真・恋姫†無双~董家伝~   作:ヴィヴィオ

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本日二話目です


16話 汜水関での戦い

 

 

 

 

 反董卓連合

 趙雲

 

 

 

 

 

 

「なあ、風」

「なんですか?」

「何故私が義勇軍のトップとしてこのくだらん会議に出ねばならぬのだ?」

 

 目の前に繰り広げられている軍議とも呼べぬくだらぬ会議。

 

「それはですね~星ちゃんがメンマとお酒に釣られて引き受けたからですよ~」

「ぐっ」

「自業自得ですね」

「しかし、あの酒とメンマの為ならば後悔などしようか……いや、否! 後悔などあるはずもなし!」

「では諦めて待っていましょうね~」

「うむ。ところで酒は飲んでいいか?」

「駄目ですよ~zzzz」

 

 仕方ないので前を向く。

 

「それで、誰が総大将になるのですか?」

「名家である方ですわね」

「どうでもいいけれど早く決めて頂戴」

 

 軍議に参加している劉備が聞くと袁紹と曹操がそれぞれの意見を言う。劉備が促していく事で責任を取りたくなかった参加者達は直ぐに劉備の意図を理解して賛成していく。

 

「では、私が総大将ですわね。そうですわね、劉備さん。貴女が先方よ」

「ええっ!?」

「あ~私達も先方を引き受けますよ~」

「あら、貴方達は趙雲さんの軍の方でしたわね」

「ええ~劉備軍だけでしたら数も足りませんし、私達がいれば少しはましかと~でもでも、やっぱり数が足りないの名声は差し上げますので袁紹様の兵士をお貸しくれませんか~?」

「ふふふ、いいわよ。貸してさしあげますわ」

「ありがとうなのです」

 

 ふむ。風の奴め、どういうつもりだ? いや、どうせ主の命なのだろうが。まあ、これでくだらん会議が終わってくれたな。

 

 

 

 

 

 風

 

 

 

 やれやれ、計画通りに進めましたわね。問題は孫策さんですが~どうでますかね? おそらくですが劉備さんやこちらに接触してくると思いますが……お兄さんはすでに一旦外に出ているから問題ないですが。

 

「では、戻って流琉の飯でも頂こうか」

「そうですね~」

「あっ、あの、待ってください」

 

 振り返るとそこには劉備さんがいました。

 

「先程はありがとうございました。私達だけでしたらどうしようもありませんでした」

「助かりました。袁紹さんの兵士まで借りられるとは思いませんでしたが」

「いえいえ、謙遜はいらないのですよ」

「すまぬが話は戻ってからでいいか? ハラが減ってな。お前達も来るがいい」

「わかりました」

「お邪魔します」

「zzzz」

「「寝てる!?」」

「いたしかたなし」

 

 風を星ちゃんが抱えて運んでくれました。食事を食べながら軍議をしていきますが、お兄さんから預かった策を実行します。劉備さん達とは知り合いですし、問題ないでしょう~。ですが、先に謝っておきましょう~。ごめんなさいです~。

 

 

 

 

 

 

 香風

 

 

 

 

 

 汜水関の攻略。命令通りに出る。金色の兵を前に出して盾にする。

 

「ご主人様、孫策は動く?」

「さあな」

 

 ご主人様は顔を包帯で覆って外套を深くかぶっている。相手に私達の存在を知らせる訳にはいかないので香風も全身鎧で隠してる。

 

「罵倒、始まった」

「汜水関は簡単に抜ける。虎牢関が勝負だ」

「了解」

 

 まだ力を出せないけど、凄く楽しみ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 銀

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我こそは関羽!」

 

 叫び声が聞こえるけど無視するよ。だって、怒られるもん!

