艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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262話 雷鳥を線路として使うベイビーギャル(3)

「アトランタいい⁇暴れちゃダメよ⁇」

 

アトランタも朝ごはんが終わり、食堂に帰って来た

 

俺はひとみといよとたいほうとで、たいほうのミチミチフィギュアで遊んでいる

 

「あとらんた‼︎あたしたいほう‼︎」

 

妹と教えられたたいほうは、アトランタに自分の名前を教えようとしている

 

「たいほうだよ‼︎」

 

アトランタはたいほうの方を向き、床に散らばっている恐竜のフィギュアに目をやる

 

「これはらぷとるだよ」

 

たいほうがラプトルのフィギュアをアトランタに見せた時、アトランタは一瞬後ろに下がった

 

どうもラプトルが嫌いらしい

 

「こえは、といけあとぷす‼︎」

 

ひとみが見せたトリケラトプスのフィギュアは手に取った

 

「こえは、ぶあきおさううす‼︎」

 

しかし、いよのブラキオサウルスは後ろに下がる

 

何かが怖いらしい

 

アトランタはその後すぐに俺達の元を離れ、その辺をハイハイしながらウロつき始める

 

しかし、俺の目はアトランタの方にある

 

赤ちゃんだから気になると言うのも勿論あるが、もう一つはいつ殺られるか分からないからだ

 

だが、その心配もなく、アトランタは外を見たり、ソファーに座っている母さんの足をトリケラトプスでつついたりしてそれなりに遊び始めた

 

数十分後…

 

「マーカス‼︎そっちに行ったわ‼︎」

 

母さんの言葉で気付く

 

「アトランタも遊…おぉ⁉︎」

 

寄って来たアトランタは、俺の腕をグイグイ押す

 

「どうしたんだ⁇」

 

ふとアトランタの手を見ると、奴がいた

 

奴だ。パースィーだ…

 

「わ、分かった…」

 

アトランタが言いたいのは、 早くうつ伏せになれ‼︎パースィーを投げるぞ‼︎だ

 

俺はアトランタの目で訴えかけるがまま、カーペットにうつ伏せになる

 

そして思った通り、アトランタは俺を登り始めた

 

「ちゃんぴぉ〜ん‼︎」

 

「いっと〜しぉ〜‼︎」

 

アトランタは俺を登頂した後、必ずチャンピオンポーズを取る

 

ひとみといよもそれに合わせてくれている

 

「だ、だめだよあとらんた‼︎すてぃんぐれいたおしたら‼︎」

 

ただ一人、たいほうだけが俺の心配をしてくれている

 

「いいんだたいほう。ありがとうな⁇」

 

「すてぃんぐれいおもくない⁇」

 

「重くないよ。大丈夫‼︎」

 

そんな俺達を気にも止めず、アトランタはたいほうに、登る前に置いて来たトリケラトプスを取れと目で訴える

 

「はい‼︎」

 

たいほうからトリケラトプスを貰い、アトランタはパースィーと一緒に遊び始める

 

背中でたまに4本足がスライドしているので、トリケラトプスも汽車ポッポになっているのだろう…

 

 

 

「マーカス君…ほんっとごめんなさい…」

 

「…」

 

数十分後、貴子さんが様子を見に来てくれたが、俺の反応は無い

 

「えいしゃんねてう」

 

「あとあんたのってすぐにねた」

 

「そっか…」

 

アトランタが背中で走らせるパースィーとトリケラトプスが微妙に気持ち良く、気が付いたら眠っていた

 

それでもアトランタは俺を線路にする事を辞めず、ずっとパースィーとトリケラトプスを背中で走らせている




トリケラトプス…アトランタの第二汽車ポッポ

アトランタがたいほうのミチミチフィギュアシリーズ“恐竜”から強奪した、緑色の体で二本のツノを持つ草食恐竜のフィギュア

ツノだけは柔らか素材

機関車パースィーは投げたり打撃武器として使うが、このトリケラトプスは何故か投げたりしない

アトランタはトリケラトプスもマーカスの背中に乗せて、パースィーと一緒にスライドさせるのがマイブーム

対地+1

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