艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

912 / 1086
さて、265話が終わりました

ここしばらく書きだめをしては、貼るのを忘れていました

自分では貼ったつもりでいたんです‼︎



ここ最近、自粛ムードが漂ってますね

私自身も御多分に漏れず、自粛しております

出掛けるとしたら、精々左肩のリハビリ位です

リハビリだけはしないといけませんからね

世間は暗いムードですが、アトランタの行動を見て、一分一秒でもホッコリして頂ければ幸いです


266話 ベイビーギャルとパノラマ(1)

次の日の朝

 

「哨戒任務に行って来る。アトランタ⁇また後でな⁇」

 

工廠に近い方の出入り口で、アトランタを抱っこした貴子さんが見送ってくれる

 

「マーカス君に行ってらっしゃいは⁇」

 

貴子さんがそう言うと、アトランタは俺に手を伸ばす

 

頭をアトランタの前に出すと、人差し指でクリクリして貰う

 

「もぅ…」

 

「ありがとう‼︎行って来るなっ‼︎」

 

アトランタなりの“行ってらっしゃい”みたいだ

 

俺を見送った後、アトランタは隊長のいる執務室に連れて来られた

 

 

 

「ぱぱしゃんおしおと⁇」

 

「おてつだいできう⁇」

 

ひとみといよが私の横で机の縁にぶら下がりながら、机の上にある書類を見ている

 

「はっはっは‼︎私でもサッパリだっ‼︎」

 

「さっぱいら〜‼︎」

 

「わからん‼︎」

 

私もヴィンセント中将と同じく、子供達が手伝える事なら仕事を与え、お小遣いあげる

 

一応貴子の知らない所でな

 

しかし、今のひとみといよには別の仕事が出来た

 

「ウィリアム。入っていい⁇」

 

「ははは‼︎いいぞ‼︎空いてる‼︎」

 

三人が爆笑する中、貴子さんが来た

 

「聞いてウィリアム。アトランタったら、マーカス君見送るのに頭撫でたのよ⁇」

 

「そうかそうか‼︎ちゃんと行ってらっしゃい出来たか‼︎」

 

「えいしゃん、よおこんれう‼︎」

 

「あとあんた、あいがと〜って‼︎」

 

貴子の心配を他所に、私達はアトランタのレイの扱い方を否定しない

 

「いいのかしら…」

 

「もしレイが怒ってたら、とっくの昔に私達は吹き飛んでるさっ」

 

「えいしゃん、おともだちだいじにすう‼︎」

 

「らいりぉ〜う‼︎」

 

長年付き合っている私が言える

 

もしアトランタがレイを怒らせたなら、とっくの昔に私達は粉微塵になっている

 

私はレイ本人ではないが、ひとみといよが言った通り、レイは味方をとても大切にする

 

そんな大切な奴に危害が加わると、レイは完膚なきまで叩きのめす

 

その光景を、私は何度も見て来た

 

現にアトランタにアークと一緒にご飯を食べさせてくれている

 

私の自慢の部下だ

 

心配する事はない

 

「ウィリアム⁇しばらくアトランタ見ていてくれる⁇」

 

「ひとみたちにおまかしぇ‼︎」

 

「でんしゃれあそびましぉ‼︎」

 

ひとみといよがアトランタの相手をしてくれる

 

早速おもちゃの線路を敷き始め、貴子に目線を戻す

 

「大丈夫そうね‼︎そうだウィリアム。マーカス君に晩御飯何食べたいか聞いてくれた⁇」

 

「貴子のハンバーグが一番好きらしいぞ⁇」

 

私がそう言うと、貴子は腕を捲った

 

「任せて‼︎そう言ってくれると俄然やる気出て来たわ‼︎」

 

貴子が執務室から出て、私は書類仕事

 

アトランタ達はおもちゃの電車で遊び始める

 

「ちんかんしぇんいきあ〜す‼︎」

 

「とっきぅ〜いきあ〜す‼︎」

 

ひとみといよが新幹線と特急電車を走らせ始める

 

アトランタはパースィーを線路に載せ、同じ様に走らせようとしている

 

「あいっ‼︎」

 

いよにスイッチを入れて貰い、パースィーも線路を走り始める

 

それを見たアトランタは、線路にトリケラトプスも置いた

 

「「あ」」

 

ひとみといよが声を出したのも束の間

 

トリケラトプスはパースィーに引き摺られて行ってしまった…

 

それを見たアトランタは、お腹の前で手を伸ばし、手を合わせる

 

レイと居る所を見ると、どうやら拍手しているみたいだ

 

「いっぱいはしあせう⁇」

 

「たくしゃんはしあせう‼︎」

 

ひとみといよが電車を沢山走らせる

 

「やあのてしぇん‼︎」

 

「あば〜あいな〜‼︎」

 

各都道府県に走っている電車達の名前を口にしながら、線路に置いて行く

 

アトランタも何か走らせたくなったのか、おもちゃ箱に向かい、中をゴソゴソし始める

 

「アトランタ…そんな物何処から…」

 

「じぇったいつおい‼︎」

 

「くっこおみたいになう‼︎」

 

アトランタが持って来たのは、ドイツ軍が使っていた“装甲列車”のおもちゃ

 

