艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

994 / 1086
話数と題名は変わりますが、前回の続きです

酔っ払いを介抱する貴子さん

彼には酔っ払った理由があり…


290話 ATAGO(1)

「ほらほら、どうしたのアレン君」

 

酔っ払いの正体はアレン

 

普段真面目一筋を描いた様な人物だからこそ、こんなに酔っ払うのは非常に珍しい

 

「へっ…先の大戦でっ、世界なんか吹っ飛びゃ良かったんだよ…」

 

既にアレンはヘロヘロ

 

何処からどうみても様子がおかしい

 

ゴミ置場に倒れ込むも、まだビールを煽っている

 

「どうしちゃったのよ…そんなに酔っ払っちゃってるし、そんな事言うし…ほらほら」

 

貴子さんに支えられるも、アレンはフラつく

 

「誰を信じていいかっ…分からなくなったっ…」

 

「ほら、ちょっと飲むのやめなさい。マーカス君と喧嘩したの⁇」

 

「あいつは良い奴だっ…喧嘩した所でっ…何も生まないっ‼︎俺の親友さっ…」

 

発端はマーカスではない

 

普段何やかんや言い合う場面は多々見るが、喧嘩は見た事がない

 

必ずどちらかがすぐに折れるからだ

 

「ピザ食べない⁇私の一枚あげるわ⁇」

 

「いや、いい…死んでやろうと思ってなっ…」

 

「ちょっと…」

 

本当にアレンの様子がおかしい

 

普段絶対にこんな事は言わない

 

「何があったの⁉︎アレン君⁉︎」

 

「そうすりゃっ…”愛宕は寂しくない”だろ…一緒に地獄でも何処へでも行ってやるさっ…」

 

「愛宕と喧嘩したのね…」

 

どうやら愛宕と喧嘩して、悪酔いをしている様子

 

「…」

 

「…アレン君⁇」

 

「んがっ…」

 

疲れたのか、アレンは急にイビキをかいて眠ってしまった…

 

「よいしょ…たいほう‼︎ちょっとそこで待っててね‼︎ママのピザはお持ち帰りって言っておいてくれる⁉︎」

 

「わかった‼︎」

 

貴子さんはアレンを背負い、医務室に向かう…

 

 

 

「アレンは何処行ったの⁉︎」

 

「それが、行方をくらませていて…」

 

その頃、横須賀ではアレンを大探ししていた

 

そんな中、貴子さんが医務室のある棟に来た

 

「ごめんくださーい‼︎」

 

「あ、はーい‼︎」

 

明石が飛んで出て来てくれた

 

「アレン君、ちょっと酔っ払っちゃってて…」

 

「あー‼︎いたー‼︎此方へどうぞ‼︎」

 

ベッドに案内され、アレンをそこに寝かせる

 

「珍しいわね…彼がこんなに酔っ払うなんて…」

 

「あぁ…良かった…彼、少しおかしくなかったですか⁇」

 

「酔っ払う事自体おかしいわね」

 

「あ‼︎貴子さん‼︎ありがとうございます‼︎」

 

息を切らした横須賀と親潮が飛んで来た

 

「明石、親潮‼︎アレンをお願い‼︎貴子さん、ちょっと此方へ…」

 

「了解です‼︎」

 

「畏まりました‼︎」

 

貴子さんを医務室から出し、横須賀はアレンが酔っ払った理由を説明し始める

 

「現状、詳細は不明ですが…愛宕が敵である可能性が非常に高いのです…」

 

「そう…」

 

「あまり驚かないのですね⁇」

 

「今更驚かないわ」

 

貴子さんは数多の出会いと別れに苛まれる人々を見守って来た

 

今更敵だと言われても、あまり驚かないのはその為だ

 

「マーカス君に頼んでみたらどうかしら⁇」

 

「もう訓練飛行は終わっていますので、此方に来るように伝えました」

 

「待ちましょう」

 

マーカスが来るのを二人で待つ…

 

 

 

 

「アレンが悪酔いか。分かった‼︎」

 

その一報はすぐに俺の所に来た

 

医務室に入る寸前、貴子さんと横須賀がいた

 

「来てくれたわ‼︎」

 

「レイ‼︎ちょっと大変なのよ‼︎」

 

横須賀から事の本末を聞く

 

「アレンはそれを何処で知った」

 

「第三居住区の解体作業中に書類を見付けて、元いた人に聞いたらしいのよ…」

 

「分かった」

 

いざ、アレンのいるベッドに近付く…

 

「どうした⁇お前が酔っ払うとは」

 

アレンは目を覚まし、俺の方を向いた

 

「…誰を信じていいか、分からなくなった」

 

「少し話を聞いたよ。俺が調べて来る」

 

「夫婦の揉め事に関わるとロクな事ない。俺が何とか…」

 

アレンは立ち上がろうとしたが、未だフラフラ

 

アレンの肩を抑え、ベッドに戻す

 

「お前の口から答えが聞けて良かった」

 

「…」

 

「死ぬなよ。死んでも何度でも蘇らすからな」

 

「…分かったっ」

 

このまま放っておくと、本当にアレンは愛宕と心中しかねない

 

「どうだった⁇」

 

「しばらくアレンに見張りを付けてやってくれ。貴子さん、隊長に少し出掛けると言っておいて下さい」

 

「分かったわ」

 

横須賀と貴子さんと別れ、ジープの発着場に向かう

 

「さてっ…」

 

ジープを借り、横須賀基地から離れる…


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。