前回のお話の続きですが、一気にお話が暗くなります
大淀と束の間の休息を楽しむマーカス
そんな中、最悪の一報が入ります
いつも横須賀が座っている、間宮に入ってすぐ右の席に腰掛ける
「イチゴパフェだって‼︎大淀さんはこれにしよっと‼︎レイ君なにする⁇」
「チョコパフェにしようかな」
「すみませーん‼︎イチゴパフェとチョコパフェ下さーい‼︎」
「畏まりました‼︎」
大淀が大声で注文すると伊良湖の声がした
「しっかし災難だったねぇ⁇」
「子供に懐かれないのはちょっと寂しいな…」
鼻の傷なんか、とうに癒えている
少しばかり傷心なのは、死ぬ程アトランタに好かれない事だ
叩きのめして上に乗られてレールになるのは懐かれていると言っていいのか微妙な所だ
「レイ君は子供に好かれるもんね〜。大淀さん、羨ましいなぁ〜」
「懐かれないのか⁇」
「懐かれてるというか…え〜と、う〜んと…扱いがザツいというか…」
「メガネか⁇」
「…そう」
大淀は最近、大淀である事が多い
大淀は元から絡みやすい性格もあり、傍から見ればかなり懐かれている
が、当の本人は子供達から十中八九付けられる“メガネ”というあだ名が気に入らない様子
「知ってるかいレイ君‼︎大淀さん、橘花☆マンにも出てるんだよ⁉︎」
「オペレーターだったか⁇」
「そう‼︎オペレーターの“オーヨドン”‼︎」
橘花☆マンに出演している大淀を見るのは面白い
いつもの厨二病が消え、如何にもオペレーターらしい話し口調で話す姿が見れる
しかし、それは作戦中のみ
会話パートでは素に戻る
「いいよねぇ〜。健吾君は橘花☆マンって呼ばれるし〜、アレン君はメッサーとかシュミッターって呼ばれるし〜。大淀さんだけなんだよ⁉︎十中八九メガネなの‼︎」
「オーヨドンがいいのか⁇」
「メガネよりはマシとは思わんかね‼︎」
大淀との会話で、少し気が安らいだ
「あぁ‼︎そうだレイ君。今度、橘花☆マンに新しいキャラが登場するんだけど、配役が見つかってないらしいんだよ」
「…どんな感じなんだ⁇」
突然放られた、橘花☆マンのリーク情報
橘花☆マンは子供が見るとアクションが激しく面白いが、大人が見るとストーリーがかなり濃くて面白い
「橘花☆マンが好きな子が良いんだって‼︎」
「橘花☆マンが好きな子ね…」
真っ先に思い浮かぶ、イーサンの顔
子供達の中で、一番橘花☆マンを良く知っているのはイーサンだろうな…
「お待たせしましたー‼︎イチゴパフェと、チョコパフェです‼︎」
「おっ‼︎美味しそうだねぇ‼︎頂きまーす‼︎」
「頂きますっ‼︎」
スプーンを手に取り、いざ一口目を食べようとした時だった
「大尉はいますか‼︎」
「なんだ⁇」
整備兵の一人が間宮に来た
様子を見る限り、息を切らし、何か焦っている様子
「近海にイーサンが…」
「こんな時間にか⁇そんな年頃なんだろ⁇」
半笑いで返した自分自身を、次に整備兵が返した言葉で恨んだ
「それが、体中に時限式の爆弾が巻かれて…」
それを聞いた途端、スプーンを置いて革ジャンを着た
「イーサンは何処だ」
「此方へ‼︎」
「大淀さんも行こう‼︎何かお手伝い出来るかも‼︎間宮ちゃん‼︎ごめん‼︎お代は後で払いに来るから‼︎」
「畏まりましたー‼︎」
三人で間宮を出てイーサンの居る場所を目指す為、工廠へと急ぐその途中、イーサンが見えた
「あそこに‼︎」
「あぁ…」
雷電姉妹達が爆弾を解除しようと試みているが、イーサンは泣きながら暴れている
「博士。ジェットスキー乗れるか⁇」
「乗れるよ。曳航かい⁇」
「イーサンの体に巻かれた爆弾を沖で解除する。出来るか⁇」
「やってみよう‼︎」
工廠の裏に着き、ジェットスキーの発着場前で工具箱の準備をする
「よし。博士‼︎そっちは⁉︎」
「これでオッケー‼︎レイ君、安定剤入れたかね‼︎」
「入れた。行こう‼︎」
「大尉‼︎博士‼︎よろしくお願いします‼︎」
「きそを呼んでおいてくれ‼︎」
「了解しました‼︎」
ジェットスキーのアクセルを入れ、大淀博士と共にイーサンの居る沖を目指す…