艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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274話 ピザとニューティーチャー(2)

一方その頃俺は…

 

「マーカス君⁇今日は真面目にお願いしますね⁇」

 

「チェーン取ったら考えてやるよ‼︎」

 

相変わらず俺はチェーンで雁字搦めにされた上での試験

 

しかも今回は御丁寧にワイヤーまで絡めて来た‼︎

 

ここに入る時に所持品は没収されたしな…

 

「いいかババア‼︎俺は今のポジが良いの‼︎」

 

「昇進したら良い事が沢山ですよ⁇給料アップ、威厳もアップ、アレン君に命令も出来ますよ⁇」

 

「う〜ん…やっぱり最後は魅力的だ…」

 

何度聞いても最後のは魅力的だ

 

仕方ない。ここは違う場所から攻めるか

 

「あ〜ぁ‼︎ババアが試験官じゃあやる気でねぇなぁ〜‼︎」

 

「そう言うと思ってアメリカから試験官を読んでありますよ⁇」

 

「そっちに頼みたいね‼︎」

 

香取は眼鏡をクイッと上げて不敵に微笑んだ後、試験会場となっている教室から出る

 

「では、お願いしますね⁇」

 

「畏まりました。お任せを」

 

「おせーぞ‼︎」

 

「ごめんなさいね…」

 

「おぉ…」

 

入って来たのは金髪ボブカットのネーチャン

 

物凄い美人だ‼︎こう言うのを待ってたんだ‼︎

 

「ちゃんとテストが終わったら、先生がご褒美をあげますよ⁇」

 

「よし…」

 

しかも色っぽいと来た‼︎

 

「貴方のお名前を聞かせて下さいな⁇」

 

「マーカス・スティングレイ。大尉だ」

 

「私は重巡“ヒューストン”アメリカでは先生をしてるの。宜しくね⁇」

 

「よ、宜しく…」

 

「始めましょうか。よーい、スタート‼︎」

 

試験が始まり、取り敢えずは真面目に問題を解いて行く

 

「ん⁇」

 

急に左肩に重さが来た

 

それも絶妙に柔らかい重さだ…

 

「大尉は勤勉ですね⁇先生も良く分からない所があるのに…」

 

「…」

 

ここは試験に集中しよう

 

多分このヒューストン先生…

 

かなりの天然だ‼︎

 

「先生、いっぱい勉強出来る子は…だ、い、す、き…」

 

耳元でささやかれ、鉛筆を机に置く

 

「…いつもそんな感じなのか⁇」

 

「どうでしょう…先生は普通にしているだけですよ⁇」

 

「なるほど…こりゃあ生徒もいちころな訳だ」

 

「このチェーン、どうしたの⁇」

 

「毎回逃げるから縛られてるんだ」

 

「それはいけないわ…先生が解いてあげますね⁇大尉は解答を続けて下さい」

 

そう言うとヒューストンは俺の股間部の前に屈み、チェーンを外し始める

 

「…」

 

ヤバい…バレる…

 

実はとっくに外してあるのに…

 

「解けませんね…」

 

ヒューストンは顔を近付けてチェーンを解こうとしてくれている

 

「んー…余計に絡まりました…一本一本隙間から抜かないとダメですね…」

 

「なんだと…」

 

「マーカス君‼︎はしたない‼︎なんて事をさせてるのですか‼︎」

 

「へぇ⁉︎」

 

様子を見に来た香取先生が急に怒鳴った為、気の抜けた声が出る

 

「試験会場で…しかも教官にその様な事を…欲求不満ですか⁇」

 

「何の話だ⁇」

 

「ふぅ。やっと一本抜けました‼︎」

 

「大尉‼︎」

 

「だから何の話だ‼︎」

 

「ヒューストンさん⁉︎貴方大尉に何を言われたのですか⁉︎」

 

「香取さん。私は大尉に何も言われてませんよ⁇自主的にしていただけです」

 

香取先生の方を向いたヒューストンの手には、一本のワイヤーがあった

 

「あ、あら⁇先生、何か勘違いをしていたみたいですね⁇」

 

「なにと勘違いしてたんだ⁇」

 

「そのままですよ、マーカス君」

 

香取先生に言われ、目線を下げる

 

俺の視線に気付き小さく笑い、小さく首をかしげるヒューストン

 

そして、香取先生の後ろにある教室の窓ガラスを見る

 

「あっ」

 

そこでようやく気付いた

 

そう見られても可笑しくない構図が窓ガラスに映っていたからだ

 

「ヒューストン‼︎離れてくれ‼︎」

 

「どうしてですか⁇」

 

「傍から見たらヤバい構図になってるんだ‼︎」

 

「先生は気にしませんよ」

 

「俺が気になるっての‼︎離れてくれー‼︎」

 

ヒューストンが近付けた顔を退けようと頭を持つ

 

が、その構図も非常にヤバいものとなる

 

「マーカス君。答案用紙は⁇」

 

「とっくの昔に終わってらぁ‼︎持ってってくれ‼︎」

 

「もう少しです…もう少しだけジッとしていて下さいね⁇」

 

「マーカス君⁇本当はもう解いているのでは⁇」

 

香取先生が答案用紙を見ながら俺に話す

 

「ヒューストンが絡めたんだよ‼︎」

 

「何ですって⁉︎それはいけません‼︎先生も手伝います‼︎」

 

香取先生もヒューストンの作業を手伝おうと俺の前で屈む

 

「来るな‼︎頼むから‼︎ワイヤーカッターを持って来てくれ‼︎」

 

「分かりました‼︎ヒューストンさん、行きましょう‼︎」

 

「最初からそうすれば良かったですね」

 

香取先生とヒューストンが部屋から出て行く

 

「だいぶ天然だな…危ねぇ危ねぇ…」

 

二人が出てからすぐにチェーンとワイヤーを自力で解き、帰って来る前に試験会場から脱走した…

 

十分後…

 

「マーカス君‼︎持って来ま…」

 

二人が帰って来るが、そこに俺はおらず

 

「大尉、いませんね⁇」

 

「やられた…大尉は脱走癖があるの…」

 

「ヤンチャですね⁇」

 

香取先生が歯軋りをする横で、ヒューストンはのほほんとしている

 

「貴方なら大尉を手懐けられるかも知れませんよ⁇」

 

「頑張ってみますね‼︎」


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