不知火 灯の野望~姫武将に恋と遊戯を与えます~   作:騎士見習い

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プロローグ

聴こえてくるのは雄叫びに悲鳴、金属音と多種多様な音が百、千いや万とこの大地に溢れかえっている。その度に俺はこの時代の名を改めて実感する。

 

この時代は姫武将という年端もいかない女性たちが血で血を洗い、天下を統べようとして創られている。軍神に独眼竜や甲斐の虎、相模の獅子、尾張のうつけ者も毛利両川も教科書に載るほどの英傑たちもだ。

 

彼女たちは恋を奪われ、遊戯を奪われる代わりに武力を与えられ、軍略を与えられている。だから自ら、自由を捨てている。それを幸せことだと思っていることに憤りすら覚える。

 

 

───だから、強くなって、俺が彼女たちに恋を与え、遊戯を与える。この時代を少しでも変えるために……。

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも初めまして、俺の名前は……。

 

「その首ィ!頂戴いたす!!」

 

「え!?ちょ待ってくださいよ!今大事なところだから」

 

突如、出現した足軽。はいはい分かりますよ、足軽がなんでいるのか?それはですね……ここが群雄割拠の戦国時代だからなのです!!しかもただいま合戦中の真っ只中。

 

俺の優しい説明を邪魔するように足軽が横薙ぎに振るわれた槍を右手で掴む。

 

「んなっ!?」

 

必死に掴まれた槍を引き抜こうと力を込めているが、びくともしないことに驚きを隠せていない足軽。

 

「何者じゃ貴様ァ!人間の皮を被った鬼か!?」

 

「その質問に答えてあげましょうTime!俺はこの日の本にいる姫武将を片っ端から堕と……いえ、籠ら……でもなく、仲良くなるという野望を叶えるために未来からやってきた男!その名も……不知火 灯(しらぬい あかり)!」

 

全国に一世帯しかいない珍しく痛々しくかっこいい苗字である不知火。灯と書いて『あかり』と読む。そりゃあ初めはかっこいいと思っていたけど、時が経つに連れて、羞恥の方が勝るようになったんですよね。

 

だが、この時代なら俺の名前は大名とか武将っぽくて名乗るのが楽しいぃ!

 

「……そ、そうかい」

 

戦国時代の足軽を引かせてしまったことに心が傷ついてしまった。落ち込んでいる暇もなく、こちらに足軽B、足軽C……以下略が走ってきている。

 

「っとまぁ、そういうことなので俺は野望への第一歩を踏み出すためにお暇させてもらいます。では!」

 

煙玉を地面に叩きつける。視界が一気に真っ白に染まり、足軽たちが浮つく。

 

「こやつ、忍だったか!!」

 

見た目だけなら防具が籠手と脚絆しか装着してなくて、黒の装束を着てるもんね。って、これまるっきり忍者じゃん!え、えぇ~今更気づく足軽Aダメダメですやん。忍者なのに忍ばなかった俺も悪いのかもしれないけどさ。

 

 

実際、戦闘になっても勝ちは見えてますけどね。こちとら、数年前から未来から来たおかげで甲賀に伊賀、戸隠、真田、百地、霧隠、挙句の果てには風魔の人達と命懸けで修行してきたのですから。とまぁ、詳しいことはまたいずれ語るとしましょう。

 

身を隠すために雑木林に入り、木々の枝を足場にしながら駆ける。陽の光を葉で塞いでいるためか、湿気が強く薄暗い。

 

「自己紹介も済んだし、さて、どこの姫武将と仲良くなろうかなぁ?」

 

甲斐の武田信玄は凄まじい巨乳と聞く。風林火山の『山』という字の意味はおっぱいを指しているという噂もチラホラと。それとは逆に小田原城を居城とする北条氏康は難攻不落の城の城壁のように絶壁貧乳とも聞く。

