艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

929 / 1086
話数、題名は変わりますが前回の続きです

見覚えがある顔が写っていた一枚の写真

誰かの“あの日”が少しだけ、終わりに近付きます


271話 Try Again With You(1)

地上に戻り、工廠から出て来た

 

「ガンビアだ‼︎」

 

港にガンビアが停泊しているのが見えた

 

「大尉‼︎傷病者をガンビアへ‼︎」

 

港で地下にいた深海の子達を担架に乗せている作業に混じっていたヴィンセントが来てくれた

 

「さ、もう大丈夫だ」

 

「アノ…」

 

「なんだ⁇」

 

「コレ、アリガトウ…」

 

担架に寝かされた彼女は、先程の写真が入った胸ポケットに手を当てる

 

「大切な人なのか⁇」

 

「ウン…トッテモ…コレヲミテ、キョウマデコレタ」

 

「きっと会えるさ。すぐにな」

 

「ン…」

 

彼女を見送る…

 

誰かの“あの日”が、ほんの少し終わりに近付く…

 

俺が出来るのは彼女達の治療と、もう一つ…

 

「さー‼︎データも集まったし、横須賀に帰ろー‼︎」

 

「そうですね‼︎アイスでも食べたい気分です‼︎」

 

「伊勢に連れて行ってやるよ。レイも来るだろ⁇」

 

「俺はもうひと踏ん張りしなきゃならん。急ぎの案件でな。すぐに追い付くから心配するな‼︎」

 

「そっか…早く来いよ‼︎」

 

荷物をまとめ、俺達は横須賀に戻る…

 

 

 

「あまり無理するなよ⁇」

 

「心配するな。すぐに終わるさ」

 

アレンとハイタッチした後、別々の道を行く

 

アレン達は繁華街へ

 

俺は空母寮へと向かう…

 

 

 

「あらマーカス‼︎一人は珍しいわね⁇」

 

空母寮の前に来ると、イントレピッドがパツパツのエプロンを来て玄関を掃いていた

 

「涼平はいるか⁇」

 

「いるわ‼︎リョーヘー‼︎マーカスがお呼びよー‼︎」

 

「すぐ行きます‼︎」

 

食堂に居た涼平はすぐに来た

 

「隊長‼︎お疲れ様です‼︎」

 

「出るぞ」

 

「は、はい‼︎」

 

涼平を連れて格納庫に向かう道中、工廠から医療道具一式を取る

 

この足でガンビアまで向かうつもりでいる

 

格納庫に着き、涼平をF6F-5Nの前に置く

 

「乗った事は⁇」

 

「いえ…リチャード中将の機体では⁇」

 

「なら良い経験だ。俺をガンビアまで連れて行ってくれ」

 

「り、了解です‼︎」

 

緊張感を露わにする涼平

 

震電で連れて行ってやりたいが、着艦フックがメンテナンス中だ

 

グリフォンでも構わないが、俺の着艦技術を見られたくない‼︎

 

なので、涼平にF6F-5Nを操縦して貰う事にした

 

「出ます‼︎」

 

二人を乗せたF6F-5Nが横須賀を発つ…

 

 

 

 

「ガンビアが見えて来ました」

 

「よし、着艦だ。落ち付いて行くんだぞ⁇」

 

「はいっ。こちらサンダース隊ファイヤフライ。ガンビア・ベイII、マーカス大尉をお連れしました。着艦許可を求めます」

 

《了解、ファイヤフライ。着艦を許可する》

 

無線を切った後、涼平は深く息を吐く

 

「進路適正、速度を落とすんだ」

 

「了解です」

 

涼平の着艦は、それは綺麗に決まる

 

俺みたいに歪んでいない

 

「よ〜し、上出来だ‼︎100点満点の着艦だ‼︎」

 

「ありがとうございます‼︎」

 

「ガンビアの艦内に入ったら、俺が呼ぶまで艦内を見学していてくれないか⁇」

 

「了解です‼︎」

 

涼平と共にF6F-5Nを降りると、すぐに艦内から出て来た男性に話し掛けられた

 

「大尉、先程の傷病者の容体は安定しております。診察をお願いしますと艦長からのお達しです」

 

「場所は⁇」

 

「医務室に一人。個室に五人です」

 

「分かった。涼平、行こう」

 

「はい、隊長」

 

涼平と共にガンビアの艦内に入る…

 

 

 

「この一角だな…」

 

“簡易傷病者病室”と手書きされた表札があり、後に数字が振られている

 

「隊長はいつもこの様な事を⁇」

 

「そうだな。艦娘達からはこっちの方が似合うって言われる。涼平はどう思う⁇」

 

「自分は医者の隊長も好きですが…パイロットの隊長の方が好きです‼︎」

 

「お前は良い子だっ。呼ぶまで艦内を見学していてくれ」

 

「おっ‼︎マーカスと涼平か‼︎」

 

タイミング良く親父が来た

 

「親父。涼平にガンビアの中を案内してやってくれ」

 

「オーケーオーケー‼︎さぁ行こう‼︎」

 

「はい‼︎中将‼︎」

 

涼平は目をキラキラさせたまま、親父に連れられて行った

 

「さて…」

 

手始めに1番と書かれた病室をノックする…


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。