真・恋姫†無双~董家伝~   作:ヴィヴィオ

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5話 準備期間

 

 

 

 旅に出る準備として少なくとも月達を守る隠密部隊を作る必要がある。その為の準備はしてある。香風達と出会った山にある盗賊達の隠れ家。その辺り一帯を少しずつ改造して訓練施設に作り上げた。洞窟はこれから拡張するとしてその周りに罠を配置したアスレチックなど訓練道具を作ったし、森の中にも罠が多数だ。学園とは違ってこちらは軽い怪我ではなく大怪我する可能性が高い。

 

「隠密部隊を組織する為に、これからお前達にはここで生活して貰う」

 

私の前に集めた学園から連れてきた孤児の少年少女達。既に学園で董家に忠誠を誓うようにマインドコントロールを行ってあるので私達の命令は絶体となっている。学園で行うマインドコントロールはグループ活動と躾だ。これらは技術を与える時に段階を上げて行っている。上に行けば行くほど得られる技術も収入も上がっていく方法を取っている。ここで技術を学ばれて他領に持って行かれたら困るからだ。

それと月に街に出て貰って慰問や手伝いなど日本の政治家のように人気取りも行って貰った。例えば月の手動で各町や各村に診療所を設立すればそれだけで人気はあがるし、孤児や仕事のないものに仕事を与えたりと慈善事業を行わせた。特に兵士とその家族からは人気がある。兵士が死ねば見舞金が支払われ、親には仕事の斡旋をして子供は優先的に学園に入れられて教育を受けられ、簡単な仕事を与えられて給料を貰える。どちらの給料も多少の金額が増加されるようになっている。こちらの財源などは兵士や領民達の税金が使われている。

これらの事を行っているお陰で人気がかなり高い。

 

そんな忠誠心の高い彼らを私専属となるように改めてマインドコントロールを行う。優しい月は自分の事を無視して他の者に救いを差し伸べる為に命令するだろうが、彼らならその命令を無視して月を最優秀に守る事が出来る。

 

「厳しい訓練になるが頑張って欲しい」

「「「はっ!」」」

「では、班を別けて修行だ」

 

先ずは木と木の間に棒を通して、その棒に足を括りつけて下で火を焚く。もちろん、ギリギリ燃えない位置だが、危険には代わりないので必死に腹筋を鍛える事になる。そう、某史上最強の弟子の育成計画を参考にさせて貰った。あの漫画に出て来る修行器具がいっぱいだ。

もちろん、全員ではなく少しの人数を残して修行させる。残りの者達は全員が少女で、可愛い子達を選んだ。

 

「では、お前達には最初に気を教える」

「銀も!」

「わかっている」

 

銀に関しては香風と競い合ってもらう為にも気を覚えさせる必要がある。気を無しにすれば2人はほぼ同じくらいの強さだ。

 

「では、こちらに来て寝てもらおう」

「うん」

 

体内に直接気を流し込んで覚醒させるので、少女ばかりを選んだ。男なんぞと口付けなどしたくない。という訳で香風と手分けして覚醒させていく。様子をみつつ気をコントロールさせていく。覚えたら10日ほど修行させて彼女達に他の者達を覚醒させる。それを繰り返して全員に気を覚えさせていく。

気を覚えさせたら修行方法も洞窟の拡張工事をさせる。この山、実は鉱山で色々と取れるので資金稼ぎついでに丁度いいのだ。

手に入れた鉱石は私が香風の父親と一緒に気を混ぜながら武器を作っていく。作るのは香風と銀で、香風には大きな戦斧で、銀には大きな大鎌だ。これらの武器には日本刀と同じ工程で質のいい玉鋼を作り出して強度を上げた。私の分の日本刀を作成して、残りは様々な暗器を作っていく。

 

 

 7ヶ月が経ち、問題が起きた。端的に言うとやりすぎたようで、父様に呼び出されてしまった。

 

「馬鹿共が鬱陶しい。流石にまだ排除する訳にはいかないからな」

 

私を心良く思っていない者は多いが、発展の為に放置していた奴等が私が行っている戦力増強を恐れてきたようだ。文官はそう簡単には育たないのでまだ時間が要る。

 

「それに中央からもこれ以上兵を増やすなと通達が来ている。今までは盗賊退治や各街の警備という事で派遣していたが、既に2万に到達しているからな」

「ならば半分を解雇して畑を耕して貰えばいい。3ヶ月ずつ交代させて、少しずつ新兵を増やしていけばいいだろう。もちろん、週2で訓練に参加する者は金を支払えばいい」

「それでいくか。それで黄泉が反乱を企んでいるという馬鹿な事をほざく奴らがいてな」

「処分する訳にもいかず、不正もしていないと」

「うむ。まあ、この辺が潮時であろう」

「そうだな」

「では、軍事権は返して貰う」

「それでいいだろう。それで私はどうする?」

「お前は洛陽に出向いてもらおう。あちらにある名家が通う塾から月を勉強させに来るようにと通達があった。どうやら金が欲しいらしい。どうせなら帝様にも献上品を持っていけ。黄泉は月達の護衛として向かってくれ」

 

盛大に稼いでいるから上前をよこせという事か。くだらないが、問題ないから盛大にばら撒くとしよう。既に領内はする事がないくらいには発展しているしな。ならば、蒸留酒を作らせてからいけばいいか。ついでに人材集めをしていこう。丁度いいから荀彧を確保しよう。荀彧を確保するだけで曹操の戦力を減らせるからな。

 

「わかった。常にそばにいる必要はないな?」

「もとより送り届けたら自由にしてくれて構わん」

「わかった。では、度に出させ貰おうか」

「うむ。娘達を頼む。どうせ銀もついていくだろうしな」

「わかった」

 

直ぐに退室して月達の下へと向かう。月達は今日も政務と勉強を行っている。

 

「お兄様、どうなさいましたか?」

「来週には洛陽に向かう。数年は戻ってこないから準備するように」

「ちょっと待ちなさい!」

「月があちらの塾に入れられる。銀はどうせついてくるだろうし、連れていく。雛里と詠はどうする?」

「あわわ、いっ、いきましゅ!」

「僕も行くに決まってるじゃない!」

「では準備しておけ。どうせ勉強する事もないだろうがな」

「行く意味ないじゃん」

「ないですね。でも、行くしかないですよね」

「そうだな。向こうでも勉強出来るように課題を残していってやろう」

 

といっても見られたら困るものを置くつもりはないが。

 

「え? お兄様は一緒にいてくれないのですか?」

「ああ、私は少し人材集めの為に旅をする」

「わかりました。では、私は知己をえておきます」

「頼む」

「それと……別れるのですから途中までは甘えてもいいですか?」

「構わない。たっぷりと可愛がってやる」

「へう」

「ずるいです……」

「まったく」

 

月達の下から去って準備を始める。

 

――献上品はやはり黄金色の菓子がいいだろうし、色々と用意するか。

 

それから、大量のお金をばら撒いて蒸留酒を作っていく。それらを信頼できる部下に任せておく。数年もすればかなりの値段になるだろう。

 

 

 

 

 

 

 


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