

確かにこの作戦は危険ではあった。

もしも作業中に見つかれば、それであの龍に殺されて終わるかもしれない。

戦闘に参加することもなく死ぬかもしれない。

だが……それがどうした?

人はいつか死ぬ。

必ず死ぬ。

それは当然のことであって、絶対に避けることの出来ない事だ。

だからと言ってそれを怖がってしまっては何も出来ない。

 

 

ハンターだからといってモンスターと闘って死ぬかもしれないが、それが絶対ではないのだ

 

 

ハンターにとってもっとも確率が高く、そしてある意味で名誉ある死というのはモンスターと闘って果てることだろう。

だがそれが全てではない。

俺は何故、ハンターになろうと思ったのか?

 

 

「そんなことは関係ないだろう?」

 

「……なんだって?」

 

 

 

 

「今ここで俺たちが頑張らなければ……俺たちの村は確実に滅ぶ? 仮に頑張っても滅んでしまうかもしれない……でもそれでも……何もせずに逃げるのか!?」

 

 

 

 

「……それは」

 

「今のところ俺たちにはジンヤ以上の作戦を思いつけない。ならばジンヤの作戦を信じよう。俺たちの村を救い、ドンドルマすら救った男なんだぞ?」

 

俺はそう言い放った。

信じるに値する男だと……。

最初こそ、その才能に嫉妬して嫌っていたが、それは俺の我が侭にも似た感情だった。

それにこいつは一方的に嫌っていた俺の妹を救ってくれた……。

 

 

そいつが俺たちに協力を求めているんだ……

 

 

今この時……協力しなければ……返せない恩が……いやそれでも返せない恩がある……

 

 

「……あの時も、こいつはドンドルマのギルドナイト作戦会議室で、今と同じように無茶苦茶な事を言った。そして私たちをたきつけて……姿を消した。私も一瞬疑ってしまったが、それでもこいつは来てくれた……。腹部に傷を負いながらも」

 

 

俺の言葉に、フィーアさんが言葉を引き継ぐ。

村で一番の腕を持ち、そしてギルドナイトに招集までされたフィーアさんは、みんなの憧れだった。

皆黙って、フィーアさんの言葉を聞く。

 

 

 

 

~フィーア~

 

 

「こいつは逃げなかった。逃げようと思えば簡単に逃げることが出来たっていうのに。そして……ラオシャンロンを討伐した。だがあの時だってジンヤだけでラオシャンロンを討伐した訳じゃないんだ」

 

 

あの時の姿は、今でも忘れない……。

皆が絶望する中、屹然とし、天災に負けないと……力強く言った、あの時のジンヤを……。

そして再び……こいつが

 

 

「……俺だけじゃ絶対に無理だ。ラオシャンロンも……今回の嵐龍も。だから……力を貸して欲しい」

 

 

そう言って……ジンヤが頭を下げた。

レグルと私の言葉……そしてそのジンヤのその行動で……全てが決まった。

 

 

「わかった」

 

「やろう! やってやろう! 俺たちが村を救うんだ!」

 

 

 

 

オォォォォォォォ!!!!

 

 

 

 

みんなが一斉に声を張り上げて……出張所が大音量に包まれた。

ハンターだけで無く、有志の人間達も声を張り上げる。

こうして自分たちが何をすべきかが決まって……とりあえず自分たちが何をどうすべきか会議を行い役割分担をし……それぞれのすることへと向かっていく。

 

 

 

 

~刃夜~

 

 

……何とかまとまってくれたか

 

 

正直、ラオシャンロンよりも直接的に被害が起こっている状況だったので、俺の策に乗ってくれるかは謎だったが……レグルとフィーアの援護射撃でどうにか作戦が決まった。

後は各々がどうするかだが……自分たちの故郷の命運がかかっているのだ。

生半可な仕事はしないだろう。

俺はそれを信じて、俺は頼むべき相手の所へと向かった。

 

 

「リオスさん」

 

「ジンヤ君。相変わらず君はすごいというか……無茶苦茶というか……」

 

 

ユクモ村のハンター達の武器を作り続けてきた、男、リオスさんは、近寄ってきた俺に苦笑いする。

俺も自分の作戦が結構無理な事だとわかっていたので、苦笑するしかなかった。

 

 

「まぁそうかもしれませんが、これが一応俺が出せる最善です。これ以上の案は恐らくでないかと……」

 

「この村の危機を何度も救ってくれた君の言うことを疑ったりはしないよ。それで……何か用なのだろう?」

 

