真・恋姫†無双~董家伝~   作:ヴィヴィオ

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2話 街の掃除

 

 

 

 

 

 次の日、朝日が出る前に起きてラフな格好で庭でラジオ体操とストレッチを行う。それから庭に設置させた倉庫から様々な武器を取り出していく。様々な武器を扱うのは器ちゃんの中に入った歴代の皇帝達や英雄達が使っていたからだ。

 

 ――贋作者ほどではないのだが……

 

 記憶を体験させられたせいでそれなりに模倣は出来る。斧や槍などは重くて強化をしないとろくに扱えないのだが。

 

「ふっ」

 

 長剣を振り回しながら袖に潜ませた短剣を投擲する。歴代の者達が扱う中でやはり剣が一番人気らしい。基本的に指揮する立場に居るのだから槍とかではなく剣の方が都合がいいのだろう。だが――

 

 ――似合わない。合わない。

 

「今の私にとって合わないな」

 

 今回の器ちゃんは小さな少女だ。確かに剣なら震えるが大剣や槍なんかはまともに振るえない。もちろん、基礎の身体能力を上げて気で強化すれば将軍クラスには持っていけるだろうが。本当に気は使える。

 

 ――気か。確か、気というのは生命エネルギーだったな。仙術も生命エネルギーを消費して使う事が出来るとなると、仙術が発と考えればHUNTER×HUNTERの理論が使えるかも知れない。あれでは生命エネルギー=念なのだから。

 

「では、あの作品で恋姫の世界で問題無く使える能力とは? 求めるは汎用性と戦闘能力。ならばこれしかあるまい」

 

 気を糸へと変えていく。見えない刃こそ優秀な殺戮道具だ。罠にも使え、治療にも使える。

 

 ――うむ、最良である。鋼糸使いというのも黒歴史をくすぐるな。本命の武器が出来るまではこれでいいか。

 

「もっとも、鍛錬は必要か」

 

 気を使って身体を再生させながら逆立ちで腕立て伏せをしていく。

 

「お兄ちゃん、おはよー」

「ああ、おはよう。今日もやるのか?」

「うん!」

「わかった」

 

 起きてきた銀のストレッチと体操を手伝ってから格闘訓練に入る。武器を手放した状態でも戦えるようにする為と剣を使いながら格闘技も混ぜる為だ。

 

「今日こそ勝つ」

「掛かってくるがいい」

 

 殴りかかってくる銀の拳をいなして容赦なく腹に蹴りをいれて吹き飛ばす。懲りずに突っ込んでくる銀を徹底的に叩きのめす。

 

「直接的過ぎる。本命を隠せ」

「わかった!」

 

 朝餉の時間まで訓練を行い、井戸水で汗を流してから朝食を取る。それから銀は兵士達の訓練所へと向かった。私は執務室で粛清した者達が携わっていた政務を手伝った後、昼食を食べてから兵士を連れて街へと出掛ける。

 

 

 

 昨日で城側の膿は取り除いたので接収した館へと買い物してから向かう。そこで子供達を集めさせる。どの者達も怯えてしまっているが、これは仕方ないことだ。

 

「さて、お前達には5人ひと組になってもらおう。年齢別に一人ずつだ。別けろ」

「はっ」

 

 兵士達が子供達を均等に別けていく。それが終われば改めて趣旨を説明する。

 

「これからは班で行動してもらう。班員をよく覚えておけ。もし、班員が脱走したり、逆らえば連帯責任として全員を罰する」

「「「っ!?」」」

「年長者は下の者をよく世話をするのだな。さて、これから話すのは今後の貴様らの予定だ。しっかりと覚えろ。まず、起きたら軽い体操だ……」

 

 体操、朝食、文字の勉強、運動、昼食休憩、数字の勉強、集団行動、休憩、戦闘訓練、戦術訓練、夕食、体操、睡眠。こんな感じで繰り替えしていくように命令する。

 

「与えた課題が出来ない限り、飯は食べられないと思え。逆に優秀な成績を残した者は褒美を与える。私は無能には用は無いし、貴様らの両親とてそうだ。ここで技術と知識をしっかりと学べば取り立ててやる。せいぜい励め。では、配ってやれ」

