艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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目線がマーカス、アレンに切り替わります

曲が最後になり、代わるがわる踊る二人

そんな中、アレンは不思議な女性と出逢い…


278話 親友二人と魔性の夜

舞踏会もクライマックス

 

“最後ぐらい踊っといでさ‼︎”

 

“演奏は任せとき‼︎”

 

突然妖精達が来た

 

「おま…貴方達は宜しいので⁇」

 

“かまへんで‼︎”

 

“ぎょーさん食べたさかい‼︎”

 

「では、お言葉に甘えて。メッサーシュミッター」

 

「君達、頼んだよ」

 

妖精達に演奏を任せ、メッサーシュミッターと二人でダンスの相手を探す…

 

 

 

メッサーシュミッターはやはり子供達に人気があり、てんてこ舞い

 

最後はどうやら入れ替わり立ち替わりのダンスになりそうだ

 

「おとうさん」

 

まずは最初は赤城らしき女の子

 

赤い目元のマスクを付け、背中をチョンチョンして来た

 

「今は噴式仮面ですよ」

 

「ふんちきかめん」

 

「そうです。貴女のお名前は⁇」

 

「あかぎーぬ」

 

「では、あかぎーぬ。少しばかりお相手を」

 

「うん」

 

アカギーヌなのか、あかぎ犬なのか、どちらかは分からない

 

親潮辺りが付けたのだろう…

 

あかぎーぬは何処で覚えたのか、それなりに踊って見せてくれている

 

「ふんちきかめん」

 

「どうしまし…おっと‼︎」

 

あかぎーぬに肩を持たれ、クルッと回された

 

「ひゅぷのす」

 

振り返らされた先にはヒュプノスらしき少女が、白いゴスロリ調のドレスを着て待っていた

 

「噴式仮面さん、ごきげんよう。私は“眠り姫”お相手して下さらない⁇」

 

「もう少々おま…」

 

「ひゅぷのす、おどる」

 

今度はあかぎーぬに背後から肩を持たれ、動きを止められた

 

「あかぎーぬはいいの⁇」

 

「からあげ、たべたい」

 

あかぎーぬは目線を横にズラし、てんこ盛りのからあげいつものように指を小刻みに揺らす

 

「畏まりました。あかぎーぬさん、ありがとうございました」

 

「ありがと、ふんちきかめん」

 

あかぎーぬは本当にからあげの所に行ってしまった

 

「気を遣わせてしまったわね…」

 

「好意に甘えましょう。さぁ‼︎」

 

「ふふっ…」

 

眠り姫の手を取り、踊る

 

「素敵よ、噴式仮面さん⁇」

 

「貴方もですよ、眠り姫」

 

「ふふっ‼︎それっ‼︎」

 

眠り姫は俺の娘に非常に良く似ている

 

その娘には“絶対防御”と呼ばれる回避機能が備わっている

 

それを今使っているのか、絶妙に誘ってはヒラヒラと逃げる様な踊りを見せてくれている

 

「捕まえましたっ‼︎」

 

「あらっ…捕まっちゃったわ⁇」

 

手を取り合い、今度は緩やかに踊る

 

「噴式仮面さん⁇踊りたいお方はいないの⁇捕まえて来てあげるわ⁇」

 

「貴女と踊りたいと言えば、どうなりますか⁇」

 

「ふふっ‼︎それは聞けないお願いね⁉︎それっ‼︎」

 

眠り姫が俺を離す

 

「おっと‼︎」

 

「噴式仮面様⁉︎」

 

俺の最後の相手が決まる

 

「これはこれは。クラウディア・マスク…」

 

「最後のダンス、ご一緒にお願い出来ますか⁇」

 

「私で良ければっ」

 

始まりもクラウディア・マスク

 

終わりもクラウディア・マスク

 

俺のラストダンスは、クラウディア・マスクで終わりを迎える…

 

 

 

 

 

「ありがとうございます‼︎」

 

「此方こそありがとう‼︎」

 

メッサーシュミッターは子供達とのダンスが落ち着き、最後は女性と踊ろうかと思い、会場の真ん中をウロチョロしようとし始める

 

「あれ…いないな⁇」

 

ふと気が付く

 

橘花☆マンがいない

 

おそらく疲れて外の空気でも吸っているのだろう

 

「あ、あの…」

 

服の裾をクイクイ引かれる

 

引く位置的に子供かスパイトさんと思い、振り返って目線を落とす

 

「お⁉︎」

 

しかし、目線の先にはコルセット

 

どうやら大人の女性だ

 

「お…わ、私と踊って頂けませんか⁉︎」

 

「お⁉︎おぉ‼︎勿論だっ‼︎」

 

互いに焦りつつ、手を握り合う

 

黒い髪のショートカット

 

目元のシンプルな黒いマスク

 

ディアンドルに近い、白とベージュのドレス

 

中々の美人だ

 

最後のダンスに相応しいお相手だ

 

「わ、私の事は“ミス・リック”と‼︎」

 

「オーケー、ミス・リック」

 

ミス・リックはカチカチになっていた体を徐々に落ち着かせ、メッサーシュミッターに動きを合わせる

 

「あ、あの…メッサーシュミッターさん⁇」

 

「ん⁇」

 

「ずっとお慕いして、います…」

 

「…それはメッサーシュミッターとして、か⁇」

 

「り、両方です‼︎」

 

ミス・リックはまた緊張し始める

 

「俺は君を知らない…」

 

「いいんです、知らなくて…今夜は想いを伝えられる魔性の時間…私はそれに身を委ねてみたかったのです…」

 

ミス・リックは緊張しながらも微笑む

 

その微笑みは、何処か見覚えのある微笑み方だった…

 

 

 

 

「おやおや。メッサーシュミッターは最後は女性ですかっ」

 

「ほぅ⁇」

 

立食パーティーに来ていたマリナイトとヤッタネルソン

 

マリナイトは壁に持たれ、シャンパンを飲んでおり、ヤッタネルソンは彼の近くでからあげを食べている

 

「あの小娘、何処かで…」

 

ヤッタネルソンの目線の先には、顔を真っ赤にしながらも微笑むミス・リックがいた

 

「少し妬きますか⁇」

 

「あ、いや…それがだな、いつもなら少しは妬くのだが、あの小娘は何故か妬かないんだ…」

 

「ふふっ…後でメッサーシュミッターに言っておきましょう」

 

「マリナイト。それは妬く」

 

「畏まりましたっ。黙っておきます‼︎」

 

マリナイトとヤッタネルソンの立食は続く…

 

 

 

「ありがとうございます、メッサーシュミッターさん」

 

「此方こそ」

 

遂に舞踏会が終わる

 

ミス・リックは手を離れ、少し泣きそうな顔を見せながら教会を後にした…

 

「誰だったんだ…」

 

ミス・リックの謎を残し、魔性の時間は終わりを迎えた…




あかぎーぬ…赤城っぽい子。多分アカギーヌが正解

眠り姫…イクっぽい子




ミス・リック…謎の女性。中々出る所出てる結構美人の女性だが、誰だか分からない

ミス・リックは今回を含め二度しか出ていない。

なに、前回もいなかった⁇一回も出てない⁇

前回は浴衣を着ていましたよ

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