 

さすがというべきか……。

俺が近寄ってきたのがただの世間話をすることではないと言うことを、リオスさんはすぐに察してくれた。

俺はそれに心の中で感謝しつつ、二つの依頼を……した。

 

 

 

 

~リオス~

 

 

「……なるほど」

 

 

あまりにも……まさに想像の埒外のようなモンスターとの邂逅、そして一応闘ったジンヤ君の見解は正しい物だと思った。

そして、ジンヤ君が必要とする物も……。

 

 

「それを仕上げればいいのだな?」

 

「装飾とかはほとんどいりません。とにかく重い事が条件ですので、鉄を使って作ってくれると」

 

「わかった。私の技術と力の全てを使って、それを作って見せよう」

 

 

ジンヤ君の数少ない頼み事……。

それを必ず成し遂げると、私は心の中で誓った。

 

 

「それと……もう一つ……頼みたい事が……」

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

 

 

「なるほど」

 

「信じられないかもしれませんが本当の事なんです。そして、今回の作戦は、敵に悟られることなく俺に合図を送る必要がある……だから……」

 

「……わかった」

 

 

正直、こちらの頼み事は苦渋の選択だった。

私自身よりも大切な物の命を賭けて欲しいと……そういうジンヤ君の頼み。

正直断りたかった……。

だが、一番危険に身をさらすジンヤ君の願いを……断る事は出来なかった。

 

 

「……すいません」

 

「いや……だが本人に聞いてくれ」

 

「それはもちろん」

 

 

とりあえずそれだけを告げて、すぐにジンヤ君と別れ、私は家に帰るとすぐに炉に火を入れる。

複雑な心境だったし、恐怖もあった。

だが今はそれ以上にしなければいけない事がある。

だからそれに集中する。

そして何を作るべきかを考える。

 

 

彼が依頼した物……それは無骨な大剣……

 

 

今回必要になると言われ、大剣を作ることになった。

そこで私は思った。

 

 

彼の技術を吸収して、大剣を作るか?

 

 

彼から学ばせてもらった……刀という武器の鍛造技術。

それを使って、私なりのその技術の使い方というのを、師匠である彼に見て欲しいと、そう思った。

太刀自体は二人で完成させた物だった。

だからあれは私だけが作り上げた物ではない……。

今まで彼が私に武器の鍛造を頼むことは無かったので……それを披露する機会がなかった。

だから今回のそれで……私なりの道というのを、見せようと……そう思った。

 

 

そうして大量のカブレライト鉱石を使い、それを炉に入れて溶かす……。

 

 

そうして、私の仕事が始まった。

 

 

 

 

~刃夜~

 

 

俺はリオスさんに頼み事をすると、俺も自分がすべき事をするために、自分の家へと戻っていた。

戻ってすぐに先日手に入れたばかりの素材を……アカムトルムとウカムルバスの素材を倉庫から引っ張り出していた。

 

 

アカムトルムは魔の粒子として消えなかったので、その体中の素材を剥ぎ取っていた。

牙、爪、棘、尾の甲殻、額の甲殻、顎の甲殻、胸の甲殻、首の甲殻、腕の甲殻、太ももの甲殻……そして最後に、ウカムルバスの背びれとそれぞれの宝玉……。

 

 

 

 

先ほど、俺がアマツマガツチに負けた敗因は、敵に攻撃を届かせられないこと。

そして届かせられなかったその原因……それは……

 

 

 

 

.

 

 

 

 

.

 

 

 

 

.

 

 

 

 

「俺が軽い……」

 

 

 

 

.

 

 

 

 

.

 

 

 

 

.

 

 

 

 

それが間違いなく原因の一つだった。

軽いために敵の風に体を吹き飛ばされて、攻撃を届かせられなかった……。

どんなに速くても、重さがなければ簡単に風に流されてしまう。

だから俺はこのアカムトルムとウカムルバスの素材を使って、鎧を作ることにしたのだ。

 

 

この二匹の素材……あり得ないほどに重いしな……

 

 