流石に少し気になり、書類仕事を一旦休め、三人の所に来た

 

「アークみたいになるのか⁇」

 

「いけ‼︎そこら‼︎」

 

「じぉ〜お〜へいかのたえに、ひきこおせ‼︎いまなあじこでしぉりさえう‼︎」

 

ひとみといよのモノマネで分かった

 

アークは機関車パースィーが出てくるアニメを見て

 

行け‼︎そこだ‼︎

女王陛下のために轢き殺せ‼︎

今なら事故で処理される‼︎

 

と、呟いているらしい

 

アトランタは装甲列車を線路に置き、走らせ始める…

 

「ぐぁ〜‼︎だっしぇん‼︎」

 

先ず最初に、昔東京で走っていた環状線が装甲列車に轢かれて脱線

 

「いけ‼︎にえきえ‼︎」

 

次に装甲列車が追うのは、特急電車“アバーライナー”

 

「らっしぇん‼︎」

 

必死に逃げるが、押し退けられる形で脱線

 

「ぱ〜すぃ〜‼︎」

 

「いけ〜‼︎ぶっこおいら‼︎」

 

残るはパースィー

 

しかも正面同士

 

装甲列車もパースィーもスピードを緩める事無く向かって行く

 

「いけ‼︎おしぇ‼︎」

 

「こんじぉ〜だ‼︎」

 

装甲列車VSパースィーの命の駆け引きが始まり、私でさえ釘付けになる

 

幾らおもちゃとはいえ、装甲列車

 

幾度と無く列車をなぎ倒して来た猛者だ

 

そんな奴に対して、パースィーは踏ん張るどころか押し返している

 

アトランタの丁度真ん前で争い始めた二両は、アトランタに気に入られようとしているのか、ほぼ拮抗…若干パースィーの押し気味のまま、勝負は佳境に入る

 

「あとあんた、たのちそう‼︎」

 

「おめめきあきあ‼︎」

 

二両の争いを見て、アトランタの目が輝いているのに気が付いた

 

…この血の気が多いのは貴子に似たんだろうな

 

「あ‼︎」

 

「ぱ〜すぃ〜、らっしぇん‼︎」

 

ここまで踏ん張って来たパースィーが、装甲列車にスタミナ負けし、遂に脱線

 

蒸気機関車が良く頑張った

 

アトランタもパースィーに拍手している

 

それに、どっちも気に入ったみたいだ

 

 

 

 

一方その頃…

 

《それで⁇アンタは線路になってるの⁇》

 

「線路にもなったし、オマハビーチにもなった」

 

いつも通り、平和な空

 

横須賀と無線で会話しながら快適な哨戒をする

 

今日はグリフォンにAIを入れていない

 

たまにはこうして慣らしておかないとな

 

「おっと。ブレイカーだ」

 

2時方向に猫の様な機体が3機見えた

 

ただ、目が赤色だ

 

もしかすると、此方に敵意を抱いているかも知れない

 

《IFFの反応は味方よ。お話してあげたら⁇》

 

「此方サンダーバード隊ワイバーン。そっちはどうだ⁇」

 

無線でそう伝えると、ブレイカーの目が青色に変わる

 

どうやら俺をステルス機の敵として認識していたらしく、話して味方と分かってくれたらしい

 

《コチラ、ブレイカーダイニブタイ。トウガイクウイキ、イジョウナシ。グッドラック、ヤタガラス》

 

「グッドラック、ナタリー」

 

《オナカヘッタ、ホキュウ》

 

《タコヤキタベル》

 

《ノドカワイタ》

 

どこの部隊も同じだ

 

ブツブツ小言を言いながら飛んでいる

 

《此方クラーケン。貴方達、スカイラグーンに行くの⁇》

 

《オナカヘッタ》

 

《今日の補給見ましょうか⁇》

 

《タコヤキ‼︎》

 

《コーンフレーク‼︎》

 

《チュロス‼︎》

 

3機共食べたい物が違うらしく、それぞれが別の物を口に出す

 

《パンケーキらしいわ⁇》

 

《グァー‼︎》

 

《パンケーキ‼︎》

 

《タベタイ‼︎》

 

「気を付けてな⁇」

 

《サンキュー。ヤタガラス、クラーケン》

 

ブレイカー第二部隊との通信が切れたと同時に、俺の哨戒任務も終わる

 

《さっ、アンタも補給よ‼︎帰還しなさい‼︎》

 

「了解」

 

《にしてもアンタ、グリフォンでもヤタガラスって呼ばれてんのね⁇》

 

この機体に乗り換えてから、様々な名で呼ばれる事が多くなった

 

艦娘達からは“グリフォン”

 

一部の深海の子達からは“ヤタガラス”

 

そして、俺ひっくるめて呼ぶ“ワイバーン”

 

「誰かに呼ばれるってのは、幸せな事さっ。親潮は横にいるのか⁇」

 

《今は赤城とお散歩に行ってるわ⁇着陸して探して見たらどう⁇》

 

「そうさせて貰うかなっ」

 

話している内に、横須賀が見えて来た

 

横須賀に着陸し、二人を探す事にする…


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。