「はっ」

 

 砂板とお菓子を全員に配ってやる。これがご褒美その1だ。他には出来高制にして食事が豪華になったり自由に選ばせてやる。採点方法は班による平均点なのでしっかりと教えあってくれるだろう。

 

「では、今から数字の勉強をするように」

「わかりました」

 

 召使いの何人かに任せて、執務室で特殊訓練教本を書き上げる。それを兵士に渡して運動などの時に使わせる。鬼教官のアレだ。

 

 

 

 

 城の次は街の中を掃除する。この街には人身販売組織が存在しているから特にこいつを纏めて処理したい。その為に2つの策を用意しておく。一つは完全武装の兵士達に貧民街を包囲させ、私服姿の兵士に距離を話してついてこさせる。そんな状態で一人でのこのこと身なりのいい服を着て裏路地をキョロキョロしながら歩いていく。それも情報にあった人攫いが出る場所をだ。つまり、周りから見たらカモが大金を背負って歩いているのだ。

 

 どんどん奥に歩いていくと、左右から人が飛び出してきて殴られる。私は自ら飛びながら気絶した振りをする。するとずた袋をかぶせて来た。もしもの為を思って首だけは手で防いでおく。

 

「兄貴、大物ですぜ」

「おう! 直ぐに戻るぞ!」

 

 しばらくすると何処かに放り込まれた。そのままガタゴトと動く物に乗せられて運ばれていく。まあ、馬車だろうな。

 

 それから数時間後、ようやく到着したようでずた袋から出された。

 

「おお、べっぴんじゃねえか」

「高く売れやすぜ!」

「そうだな! 俺達は酒を積んだ商人を襲ったぜ! 今日は祝杯だ!」

 

 多数の男が酒を飲みながら火を囲んでいる。連れてこられたのは山のようで、今居る場所は洞窟のようだ。その一室を牢屋にしているようだ。周りには少年少女や男性や女性が居る。私は木製の手枷を嵌められ、剣を取られてなかに入れられる。

 

 ――ふむ。夜襲は夜にするように命令してあるが……思ったよりも人が多いな。

 

「大丈夫ですか?」

「なんの問題は……な……い……」

「?」

 

 水色の髪の毛をした美しい女性が居た。これだけならばまだいいが、その後ろに母親に縋るようにして抱きついている小さな同じ髪の毛の幼女と紫色の髪の毛をしたぼーとしている幼女が居た。幼いが顔立ちに見覚えはある。そんな彼女達が首輪まで取付れられている。

 

「失礼した。貴方達も捕まったのか?」

「はい。商隊を組んで旅をしている所を……」

「そうか。そちらの2人は?」

「こちらが私の娘の鳳統士元と、商隊で一緒になった徐晃公明ちゃんです」

 

 ――飛んで火にいるなんとやらか。ご都合主義な気もするが……恋姫での雛里は天涯孤独だった所を拾われたんだったか。どちらにしても殺すには惜しいな。さて、どうするか……ここは助けて恩をうるか? まあ、いい助ける用意だけはしておこう。

 

 

 

 少しすると盗賊の人身販売組織の男達がやって来た。

 

「どうしやすか?」

「そこの女は身なりからして貴族だろうからそのまま置いておけ。それと餓鬼以外の女は連れていけ」

「「「へい、お頭!」」」

「あっ、餓鬼も何匹かいいですか?」

「好きにしろ」

「「ありがとうございやす!」」

 

 酒臭い男達が牢屋の中に入ってくると女性達と鳳雛が連れて行かれる。

 

「あわわっ、お母さんっ、お母さん!」

「む、娘だけはどうか!」

「何言ってやがる! 両方で楽しむんだろうが!」

「いっ、いやあぁあぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 連れて行かれる女達に男達は暗い表情をする。そんな中で思考を巡らせる。

 

 ――残念ながらまだ時間が掛かる。まさか包囲網から抜けられるとは思っていなかった。街中で終わる予定だったのが……ままならんものだ。

 