 

「敵さんがいっぱいだね~~」

「あわわ、そうですね。でも、大丈夫です」

「うん」

「董旻様! 出てよいか!」

「駄目だよ」

「ですが!」

「だ~め。まだ時じゃないよ」

「ぐう」

「だからあかんゆうたやろ」

「もうちょっと待ってくださいね」

 

 私もわくわくしてくる。

 

「あっ、我慢できないならこれを使えばいいよ」

「なんだこれは?」

「耳栓だよ!」

「なるほど!」

「兵士にも配りましょう」

「ええな」

 

 さて、時間はまだかな~? まだかな~? と雛里をちらちら見る。

 

「ぷい」

 

 目を逸らされた。残念。

 

「あ、あれってそう?」

「狼煙ですね。はい。あってます。華雄将軍、出ますか?」

「うむ? 出ていいのか? ならば行こう」

「霞さん、梨花さん、手伝ってあげてください。折を見て撤退してください」

「私も出るよ!」

「好きにしてください」

「うん! よ~し、皆! 旗を掲げて! これより敵軍を蹂躙する! だけど作戦は忘れないように!」

「「「おおおおおおおおおおおお!」」」

「弓兵隊、金色の袁紹軍に向けて矢を一斉掃射してください。皆さんの突撃の手助けをします」

 

 雛里の指示で矢が放たれ、門が開かれる。私は大鎌を構えながら前に居る騎馬隊を見つめる。

 

「全軍、いっくよ~~!」

「「「おおおおおおおお!!!」」」

「開門! 突撃!」

 

 門が開かれると騎馬隊が整列しながら槍を前方に構えながら突撃していく。敵兵を纏めて蹴散らしながら突撃していく。

 

「敵将の相手は私達でするよ。梨花は華雄将軍の補佐をお願い。それと捕まってきていいよ」

「了解しました。捕まる相手は見極めます」

「うん。じゃあ、私達も行くよ」

 

 皆が道を作り出してくれるのでそこから突撃する。そう、隊が開いて敵将の所まで進める道が一気に作られる。そこを駆けていくと直ぐに武将の姿が見えた。

 

「梨花はあの青い髪の人ね。私は関羽とかいう奴とやる。華雄将軍は……」

「私は奥に居る奴だ。奴とは因縁がある!」

「いやいや、あそこまで突っ込むつもりなんか!?」

「仕方ない。霞は手伝ってあげて。お前達は霞将軍の援護。私が劉備軍を相手するからね」

「「「了解!」」」

「近衛部隊が一緒なら助かるわ。でも、ええんか?」

「いいよ。ふふふ、全開でいくよ」

 

 私は突撃して劉備の旗へと一直線で進んでいく。

 

「桃香様の所へ行かせるか! この関雲長が相手だ!」

「邪魔だよ!」

 

 気を全開にして身体能力を強化。そして馬上から大鎌で斬りかかる。関羽は青龍偃月刀を盾にして防ぐけれど、そのまま吹き飛ばす。

 

「愛紗!」

「鈴々、頼む!」

「わかったのだ! うりゃりゃりゃ!」

「その程度で止められると思わないでよ!」

 

 ちびっこの槍と大鎌を打ち付けると同時に接触部分を武器に纏わせた気を爆発させる。

 

「うにゃぁぁぁぁぁぁっ!!」

「くっ!? 鈴々、無事か!」

「こいつ、無茶苦茶強いのだ!」

「総大将だからね!」

 

 私も馬から降りて対峙する。倒すことは出来るけど、今回は引くんだからね。

 

「総大将。つまり、こいつを討ち取ればいいのだな」

「お前が董卓か!」

「違うよ。私は董旻。お姉ちゃんの妹で軍部を全部預かってるんだ」

「鈴々、ここでこいつを討つぞ」

「ふ~ん。じゃあ、死なないように頑張ってね?」

「なめるなよ!」

「やってやるのだ!」

 

 2人が連携して襲いかかってくる。でも、でもね? 毎日毎日、ま~いにち戦ってる恋より弱い!

