艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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スカイラグーンに行く事になったマーカス達

このお話では、マーカスと迅鯨さんのお話になります


279話 駆けて行く、貴方の胸に落ちて行く(6)

「おいちかったれす‼︎」

 

「ごちそうさあでした‼︎」

 

「また一緒に食べましょうね‼︎」

 

ひとみといよは迅鯨に笑顔を送ると、視線を櫻井に向けた

 

「すかいあぐ〜んいきたい‼︎」

 

「つえててくらしゃい」

 

「珍しいですね…」

 

櫻井が言う珍しいとは、ひとみといよが急に何処かに行きたいと言った事

 

普段たまに接する機会はあるが、ひとみといよは何処かに行きたいと言うばかりか、二人で何処かに行く

 

それを今日、初めて明確に連れて行って欲しいと言った

 

「よしっ‼︎今日はお休みですから、高速艇で行きましょうか‼︎」

 

「じんげ〜しゃんもいこ‼︎」

 

「宜しいのですか⁇」

 

「あそこは中立だ。スカイラグーンなら、二人きりで過ごせる」

 

「隊長‼︎」

 

アレンとの朝食を終え、ひとみといよを探しに来た俺は、たまたま話を耳にした

 

散々親潮に盗み聞きは良くないと言っているが、どうも俺の遺伝らしいな…

 

「ひとみといよは連れて行こう。二人でゆっくりな⁇」

 

「えいしゃん、じんげ〜しゃんさきつえてて‼︎」

 

「さくあいしゃんといく‼︎」

 

「今日はどうしたんだ⁇」

 

ここで俺もひとみといよの異変に気付く

 

「何か話したい事があるのでしょう。隊長、私はお二人と共に高速艇で向かいます」

 

「分かった。迅鯨さん、此方へ」

 

「ありがとございます‼︎」

 

俺と迅鯨さんは秋津洲タクシーで

 

ひとみといよと櫻井は高速艇でスカイラグーンへと向かう…

 

 

 

「あの…今回はありがとございました」

 

「気にするな。良かったじゃないか、好きな人にまた会えて」

 

「はいっ‼︎」

 

二式大艇の操縦席に座り、バックミラーで迅鯨さんを見ながら離水する

 

スカイラグーンに着くまでの間、迅鯨さんは昔の事を話してくれた

 

 

 

迅鯨さんと櫻井は幼馴染

 

お互いに相思相愛で、結婚も考えていた頃、迅鯨側の親族が櫻井を養子に貰うと言い出し、迅鯨と櫻井は着の身着のまま、身一つで見知らぬ土地へと駆け落ちをした

 

そこが、戦争が始まる前の横須賀

 

幸せも束の間、迅鯨は実家へ連れ戻され、別の誰かと見合いをさせられる

 

が、迅鯨はそれを断り、ずっと櫻井と再会出来るのを待っていた

 

そして、今に至る

 

 

 

「もう忘れられてしまったのかと少し不安にもなりました…お子さんも一人居ると聞いています」

 

「忘れていたらあんな笑顔にはならない。大丈夫さ」

 

「ん…」

 

胸の前で手を組み、悩んでいるのか照れているのか、半々の表情をする迅鯨さん

 

「さぁ、着いた‼︎ひとみといよに朝ごはん、ありがとうな⁇」

 

「あ…あぁ‼︎いえ‼︎美味しく食べて頂けたので‼︎」

 

少しだけ迅鯨さんに微笑み、手で出口を指す

 

迅鯨さんが二式大艇から降り、俺もベルトを外す

 

「何か壮絶かも…」

 

「あの二人なら大丈夫さ。修羅場は終わった」

 

「かぁ〜っ‼︎レイさんは言う事が違うかも‼︎」

 

「ふふ…俺はスカイラグーンの機体の様子を見てくるよ。喫茶ルームでランチでも食べて待っててくれ」

 

「了解したかも‼︎」

 

秋津洲に見送られ、二式大艇を降りる…


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