今も広げている床が抜けそうになっている位である。

というか一回部屋の倉庫に入れたら床が抜けたので、外の地面の上に設置している倉庫に入れたのだが……。

本当に重いのだ……。

恐らく背中の棘を、普通の人間が持とうとすると、筋肉もりもりマッチョマンが十人で持ち上げようとしても絶対に持ち上がらない……それどころかぴくりともしないだろう。

俺は気で強化し、さらには魔力でも強化されたために持ち上げることが可能だったが……。

また運ぶときも、まか不思議な力を宿し、魔力を帯びるようになったムーナだからこそ運べたのだ。

それほど比重がおかしい素材だった。

しかもそれが全部……。

さらにあり得ないほど堅い……。

もう普通のナイフとかじゃ傷一つつけられない。

というかナイフが壊れる。

ついでに俺の鍛造道具でない、普通の金槌でぶっ叩いてみたら……金槌が粉砕した。

そんなだから、大剣なんかで攻撃しても弾かれて終わるか、砕けてしまう。

そしてウカムルバスの素材は……表面がありえないほどにギザギザしていた。

金鑢を一兆倍荒く硬くした感じだろうか?

触れただけで傷が出来る。

というか普通のナイフで斬りかかったらナイフが斬れたんだが……。

 

 

そんな素材を使って……俺は究極の鎧を作る。

幸いにして、今の俺……龍刀【朧火】を装備し、力の爪、守りの爪で色々と人外じみている俺ならばこの素材を加工することが可能だった。

普通ならば切ることすらも出来ず……さらに加工においてもっとも重要な行程……溶接が出来ない。

マグマですら溶けない素材をどう溶かすというのか?

 

 

まぁ仮に太陽の表面温度くらいであっても、溶けないだろうけど……

 

 

魔力があるか無いかが重要なわけで……。

そして普通の人間は魔力なんて扱えるやつなんてそうそういない。

だからこそ……この素材は俺以外に扱える人間はいない。

 

 

鎧っていうのは基本的に好きじゃないんだが……

 

 

重くなる上に、動きにくくなる。

さらに心構えとしてもどうしても鎧に守られているという心の隙が出来てしまう。

が、今回は重くなるためにやむを得ない。

 

 

俺はひたすらに気と魔力を帯びさせて、神の素材を使った、最初で最後の究極の鎧を作り上げていく。

そしてそれだけでなく……守るだけではなく、武器にもなる鎧……。

素材が異様なほど硬く、また魔力を帯びさせる事の出来る防具という事で、鎧だけでなく武器にもなるという機能を付随させる。

素材を切り出し、ひたすらに加工する。

 

形は東洋鎧。

日本の鎧を造る。

基本的な形は当世具足……主に室町後期から安土桃山時代に生じたと言われる鎧の形式。

それを覇竜と崩竜、それぞれの姿形を意識しつつ、形成、作り上げていく。

また鎧で必要な素材と言えば、紐は欠かせない。

そこで俺はスーパーなサ○ヤ人2だったあのラージャンの金の毛を使用する事にした。

マグマにも入れるあの異様な強さを誇った毛を、丹念に丹念に……気と魔力を織り込み、注ぎながら糸を造り使用する。

あとは好みとして鬼の形をした|面頬(めんぼお)を作り上げる。

 

 

そしてそれだけでは終われない……

 

 

今回の作戦で重要な物……俺はそれを余ったアカムトルムの棘を使用し、作り上げていく……。

そして……。

 

 

 

 

~フィーア~

 

 

あの作戦会議から一週間後……全ての作業を終え、私たちは戦闘態勢を万全に整えて、ギルドナイト出張所、広間に集合していた。

ハンターは自慢の装備と防具を纏い、そして有志の屈強な男達もリオスさんの好意で一番安価な装備、ハンター装備を纏い、集まっている。

そのうちの何人かが、ジンヤが造った、今回の作戦に必要な巨大な兵器を、持っていた。

それがあまりにも重すぎるので、持ち運ぶときは複数人数で運ぶ事になるが……。

それの試射も、一度きりだが行って有用性は証明済みだった。

昨日、全ての準備が終えたので、その旨をジンヤに報告しに言ったところ、ジンヤも昨日準備が終わったらしいので、今日作戦が決行される事になったのだ。

昨日は綿密な作戦会議を行い、合図やタイミングを、皆で話し合い決めた。

誰もがこの村を救いたい一心で頑張った……。

まだ何とか持っているが……これ以上嵐が続けばユクモ村は完全に滅ぶ……。

それどころか大陸が滅びる可能性だってある。

そのため、ユクモ村以外のギルドナイトの隊員達も準備を手伝ってくれたが、地元という事で地理に詳しい私たちが、作戦実行を行う事になった。

ギルドナイトの隊員達は、今土木作業を行い、簡易の橋などを造ってくれており、また作戦の場である、霊峰へと続く道を建設、そしてそこに簡易のベースキャンプを設営してくれた。

 

 

