「ビビリ‼︎起きろビビリ‼︎」
「はっ‼︎」
アークに起こされて目が覚め、起き上がって額を触り、一応出血がないか確認する
「派手にやられたな⁇」
「強過ぎるだろ…アトランタはどうした⁇」
「そこにいる」
アークの目線の先は俺の目の前
「おっ‼︎アトランタ‼︎オヤツ食べたか⁇」
そこにはアトランタが足を広げて座っており、俺に呼ばれて俺の目を見ている
「ビビリ。これをアトランタにやってみてくれないか」
「どれっ…」
アークに渡された小さなカップには、抹茶のムースが入っている
アークがアトランタの為に作ってくれたオヤツだ
「タカコにも許可を入れた。これならきっと食べられる‼︎」
「よしっ。アトランタ、オヤツだぞ〜」
「おしゃぶりを取ろうな」
スプーンで抹茶ムースをすくい、アトランタの口元に持って行く
アトランタは薄緑色の抹茶ムースを見るなり、目をキラキラさせている
「「あ〜んっ‼︎」」
俺達の問い掛けに、アトランタは口を開けてムースを食べた
「美味しいか⁇」
初めて口にした、母乳以外の物に不思議な感じがしているのか、俺達を何度も見たり、ムースの入っている器を見たりとキョロキョロしている
「いっぱいあるからな⁇」
もう一度スプーンを持って行くと、アトランタはすぐに口を開け、ムースを食べる
アークの抹茶ムースを気に入ってくれたみたいだ
「作り甲斐があるな‼︎」
「美味そうに食うな〜‼︎」
あっという間に抹茶ムースは無くなり、アトランタは器の中身を見せろ‼︎と手を伸ばす
「ごちそうさまだなっ⁇」
器の中が空っぽなのが分かると、俺を睨んだ
「ゔっ…」
無くなったのはお前のせいだ‼︎もっとムースを寄越せ‼︎とでも言わんばかりに睨んで来る…
「マーカスお兄さんはお昼ご飯の時間だ‼︎アークと遊ぼうな⁇」
アークに抱っこされ、アトランタはおもちゃの前に連れて行かれた
「レイ…大丈夫か⁇」
「これ位大丈夫さ‼︎」
ようやく食堂の椅子に座ると、隊長が心配してくれた
側から見ると俺はボコボコにされているらしい
「執務室にいると大人しいんだがなぁ…」
「普段は執務室にいるのか⁇」
「机とソファーを壁にやって、マットを敷いた上でひとみといよが付いていてくれてるんだ」
「大体いてくれるのよ⁇アトランタが危ない物を触ろうとしたり、口に入れたりしようとしたら、ちゃんと「こっちにちましぉ〜え‼︎」とか、「こっちたべあしぉ〜‼︎」とか言ってくれるの」
「意外だな…」
貴子さんはニヤケ顔で子供達の方を見た後、隊長の方も同じ顔で見た
隊長が口元で手を組みながら冷や汗を流している
ひとみといよが普段から貴子さんがいない時に真似をしているのを、貴子さん本人は知っていた
それをやらせているのは隊長
こりゃあ爆弾が落ちるな…
「お、俺、工廠に居るよ‼︎」
「分かった。ありがとうな⁇」
アーク達と遊んでいるアトランタを横目で見ながら、俺は工廠へと向かう