 

「うりゃりゃりゃ!」

「うにゃにゃにゃ!」

 

 張飛を弾き飛ばし、突き出された関羽の槍の上に飛び乗って踏み台にしながら背後に回ってその首を刈り取る。

 

「くっ!?」

「させるかなのだ!」

 

 突き出される槍を掴んで振り回して関羽にぶつける。

 

「終わり?」

「まだまだ!」

「負けないのだ」

「そうじゃなきゃね」

 

 さて、そろそろと思ったら撤退のドラが鳴った。

 

「ん~攻めきれなかったや。全軍、撤退! 殿は鄧艾がしてくれるから虎牢関まで全速力!」

 

 ドラが聞こえた皆が帰ってくる。華雄将軍は霞が掴んで持ってきてくれた。私は関羽と張飛を相手にしながら撤退の支援をする。

 

「ふむ。私が最後です。銀様、お引きください」

「うん。後よろしく」

「心得ました」

 

 梨花が門の所に立ちはだかってくれるので私はそのまま走り去っていく。そのついでに糧食などに火を放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鄧艾 梨花

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、ここを通りたければ私を倒して行くのだな」

「くっ」

「どうする?」

「鈴々は、鈴々はまだやれるのだ!」

「相手は私がする」

 

 突撃してきた者が振るう一撃を飛び退って回避する。地面を粉砕する巨大な戦斧の一撃は凄まじい威力を誇っている。

 

「……一騎打ち」

 

 外套にマフラーといった物で姿を隠しているが私が知っている者だ。

 

「いいだろう。相手をしてやる」

「本気で来い」

「いいだろう」

「おやおや、私の相手が取られてしまったな」

「一騎打ち。手出し無用」

「うむ」

 

 暴風のように振り回される戦斧。戦斧に剣を当てて軌道を逸らして戦うがまともに戦えば負けるな。

 

「ふむ。本気で挑ませて貰う」

 

 馬に乗せていた長剣を引き抜き、二刀で相手をする。戦斧の一撃を片手で逸らしながらもう片方の剣で狙う。

 

「甘い」

「ちっ、馬鹿力め」

「むっ、怒った」

 

 高速で振るう互いの武器が火花を散らす。回避を重点において防がねば直ぐに殺される。ただでさえ地面を粉砕される事で放たれる礫が容赦なく私の力を削ぐからな。剣で斬り飛ばさないといけないから大変だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 曹操

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目の前で行われている戦いは一瞬だがの油断も許されない状況での殺し合い。

 

「凄まじい強さね」

「私も負けていません!」

 

 春蘭が私の言葉に反応したけれど、嫉妬かしら。

 

「そうね。でも、あの2人も欲しいわね。手に入るかしら?」

「無理だろう」

 

 司馬懿は否定的のようね。しかし、今回は司馬師を連れてきていないわね。

 

「華琳様、どうしますか? あの中を門まで行くのはかなりきついです。射ますか?」

「おっと、手出しは無用に願います。一騎打ちゆえ」

「一騎打ちならば仕方ないな」

 

 関羽がこちらにやって来て秋蘭の言葉を封じてきた。関羽と秋蘭の言葉は聞くしかないわね。武人として一騎打ちに乱入する事は出来ないのでしょう。春蘭なら命令すればなんとかなるでしょうけれど。

 

「あらあら、門の前で一騎打ちとは面白いわね」

 

 孫策まで出てきたわね。でも、仕方ないわね。実質、門の前で待っているだけなんだから。

 

「朱里ちゃん、朱里ちゃん」

「なんですか桃香様」

 

 劉備と諸葛亮の話し声も聞こえてくる。

 

「見える?」

「無理です」

「だよねー」

「鈴々は見えるのだ」

「なんとか、でしょう。どちらの武も恐ろしいほど高いです。さぞかし名のある武将かと」

 