……ついに作戦の時

 

 

緊張と興奮で、胸が高鳴った。

大陸全土はすでに極厚の雲に覆われたのでいつ豪雨が降り出してもおかしくはない。

この作戦に失敗すれば……真っ先にユクモ村が滅び、最後には大陸全土の生物は完全に死に絶えてしまう。

ラオシャンロンの時と違い……ドンドルマのみならず、大陸全ての命運がかかっていた。

緊張しないはずがなかった。

 

 

 

だが……

 

 

 

そこまでいくとスケールが大きすぎて、実感がないが、だがこのままいけばユクモ村が滅びる事は間違いない。

だから私たちは命を賭ける……。

 

 

村を救うために……

 

 

と決意を固めているのだが……。

 

 

「……ジンヤが来ないな」

 

 

そう。

今回の作戦の立案者にして、要であるジンヤが今だこの集会所に現れていなかった。

ジンヤはムーナに騎乗して行動するため、別にこちらに合流する必要性は無いのだが、足並みをそろえるという事と、皆を高揚させるために、一言演説をする事になっていた。

 

 

本人は嫌がっていたがな……

 

 

だが必要な事なので、しぶしぶと納得し引き受けてくれた。

逃げるはずがないが……、ここまで遅いと少々不安になってくる。

リオスさんもジンヤに渡す予定の、無骨で巨大な大剣を持ちながら、そわそわと落ち着きなさそうにしている。

 

 

その時……

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチャ

 

 

 

 

 

 

 

 

足音が響き、そして出張所の出発口の方からこちらに誰かが近づいてきていた。

この暴風雨の中、それでも聞こえる足音に、本来ならば違和感を覚えただろうが……気分が高揚し、興奮していたために、誰もその不自然に気づかなかった。

ジンヤの家は村の裏口からでたところにあるので、ジンヤがここ集会所に来る場合にはそこが最速のルートだった。

ジンヤが来たと思い、皆が静まりかえり、ジンヤを待った。

 

そして……入ってきたその姿を見て……誰もが呆気にとられ、そして目を見開き……見つめた。

その手に持ったジンヤが一番大切にしている武器……夜月を、腰の紐に差しながら入ってきたその姿……。

 

 

 

 

それは……神々しくも、荒々しく、巨大な強さを秘めていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな、揃っているようだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

その姿をした人間が声を上げ……その声がジンヤの声で……ようやくその人物がジンヤであることを理解した。

だが……誰も信じられなかった……。

ジンヤのその姿は……今まで一度も見た事のない防具を身につけた姿で……

 

 

 

 

私たちが纏う防具とは、全く違う形の防具……

 

そのほとんどが、モンスターの甲殻などを、肩当てなどにそのまま使い、モンスターの特徴的な体の色、形をほぼそのまま残した防具とは……何もかもが違った……

 

一つ一つの肩当て、手甲、足甲、そして大腿部当てなどはそれぞれが一枚一枚の細長い板を、紐か何かで繋ぎ合わせた、頑健ながらも動きやすい形に作られている……

 

肩の装甲の上部には、巨大な鉤爪のような角が生えている……

 

所々に巨大な角が生えており、その角は見るだけで硬く、鋭そうな印象をしている……

 

また足の甲付近、そして手の甲の小指辺りそれぞれに、鋭いブレードのような物が存在していた……

 

急所などの各所を堅牢な甲殻を加工した物を使用した物に対して、可動部、つまり関節部分は何か……あり得ないほど頑丈そうな皮のような物を使用しており、しかもそれは薄い赤と、薄い青色をしていた……

 

兜に生えるのは巨大な板状の角のようなものが天を貫かんばかりにそびえ立ち、真ん中の斜め上の方へと伸びるその角は……先端が赤く輝き、根本の方は青白く輝く……

 

全体的な色が黒色と青白い物であるのに対して……まさに紅一点……一カ所だけ真っ赤な箇所があった……

 

それは顔……

 

目を隠すような、まるで仮面舞踏会に使われるようなその仮面は……いくつもの鋭い牙を持ち、血のような赤黒さをしていた……

 

 

 

 

 

 

 

 

見るだけで誰もが、勝てない事を納得し、畏怖し、崇めてしまうような……まるで神の力がそのまま宿ったと、

 

 

 

 

 

 

 

 

……もしくは

 

 

 

 

 

 

 

 

人の身でありながら神へとなり得たと……

 

 

 

 

 

 

 

 

思わずそう、思えてしまう……納得してしまう……そんな鎧……

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅れてすまなかった。鎧は着慣れないのでな。少々着るのに手間取ってしまった」

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ジンヤ、その鎧は?」

 

「? 鎧がどうかしたか?」

 

「……どうしたんだ?」

 

「造ったんだよ。これは俺の故郷の鎧に似せて造られた物だ」

 

 

 

 

造った!?