「ん?」

 

 考えていると徐晃が無理矢理手枷を外そうと力を入れて、腕の皮が剥がれて血が出てきている。

 

「やめておけ」

「……いや……助ける。友達だから」

「そうか。おい、お前は代価を支払えるか?」

「代価?」

「そうだ。私は無料で力をくれてやるほどお人好しではない。こう言っては悪いが、もう少しすれば領主軍が雪崩込んでくる」

「……雛里達は?」

「保証できんな」

「なら、駄目……力、くれるの?」

「そうだな。ぼ――こほん。私と契約して私のモノとなるならば力をくれてやろう」

 

 某無限の白い悪魔の台詞を言ってやる。

 

「わかった。力を頂戴」

「決断早いな」

「時間がない。早く」

「その通りだな」

 

 気で身体を強化して一気に叩き割る。直ぐに徐晃に近づいて顔を両手で持ち上げる。

 

「力をくれてやる。だが、耐えろよ」

「わかった」

 

 口付けを交わして唾液に大量の気を混ぜ込んで飲み込ませて一気に精孔を開けてしまう。こちらの世界で関羽や張遼と打ち合える徐晃の力を無理矢理に解放する。

 

「これでいけるはずだ」

「んっ! いけた」

 

 バキッと手枷が壊れた。次に徐晃は首輪の鎖を引きちぎった。その間に俺は隠し持っていたナイフに気を纏わせて鉄格子を切断する。

 

「おい、俺達も助けてくれ!」

「断る」

「なっ!?」

「なんでだよ!」

「貴様ら、戦えるのか?」

「ぐっ……」

「おとなしく枷を外して待っていろ」

「わ、わかった」

 

 外に出てから掛かっている鍵を取って牢屋の中に放り込んでおく。

 

「助けに行くぞ、徐晃」

「……必ず助ける」

 

 徐晃を連れて外に大きな音のする方向へと向かって走っていく。すると焚き火の灯りが見えて来たので一旦止まる。

 

「徐晃、少し待っていろ」

「わかった」

 

 音を消して移動し、酒を飲みながら見張りをしている男に短剣を3本投擲して喉と服を貫いて壁に縫い付ける。

 

「なっ」

 

 もう一つの見張りにも同じような接近して喉を切って殺す。壁にもたれかからせて音を立てないように下ろす。それから武器を回収する。

 

「いいぞ」

「ん」

 

 徐晃がこちらに来る間に部屋を調べる。扉があるだけで罠などが仕掛けられていないかを確認する。すると不用意にドアの持ち手を握ると毒針が飛び出すようになっていた。

 

 ――使えそうだから貰っておくか。

 

「武器」

 

 声に振り向くと徐晃が斧と剣を持っており、剣を差し出してくる。

 

「ないよりはマシか。斧は振れるのか?」

「……問題ない。手伝いで慣れてる」

「手伝い?」

「木こり」

「なるほど。では行くぞ」

「ん」

 

 2人で進んでいくと外から女性達の悲鳴が聞こえてくる。そっと外を伺くと目に映ったのは服を脱がされて組しかれている女性達だ。

 

「フォローはしてやる。思う存分、暴れろ」

「……了解」

 

 両手に複数の短剣を持って飛び出しながら、無防備に背中を向けている連中の首へと確実に短剣を叩き込む。

 

「がっ!?」

「ぎっ!?」

「いっ、いやぁあああああああああああああぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 私と同じように飛び出した徐晃が斧を振りかぶってこちらに向こうとしている男の首を跳ね飛ばす。

 

「雛里」

「あそこだな」

 

 母親に抱かれている裸の鳳雛の下へと向かう。徐晃は鳳雛の所で止まったが、私はそのまま突き進んで剣を引き抜きながら山賊を斬り捨てつつお頭と呼ばれている奴の下へと向かう。

 

「舐めたまねしてくれやがって! ぶっ殺せ!」

 