 戦いに目を戻すと敵側の将が足の裏で凪がするように気を爆発させていっきに加速して接近する。敵将としても予想を超える速さだったのか、簡単に剣が弾き飛ばされたわね。相手はどうにか両手を交差させて篭手で受けながら……これは自ら飛んだわね。

 

「ぐっ!?」

 

 吹き飛ばされる中、空中で体勢を入れ替えて背後にある砦の壁を蹴って戻ってくる。味方の将も突撃して迎え撃つ。互いに交差しながら斬り結び、敵将の残った剣も弾き飛ばされた。彼女は地面に足をつけて速度を殺しつつしゃがんで再度飛びかかっていく。

 

「武器もないのに飛びかかるとは、あっぱれだな北郷!」

「いや、死ぬぞあいつ!」

 

 一刀の言葉ももっともね。このままだと死ぬわ。

 

「違う。武器はまだある」

 

 相手と違ってこちらの子は余裕があるみたいね。喋りながら戦うなんてこちらにも意識を向けている証拠よ。

 

「やれやれ、身体が武器とでもいうつもりなのか?」

「違うわよ。あの眼は諦めていないわ。むしろ食い殺すつもりよ」

 

 秋蘭の言葉に孫策が楽しそうに答える。改めて敵将の動きを見ると篭手を操作している。

 

「むっあれは」

「おやおや、暗器ですか~」

 

 趙雲軍の軍師をしていた女の子が言ったとおり、敵将は篭手に潜ませた剣を出し、切り結ぶ。しかし、先程の長剣よりも短いので更に懐へと入り込まないといけないようね。

 

「強い」

「相手には事欠かなかったのでな」

「少し不満」

「そうか? 別の者なら違うというぞ」

「かも」

 

 強い相手と戦うのは武将としては嬉しいのでしょうね。だから、不満なのかしら。いえ、何かおかしい気がするわね。

 

「鄧艾将軍! 董旻様の撤退と機密文書の始末が完了しました! 撤退しましょう」

「逃がさない」

「だそうだ」

 

 振るわれた戦斧の一撃により篭手の剣も砕かれたようね。部下達の剣を受け取れば戦えるのでしょうが、どうするのかしら?

 

「投降する。代わりに部下達の命を助けて貰いたい」

「任せる。風、星」

「任せるのです」

「皆の者、捕えよ」

 

 大人しく武装を解除して縛についたようね。しかし、どうするのかしら?

 

「その者達はどうするのかしら?」

「もちろん、終わった後に仲間になってもらいますよ~強いですから~」

「うむ」

「あら、貴方達に使いこなせるのかしら?」

 

 どう見ても使いこなせるとは思えないわ。それにこうも簡単に投降するものかしら? いえ、目的を果たしたのだから考えられないでもないのですが、これから挽回が測れるという事かしら?

 

「問題はないですぞ。その時は私が討たれるだけなので」

「そう」

 

 それならそれでいいでしょう。これから汜水関に入ると、手枷を嵌められて鄧艾という者達は牢に入れられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 鄧艾

 

 

 

 

 

 

 地下牢に入れられて見張られている。私の境遇ならば仕方がない事だ。

 

「鄧艾様」

「大人しくしていろ。なるようになる。寝ていればいい」

「はっ」

 

 さて、恋達が来るまで待つとするか。それまで体力を回復させればいい。本番は次だ。

 

「誰か来るな」

「誰でしょうか?」

「静かにしていろ」

「はっ」

 

 やって来たのは趙軍の軍師とそのお供だった。

 

「包帯と食事を持ってきましたよ~」

「今から治療する。大人しくしていろ」

「わかった」

 

 治療を受けながら掌に押し付けられた紙を包み込む。直ぐに治療が終わり、食事が配られて去っていく。見張りの兵に見つからないように内容を見た後、パンの欠片と一緒に水で胃の中に流し込む。後はそのまま背中を預けて眠りに就いた。

 

 

 

 

 

 

 


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