艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

947 / 1086
他人事いよちゃん


277話 シマエナガクリーナー(3)

「来た来た‼︎」

 

工廠では、俺ときそがスタンバイ

 

「ジョンストンちゃんは僕の所へ‼︎」

 

ジョンストンはきそがいるベッドに横になる

 

「ひとみといよはこっちな⁇」

 

ひとみといよは俺のいるベッドの上に座る

 

「すまないマーカス…私が目を離した隙に…」

 

「気にする必要はないさ。ひとみ、いよ、一応スキャンするからな⁇」

 

「すきぁん‼︎」

 

「すけすけです‼︎」

 

まずはひとみにきその作った手に巻き付けるタイプのレントゲン装置を近付ける

 

「どっか痛い所はないか⁇」

 

「おなかすいた‼︎」

 

レントゲンも特に異常はない

 

「一応、カプセルに少しだけ入ろうな⁇」

 

「こえ⁇」

 

ひとみの指差す方向には、カーテン付きの浴槽型のカプセルがある

 

貴子さんが入っていたのと同じ、カプセルの派生型だ

 

「そうだっ。いよも入るから、先に入って待っててくれるか⁇」

 

「あかった‼︎」

 

ひとみが先に浴槽型のカプセルの周りのカーテンを閉め、先に入る

 

「次はいよだな」

 

「えんとげん⁇」

 

「そうだっ。あのモニター見てるか⁇」

 

「みう‼︎」

 

いよをモニターの方に向け、レントゲン装置を近付ける

 

「すっけすけ‼︎」

 

「痛い所はないか⁇」

 

「のどかあいた‼︎」

 

いよにも異常は見られない

 

「よしっ‼︎いよもちょっとだけお風呂入ろうな⁇」

 

「あかった‼︎」

 

いよも浴槽に向かう

 

問題はジョンストンだ…

 

 

 

 

「どれどれ〜…」

 

きそも同じ装置をジョンストンに近付ける

 

きそは脳神経のプロフェッショナル

 

もし異常があれば一発で見抜いてくれる

 

「特に異常は無いみたい…あ〜っと、これだこれだ‼︎」

 

きその手が一定箇所で止まる

 

「頭を打ったのはホントみたいだね」

 

「治せるか⁉︎」

 

ヴィンセントが焦る目の前で、きそは頬を掻く

 

「治すと言うか、治ったが近いのかな⁇」

 

「どう言う意味だ⁇」

 

「ジョンストンちゃんは、何らかの影響で感情の神経が詰まってたんだ。それが今、衝撃で流れたって言えば分かりやすいかな⁇」

 

「凄い分かり易いな…」

 

「オッケー‼︎診察終了‼︎ひとみちゃんといよちゃんが上がったら、ジョンストンちゃんもお風呂入っておこうね‼︎」

 

「分かったわ‼︎キソ、ありがとう‼︎」

 

「いつだって‼︎」

 

ヴィンセントとイントレピッドが肩を落とす

 

三人共、特に異常はなかった

 

それどころか、ジョンストンに至っては詰まっていた神経伝達が流れ始めるというプラスまで産まれた

 

「また借りが出来ました、大尉」

 

「この間来てくれたお返しさっ‼︎」

 

ヴィンセントはほんの少し微笑みながら、軽く頭を下げた

 

俺も同じ行為をヴィンセントに返す

 

「さっぱい‼︎」

 

「ふっかつ‼︎」

 

「ヒトミ、イヨ‼︎お礼にランチ作ってあげるわ‼︎みんなで食べましょう‼︎」

 

「あんちたえる‼︎」

 

「おにく‼︎」

 

後はジョンストンが上がるのを待つだけだ…

 

数分後…

 

「サッパリしたわ‼︎」

 

「よかった…」

 

ピンピンしているジョンストンを見て、ヴィンセントは安堵のため息を吐いた

 

「ランチにしましょう‼︎」

 

「俺ときそは片付けたら行くよ‼︎」

 

「分かったわ‼︎美味しいの作るからね‼︎」

 

ヴィンセント達がパイロット寮に戻り、俺ときそは後片付けをする

 

「ビックリしたね⁇」

 

「床と屋根は抜けるもんだぞ⁇」

 

「そういやレイも落ちてたね⁇」

 

「あれはビビったな…よしっ‼︎片付け終了‼︎」

 

「行こ‼︎」

 

きそと共に、イントレピッドのランチに向かう

 

 

 

 

パイロット寮に着くと、キッチンではイントレピッドとサムがいた

 

ヴィンセントはジョンストンと、サンダース隊の一部の連中とポーカーか何かをしている

 

ひとみといよ、そして涼平がいない

 

「おかえりなさい‼︎ヒトミとイヨ、洗濯物干しに行ってくれたのよ‼︎」

 

「あの二人の日課さ‼︎どれっ、ちょっと様子を見に行くか…」

 

きそは既にポーカーに参加中

 

俺はひとみといよの様子を見に行く事にした

 

 

 

 

「れかい‼︎」

 

「いんとえしゃんの⁇」

 

「そうだよ‼︎」

 

何故か所々スレているイントレピッドの巨大な黒いブラジャーを、ひとみといよは二人掛かりで運んで、洗濯バサミで挟んで干す

 

その横には涼平がおり、二人を見ていてくれている

 

「いんとえしゃんのもういちつあう‼︎」

 

「でか〜い‼︎」

 

やっぱり所々スレているイントレピッドの巨大ブラジャー

 

今度は紺色を協力して干す

 

「隊長‼︎大丈夫でしたか⁇」

 

「あぁ。特に問題はなかった」

 

空の洗濯カゴを抱えた

 

「イントレピッドさん、あぁ見えて反射神経凄いですからね…」

 

「それでか…」

 

つまり、激しい動きをするから擦れるらしい

 

…そう言う事にしておこう

 

「おしぇんたくおわい‼︎」

 

「あんちにしあしぉ‼︎」

 

ひとみといよが戻って来たので、涼平と共に戻る事にした

 

「ヒトミ、イヨ‼︎ありがとうね‼︎」

 

「またよんれくらしゃい‼︎」

 

「いつでもきあす‼︎」

 

「さぁっ‼︎ランチにしましょう‼︎」

 

 

 

俺の前にもハンバーガーが置かれる

 

ひとみといよ、そしてジョンストンは床にマットを敷き、その上でイントレピッドのハンバーガーを頬張る

 

イントレピッドのハンバーガーはボリュームがあって美味しい

 

一度ジョンストンが作っているのを見たが、乗せ方を“パン・パン・肉”と間違っていた

 

あれは可愛かったな

 

「そう言えばマーカス⁇今週末教会でダンスパーティーがあるでしょ⁇」

 

「聞いてないぞ‼︎」

 

イントレピッドに言われ、また横須賀を疑う

 

「あ‼︎レイ‼︎いたいた‼︎」

 

匂いに誘われて入って来たかの様に横須賀が来た

 

「今週末、教会で仮面舞踏会をするのよ。また後で基地にも届くと思うけど…これね」

 

横須賀に紙を渡される

 

艦娘合同立食仮面舞踏会

 

少し前にやった舞踏会と違い、今回は仮面を付けてやるみたいだ

 

「今日配ってるのか⁇」

 

「そうよ。なぁに⁇また疑ってたワケ⁇」

 

「んな事はないさ。ないない」

 

「まぁいいわ。アンタの仮面はこっちで準備したから、絶対来て頂戴よ⁇」

 

「分かった」

 

この舞踏会でまた一波乱あるとは、誰も予想だにしなかった…


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。