 立ち上がった奴は大きな斧、戦斧を振り下ろして来る。身長と筋力の差から受け止めればこの安物の剣など直ぐに砕かれるだろう。なので横に飛んで避ける。それを読んでいたのか、無理矢理に軌道を変えて戦斧で横殴りに叩きつけて来る。仕方ないのでそのまま踏み込みながら剣で腕を斬る。当然、吹き飛ばされるが自分から飛んで衝撃を和らげる。お陰で片腕が折れた程度ですんだ。

 

「ふむ。やはりまだまだか」

「余裕じゃねえか!」

「ああ、余裕だ。既に勝敗は決したようだ」

「何?」

「頭上を気を付けるがいい」

「そんな手には……うぉぉぉぉぉぉぉっ!?」

 

 上から沢山の矢が降ってくる。一応、踏み込んで周りの女性に命中しそうな矢だけは叩き落とす。掃射が終わった後、お頭と呼ばれた男の背中には無数の矢が突き刺さっていた。

 

「ま、まだ……」

「終わりだ」

 

 男を無視して徐晃の周りに集まっている敵を背後から奇襲する為に駆ける。

 

「まっ、待ちやがれ! 俺との勝負は……」

「断る。既に致命傷だ。勝手に死ね」

「くっ、くそがぁああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 叫び声にこちらを向いた連中を容赦なく背後から斬りながら無理矢理割り込んで徐晃の前に立つ。

 

「ご苦労。私達の勝ちだ」

「?」

「ど。どういう事で……」

「お前達、背後関係を吐かせる。数人は残せ」

 

 その言葉に向こうの方から沢山の兵達が包囲するように進んでくる。

 

 ――まだまだだな。足並みは揃っているが、完全に揃ってはいない。それに先程の矢は技量不足だ。私もろとも殺しに来るのならば話は別だが。

 

「投降するがいい。大人しく従うなら生かしてやるぞ」

「これは斬ってもいいよね?」

「駄目だ」

 

 やって来た銀がお頭と呼ばれた男をしっかりと拘束させていた。

 

「わ、わかった投降する」

「お頭がやられたら仕方ねえ」

 

 直ぐに縄で縛られていくので、俺は外套と上の服を脱いで裸にされている鳳雛とその母親に掛けてやる。

 

「ありがとうございます」

「あわわっ、ありがとうれしゅ」

「気にするな。おい、貴様らも服を脱いで彼女達にやれ。男ならば上半身裸でも構うまい」

「そ、そんなァっ!」

「黙れ。予定より速かったのは褒めてやるが、何故包囲を抜けられた。これは貴様らの職務怠慢だぞ」

「いやいや、ちゃんと見張ってましたよ!」

「ならばもっと危ないではないか! 外壁に抜け道があるかも知れぬぞ! 半数は即刻帰投して外壁の調査と城で受け入れる準備をさせよ。その結果如何によっては今回の事は不問としてやる。行け」

「「「了解!」」」

 

 脱兎の如く走り去っていく。

 

「残りの半分は洞窟内部の調査をしろ。まだ男達が捕らえられているから捕虜に案内させて救い出して来い。残りはこの場で警戒と死体の片付けだ。血の匂いに引かれて獣が来るぞ」

「「「はっ!」」」

 

 直ぐに兵士が洞窟へと突入していく。その中から一部の者がこちらに服を持って来た。

 

「その格好は駄目ですって」

「良い。上の者が率先して動かねばならんだろう。他の者に与えよ」

「ならせめて外套だけでもお願いします! 俺達が当主様達に殺されます!」

「むぅ、仕方あるまい」

「お父さん達、凄い起こってたよ。自分を囮にするなって」

「私が死んでも別に月が居るのだから問題なかろう」

 

 既に記憶体験によって何度も死を経験させられているのでどうしても死への恐怖というのは薄れてしまっている。

 

「ありありだよ!」

「まあ、そうなのだが、兵が弱すぎて変わりがおらん」

 

 ――軍備の増強はやはり必須か。銀達を囮になどできん。ならば生き残れる可能性が高い私が行く方がいい。

 

