「ないな…」
五人で探し回るが、それらしき場所は見当たらない
「地下にある、とまでは大湊側でも情報を得たのですが…」
「仕方ない…最強のコンシェルジュに頼ろう」
横須賀に通信を繋げる…
《親潮。この基地の地図を出せるか⁇》
《先程、大淀博士から伝達を受けてスキャニングをしているのですが…ジャミングの影響でしょうか、その施設に地下室は見当たりません》
「なら別の場所か…⁇」
考えろ…
何処にある…
俺なら何処に地下室を置く…
「あ…」
「何か案がありましたか⁇」
「工廠だ」
サラは工廠の隅に地下室の入り口を置いていた
工廠なら限られた人間しか入れないし、秘匿にはうってつけだ
「ここに無いと言われればそれきりですものね…行ってみましょう」
棚町が派遣した工作員と共に、工廠を目指す
「そういえば、名前を聞いていなかったな」
「申し遅れました。小林と申します、オルコット大尉」
「俺の名前は知ってるのな…」
「職業柄、自分の素性は露見せずに相手側を調べる事が多いもので…」
「そうだな…その気持ちは良く分かる」
良く似た事を昔していたからこそ、彼の言っている事は良く分かる
「…少し、関係の無いお話をしても⁇」
「楽しいのを頼むぞ」
「森嶋は元気ですか⁇」
「お。知り合いか⁇」
小林は工廠に着くまでの間、森嶋の名前を出して来た
「彼がSPをしていた時に知り合いになりまして…私の良き理解者です」
何故そのタイミングで森嶋と知り合いになったか、何となく想像が出来た
「彼が居なければ、私は本当に今ここの研究員だったのかも知れません」
粗方想像と合っているだろうが、ここは詮索しないでおこう…
「今度、結婚と出産祝いを持って行ってやるといい」
「分かりました」
この小林、飲み込みが早い
「さて…」
いざ工廠に着くと、再び五人が集まる
《創造主様。聞こえますか⁇》
丁度集まった所で、親潮から通信が入る
「どうした⁇」
《一部分はジャミングの影響下にありますが、大凡の基地一帯のスキャニングが完了しました。やはり地下施設は工廠にある模様です》
「ビンゴだ。誘導出来るか⁇」
《畏まりました。正面の扉から、一番奥に向かって下さい》
親潮の誘導で、俺達は工廠の一番奥に向かう
「爆弾だ…」
大淀博士の目線の先には、工廠で作られたまま放置されていたのは、イーサンに巻き付けられたのと同型の爆弾
「あっちは深海の主砲です」
健吾の前には、深海の艤装…その中でも人が携行可能なサイズの主砲がある
「地獄絵図だな…」
そう発した直後、大淀博士が俺の左側に来た
「今はレイ君の“助手”になるよ‼︎」
《創造主様。右の角にフェンスがございませんか⁇》
親潮の誘導で右を見るとフェンスがあり、カードキーとパスワードを打ち込む機材があるのが見えた
「ある。カードキーを通せば良いか⁇」
「大淀さんがハッキングしよう」
《待って下さい。その扉は、カードキーを通した後にパスワードを打ち込まなければ解錠出来ません。それに、一度間違えるとそのカードキーでは開かないシステムになっています。創造主様、通信を切り替えますね⁇》
親潮に何かを言おうと思った瞬間には、もう通信が切り替わった
《アタシがパスワードをハッキングして打ち込んだげるわ。いい⁇ちょっとでも力で開けようとしたら、もう開かないわよ⁇》
「ヘラか。助かる」
「見ておこっと…」
切り替わった無線の主はヘラ
ヘラなら電子施錠の機材をハッキングする位簡単だ
大淀博士はヘラの実力を見たいのか、パスワードを打ち込む機材を見始めた
《カードキーを通して頂戴》
ヘラに言われ、カードキーを通す
緑のランプが点き、パスワード入力画面になる
「よし、通した」
《待ちなさい》
あっという間にパスワードが打ち込まれていく…
《さ。開いたわ。気を付けて行きなさい》
「ありがとう、ヘラ」
《これ位いつでもっ。じゃあね》
ヘラとの通信が切れ、大淀博士とアレンがニヤケているのが見えた
「ヘラちゃんの早さにも関心したけど、やっぱりレイ君の子だね〜」
「ちゃんと意思は継がれてるな⁇」
「有り難い事だ。さぁ、行こう」
《そのフェンスの先に、地下に続く階段があります。そこから向かって下さい》
「地下には何がある⁇」
《現状は不明です。此方でも解析は進めていますが、地下がジャミングの影響が一番強いです》
「未知との遭遇、だな⁇」
《創造主様。どうかお気をつけて…》
「了解した。行って来る」
いざ地下へと足を踏み入れる…