 

 

 

 

剣だけでなく、鎧まで造る事が出来るのか!?

 

 

 

 

もはや何でもありの人間である。

リオスさんは武具に携わる人間だからか、呆気にとられたようにその鎧を見つめていて……圧倒されていた。

私たちよりも武具に詳しいのでよりこの鎧がどんな物かわかるのだろう。

 

 

 

 

「……これより作戦を開始するが。みんな準備はいいか?」

 

 

 

 

だがいつまでも驚いていられなかった。

ジンヤがそう言葉を発すると、皆呆気にとられていた気を引き締めて、ジンヤへとその決意を込めた目を向ける……。

そして、その目が全てを語っていた……。

 

 

 

 

愚問……であると

 

 

 

 

「良かろう。これより嵐龍討伐クエストを開始する。この作戦はユクモ村だけでなく、この大陸全土の命を賭けた戦いとなる……。村を救うために、全力を注げ!!!! 行くぞ!!!! 皆の衆!!!!!」

 

 

 

 

おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!

 

 

 

 

ジンヤの号令に、皆が一斉に吼える……

 

その決意を……覚悟を吐き出し……己を鼓舞するために……

 

味方を……仲間を……鼓舞するために……

 

 

 

 

そして作戦が開始され……皆がそれぞれの役割を果たすために、それぞれの方向へと散っていった。

 

 

 

 

~刃夜~

 

 

柄じゃないが……まぁいいか

 

 

柄にもない事をやらされて、俺は内心嘆息物だったが、それを今この場で本当にしたら大顰蹙を買う。

それに村を救うために命を賭けようとしている連中の気持ちに水を差す事になる。

村を救いたい気持は俺も同じなのだ。

だからこそ普段では絶対にしないであろう戦闘前の演説を引き受けたのだ。

 

 

「ジンヤ君」

 

 

皆がそれぞれの役割のために行動する中、リオスさんが俺へと近づいてきてくれる……。

その手に……無骨な巨大な大剣を携えて……。

 

 

「依頼の品だ……受け取ってくれ」

 

 

そうして差し出される…………その剣……

 

 

 

一切の装飾のない……

 

身の丈はありそうな大きさ……

 

剣身は厚く作られていて、巨木をもへし折りれそうなぶ厚さ……

 

そしてそれほどの大きさで分厚ければ当然重く……普通の人間ならば振るどころか持つことすら困難な……

 

 

 

それはまさに鉄塊……大剣の中の大剣……

 

 

 

 

「カブレライトソード……なんだが、それには君に教わった君の剣と同じ作りで鍛造した……」

 

「……刀と同じ鍛造ですか?」

 

「……君に教わった技術を私なりに応用したのだ。その大剣の名前はイロナシ」

 

「イロナシ?」

 

「鉄以外に素材を使用していない事から、何ものにも染まっておらず、そしてそれ故に何にでもなれるという……そう言う意味だ」

 

「……なるほど」

 

 

俺はそれを静かに受け取り、そしてリオスさんがこしらえてくれた、皮の鞘に収め、それを後ろ腰に横向きに装備する。

ムーナに乗る以上、普通のハンターのように背負っては、ムーナの体を傷つける……ことはおそらく無いだろうが、動きに支障が出る。

それを防ぐために、後ろ腰……普段は水月を装備するその箇所に装備できるようにそれを依頼していた。

 

 

「……ところでジンヤ君。聞くのは野暮かもしれないが……その鎧は?」

 

「さっきも言ったとおり俺の故郷の鎧をイメージして造った物です」

 

 

他の連中と違ってリオスさんは武具屋を営んでいるので、より気になるのだろう。

そしてその手が無意識に……俺の体、鎧へと手が伸びているのを見て、俺はそれを優しく掴んで止めた。

手の平だけは触れても傷が付かないようになっている。

指の先は爪があるのでアウトだが……。

 

 

「触らない方がいいです。これは鎧であると同時に武器でもあるのです。生身で触れたら指が落ちますよ」

 

「!? それほどなのか?」

 

 

