艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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トロッコ問題を目の前にしたアトランタ

果たして何方に行くのか…


266話 ベイビーギャルとパノラマ(2)

書類仕事も粗方終わり、後は昼食を待つだけだ

 

やはり執務室にいるアトランタは大人しい

 

ずっと電車を見ている

 

「じぅくおくか⁇」

 

「あにめ〜ろにちましょ‼︎」

 

ひとみといよは線路の周りに街を作って発展させて遊んでいる

 

そんな中、アトランタが動く

 

緑の兵隊を持って来て、線路に置き始める

 

「ひきこおす⁇」

 

「ぶっこおいすう⁇」

 

ひとみといよが物騒な事を言い始めたので、執務を終えた私も参加する事にした

 

「どれどれっ…」

 

アトランタの後ろに座り、様子を眺める

 

アトランタが緑の兵隊を並べているのは、ポイントを切り替えた先

 

道が二つに分かれており、片方には一人、もう片方には五人置いている

 

俗に言う、トロッコ問題が目の前にある

 

緑の兵隊を置き終わると、アトランタはひとみの方を見た

 

やれ‼︎と言いたそうな目だ…

 

「ひとみあこっち‼︎」

 

ひとみは一人の方にポイントを切り替えた

 

そして、一人の緑の兵隊は装甲列車に持って行かれた

 

ひとみがやり終わると、次にアトランタが目線を送ったのはいよの方

 

「いよこっち‼︎」

 

「すぷあった〜れす‼︎」

 

いよは五人の方にポイントを切り替えた

 

装甲列車に持って行かれる五人を見て、アトランタは目を見開いて輝かせている

 

そして、最後にアトランタが見たのは私の方

 

「私もか⁇」

 

「ろっちにすう⁇」

 

「ごにんぶっこおい⁇」

 

全員の視線が私に集まる…

 

「ま、まぁ、私はこうだな⁇」

 

流石に一人の方を選んだ

 

「「おぉ〜」」

 

「さすあれす‼︎」

 

「ひといれすんだ‼︎」

 

ひとみといよが拍手をし、最後に残ったアトランタの方を向く

 

「アトランタはどっちにするんだ⁇」

 

「ひとい⁇」

 

「ごにん⁇」

 

次はアトランタの番だというのが分かったのか、アトランタはポイント切り替えの所に目をやる

 

徐々に近付く装甲列車…

 

アトランタは皆のやっているのをちゃんと見ていたのか、ポイントの切り替えをする

 

五人の方に…

 

「すぷあった〜れす‼︎」

 

「きた‼︎」

 

装甲列車が近付いて来たその瞬間、アトランタは一人の方の緑の兵隊を手に取り五人の中に入れた‼︎

 

「な、なんだと…」

 

「ぜんぶっこおい〜‼︎」

 

「せんめつ‼︎」

 

無惨にも六人全員が装甲列車に持って行かれ、アトランタは拍手をして喜んでいる

 

その発想は無かった…

 

普通なら、止める努力をする‼︎だとかが出て来るはずの所を、アトランタは全て殲滅して無かった事にした

 

確かにこれなら目撃者もおらず、ウヤムヤに出来そうだ…

 

「ご飯出来たわよ〜‼︎」

 

貴子が来た

 

「ぱぱしゃん、あとれおかたつけちていい⁇」

 

「立派な街だもんな⁇後で写真撮ろうな⁇」

 

「うんっ‼︎」

 

「いってきあす‼︎」

 

ひとみといよが昼食を食べに行き、貴子とアトランタと私だけになる

 

「あらっ、アトランタ。電車で遊んでたの⁇」

 

私はふと気になった

 

貴子にトロッコ問題をやらせたらどうなるのだろうか…

 

「トロッコ問題で遊んでたんだ。な⁇アトランタ⁇」

 

アトランタは貴子の方を見ている

 

「どれどれ…私もやってみよっかな‼︎」

 

再び動き出す装甲列車

 

アトランタは装甲列車を眺めているが、私と貴子は緑の兵隊を見ている

 

「こっちね」

 

貴子はポイントを切り替えた

 

五人の方に…

 

「よいしょ」

 

そして、五人の方に一人の緑の兵隊を追加

 

装甲列車は六人全員殲滅して走り去った

 

やはりアトランタは拍手して嬉しそうにしている

 

やっぱり貴子に似たんだな…


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