艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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仮面舞踏会も遂にお開き

しかし、噴式仮面には最後に踊る相手が…


278話 真紅のドレスと踊る

サンダース隊の連中の治療も終わり、後はお片付けの時間

 

魔性の時間は終わり、夜は開けて行こうとしていた

 

「噴式仮面さん」

 

ふと、最後に呼ばれる噴式仮面の名

 

教会の中心を見ると、自分の妻に良く似た女性がいる

 

「貴方の最後のお相手は私よ⁇」

 

いつもより少しだけ可愛く見えた彼女の誘い

 

受ける、受けないを悩む最中に、体は彼女の方に向いていた

 

「私で宜しければ。お名前をお伺い願えますか⁇」

 

「横須仮面。そう呼んで頂戴」

 

「畏まりました」

 

横須仮面の手を取ろうとした時、彼女の表情に気付く

 

あぁ、ドレスと同じ、頬が真っ赤だ

 

「どうしてなのかしらね。貴方と良く似た人の手を握ると、この世で一番安心するの」

 

「私も同じ思いです」

 

ほとんど人が居なくなった教会の中心で、ラストダンスを踊る二人

 

曲の中盤に差し掛かり、動きは激しいものになる

 

「私と結婚してどう⁉︎幸せ⁉︎」

 

「分かりきっている事を‼︎聞かないで‼︎貰いたい‼︎」

 

口調も少しだけ、いつもの二人に戻る

 

「そんな答えを返すのね‼︎貴方らしくないわ‼︎」

 

「幸せじゃないと言ったらどうしますか‼︎」

 

「そんなの‼︎」

 

横須仮面はグルグル回り、俺の手元まで来て、ゆっくりな踊りへと切り替えた

 

「そんなの、私が貴方をもっと幸せにすれば良いだけの話よ」

 

「横須か…面…」

 

俺は本当に良い妻を貰った…

 

そう再認識させられた

 

あぁ…今見せられている“一人の少女に戻った妻”を見せられては、どうしようもない

 

心底彼女を好きなのだな、俺は…

 

「噴式仮面⁇幸せよ、私…」

 

「私もです…横須仮面…」

 

曲が終盤に差し掛かり、最後は二人でクルクル回る

 

「魔性の夜が終わるわ…」

 

彼女の一言で、夜の終わりが近い事にようやく気付く

 

「最後に何か、私に出来る事があれば」

 

「いつも貴方の妻が言ってる事、私にして頂戴」

 

二択だ

 

俺の妻が言っている事は二つ

 

「キスでもしたらどうかしら⁇」

 

もしくは

 

「コラーーーーーッ‼︎」

 

あって無いようなものだが、少しだけ後者を選んでみたくなった後、曲の終わりと同時に前者を選んだ

 

「ふふっ…抱き寄せちゃって」

 

「離したくないと言ったらどうする⁇」

 

「やぁよ。お片付けがあるもの」

 

最後に少しだけ横須賀に戻った彼女を堪能した後、二人は仮面を外す

 

「よーし‼︎ちゃちゃっとやるか‼︎」

 

「そうね‼︎パパッと終わらせておやすみしましょう‼︎」

 

こうして、二人の夜は流れて行く…

 

 

 

 

次の日、俺とアレンは再びてんてこ舞い

 

理由は、パイロット寮で脱水症状の連中が多数出たからだ

 

パイロット数名が点滴を受ける中、イントレピッドは何故かいつもの倍元気があった

 

ツヤツヤのイントレピッドを見る限り、昨晩はお楽しみだったようだ…




横須仮面…横須賀らしき人。何故かこれ見よがしに若い人がダンスに誘っていた為、噴式仮面とは最後に踊った

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