リオスさんが俺の説明を聞いて驚愕の声を上げる。

それはまだこの場に残っていたリーメとフィーアも同様だったのか、二人とも目を見開いている。

言葉だけでは普通信じないようなこの言葉を、普通に信じていた。

 

 

作戦の都合上、重い以外に必要な要素が斬れるという事だった。

そのため、この鎧はそれだけで武器にもなり得るような鋭さを併せ持った鎧となっている。

角は言わずもがな、手足のブレードも同様。

特にウカムルバスの素材を使用している箇所は、触れただけで斬れて血が噴き出し、それを押しつけたままこすればそれだけで相手の体をずたずたに引き裂く。

恐ろしいほど堅固で重い上に、生半可な武器よりもそれは斬れた……。

またアカムトルムの牙を用いて作った手甲と足甲も、斬ることが可能だ。

矢を受けても、金属で出来た鏃を切り裂き、剣で切られてもその剣が粉砕、もしくはすっぱりと切れる……。

 

棘はおそらく、普通のモンスターならばそのままで、魔力を帯びた敵でも、気と魔を帯びればそれだけで切断する事が出来る、まさに攻防一体の鎧。

 

しかし欠点として、異様な重さ(明確な数値はわからないが、少なくとも気が使えなければ着れない程度の重さはある)の上に、全身が触れたら斬れる鎧だから持つ事もかなわず、着るなんてもってのほか……。

そういう風に造ったのだが、この世界では俺以外に着る事が出来る人間は絶対にいない。

この世界で使うのはおそらく今回限りの究極の武具……。

正直普通のモンスターならば武器を持たずに、この鎧を装備しただけで討伐が可能だ。

 

 

 

 

覇竜アカムトルム、崩竜ウカムルバスの素材を用い、宝玉をも使用した、まさに神をそのまま鎧にしたかのような究極の鎧! 

 

 

 

 

「名を|暁凜丸(あかつきりんまる)【|覇崩(はほう)】!!!!」

 

 

 

 

俺の究極の武具だった。

 

 

 

 

その言葉に、誰もが呆気にとられている。

まぁアカムトルム、ウカムルバスの素材を使っていることは分かってないはずだから、色々と理解の範疇を超えているのだろう。

しかも素材が素材なので、どこかしら神々しさを感じているのかもしれない。

 

 

「では行ってきます」

 

「……あ……あぁ。気をつけて」

 

 

だが今はそんな装備自慢をしている場合ではない(出来はいいので実際自慢の防具だが)。

 

 

「ジンヤ君」

 

 

そこでまた声が掛けられる。

そちらに目を向けると……避難勧告がでたにも関わらず、避難せずにこのギルドナイト出張所にいるデウロさん、フィンフュ、アネットさんがいて……三人とも俺に微笑みかけてくれる。

 

 

「頼んだぞい」

 

「信じてます!」

 

「気をつけて……」

 

 

いつも通り、俺を見送ってくれた……。

それに頭を下げ、俺は今回新たに造られた装備、イロナシと暁凜丸【覇崩】を装備し……嵐吹き荒れる中……外へと踊り出す。

 

 

 

 

 

第二戦が開幕された……。

 

 

 

 

 




今回出てきた暁凜丸【覇崩】は90%以上友人に任せた物体です。
一割に満たない部分で、私の好みがデザインに反映されております。
肩の上部の爪角と、頭部の角のデザイン。

この鎧、攻防一帯の武具と書いてありますが、これも友人の設定でこうなりました。
堅牢さは言わずもがな。

んで切れ味ですが、友人曰く、


「通常時で切れ味ゲージが白で、魔力を注ぐと紫ゲージになる」


というまさにあり得ないほど最強の防具ですw


ちなみにこの友人の会話から


普通の武器の最高の切れ味は青(刃夜が造った斬破刀とか火竜刀【紅葉】とかは青と白の中間)で、気のみの強化のジンヤの武器は白、気と魔力を注いだ刃夜が扱う得物は紫ゲージ。


普通の武具青ゲージ<刃夜の気で鍛造した武器<越えられない壁<白ゲージ<<<<<<<さらに超えられない神の壁<<<<紫ゲージ


と認識して下さいw
友人のおかげで凄まじい物ができてしまったぜ!!!!!

ちなみに挿絵は間に合いませんでした!
結局友人のPCが治りませんでした!
そのうち友人が書きあげたのをUPします!


次回はついに嵐の神、アマツマガツチと勝負です!!!!



2012 1/30 AM1:00ごろ挿絵を追加



ハーメルンにて追記
鎧の絵柄に関しては削除しました。ご了承願います


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