巨乳を揉みたい、埋まりたい、吸いたい。だが、貧乳は感度が高いっていうし……。悩みどころだ。

 

 

 

苦悩している内にいつの間にか薄暗い雑木林の終点であろう山道が見えてきた。山道に近づくに連れて微かに声が聞こえてくる。

 

不審に思い、最大限音を殺しながら移動し、ちょうど山道付近の巨木の枝が山道の真上にあるため、そこに止まる。

 

「どうかそこを通させてください。私は今から奥州へ産物を売買するために赴きたいのです。ですからそこを」

 

「そうかいそうかい。そりゃあご苦労さんなこった。だがな、この道を通りたきゃあ通行料を払って貰わなきゃ困るわけよ」

 

「……生憎、金銭は奥州へ赴くための最低限のものしかありません。払いたくても払えないのです……」

 

「それりゃあ残念だ。あんたらはもう山道の中腹まで来ちまってるんだわ。だからその分はきっちり払って貰うぜ……体でな!」

 

茂みに隠れていた山賊?が出てきて数が数倍に増えた。

 

人助けにベタもクソもないんだろうけど、ここまでテンプレなのを見ると逆に萎えるというかなんというか。だがしかし!!めっさ可愛いやないか!!あの娘!ってな訳でお助け料は……。

 

「君の体で!!」

 

思いっきり枝を踏み台に飛び出す。衝撃で巨木が揺れ、葉が散る。

湿っている地面だけあって着地による反動はあまりないが、周囲に落ち葉が舞う。

 

「あ、貴方様は……?」

 

「不ぬ「誰じゃァァ!!わしらの邪魔をしやがって!」

 

この時代の輩は空気を読めないの?

 

「てめぇらこそ邪魔を済んじゃねぇ!!!俺の名前は不知「ガキの癖に強気じゃねぇかよ!」

 

またしても邪魔をされ、俺の中の何かが壊れた。

 

「俺の名前は不知火 灯じゃァァあ!!!」

 

 

 

 

怒りで我を忘れるというけど、実際記憶には残ってるもんだよ。さすがに女性の前でR18なことはできないから籠手のみで殴る殴る殴る殴る殴るを繰り返していた。

その結末としては、ボロ雑巾になり果てた山賊たちというわけなんだが。

 

「ありがとうございます。ほんと、なんてお詫びをしたらよいのか……何か私にできることはありませんか?」

 

き、キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!落ち着け俺。クールになれクールになるんだ。こんな絶好な機会を逃す手はない。本心をそのまま伝えるんだ。

 

「あなたが無事であるのならそれが俺にとっての最大の褒美です」

 

「ふぇ!?で、でもそれだ……」

 

人差し指で商人娘の口を止める。

 

「男が女性から貰っていいのは愛だけです」

 

「な、なら!貰っていただけませんか?……私の愛を」

 

貰いたい!!でも、でも、でも、でも、でも、折角野望への第一歩を踏み出したばっかりなんだ!こんなところでゴールなんてダメだ!!

 

「それはできま……せ……ん。あなたには俺よりも相応しい人が必ずいます」

 

「……分かりました。すみません私の我が儘に付き合わせてしまって…」

 

女性を泣かせるのは俺の信念に背く行為。だから。

 

「仮にもし、次あなたと出会い。あなたの気持ちが変わらないのであればその時はしっかりとあなたの気持ちにお答えします」

 

「はい分かりました!」

 

「では、俺はやるべきことがあるので……。さらば!」

 

一吹きの風と共に姿を消す。今日の夜は後悔で悶えるんだろうなぁ~。

 

「またどこかで」と、風に乗り聞こえてきたと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

行き先は決まった!!

 

「奥州の独眼竜!!待ってろよぉ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 




どうも騎士見習いです。
今後は時系列めちゃくちゃなので気にせず読んでてくださいお願いいたします。

とまぁ次回は奥州の独眼竜とのことで、ロリロリ行くぜよ!

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