董君雅
執務室に文官共が意見をしにやってきやがった。
「軍事権まで与えてしまって大丈夫なのでしょうか?」
「何がいいたい」
「反乱でも起こされれば大変ですぞ。董卓様のお命が危険にされされるのです」
「それは大変だ。跡継ぎは血筋的にも董卓様と決まっている。何処の馬の骨ともわからぬ下賤の者が当主になろうなど、どうにかせねばならぬ!」
「問題ない」
「しかし、奴は粛清まで行ったのですぞ!」
こいつらは不正をしていなかったか、発見されていないかで処分を免れている連中だ。何時、黄泉が始末しに来るかわからず戦戦恐恐しておる。
「不正を行っておったからだ。俺を害そうとまでしていた奴等だ。粛清して当然だ」
「そ、それはそうですが……」
「だいたい董擢が当主になりたいというのならくれてやればいい」
「「「なっ!?」」」
「それだけで民は幸せになるだろうよ」
「た、確かに知識量は凄いと聞いておりますが何処かの間者かも知れぬのですぞ!」
「少なくともこの辺りの国じゃありえないな。それに董擢は第一子だ。本来なら董擢が継ぐのが当たり前だ」
「だいたい当主様の血を引いておりませぬ!」
「そうですぞ! だいたい朝廷とてお許しにならぬでしょう!」
こいつらは利益を得たいだけだろう。利用するだけ利用するつもりなのかも知れないが、黄泉の本質を理解していない。黄泉に取ってこいつらは取るに足らぬ存在で、害がないから放置されているだけだ。文官が揃ったら左遷か消しに掛かるだろうな。
「ならば月、董卓を妻に迎えさせればいい」
「「「なっ、なりませぬ!!」」」
「なぜだ? それで解決ではないか。うむ、それでいくか。黄泉を家に縛り付けるには弱いと思っていた所だ。月と銀の2人で我が家に取り込ませればいい」
「だ、だいたい奴は女でしょう!」
「男だったらよいのか?」
「そ、それは……」
「どちらにしろ、董擢は我が家に繁栄をもたらす。軍事権があれば尚更早いだろう。文句があるなら董擢と同等の功績を上げてみせろ。全てはそれからだ」
「ぐっ」
こいつらは月か銀を娶って自分が当主になりたいだけだろう。誰がこいつら如きにくれてやるものか。
???
「くそっ、あの妖術使いめ!」
「殺すか?」
「まだ駄目だ。当主が言う通り、奴の知識は利用価値がある。ましてやそれが不老不死に関わるとあれば逃すことできぬ」
「不老不死ではなく、不老だけかも知れぬがな。今は回復したとはいえ、あの病弱ぶりと今回ことから考えるとな」
「どちらにしろ不老ならば欲しいではないか。売れるぞ」
「確かにな。奴はここ8年、一切成長していない。秘訣があるやも知れぬな」
「どちらにしろ、我らも対抗出来る手段は用意しておきましょう」
「そうだな。それで、証拠は消してあるのだろうな?」
「ぬかりなく。死人に口はありませぬゆえ」
「ならばよい」