「黄泉!」

「今回の事は収穫があった。次回からはもっと鍛えてからにする。それよりも薪を拾って来い。彼女達に暖かい何か食べさせてやりたい」

「ぬ」

「直ぐに用意できませんって、この騒ぎで獲物は逃げているでしょうし」

「馬鹿か、貴様は。私は薪を拾ってこいと言ったのだ。食料など連中が用意していた物を使えば良い。どうせ盗品だろうが、私が許可する。ここに居る者達のならば後で支払えばよい」

「わかりました!」

「銀は調理道具を探して来い」

「うん!」

「さて、もう一つやらねばならぬな」

 

 後ろを振り向いて徐晃を見る。身体はボロボロで既に贈り込んだ気を使い果たしているし、このまま放置すれば生命エネルギーが尽きて死ぬだろう。

 

「徐晃、ご苦労だった。全て無事に終わった。よく頑張ったな。ゆっくりと休むがよい」

「あっ」

 

 斧を持ったまま離そうとしない徐晃の手を両手で包んで開いた精孔から気を流し込んでやる。すると力が抜けて斧を落としながら私に寄りかかってくる。

 

「っぅ~~~!?」

 

 よりによって折れている方に寄りかかられ、激痛がする。それをなんとか耐えて折れてない方で抱える。

 

「だ、大丈夫?」

「も、問題ない、大丈夫だ」

「あわわ、なっ、涙目です……」

「知らん。これは汗だ」

 

 地面に座って膝の上に徐晃の頭を乗せてやる。地面に寝かせるのは忍びないからな。

 

 

 しばらくすると銀が兵士を連れて戻ってきた。そこには解放された男達も居る。

 

「持ってきたよ~」

「では、こっちに来て座れ」

「うん!」

 

 座った銀の上に徐晃の頭を乗せてから移動し、比較的綺麗な短剣を焚き火に突っ込んで殺菌する。それから捕まえられていた鳥を解体する。それから鍋を火にかけて水を入れる。そこには骨を鳥の骨を入れて出汁を取る。こちらは灰汁を取りながら放置。次に短剣を再度消毒して野菜を斬っていく。痛みを我慢しながら。

 

「おい、野菜が殆どないぞ野菜が」

「なかったよ」

「ちっ、栄養くらい考えろ塵芥共め。詳しい奴にキノコとかを取ってこさせろ」

「わかった」

「あ、あの手伝いましょうか?」

「いらん。私も食べるのだ。下手な奴に作らせて毒でも盛られたら叶わん。邪魔だから其の辺にいろ」

(毒味させればいいだけじゃね?)

 

 木を取ってきて削って串にする。それで肉を差して塩胡椒で味付けをして炙り焼きにしていく。

 

「持ってきたよ」

「うむ」

 

 灰汁を取り、骨を抜いた後はそのまま何度か掬ってしっかりと骨を取った後、持ってこられたキノコを継承した記憶で識別して食べられるのを入れていく。

 

 ――ザルがないのは不便だ。

 

 鳥の汁物と焼き鳥を鳳雛達に食わせる。

 

「食べないの?」

「毒味だ毒味」

「さっきは自分で作るからいらないって言って――」

「腹は空いていない」

「――さっきはすいてるって――」

「作っている間に満腹になった」

「そういう事にしておくね!」

「くっつくな鬱陶しい。それに事実だ」

 

 そもそもこの人型の玉露たるこの体は食事を必要とするのかも怪し――。

 

「~~~~~~」

 

 ――抱きつかれた瞬間、無茶苦茶な痛みが突き抜けてきた。

 

「どうしたの?」

「な、なんでもないから離れろ!」

「えぇ!?」

「いいから他の連中の手伝いをしていろ。後で構ってやるから」

「わかった! 約束だからね!」

「ああ」

 

 さっさと治さねばこれはまずいだろうな。気を全力で使えば早く治せるだろうが、今は徐晃の為に使えん。万全な状態ならともかく、減った状態の今では何があるかわからんからな。

 

 

 

 

 




あれ、ツンデレ少女(♂)に……キノセイキノセイ

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