艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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さて、269話が終わりました

パースはまたすぐに出て来ます

今回のお話は、少し前のお話で奪取した敵基地を第三の居住区にする為、その前段階として“怖いおじさん達”が視察に向かいます


270話 第三居住区建設区画視察(1)

ある日、横須賀に俺と隊長が招集された

 

会議室に案内され、中には既にラバウルの連中がいた

 

「今回の報告は早いわよ‼︎」

 

スクリーンに映し出される計画

 

いつもなら直前か当日に肝心な事を言う横須賀が珍しく事前通達ありにして来た

 

このまま癖も治れば良いのだが…

 

「第三居住区建設、か」

 

「そっ。一応計画はこっちで通したわ。ここには最高の建築士がいるからね」

 

恐らく涼平の事だろう

 

「今はまだ彼等が数十人在籍しているけれど、立ち退き要請が出た瞬間退去して貰うわ」

 

「どうしますか⁇更地にでもしますか⁇」

 

ラバウルさんがサラッと怖い事を言う

 

「エドガー。私達が言うと洒落にらなん」

 

「ふふっ。そうでした」

 

ここ最近、ラバウルさんはこうして冗談を言う様になっているらしい

 

が、いかんせん今の様に本気なのか冗談なのか分からない

 

「どの様な居住区になるのですか⁇」

 

今度は健吾が話す

 

「今の所は居住区画、それと、漁業組合を現司令部に作る案が上がってるわ⁇」

 

「ナイスな案だな」

 

アレンも納得の案

 

あの司令部施設は潰すには惜しい

 

なら、何らかの施設として利用した方が良い

 

「一応この居住区は完成次第、味方深海棲艦に手配していこうと思ってるの」

 

「その為の漁業組合か⁇」

 

「そっ。あの子達も日銭は欲しいはずよ。それに…ここから本格的に共存が始まると私は踏んでる」

 

「珍しく横須賀の案に反対が出ないな…」

 

隊長ならいつも横須賀の案に何らかの追加や指摘をしてくれるが、今回は無い

 

「この計画は既に各所の反対派の提督、司令部に届いてるわ」

 

「俺達は何をすればいい⁇」

 

「現地の最終チェックをお願いしたいの。隊長とラバウルさんには、レイとアレン、健吾を使用する許可を頂こうと」

 

「今の所、私は計画自体に反対は無い。何かあれば、私達も支援に伺う」

 

「私はウィリアムと同じ意見です。後は彼等次第ですね」

 

「よし‼︎そうと決まれば早速行こう‼︎」

 

「ちょっくら見て来ますか‼︎」

 

「善は急げ、ですね‼︎」

 

俺達三人は立ち上がり、すぐに向かおうとした

 

「あー‼︎ちょっと待って‼︎向こうには滑走路が無いのよ‼︎高速艇か何かで行って頂戴‼︎」

 

「分かった‼︎」

 

容易に高速艇を運転可能な面々がいるので、そんな事は問題なかった…

 

 

 

 

「イカさーん‼︎」

 

高速艇発着場で待機しているイカさんに、健吾が近付く

 

「これは中尉‼︎お疲れ様です‼︎」

 

「空いてる高速艇ありますか⁇」

 

「確か今日は三号艇が…」

 

イカさんは内ポケットから手帳を取り出し、今日空いている高速艇を調べてくれている

 

「そうですね、三号艇が今日は非番です」

 

「借りて行きます‼︎」

 

「どうぞどうぞ‼︎」

 

「アレ〜ン‼︎レイさ〜ん‼︎オッケーだよ〜‼︎」

 

「よっしゃよっしゃ‼︎」

 

「ちょっと待ってろ‼︎」

 

俺とアレンは工廠から荷物を入れた箱を持ち、高速艇の所に向かう

 

「よ〜し、ビスケットは持ったか‼︎」

 

「持ちました‼︎」

 

「水筒にお茶は入れたか‼︎」

 

「三人分入れて来た‼︎」

 

「なんだかよく分からんが武器は入れたか‼︎」

 

「いっぱい詰め込んだ‼︎」

 

「よ〜し‼︎健吾、錨を上げろ‼︎」

 

「アイアイサー‼︎」

 

「お気を付けて‼︎」

 

「「「行ってきまーす‼︎」」」

 

イカさんの見送りに返事をし、高速艇のエンジンを吹かした後、一気に現地へと向かう

 

 

 

 

「さてさて。着いたぞ」

 

「先客がいるみたいだな」

 

埠頭にはもう一隻、高速艇が停泊してあった

 

俺達より先に現地入りした人がいるらしい

 

高速艇を停めた後、アレンは内ポケットから紙を出した

 

「俺は司令部施設、健吾は兵器格納庫だな」

 

「俺は研究施設か…」

 

「全員、何かあったら連絡し合おう。健吾、レイ、タブレットの回線を常に開いとけ」

 

「オッケー‼︎」

 

「何も無い事を祈ろう」

 

三人散り散りになり、俺はケースを持ち、研究施設を目指す…


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