艦隊これくしょん~“楽園”と呼ばれた基地~   作:苺乙女

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255話 無表情の君(5)

「大尉殿」

 

「ん⁇」

 

大発ちゃんを弄りながら、神州丸は胸の内を話した

 

「実は、大尉殿を少し恨んでいたであります」

 

「すまないな、父さんをこき使って」

 

「こうして連れて行って頂いてる時点でそれは無くなったであります」

 

「さっ、着いた」

 

パイロット寮の扉を開けると、ラウンジでサンダースの連中と親父とヴィンセントが固まってトランプをしていた

 

「隊長‼︎お疲れ様です‼︎」

 

「おっ‼︎マーカス‼︎も一人出来たか‼︎」

 

「違わい‼︎涼平、親父フルハウスだぞ‼︎」

 

「え⁉︎マジですか⁉︎無理じゃん‼︎」

 

「手の内を明かすな‼︎」

 

全員が笑う中、森嶋の背後に回る

 

別に俺がパイロット寮をウロチョロしていてもおかしくない為、すぐに森嶋の背後に回る事が出来た

 

そして、神州丸を抱き上げ、森嶋の首根っこにくっ付けた

 

「おっととっ‼︎隊長⁉︎」

 

「神州丸。その人が父さんだ」

 

「「「え⁉︎」」」

 

「中々聡明な顔付きであります」

 

森嶋の右肩に顎を置き、流し目で森嶋の顔を見る神州丸

 

それと相まって森嶋の背中にくっ付いた神州丸は、その小ささもあり実にシュールな絵面になっている

 

「そっか…産まれて来てくれたんだね…」

 

森嶋は、右肩に顎を置いて目だけで森嶋の顔を見ている神州丸の頭を撫でた

 

頭を撫でられて目を閉じる神州丸は、ここに来てようやく笑顔を見せた

 

「森嶋、少しだけ話していいか⁇」

 

「自分の部屋へ‼︎」

 

森嶋の部屋に案内され、事の真相を話した

 

 

 

 

「大変申し訳ない事を…」

 

「謝る必要は無い。ナイフもオモチャだった。しかしまぁ、よく足音もなく近寄れたな⁇」

 

「江風の姉様に教えて貰ったであります」

 

「「納得だな」」

 

江風なら納得だ

 

基地で唯一蒼龍を物理的に止められる彼女が、神州丸に護身術を教えるのは良い事だ

 

「隊長」

 

神州丸をベッドの縁に座らせ、森嶋が耳打ちして来た

 

「避妊はしたのですが…」

 

「蒼龍のゴム使ったろ…」

 

「…全部理解しました」

 

この会話で全部理解する森嶋も凄い

 

「しかし、これで私にも明確に戦う理由が出来ました」

 

「良い事だ。神州丸、父さんと会えて良かったな⁇」

 

「感謝するであります」

 

最後まで目にハイライトは無かったが、言われて見てふと気が付いた

 

あぁ…蒼龍の目と似ているのだな、と

 

 

 

 

 

神州丸…フードちゃん

 

森嶋と蒼龍の間に産まれた女の子

 

目にハイライトが少なく、感情が非常に読み取りにくい

 

身長がたいほうと同じ位なので、簡単に抱っこも出来るし、肩車も出来る

 

音も無く相手に近寄る事ができ、父親の森嶋に忍び寄り、首根っこにくっ付くのがマイブーム

 

分かりやすく言うと、側から見たマーカスとたいほうの様な外見になるので非常に微笑ましい

 

神州丸をくっ付けている人を後ろから見ると、フードを被っている様に見えるのでこれがシュールに見える

 

手に持っているのは”大発ちゃん”と言うラジコン

 

自宅であるトラックには”内火艇ちゃん”がある

 

内火艇ちゃんはBB弾が撃てる

 

どちらも車体の前方にニコニコマークが描かれていて可愛い

 

産まれたての割に、色んな所がプニュプニュしている。凄いね


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